お洒落や生き方のセンスはすべて雑誌Oliveが教えてくれた
こんにちは。
「スキルと自信を身につけて、自由に生きる女たち」をテーマに女性のための起業塾、FREPPIESブランディングカレッジを運営しているYAKKOです。
みなさん、Oliveという雑誌をご存知ですか?
1982年(昭和57年)に創刊し、2003年8月に廃刊した、10代の女の子たちに向けた雑誌です。
ファッションを中心に、ライフスタイル、音楽、映画、山田詠美の「放課後の音符(キーノート)」連載など、毎回充実した内容の雑誌でした。
思えば、私がクリエイティブな仕事についたのも、日々暮らす中で大切に使っている愛用品選びの審美眼も、10代の頃に読み耽っていたOliveがすべて教えてくれました。
今の30代以下の人は、Oliveを聞いたことはあってもオンタイムで読んでいない女性が多いと思います。
Oliveがどういう雑誌だったか、一人の女性の生き方にどんな影響を与えたのか、というテーマに熱く語ろうと思います。
私がOliveを読みだしたきっかけ
私がOliveを読み始めたのは、創刊から4年後、14歳の頃でした。
3つ上の兄が「POPAY」を読んでいて、なんだか面白そうと借りて読んでいたら、「女の子版のOliveがあるぜ」と教えてくれたのがきっかけです。
Oliveの発売日は毎月3日と18日で、最初の頃は確か、280円だったと思います。
当時のお小遣いが、月に2000円だったので、発売日には学校が終るとすぐに近所のコンビニに行き、後ろの方の棚にある誰の手垢も付いていないまっさらなOliveを、大切に買って持ち帰っていました。
Oliveは、他の雑誌と違うというより、全く違う次元にいた
当時、Oliveと双璧をなしていたのは、non-no(ノンノ)でした。
Olive派と、ノンノ派はまったく相容れなく、「どちらも読んでいた」という人は少ないのではないでしょうか。それほどベクトルが両極にあるものでした。
高校生のとき、ノンノを愛読していたクラスメイトに「なぜノンノなのか」と聞いたところ、「Oliveは、服選びにはまったく参考にならない」という答えでした。
どういうことかというと、ノンノは10代の同世代の明るくて溌剌とした日本人のモデルを採用しているのに対し、Oliveのモデルはそばかすだらけ、赤毛のチリチリ頭、少年のように細くてヒョロリとした手足、といった外国人モデルを中心に採用していたからです。
服の見せ方も、洋服を分かりやすく見せるというよりも、写真から滲み出る空気感やストーリーのようなものを大切にしていた気がします。
「モデルが私たちと同じ日本人じゃないから、実際に着たときに同じにはならないじゃない?」と言われて、至極納得したのを覚えています。
ですが、そもそもOLIVE派は、空気感やストーリーを含めて雑誌を楽しんでいて、そのストーリーから想像を膨らませて「この服、着てみたい」と思っていた気がします。
そばかすの赤毛の女の子も、クリクリ頭の女の子も、みな個性豊かでかわいかった。あれを「可愛い」と思える自分のセンスも好きだった。
率直にいうと、Oliveに出てくるモデルは、いわゆる日本人ウケする「可愛らしい少女たち」ではなかったのです。
紙面からこちらをじっと見つめる視線は笑顔ではなく無表情で、クラスの男の子たちも「なにこれ、ブスばっかじゃん」と言っていました。
そういう男子の意見を聞いて
「は! まったくわかってないわね!」
と心の中で思っていたのが、たぶん多くのOlive少女だったと思います。
「ありのままのあなたでいい」
「そばかすも、赤毛も、クリクリ頭も、全部あなたの個性」
「他人や異性に迎合せず、あなたの価値観や審美眼を持ちなさい」
そんなメッセージがバシバシと伝わってくる雑誌だったのでした。
おそらく、後にも先にも、ああいう「振り切った」雑誌はない気がします。
少女向けの雑誌なのに、扱う商品は万単位
雑誌Oliveでよく登場していたのは、「ロイドフットウェアのレースアップブーツ」や「パイン材の家具」、そして穴が開いた古着のジーンズ。
スタイリスト大森伃佑子さんと岡尾美代子さんに選ばれてコーディネートされた服、雑貨、小物。溜息ができるほど素敵で、ページをめくるごとに、14歳のハートを鷲掴みにしたのでした。
私はどちらかというと、岡尾さんのスタイリングが好きでした。
古着の履き込んだブルージーンズに白いサボ、トップスはセーラー(!)という、14歳の私には想像もつかないスタイリングで、ワクワクしました。
そして、特筆すべきは紹介される服や商品の値段です。
ロイドフットウェアのレースアップブーツ 68,000円
パイン材のアンティークテーブル 280,000円
パリの蚤の市で買い付けたブローチ 30,000円
どでもこれも、万単位・・・
お小遣いを貯めて買える、という金額を遥かに超えた商品ラインアップでした。
さらには、
