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Workaway ネパール農村滞在記 vol.11【ネパールの暮らし その1】

10. ネパールの暮らし 

10-1. 住まい 
10-2. ネパール人とマネー 
10-3. 物価 
10-4. ネパール人の健康 

10. ネパールの暮らし

10-1. 住まい

民家の中に入る機会は、5軒あった。

いずれも地震の後に建てられた簡素な家。
壁材には、コンパネのような厚み1.5mm程度の板が使われていることが多く、同様の板でベッドや棚や机など、家具のほとんどが作られていた。

屋根のトタンは、震災で崩壊した家のものを再利用している場合が多く、
以前の釘跡の穴があちこち空いていて、雨が降ると雨漏りするのだと言っていた。

換気扇はないが薪で火をおこすので、壁も天井も、屋内の全てがすすけている。

5軒とも、机や椅子はひとつもなく、食事のときはベッドに腰掛けるか、床に座っていた。
いずれの家でも、靴は脱いでも脱がなくても良い、と言われ、そのあたりの不浄の概念はないようだった。

床は、石板または土がむき出しで、その上に絨毯が敷いてあった。
ネパールでは、家の中、または店の中は、皆わりとこざっぱりしている。
竹ぼうきでこまめに掃除をする様子を、どこでもよく見かけた。

いわゆる「囲炉裏」がキッチンであり、ダイニングルームだ。
水場は外にあるので、基本的に調理は囲炉裏の前で、床の上で行う。

囲炉裏の横の壁一面が食器・食材を置く棚になっている。
棚は本棚のような奥行の浅い造りで、皿は表側が見えるようにして(店頭のディスプレイのようなイメージ)並べる。
深皿やコップは重ねずに一つずつ横並びに並べる。

家の中には祭壇があることが多かった。
ネパールでは、宗派に関わらず、オレンジ色の小さい花「マリーゴールド」が神聖な意味合いを持つようだった。
玄関や窓の縁、棚の上、壁と天井の隙間など、「こんなところに??」というような場所に、隠すようにしてマリーゴールドの花が飾られていた。

民家では、家の周りに必ずと言っていいほどマリーゴールドは咲いていた。
カトマンズ市街地の寺院付近では、多くの店先で花の部分のみ、または花輪を販売していたし、路上では小皿に花弁とお香を入れて炊いていたりした。

10-2. ネパール人とマネー

ネパールでは、アラビア数字(1.2.3.4….)よりも、「テバナガリ文字」と呼ばれる、インドの古い言語体系「サンスクリット」から発展した文字が普及している。

(画像は https://twitter.com/sekainomoji_bot より)


紙幣には、右にアラビア数字、左にテバナガリ文字の2種類が記載されているのだが、慣れない者にとってはとても混乱する。
(画像は https://nepal-nandemo.com/ より)


紙幣のサイズは、日本のモノより二回りくらい小さく、紙質もやわらかくてくるっと丸まりやすい。
読めない、開けないの二重苦で、支払いの際にはかなりもたつくことになる(笑)。

今回の2週間の滞在で、紙幣で支払う機会は合計しても20回程度ではあったが、ほとんどの場合、受け取る側の方が「見せてごらん」というのに甘えて、丸まった札の束をまるっと手渡し、相当額を選び取ってもらった。
なんとも無謀に聞こえるが、読めないので仕方ない(笑)。

とはいえ、ネパールの人々は(少なくとも今回接した人は)、だまし取ろうなどという様子は微塵もなく、むしろ一枚づつ確認のために広げて見せてくれたり、覚えるコツを教えてくれたりした(もう忘れたが。。笑)

面白いのが、ネパールではUSドルも割と流通しており、紙幣のサイズや質感が似ていることもあって、混在している状況だ。
当然レートは日々変動しているのだが、なぜか「1ルピー=1ドル」という固定レートとして流通しているのだった。

滞在中に見たネパールの人々の生活ぶりは、日本人の感覚からすると、一生懸命お金を稼ごうとしているようには到底見えないのだが、
意外にも人々と話していると「生活が苦しくて。。」とか「昔やっていた仕事は、金にならなくて。。」「もっと金があったらいいのに。。」など、「カネ」という言葉が会話に混じってくる。

