コラム 転職後の医局との関係性
突然ですが転職を考えたことはありますか?
理由は様々と思いますが、今の職場に何らかの不満があることでしょう。
しかし、多くの医師が転職を躊躇っています。
それは何故でしょうか?
多くは次の2つではないでしょうか?
・診療能力に自信がない
・医局(元職場)との人間関係
診療能力については科目によって多岐多用に渡るのでここでは言及しません、というより精神科以外の各科の診療能力については分かりません(笑)
ここでは医局を辞めた私の実体験を元に医局との人間関係についての私見を述べます。
私が退局する際にはきちんと関係各所に頭を下げて筋を通したこと、教授や医局長含め上層部の先生方が非常に人徳者であったこともあって、(お世辞かもしれませんが)慰留はされましたがトラブルはなく退職しました。
特にトラブルはありませんでしたが、裏ではどう思われているんだろう?、悪い評判が立つのではない?など心配していました。
実際に自分が抜けることで残った人の仕事が増えるのは事実ですし、関連病院への派遣計画の変更など面倒ごとが増えることは事実です。
ある日、専門医の書類関係で医局を訪問することになりました。
上記のような心配をしながら訪問すると、教授、医局長、先輩医師数名と遭遇しましたが、
「あ、久しぶりやね、そういえば辞めたらしいね、〇〇病院だっけ?」
「俺も早く辞めたいよー、やめるのが正解かもね」
「大学病院は異動多いし、誰がどこにいるのかよくわからんね、どこの病院に行ったの?」
こんな感じでした。
大学病院はそもそも異動が多いので遭遇して初めてそういえばというような感じだったり、どこの病院に異動したのか知らなかったり、そもそも辞めたことにすら気づいていない人もいました。
異動が多い大学病院ではその時にいる人員で体制を組むため、負担が増えたかどうかももはやわからないのです(笑)
(私は管理職になる前に退職したのでそれほど重要なポストには就いていなかったこともあるかもしれません。)
過去には一部の医局で辞めた医局員に見せしめのようなことをしていたと聞きますが、現在ではごく一部を除いて、そのようなことはありません。
むしろSNS等ですぐに情報が回ってしまう現在では自身の首を絞めることをよくわかっているので辞めた人を追うメリットがありません。
他人の進路にみんなそれほど関心はありませんし、トラブルがなければ元々の人間関係が転職しただけで壊れることはありません。
実際みなさんはどうでしょうか?
中学校の同級生、高校の同級生、大学の同級生、医局の同僚の進路についてどの程度把握しているでしょうか?
というよりもそもそも他人の進路に関心がありますか?
〇〇病院、〇〇会社に就職したと聞いただけで人間関係が変わりますか?(笑)
ただし、大きなトラブルを起こして辞めた場合は別です。
多くの場合、辞めたことというよりは辞める前後で起こしたトラブルで反感を買い、人間関係が壊れることがほとんどです。
トラブルを最小限にするには、、
・普段から仕事はきちんとやっておくこと
→日頃の行いはとても重要、主張を通すにはやるべきことはやっておく
・頭を下げるところにはきちんと下げて筋を通す
→時代は変わっても医局は縦社会
・辞める直前まで誠意を持って仕事をきちんとする
→退職が決まって仕事がいい加減になるのは最もダメ、引き継ぎを丁寧に行い周りの負担を最小限に
・辞めた後も協力可能なことについては協力する
→今の自分があるのは少なからず医局の指導のおかげもある、感謝を忘れてはいけない
辞めた後の協力というと難しく感じるかもしれませんが、そんなに難しいことではありません。
後輩のレポートの添削をしたり、転院依頼があれば快く受け入れる、医局が欲しがっている症例があれば積極的に紹介するなどそれほど難しいことではありません。
元々良好な関係であれば転職のみで人間関係が壊れることはありません。
普段からいい人間関係を築くことを心がけましょう。