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カガクの扉を開く本その9 東陽出版を知っていますか?編

はじめに


 東陽出版という出版社をご存じでしょうか? 今ならば、イラストや漫画で説明を行う本がたくさん出ていますが、昔はそのような本はあまりありませんでした。
 そんな中で、沼津に以前あった「吉野家」という本屋さんで見つけたのが、『まんが アトム博士の科学探検』という本でした、あの手塚治虫が漫画の監修をしていて、マンガで様々な科学現象を説明するという、当時としては画期的な本でした。
 今は、出版社も無くなってしまった? のですが、今まで手に入れた東陽出版の本を紹介したいと思います。
(昔の静岡のあるある本には、「静岡では[吉野家]といえば、牛丼屋さんでは無く本屋さん」」などという記述がありましたが、今ではその本屋さんも無くなってしまいました。残念。)

1.アトム博士シリーズ

◎『まんが アトム博士の科学探検』
まんが監修:手塚治虫  内容監修:大塚明朗
飯野睦毅:著 作画:村野守美 東陽出版
(昭和63年(1988年)刊)
(第1編は、原子の構造と元素の周期表の話。第2編は、化学結合の仕組みや物質の状態変化の仕組みを漫画で説明しています。わかりやすいのですが、分子がエネルギーを放出するところのイラストが、「ゲーゲー」という風に表現されていて、ちょっと引いてしまうような書き方になっているところが残念なところです。良い本なのにあまり広まらなかったのはそのあたりなのかな? と思います。ほほを赤くして、ため息つく感じでエネルギーを放出させるような絵ならば良かったのかな? などと思います。)

◎『まんが アトム博士の相対性理論』
まんが監修:手塚治虫 内容監修:大塚明朗
飯野睦毅:著 作画:村野守美 東陽出版
(昭和63年(1988年)刊)
(第1編は、ワンダーワールドの旅ということで「次元」についての説明。第2編は、ニュートン力学の説明。第3編は、相対性理論の世界の入り口ということで、光と時間について。第4編は、特殊相対性理論の世界の説明になっています。)

◎『まんが アトム博士の続相対性理論』
まんが監修:石ノ森章太郎 内容監修:大塚明朗
飯野睦毅:著 作画:吉田京子 東陽出版
(1989年刊)
(第1編は特殊相対性理論の総まとめ。第2編は、一般祖体制理論の世界の入口。第3編は、一般相対性理論の世界。第4編は、一般相対性理論の宇宙観。と言う内容になっています。)
※手塚治虫先生がお亡くなりになったので、まんが監修が石ノ森章太郎先生に代わっています。

◎『まんが アトム博士の宇宙探検』
まんが監修:石ノ森章太郎 内容監修:大塚明朗
飯野睦毅:著 キャラクター設定:村野守美 東陽出版
(1991年刊)
(この本は、相対性理論の完結編と言う内容になっています。
 その1、と言うことで、相対性理論のおさらいが最初に入っています。
 その2は、第1編が時空の説明。第2編は、太陽系宇宙についての説明。第3編は、銀河系宇宙の説明。第4編は、大宇宙のなりたちと言うことで、ビッグ・バンの話。第5編は、ブラック・ホールの説明になっています。)
※巻末に、『続・宇宙探検』という本が出ると言うことになっていますが、その本は手に入っていません。

◎『まんが アトム博士の電磁気学入門』
 まんが監修:石ノ森章太郎 内容監修:大塚明朗
 飯野睦毅:著 キャラクター設定:村野守美 東陽出版
(1990年刊)
(第1編は、電気の正体について。第2編は、電流の熱作用について。第3編は、電流の磁気作用について。と言う内容になっています。)
※続・電磁気学入門という本が出版される予定とありますが、残念ながら手に入れていません。

