短編小説　序章～チョコレートは神の食べ物？

序章「神々の贈り物」

遥か昔、カカオの木はただの植物ではなかった。
それは 神々から授けられた神聖な贈り物 であり、選ばれし者だけがその恵みを享受できるものだった。

「カカオの起源」 について、古代の人々はさまざまな神話を語り継いできた。
マヤの伝説では、カカオの木は 創造神ククルカン によって授けられたとされ、
アステカでは 豊穣の神ケツァルコアトル が、人々に知恵と力を与えるために天から持ち込んだと信じられていた。

この神聖な実は、ただの食べ物ではない。
儀式の供物、戦士の活力源、王の飲み物、そして通貨 としても使われるほど、価値のあるものだった。

やがて、カカオは文明とともに旅をし、
それを巡る人々の運命を大きく動かしていく——。

これは、カカオと人類の壮大な歴史の物語。
神々の贈り物が、世界をどのように変えていったのか——。

第1章「神に捧げられし実 〜カカオの起源〜」へと続く。