外国人である私を意識してなのかどうかは分からないが、
少なくとも、私の憐れみを買って金をもらおう、という意図がないのは明確だった。
ならばアイデアがほしいのかな、と思い、考え付く限りの色々な提案や情報を披露してみたのだが、それにはさほど関心がない様子だった(笑)。。

聞いた話では、ネパールでは借金を抱えた人が少なくないそう。
特に、日本など海外留学する若者も増えているが、留学までの語学学校の費用、留学先・就職先あっせん業者への支払いなど。

地震で倒壊した家屋の修繕についても、国からの補助はないそうで、
農村で新築で立て直しているのはごくわずかだった。
(ほとんどは、廃材で最低限の仮住まいの状態)

10-3. 物価

アジア諸国の物価が軒並み上昇している、とは散々聞いてはいたが、
ネパールの物価も思っていたより高めで驚いた。

いや、日本の物価が低すぎると言ったほうが正しいのかもしれない。
100円で、高品質でバリエーション豊かな雑貨や食品が手に入る環境に慣れていて、そこを基準にして常に比較している自分に気が付き、ハッとした。
ゆえに、100円相当、またはそれ以上の金額で日本標準よりも品質が悪いと「物価が高い」と感じてしまうのだ。

ルピーと円はおよそ1=1で換算できる。
今回宿泊したホテルは、1600ルピーと1000ルピー。
日本では、この品質だと2500円レベルだろうか。

タメル郊外の庶民的なカフェで、バーガーが250ルピー。
ドリンクが100ルピー。
ヨガは1クラス800ルピー。
タクシー30分の距離で500ルピー。
おおよそ日本の価格の半分より少し安いくらいか。
ただし、サービスの満足度を考えると、う~ん。。と唸ってしまう。
他の国を訪れた経験を考慮しても、やはり日本が安すぎると考えるべきなのだと思う。

「もっと払ってもいいくらいだな」と思えたのは唯一、長距離バス200ルピー。
質はさておき、半日乗車していたこと、存分に楽しめたことを考えると、
1000ルピーくらいは支払いたい気分だった。

10-4. ネパール人の健康

ネパールで、欧米タイプの肥満体形の人を見かけることは皆無だった。

中高年(とくにヒンズー系)は、男女ともにお腹だけが以上に出た体形の人を良く見かけたが、若者は日本人以上にやせ型だ。
生涯ベジタリアンで過ごす人が多いこともあるのだろうし、間食の習慣も、場所も、お金もない人も多いのだろう。
食事の割によく動く、ということもあるのかもしれない。

とはいえ、気になったのが、間食としてではなく、主食として欧米系のジャンクフードが一般化しつつある点だ。

特にインスタントヌードルは、山奥でもゴミを見かけるくらい普及していて、代表的なカジャ(間食)として定着している。


酒を飲まない分、コーラやファンタなど甘い飲料が好きな人も多いようで、
バザールでは人気のようだった。

ネパールでは眼鏡をかけた人をほとんど見なかったのだが、
視力が良いのか、単に眼鏡が普及していない(あっても買えない)のかは不明。

都市部・農村問わず、本当に多かったのが、いつでもどこでも痰を吐く人々だ。
乾季で埃っぽいことも起因しているのだろうが、真後ろで突然「かーぺっ!」と聞こえるのは気分の良いものではない。
農村部には病院は見かけなったが、バザールのあたりには赤十字を見かけることが多かった。
もっとも、今回訪れたエリアは、車やバス1日でカトマンズ市街地まで出れる距離なので、大きな病気の場合は市内に行くようだった。

「風邪」「下痢」などは、ふだんから埃や細菌が多い環境で暮らしているゆえ、耐性が強いように見受けられた。
スプーンを使わず食事をする人もまだ多いのに、食事の前後に手洗いうがいなどする人は一度も見かけなかった。

個人的には、日本人は潔癖すぎるがゆえに、免疫力が低下してきているのでは。。と考えている。
自分は決して潔癖なタイプではないのだが、それでもネパールの標準レベルにはなかなか驚かされた。
ネパールでは、おそらく「病気」よりも「けが」のほうがリスクが高いかもしれない。

農村では、建設現場や農作業も含め、はだしで歩いている人が多く、
「斧で足を切った」とか、高い所から落ちた、というような話をちらほら聞いた。

さらには、重いものを額からヒモで背負ったり、重い道具で手作業することがいまだに一般的なため、背中や肩に慢性的な痛みや、頭痛を抱えている人も多いようだった。

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