◎『まんが アトム博士のユートピア探検』
 まんが監修:石ノ森章太郎 飯野睦毅:著
 キャラクター設定:村野守美 東陽出版 (1990年刊)
(この本は、ちょっと異色で、社会主義と資本主義の違いについて考察している本です。第1編は、原始時代のユートピア社会について。第2編は、文明が生んだ不平等社会について。第3編は、王制と封建制度の社会について。第4編は、自由主義と資本主義の社会について。第5編は、本物のユートピアとはどのようなところなのかを、ヨーロッパの思想から探る。第6編は、マルクスの資本論の説明で、社会主義と共産主義の社会の説明。第7編は、ソビエト連邦や中華人民共和国など、共産主義の国が建国されたけど、現実にはユートピアにはならなかった。それはどこに問題があるのかを説明。ざっと、そのような内容の本です。
 共産主義の国家としては、実は、リビアという国が制度的にはうまくいっていたらしいのですが、資本主義国家の力によって潰されてしまいました。)

◎『まんが アトム博士の量子力学探検』
 野本昭二:監修 吉田 正:著 東陽出版 (1997年刊)
(この本は、量子力学についての本です。第1編は、電気と磁気の作る波である電磁波について。第2編は光の源を求めて、原子の内部について。第3編は、光の種類について。第4編は、光の正体は粒子なのか波なのか。第5編は、量子が作る大きな世界についての説明。と言った内容です。)
※この本の前に、『まんが アトム博士の原子物理学探検』という本も出ているようですが、手に入れていません。

2.完全図解シリーズ

◎『完全図解 生き物の飼い方全書』
 岡田要:監修 宇田川竜男・他:著 東陽出版
(1986年刊)
(この本は、第1編が哺乳類。第2編が鳥類。第3編が昆虫類。第4編が魚類・貝類。第5編がは虫類・両生類その他。となっていて、あらゆる動物の飼育の方法について図解しているというとんでもない本です。)

◎『完全図解 からだのしくみ全書』
 高橋健一:監修著作 東陽出版 (1991年刊)
(この本は、人のからだのしくみについて、図入りで説明している本です。)

◎『完全図解 からだのしくみ全書 健康づくり編』
 飯野晃啓:監修著作 東陽出版 (2000年刊)
(健康づくりについて解説している本です。)
※からだのしくみ全書のシリーズには、『病気編』・『看護編』・『妖精くんが案内する からだの探検』という本もあるそうです。

◎『完全図解 性のしくみ全書』
 高橋健一:監修著作 東陽出版 (1998年刊)
(性について、解説している本です。)

◎『身近なもので 図解 たのしい科学あそび ー化学編ー』
 吉田泰三:監修 福嶋葉子:著作 東陽出版(1998年刊)
◎『身近なもので 図解 たのしい科学あそび ー生物編ー』
 山崎種吉:監修 福嶋葉子:著作 東陽出版(1999年刊)
※この完全図解シリーズは、他にも、『完全図解 パーフェクト化学実験全書』、『完全図解 野外生活サバイバル全書』、『完全図解 虫の飼い方全書』など色々出版されてるそうです。

さいごに


 このように、東陽出版からは、図解の出版物がたくさん出ています。
 最近は、イラストや漫画で説明する本が多く出てきていますが、どうも作り方が雑であったり、内容的に無駄が多かったりします。
 例えば、『はたらく細胞』などは、細胞をキャラクター化して、働きなどを説明しています。アイデアとしては、良いと思います。でも、原作の漫画はどうも、うまく表現できないのですが、絵が「けば立った」感じがして、読んでいると何か疲れてしまいます。児童書で出ているのを本屋さんで見ましたが、そちらの方は絵がすっきりして、読みやすいなと思いました。
 外国の翻訳物としては、ダーウィンの『種の起源』とか、哲学解説書の『ソフィーの世界』とか、『サピエンス全史』とか、『ペスト』とか、漫画版が最近出ていますが、こちらの方は漫画全体が暗い印象があって、読んでいると目が疲れてくる感じがして、買う気にはなれませんでした。
 今回の東陽出版の、特に『アトム博士』シリーズは、現在でも十分通用する内容だと思います。本は、ハードカバーなので、ソフトカバーの普及版で再版して欲しいものです。

※扉の写真
 プランターになぜかできたサツマイモ。
 芽が出た芋類を地面に植えておくと、たまにできたりします。里芋とかジャガイモでもできます。こういうのを、「ヤサイクル」と呼んでいます。





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