FamiStudioでお手軽にファミコンサウンドを制作する
わたしは昔DTMをやっていて、ボカロPを名乗ってニコニコ動画に楽曲を投稿したり、twitterなどで知り合った仲間とコラボしたりして遊んでいた。自分の実力や努力が凡庸だったので動画が伸びたりはしなかったが、楽しかった。
その後しばらく楽曲制作から遠ざかっていたが、どうしたはずみかファミコンサウンドが作りたくなった。
ファミコンサウンドは、基本的にパルス波2つと三角波1つとノイズ1つの4音で制作する(プラス、粗いサンプリング音を再生させることもできるようだけど技術的な話はよくわからない)。
なので、ちょっとしたパーカッション(ノイズ)、音色が固定されたベース(三角派)、あとメロディーを含む2音しか使用できない。これがいいなあと思ったのである。
ボカロPとして制作をしていたころには、考えなければいけないこと、学ぶべきスキルが山ほどあった。ボカロの調音、音色の選定と調整、楽器の特性を活かしたアレンジ、ミックス、マスタリング特に音圧の強化、それからよりよい音作りをしようと思うと有料の音源やプラグインが欲しくなるのでその資金的な悩み・・などなど。わたしのような凡庸なひとにはキャパ不足でなかなかしんどかった。もちろん楽しくはあるのだけれども。
ボカロPをやめてからたまに昔の自分の曲を聴いたりすると、音圧がどうこうとか悩んでいたけれども、そんなことよりメロディーやリズム、ハーモニーといった最も基本的な部分がちゃんと作れていないなと思うことが多かった。その点、ファミコンサウンドは制約が大きいが、その分「できること」に意識をフォーカスできると思う。
ファミコンの有名なサウンド、たとえば初期のドラクエやファイナルファンタジー、ロックマンなどの曲を聴くと、よくこの制約の下でこんなにテンションが上がる曲を作れたものだと心から驚嘆する。それで、同じ条件で制作をしながらもう一度勉強したいと思ったという次第。
ってそんな話はどうでもよくて、この記事を見つけた人はたぶんファミコンサウンド制作環境の情報を求めているはずだ。さっさとそこを書けと。
というわけでFamiStudioである。ファミコンサウンドを制作するにはいくつか方法がある。①DAWに専用音源のプラグインを入れる、②FamiTrackerなどのトラッカーを使う、③MMLという言語を使ってテキストで書く、④専用DAW(FamiStudioがこれ)を使う、くらいのはず。
私はDAWを使ってボカロ曲を制作していたので①が一番とっつきやすかったが、CubaseやLogicなどのDAWだとなんでもできてしまう(ファミコンではありえないエフェクトをかけたりとか、音をたくさん重ねたりとか)ので、なんとなく邪道な気がした。もちろん自分でルールを課せばいいだけなのだけど。
③のMMLはいいなと思ったが、環境構築がちょっと面倒そうに感じた。②はFamiTrackerが有名なので使ってみたかったが、WIndows専用のようで(これのためにMac上でWindowsを動かすというのも腰が重かったので)優先度を下げて、そうしたら④のFamiStudioが見つかった。
良い点。まずパッケージをダウンロードしてインストーラーに沿って操作するだけで使えるのでとても使用開始までのハードルが低い。
nsfファイル(ファミコンで実際に使用されている音楽ファイルのフォーマット)を出力できるくらいなので、正しい制約(ルール)に乗っ取ったファミコンサウンドが作れる(はず)。
やってみると少々クセが強かったものの基本はDAWなので、DAWをそれなりに使い込んだ人ならある程度慣れればスムーズに操作できる。また、そもそもファミコンサウンド用なのでその前提でデザインされている。
あとちょっといいなと思ったのは、作った曲を出力するときにwavなどのオーディオファイルだけでなくピアノロール動画をファイルとしてお手軽に出力できる機能があることだ。こんな感じである。
(2023/12/23追記)Twitterポストの埋め込みになりますが、FamiStudio内の演奏中の画面のイメージも載せておきます。といっても記事の最下部に公式チュートリアルがあるので、しっかし見たい方はそちらを参照ください。
次にちょっと引っかかった点。
まず、先にも少し書いたが、DAWではあるのだけど操作のクセが少し強い。クセが強いというのは多分に主観的なので、CubaseやLogicのようなメジャーなDAWと操作方法が違う点が多いというほうが正確かもしれない。たとえばノートの削除がDeleteキーではなく右クリックだったり、同じ右クリックのドラッグで範囲選択をしたり、マウスのホイールはスクロールではなく拡大縮小になったり、とか。まあ、これは慣れるしかないですね。
それから、日本語の情報が2022年2月現在あまり多くないというのも難点である。上述のクセが強い点もあって、操作解説動画がないかなと思ったらばっちり公式のものがあったのだけれども、海外製のサービスなのでもちろん英語である。
英語なうえに1時間ちょっとあるので少々手こずったが、字幕を出しながら画面を凝視して、わからなかったところを戻って見直したりしていたらなんとか理解できた。(わたしは人並みに英語できない人です。)英語がスムーズに理解できる人にとっては、かなり良質なチュートリアルだと思う。
なので、FamiStudioやってみたい or どんな感じで作れるのか見てみたい、という人はとりあえずこの動画をじっくり見ることをオススメしておく。自分がもっと習熟したら日本語版の解説動画を作れればなー、なんて思ったりもするが、たぶんやらないと思う()。
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