手軽に作れるあったかスープで栄養チャージ!『ライフ・スープ』で心と体を整える
腹が減っては仕事はできぬ。さりとて、忙しない毎日のなか、自分のためのごはんに時間をかける余裕は正直ない……。しかし腹が減っては(以下略)。
腹ペコのひもじさに耐えつつ、ソワソワしながらお仕事をされているフリーランスの皆様に捧げるは、口福と時短を約束する知恵の宝庫。
確実においしくて、仕事の合間にも手軽に作れる「黄金レシピ」を味方につければ、切ない空腹もすこやかに満たせて、仕事への気力も湧いてくるというものです。
今回のおすすめレシピ本は、スープ作家・有賀 薫さんの『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』(プレジデント社)。理論に裏打ちされたおいしさを、自宅で手軽に味わえます。おなかの中からほっと温まるスープで英気を養おうじゃありませんか。
スープのハードルを下げる「新定番」
寒い冬、体に染みわたるスープの温かさは格別です。暑い夏だって、胃にするんと落ちていくスープは体に優しいごちそう。
つまるところ、食卓にスープがあると非常にうれしいものですが、味噌汁は気軽でも「スープってちょっとハードルが高い」と感じている人も多いかもしれません。
味がボヤける。
だしをとるのが面倒。
時間がかかる。
こんなスープへの苦手意識をさらっと解消し、日々の食事への応用力を上げてくれるのが、『ライフ・スープ』です。
取り上げられているのは、チキンスープやミネストローネ、ポトフに豚汁、卵スープなど、馴染み深い定番のメニューが中心。それらをより簡単に、作り続けやすいようにと進化させたレシピは、定番でありながら新しい! スープのハードルがグッと下がります。
鶏ひき肉を煮るだけ! 和洋中に万能な「チキンスープ」
本書を開いてまずびっくりしたのが、冒頭に紹介されている「チキンスープ」。
チキンスープといえば、鶏ガラやねぎを大鍋コトコト煮るか、鶏ガラスープのもとを溶かすかの2択と思っていたら、目から鱗。
鶏ひき肉を水で溶く?
「…アクとかすごそうじゃない?」と半信半疑で試してみると、これが本当に澄んだスープになるから驚きました。さらに、シンプルな材料なのに、豊かな旨み……! なんだこれは! 本当に私が作ったのか!
スプーンを口に運んで、確かにスープの世界が開けた思いがしました。
だしを取ったあとの鶏肉は、甘辛に味つけして鶏そぼろに。
旨みが出やすいひき肉を使ったスープは、ほかにも3品。どれも手軽で、滋味深い味わいです。
材料を削ぎ落として作りやすく
『ライフ・スープ』は、3つの章から構成されています。
1章は「ベーシックなライフ・スープ」。
さきほどご紹介したチキンスープや、ミネストローネ、ポトフ、ポタージュ、クリームシチューが取り上げられています。
どのレシピも、本当に作りやすいのがありがたい! たとえば、有賀さんが提案する「たまねぎのミネストローネ」は、主材料がたまねぎとたまご、トマトジュースのみ。たまねぎの甘みを引き出すことで、複数の野菜やベーコン、ブイヨンキューブなどを使わなくても、しっかりおいしい「ミネストローネ」に。
2章は「一皿で満足、おかずスープ」。
献立の主役になれるスープが並びます。
3章は「マンネリ打破のバリエーションスープ」として、アジアのスープや冷たいスープ、マグカップでパパッと飲める「レスキュースープ」などが紹介されています。
また、レシピごとに、おいしく作るためのコツがたっぷり書かれているのもうれしいポイントです。スープの塩加減や煮込むときに鍋のふたをしめるかどうか、などについて書かれたコラムも充実! ここを読むだけでもスープづくりや日々の料理の腕が上がりそうな気がします。
ごはんやパンを添えれば献立に。「サバ缶とじゃがいものスープ」
2章「一皿で満足、おかずスープ」より、もう1品。
缶詰で手軽に作れる「サバ缶とじゃがいものスープ」のレシピをご紹介します。
ほろっとくずれるじゃがいもとサバのうまみに、レモンのほのかな酸味を効かせたスープ。素朴な材料ながらどこかおしゃれな雰囲気もあって、気分が上がります。
「おいしい魚のスープを出す店は少ない」「だからこそ、魚介のスープは家で作る価値があります」という言葉に納得!
「魚のスープ」といっても、缶詰や切り身を使うから、特別なテクニックや道具は必要ありません。鍋に放り込むだけなら、焼き魚や煮魚よりもコツ要らずで簡単かも!
ほかにも、仕事の合間にほっと癒される「梅茶節」や「バナナ甘酒」、冷凍かぼちゃとカップスープの素を活用する「かぼちゃのヨーグルトカップスープ」など、超お手軽なおひとり様分レシピも。
日常になじむように考案されたレシピたちは、忙しさでささくれがちな心や体を癒し、明日への元気もくれるもの。食に時間をかけられないと嘆くフリーランスにこそおすすめの1冊です。