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パリ植物園の庭に行こう

パリっ子のお気に入りボタニカル・ガーデン

自然史博物館付属のパリ植物園は、17世紀のルイ13世の王立薬草園に起源をもつ、由緒正しい植物園。と聞くと敷居が高そうな気もしますが、カルチエ・ラタン地区のこの庭は、若者も子ども連れもお年寄りも大好きな、パリっ子たちの日常のお気に入り散策コースになっています。広大な敷地内には、様々な種類のガーデン・コーナばかりか動物園まであって、訪れる誰もがどこかお気に入りの場所を見つけられるような、懐の広さが魅力です。

格調高く、フレンチ・フォーマル・ガーデン

セーヌ川に面した正面入口(バルユベール広場側)から入ると、自然史博物館の建物へのビスタが通ったフォーマル・ガーデン(フランス整形式庭園)が広がります。整然と並んだ花壇には、ハーブのコーナーがあったり、薬草があったりと、様々な植物が楽しめて、週末などには専属ガーデナーによるガーデンツアーもあり、市民の人気を集めています。さらに、花壇の間々には、だいぶ老齢となっているであろう見事な枝垂れ梅や桜などの大木もあって、それぞれの花の季節にはそれは見事な景観となります。

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フォーマル・ガーデンの両脇には、これまた見事なプラタナスの並木道とベンチが並んでおり、近くで働く人々がテイクアウトしたランチを食べていたり、ベビーカーの親子がのんびり散歩したり、ランニングする人がいたりという、パリの公園らしいアクティビティに出会うでしょう。
正面入口を入って右手にすぐ、あるいは庭園の中にもカフェのスタンドやビュベット(公園内の軽食レストランカフェ)があるので、ちょっと散歩してお茶するのにも便利です。

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エコール・ボタニック〜
気さくでプロフェッショナルなガーデナーたちが魅力

 正面入口からのフォーマルガーデンコーナーの右手に進むと、エコール・ボタニック(植物学の学校)のコーナーがあります。ここでは、栽培種ではない、フランスに生息する自然の草花を植物学の分類別がわかるような形で、植栽・栽培しています。花壇のスタイルはやはりフォーマルがベースです。生きている植物図鑑のようなイメージですが、やはり所々に大きな木々が木陰を作り、植栽された草花が風に揺れるこの場所には、まず庭の魅力が溢れていると思います。ここに長時間滞留する人は、相当植物好きな人である可能性高し。また学校の見学で子どもたちがぞろぞろ植物観察に訪れたりしているのも可愛らしい。 
 ところでパリの植物園の良いところを聞かれたら、私はまず一番にガーデナー、と答えます。こちらのガーデナーたちはみな専属ガーデナーで、何十年もの経験をもつリーダーから新人まで、仕事への情熱溢れる人ばかり。それぞれの担当分野にもとても研究熱心です。そして突然の来園者の質問にも、いつも丁寧に対応してくれます。植物に興味を寄せる人々への教育普及は植物園の使命のひとつという意識が行き届いているということがありますが、何よりもみな植物が大好きで、声をかけたら絶対話も弾みます。園内の植物の世話をしている彼らの姿をぜひ見つけてみてください。

エコールボタニックの続きには、地下通路で繋がった、ロックガーデンもあります。
地上からかなり掘り下げたサンクン・ガーデンにすることで、微気候を作りつつ、岩山や水場が設えられて、フランスの高山植物や山野草などの、どちらかというと厳しい、特殊な自然環境に育つ草花がコレクションされています。フランスの山野草を発見する面白さとともに、そうした植物のための環境作りにより、パリを忘れるような自然景観の中に入れてしまうのもロックガーデン・コーナーの魅力。

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エコロジカル・ガーデン

そしてエコール・ボタニックの続きには、エコロジカル・ガーデンと看板のかかった、柵で囲われた森のような庭があります。園内の一角にイル・ド・フランス地方の自然の森を再現し、本来の生物多様性を取り戻すべく、数十年間その場所を放置したのちに、整備公開されました。と言っても、自然の状態の保護のために中の見学はガイド付きツアーに限られていますが、外からでもなんとなく様子を伺うことはできます。大きく育った雑木の足元で、春先にはクマニンニンクの群生が出現したりと森の中そのものの風景が蘇り、また一部では、昔からの農法で干草刈りやブドウ栽培が行われているほか、生物多様性のためのスパイラルガーデンや水場も作られていて、人と植物、動物、昆虫の共生関係を肌で感じることができるように様々な工夫がなされています。

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まだまだ散策は続く

ここまで主要なガーデンコーナーを回ってきましたが、他にももちろん植物園には欠かせない大きな温室(19世紀のもの)、控えめながらポタジェコーナーやバラ園、牡丹園や、さらには冒頭にも言及した動物園もあります。

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前出の正面入口からアクセスすると、目前には均整のとれた広大なフォーマルガーデンが開けますが、反対側のメトロ駅ジュシュー(Jussieu)に近い出入口からもアクセスできます。こちらは一転、門をくぐると鬱蒼とした針葉樹のシルエットに迎えられます。なだらかな(とはいえ大分高低差のある)丘を登ってみると、生垣のメイズ(迷路)に入り込み、やがて頂上の優美なシルエットの東屋に到着、眺めを楽しむこともできます。ちなみにこの東屋(グロリエット)は、パリでも一番古い金属製のモニュメントだそうで、エッフェル塔より1世紀以上も前からあるのだとか。老朽化が問題になっていましたが、近年修復されて往年の姿を取り戻しています。

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おわりに

随所のモニュメントやデザインに、歴史と格調の高さを感じさせると同時に、自然保護、エコロジーの大切さを教育普及し、市民と親しくつながった存在のパリ植物園。ぜひパリっ子気分で散策してみてほしい庭園のひとつです。季節ごとに印象深い花木を発見できること、間違いなしです。

アクセス情報


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アクセス出入口の住所は以下の4カ所
- 36 rue Geoffroy Saint-Hilaire 75005 Paris
- 18 rue Buffon 75005 Paris
- 57 rue Cuvier 75005 Paris(Jussieu駅側入口)
- Place Valhubert 75005 Paris(正面入口)

おすすめ近隣お茶どころ

カフェ・ド・ラ・グランドモスケ・ドゥ・パリ(Café de la Grande Mosquée de Paris 
39 Rue Geoffroy-Saint-Hilaire, 75005 Paris
オープン 10時〜0時

植物園のすぐ近くに、大きなモスクがあります。
イスラム教の宗教施設というだけでなく、ハマムや本場さながらのミント・ティーがいただけるサロン・ド・テ、レストランなどもあって、多文化主義のパリっ子の日常を味わうことができます。また異国情緒溢れるイスラム風の中庭も素敵なので、時間があればぜひ立ち寄ってみたいところです。




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