イギリスの歯ブラシ 2800円
イギリス製のガウン 30,000円
というような、「家で過ごすための雑貨や衣類」も、どこまでもこだわったスタイリングでした。
14歳の当時の私は、「え? 歯ブラシに!?」と思っていたけれど、今なら「うんうん、わかる。暮らしって大切よね」って思う大人の自分がいます。
ロイドフットウェアの靴は、当時木型を銀座のお店で取り、そのままロンドンに送られて靴職人が丁寧に作る、といったコンセプトの店でした。
そして社会人になって最初のボーナスのときに手に入れたのが、ロイドフットウェアのブーツでした。
Oliveで紹介されていたウィングチップのレースアップブーツはもう作られておらず、プレーントゥのブーツを満を持して購入した、という思い出があります。
今思うと、Oliveは10代の少女たちに「本物の選び方」「上質とはなにか」「モノ選びに自分軸を持て」といったような、強いメッセージが込められていたんじゃないかな、と思います。
映画や音楽の特集も、40代の大人の女性になった今でも、ドキドキするくらい魅力的な内容でしたし、「少女が好きそうなもの」「少女にウケそうなもの」という視点ではありませんでした。
蜘蛛女のキス
イージーライダー
ペーギーとスー
ロリータ
生意気シャルロット・・・
と同時に、「男の子にモテそうな」という視点も、どこにもなかったと思います。常にメインは「あなた」。つまり読者の私でした。
あなたがご機嫌になれる服を選びましょう
あなたの個性を伸ばしましょう
あなたはありのままで愛されると知りましょう
そんな無言のメッセージが私をいつも満たしてくれました。
「70年代特集」が大好きだった
レトロな花柄のワンピース、ヒッピー、スマイルマーク、サボ、リーバイス501・・・
自由で、ハッピーで、芯がある。
そんな70年代マインドを教えてくれたのもOliveでした。
大学2年の頃、アメリカのワシントン州に短期留学に行ったのですが、1993年の夏、シアトルは「ネオヒッピー」と呼ばれるグランジスタイルが流行っていました。
シアトルのベイエリアには、Oliveの70年代特集で見たようなヒッピースタイルの若者たちで溢れ、私も日本から持って行った白いサボを履いて、シアトルズ・ベスト・コーヒーを片手に芝生に寝っ転がって、恋人と色んな話をしました。
なぜ、Oliveは廃刊したか
そんな大好きなOliveでしたが、高校3年生あたりから、なんだか急に退屈になっていき、買うのをやめてしまったのです。
そうして間もなく、廃刊となって、全国の書店やコンビニからひっそりと姿を消しました。
熱烈なOliveファンだった私が、なぜ急に熱が冷めてしまったのか。
その理由は、今でもはっきりと覚えています。
それは、「自分軸ではなく、他人軸」に変わってしまったからです。
「彼を夢中にさせる仕草」とか「彼が好きになる女の子になるには」みたいなテーマばかりが、最後の頃は目立っていた気がします。
それまでは「あなた自身の感性を大切にしなさい」というメッセージで一貫していたのに、突然an・anのような下世話な内容に変わってしまったのです。(an・an愛読者のみなさん、ごめんなさい)
なぜあんな路線に走ったのでしょう。Olive独自路線が時代に合わないと編集長が判断したのでしょうか。それとも編集長が代替わりしたのかな。
とにかく、「こんな内容ならOliveじゃなくていい」と思うようになり、毎月2回走ってお店に駆け込み、棚の奥から大切に1冊を取り出していた少女はいなくなったのです。
でも、Oliveが教えてくれたことは永遠に生きている
たとえば、今の私の買い物のしかた。
洗濯用ブラシ1本、デザインにこだわって買います。今愛用しているのは、アメリカの「The Roundress社」のもの。
秋から春にかけて羽織るガウンは、イギリスの伝統あるMAGEE社のもの。イギリスのサイトを検索して、個人輸入して購入しました。
パジャマは、ブルックスブラザーズのオックスフォード生地のメンズのXS。
仕事で10年以上愛用しているトートバッグは、イギリスのJ&M Davidson。
ひとつひとつは高価なものではありますが、長く愛用できるのでむしろ節約になっている気がします。
買い物をするときの審美眼は、Oliveの精神が根底に流れている。
多少高くても、良いものを大切に使う。
良いものに囲まれて暮らしていると、センスや感覚が研ぎ澄まされる。
たぶん、わたしと同じ元Olive少女のあなたは、きっと深くうなづいているのではないかしら。
Oliveの精神で鍛えられた大人の女性が愛用している道具や雑貨は、私が発信するYoutube動画でときどき登場します。
良かったら、見てくださいね。元Olive少女からのコメント、待ってます!
https://www.youtube.com/channel/UCEVa4a2gRXLdRvZY0j5SQcQ