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Workaway ネパール農村滞在記 vol.13【ネパールの農業】

13. ネパールの農業 

13-1. 棚田 
13-2. 仕事としての農業 
13-3. 農業知識・技術 

13. ネパールの農業

13-1. 棚田

ネパールで、一番衝撃的だったのは「ゴミの散乱ぶり」だが、次に衝撃的だったのは「丸裸な山肌」だ。

私が訪れたのは「Sindupalchowk」と呼ばれるカトマンズ北東部の限られたエリアだけだが、カトマンズ郊外から山道に入って標高2300mのサイトまで、棚田の一帯には数えるほどしか木が残っておらず、道沿いや山の頂上付近の森林ですら、よく見るとしっかり人の手が入っていて、うっそうと生い茂っているという感じではない。

山肌は一面、見事なまでに棚田で覆われている。
この棚田が作られたのは数百年前だという。石垣ではなく、土を削って作られている。
一枚一枚は狭く、特に奥行は2mほどのものも多く広くても10m程度。
家屋は棚の一枚を使って建てられている。

棚間の移動は、無造作に作られた水路兼通路。
明確になっていない分、そこ以外のあちこちを人が歩くようで、
所々土が崩れ落ちていたりする。

日本の棚田と決定的に異なるのは、畦がしっかりと確保されていないこと。
田植えの時期に改めて整備するのかもしれないが、少なくとも1月の状態としては、明確な畦が存在しているようには見えなかった。

棚田一帯が丸裸である主な理由としては、薪・建材として木が多用されていることがあるのだろう。
人口は増え続けている一方、インフラの近代化が遅れており、農村部では調理にも暖房にも、毎日薪を消費している。

草がない理由としては、バッファロー・ヤギが食べ尽くしているのだとホストは指摘していた。
バッファローは体も大きく、一度に食べる草の量は膨大だ。
かつ、バッファローの糞と草で作った堆肥が一般的に畑に使われており、
堆肥作りのためにも多量の草が刈り取られているようだった。

ただでさえ草の成長が止まる冬場、竹かごいっぱいに草を入れて山から下りてくる女性をよく見かけた。

13-2. 仕事としての農業

統計資料などを見ると、国民の30%以上は農業に従事していると書かれているが、生計を立てられている人は少ないようだ。
国民の30%は貧困層にあたる、とされているので、農業従事者がそのまま全て貧困層、と考えてもあながち間違いではないのだと思う。

Sindupalchowkエリアを見渡した限りでも、ほとんどの人が「農業従事者」のように見えたが、大規模な農園は見当たらなかった。

そもそも交通網が未発達で、車を保有している人が集落に一人もいないような状況で、栽培しても流通できないのが実情だろう。

カトマンズ行のバスには、野菜や穀物が入った大袋を抱えた老人が何人も乗ってきたが、恐らくこれが一般的な流通方法なのかもしれない。

農業従事者で、トラクター所有者は0.2%というデータをどこかで見たが、
私が訪れたエリアでは、トラクターはおろか、小型の耕うん機や草刈り機ですら一度も見かけなかった。

人々は非常に重たく古い農具を使っており、道具の種類も少ない。
プラスチック製の道具もほとんど見かけなかった。

何かを運ぶ道具としては、一輪車、バケツ、トレイなども見かけず、
重さや大きさに関わらず竹かごを背負っているようだった。

13-3. 農業知識・技術

堆肥を用いた栽培が一般的ではあるが、商業的な農業では、農薬使用も一般化してきているとのことだった。

農薬使用に限らず、農業の基本的な知識が普及していないネパール。
農薬の使用量も適当であるがゆえに、高い残留値が出ることも多いそう。

「大きい野菜が売れる」というマーケットに合わせるべく、農家は大きい野菜を作ろうとあれこれ努力する。
農村のバザールでも、種苗店があったが、種は全てF1種、農薬も多種売られていた。

例えば、「果樹は神聖なものだから剪定してはいけない」と信じる人がいまだに多く、剪定しないがゆえに実なりが年々衰えてゆく。

トウ立ちしてスの入った大根を食べることが通例化していたり、
何でもかんでも、状況構わず毎日のように潅水していたり、

そうしたことは、知識さえあればいっきに手間が省けたり収量が増えたりすることなのに。。と思わされることが多々あった。

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