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医局を円満に辞めるには?切り出し方や転職先を探すタイミングを現役医師が解説

【こんな方におすすめ】
・転職を考えているが医局を辞めることに踏ん切りがつかない
・なんとなく医局を辞めるのが怖い
・辞めたあとどうなるのか分からない

医師の皆さまは、ほとんどの方が一度は医局に所属するのではないでしょうか?

若手のうちは早く一人前の医師になるべく、ひたむきに仕事と向き合い努力を重ねている方がほとんどでしょうが、ライフイベントなど様々な環境の変化により、「退局」という二文字が頭の中にちらつくことでしょう。

そんな皆さまに向けて、弊社取締役であり現役医師の沢田が医局の辞め方について徹底解説します。


1. 医局を辞めるメリット/デメリットとは?


皆さまは、医局に所属している理由を明確に答えることができますか?

  • 専門医や指定医資格を取得するため

  • 憧れている先生と一緒に働きたいから

  • 研究で成果を挙げ、出世したいから

かくいう私も、専門医/指定医の資格を取得する以外、医局にいる意味を見いだせず、何となく周りに流されて所属してました。

街中で退局した先輩とたまたま再会し、話を詳しく聞いてみると、退局することで労働条件が驚くほど改善され、ストレスフリーに働けることが分かりました。

まずは、医局に所属するメリットとデメリットを押さえておきましょう。

【医局に所属するメリット/デメリット】

実は、研究に没頭したり、大学でバリバリ出世したい医師以外、正直大したメリットはありません

医師の皆様は敷かれたレールの上を歩んできた人がほとんどだと思います。

だからこそ、道を外れることに人並以上の恐怖を感じ、周りの同調圧力により、医局に所属し続けてしまうのです。

さて、話を戻します。

私も退局した先輩のアドバイスをもとに、思い切って退局することができ、圧倒的に生活にゆとりが生まれました

具体的にどのような変化があったのか、表にまとめましたのでご覧ください。

【退局前後の比較】

いかがでしょう?

民間の精神科病院に転職することで、給与は約7倍業務量は実質半分以下になりました。

最も変わったことは、「無駄な業務がなく、理不尽さを感じない」ことです。

大学病院での無駄な書類、会議、指示出し、病棟ルール、医師への業務の押し付けが一切ありません。

今は本当にストレスフリーに働いています!笑

2. 退局までのイメージを頭で何度もシミュレーションする


退局までどのようなスケジュールを立てるべきなのでしょうか?


退局完了までは全部で3ステップありますので、それぞれポイントを解説していきます。

本章は繰り返しお読みいただき、退局までのステップを頭に叩き込んで

いただけますと幸いです。

ステップ1  退局時期を決定し、逆算してスケジュールを考える


円満に退局するためにはタイミングが一番重要です。

タイミング次第で円満になるかどうか大きく左右されます。

【医局を辞めるべきタイミング】

  • 医局の人員が増えるとき

  • 教授が退官し、体制が変わる時

  • 医局内でトラブルが発生し、対応に疲弊している時

3つタイミングを挙げましたが、オーソドックスな退局パターンは「医局の人員が増えるとき」でしょう。

つまり年度末である3月末で(医局によっては10月)退局することが理想です。
(例えば、退局を決断したタイミングが2023年6月であれば、2024年3月末で退局)

では、転職活動はいつからはじめるべきでしょうか?

答えは・・「今すぐ」です。

理由は2つあります。

まず第一に、「3つのタイミングのうち残り2つのタイミングがいつ来るか分からないから」です。

教授が突如退官するかもしれませんし、明日トラブルが起こるかもしれません。

次に、「早めに動けば動くほど、良い求人を見つけられる可能性が高くなるから」です。

新年度が始まった翌月から民間病院は翌年度の人事を考えはじめます。

病院の採用科は医師不足を絶対に避けたいので、早いうちから先生たちの目星をつけておく必要があります

したがって、夏明けまでは良い求人に出会える可能性が高まります

もちろん、10月、11月でも良い求人に出会うことはできますが、年内には翌年の人材配置に目途をつけておけると採用科も心理的負担が少ないという訳です。

退局時期が決定したら、早急に行動し「次の就職先」を確保しておきましょう。
(気持ちが変われば退局しなければ良いだけなので、リスクはありませんよ)

