見出し画像

バーチャル里帰り

私が大人になってから両親は自然を求めて引っ越しました。ですので生まれ育った家は、もう赤の他人が住んでいます。

引っ越してから30年近く経っているのでグーグルストリートビューで見てみると、面影は残しつつも景色はかなり変わっていました。


趣のある細い道だったところが、道幅が広がり舗装されていたり、茶畑だったところが駐車場になっていたり、田んぼだったところには家が建っていたり。

仲の良かったお友達の家が空き家っぽくなっていたりも。

みんなどうしているのかな。私はすっかり太ってしまったから、もし会ったとしても気付いてもらえないだろうな。

よく遊んだ神社、ミカン畑、田んぼ、小さな商店、通学路、、、。
ストリートビューで辿っていくとあっという間に時間が過ぎます。

もう一度行ってみたい懐かしい場所。でも現実にはなかなか行くことが出来ません。
本当に行く気があれば3時間程度で行けるのですが、具体的な用事も無いのに、ただただ懐かしさを求めて出掛けるには遠い距離です。

フラっと行って、もし幼馴染に出会えたらどんな気持ちになるのでしょう。
卒業以来、一度も連絡は取っていないし同窓会にも参加していません。
むしろ昔からの縁を断ち切るような生き方をしてきてしまいました。

若気の至り、と言えば抵抗は少ないですが、二度と思い出したくない、情けない、恥ずかしい、申し訳ない、そんな過去があるのです。


もちろん楽しかった、嬉しかった、幸せだった事も沢山あるんですけれどね。

お正月などの実家に帰った時に、車を数十分走らせれば、その「元実家」付近へ行けるのですが、夫や子供には何の縁もゆかりもない場所に、私の感傷だけを理由に付き合わせるのも申し訳なくて、行くことができません。


センチメンタルな感情を共有できるのは、兄弟だと思うのですが、兄弟だってそんなに暇ではないですし、仮に時間があったとしても、大人になった今、やはり私の個人的な感傷に付き合わせるのも申し訳ないです。


いずれにしてもストリートビューで元実家付近を見る事ができるのは、手軽にできるバーチャル里帰りで、ありがたい事です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?