ステップ2「いつ/どのように」伝えるかポイントを押さえる

「次の就職先」が確保できたら、退局の意志を伝えましょう。

ポイントは「いつ伝えるのか?」「どのように伝えるのか?」です。

【いつ伝えるべきか?】
退局の意志が堅い場合:内定が出たらすぐに
・医局でやり残したことがある場合:退局の3ヶ月前

医局人事は早い時期から水面下で決まっているケースもあります。

無用なトラブルを避けるために、早めに伝えることがベストですが、中には論文のサインを貰いたいなど、医局内でやり残したことがある方もいらっしゃるでしょう。

その場合は、「年内がリミット」であることを頭に入れておいてください。

【どのように伝えるべきか?】
・一番身近な上司→医局長→教授の順が理想
・ポジティブな退局理由を伝える

医局長、教授に伝える前に、ベラベラと退局することを話すことは絶対に避けてください。

医局組織は狭い村のようなもの。

噂は一瞬で広まり、あの手、この手で引き留められます。

円満に退局するためにも、医局長、教授に承認されるまで絶対に誰にも話さないでください。

次に、退局する理由はポジティブな理由にしましょう。

稀に「待遇が悪い」とか「他に良い職場があった(給料が良いなど)」など、ストレートに主張される方もいらっしゃいますが笑、本音と建前をわきまえましょう。

・実家に戻らなければいけなくなった
・結婚相手の勤務先近くで勤務する
・育児に専念したい

など当たり障りのない理由がベストです。
(何と言えば良いのか分からない方は遠慮なく相談してください。)

ステップ3 郵便物と住民税に注意して退局する

教授に退局が承認されてもまだ気を抜いてはいけません。

円満に退職するためには、医局に迷惑をかけないよう最大限の配慮をすることが大切です。

まず、書類が職場に届かないように注意しましょう。

自宅宛の郵便物については注意しているのですが、職場宛に届く書類については忘れやすいので注意が必要です。

親切に転送してくれたとしても、医局に迷惑をかけることになってしまいますので注意しましょう。

次に住民税です。

同じ職場に2年以上勤務していると通常は「特別徴収」といって職場が給与から天引きしてくれるようになりますので住民税を払い忘れることはまずないと思います。

しかし、転職初年度は特別徴収ができないため、普通徴収といって納付書で自分で納める必要があります。

医局の給与次第では4〜6月分の住民税が天引きされておらず、後から一括で納付させられる事もあり、数十万単位の出費が出ることもあります。

私も医局を辞めて大学病院から転職した際、住民税を天引きできず(大学病院の給与が安すぎて笑)、後から数十万程度の納付を命じられて、びっくりしました。

郵便物と住民税についてはこちら(執筆中)で詳細に記載していますのでご確認を!

【コラム】私が退局を決意するまで

 私は、民間の関連病院に一時出向し、その後大学病院に戻った時、退局を考えるようになりました。出向先の民間病院では、医師、看護師、そのほかのコメディカル等も含め、職員全員が患者さんにより良い医療を提供すること、病院全体で成長することを目標に働いていました。素晴らしい指導医に巡り合え、自分の医療に対する価値観が一変し、これまでちゃらんぽらんだった自分が恥ずかしくなり、必死に勉強するようになりました。
 給与もさる事ながら、それぞれの分野に必要なスタッフが確保されていることで分業体制が確立されており、雑用はなく、医師は診療に集中できる体制が整えられていました。
 出向を終えて大学病院に戻ると、地獄の日々の始まりでした。給与や待遇は最悪。それ以上に、業務の押し付け合いは当たり前。教育環境は不十分、面倒な業務は若手に押し付け責任すら取らない。そんな環境でした。
  ある時、医局内で大きなトラブルが発生し、入局間もない若手も含め対応にあたることになりました。何か問題が起きた際には入局間もない若手に責任を取らせるのは酷だと思ったので、対応のマニュアル化と問題発生時は医局として責任を負うことを提案したところ、「マニュアルなんかいらない、各々の判断で対応すればいい、医師免許を持っているんだから各々の責任でやってくれ」と上層部から返答されました。これを聞いた時、ただただ愕然とし、「ここにいる価値はない」とはっきりと感じ、退局を決意しました。(偶然街中で再会した先輩が親身になって相談に乗ってくださり、綺麗に退局できました。)



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