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急速冷凍機で食品業界の歩留まり改善!利益体質に変える方法を解説

■食品業界は歩留まりに課題を抱えやすい

歩留まり(ぶどまり)は、原材料に対する仕上がり量です。
製品加工時に原材料を投入する際、最終的に製品として販売できる量をあらかじめ計算して投入しますが、実際にどれくらいの製品量を得られたか比率で表したものが歩留まりです。
つまり、歩留まり=仕上がり量÷原材料という計算式になり、この比率が高ければ高いほど優れた製造工程であるといえます。
たとえば同じ小麦粉の量を使って同じパンを焼いたとき、30個焼けるラインと10個しか焼けないラインとがあった場合、商売上3倍の開きがあることになります。
前者は歩留まりが良い、後者は歩留まりが悪いという評価になり、利益体質に変えるためには後者のラインにテコ入れが必要です。
これは単純な例ですが、食品業界は全般的に歩留まりに課題を抱えやすい特徴があります。
また食品業界はその性質上、業種によっても歩留まりの細かい捉え方が変化する傾向もあるでしょう。
たとえば料理をする厨房では料理全体のうち食用にできる割合を指しますし、精肉加工業であれば原材料のうちの可食部の割合を指すのが一般的です。
自社内のどの工程でどれくらいの歩留まりがあるかは、経営者が常に把握しておくべき情報といえます。

■急速冷凍機で歩留まりが改善する理由とは

食品業での歩留まりを理解するのに、牛肉の精肉業が例に取り上げられることが少なくありません。
精肉になるまでにはたくさんの工程があり、それこそ実際には繁殖から始まるわけですが、ここでは枝肉に加工されてからに注目してみましょう。
枝肉は余分な脂肪や骨などが取り除かれ、13ほどの部位に切り分けられ部分肉になります。
部分肉はさらに細かく加工され、一般家庭ですぐに調理できる状態にまで加工されて店頭販売されます。
各工程に携わる業者がそれぞれ歩留まりを計算するわけですが、一番注意すべきなのが部分肉からの加工工程でしょう。
現在、肉の流通はほとんどが部分肉で、理由は枝肉より部分肉のほうが輸送コストが低減できるためです。
部分肉は真空パックで流通していますが、今後もこのスタイルは増加傾向にあるでしょう。
産地で精肉に加工してしまうと、効率は上がっても肉の可食期間が短くなるため、おそらくその選択肢はありません。
解体から時間が経過していきますので肉の状態は刻一刻と変化していきますし、肉は温度が上がるとすぐに劣化が進むうえ、乾燥すると酸化しやすい特徴があります。
精肉時には細かな骨や腱、筋などを取り除く作業にも時間を要しますし、手を加えれば加えるほどロスが生まれます。
このように精肉加工において歩留まりをよくするためには、何より肉の保管状態が重要です。
温度を安定的に低温保管できる環境があり、必要なときに必要な分だけすぐに取り出せる状況になっていれば、加工時にも販売時にもロスを最小限にできます。
劣化した部分はトリミングせざるを得なくなり、保管状態が不安定だと売り物にできる量がどんどん減ってしまいます。
冷凍焼けなどもってのほかですし、劣化しないとしても風味や食感が失われれば商品としての魅力が失われ、結局売れ残って廃棄ロスになるおそれがあるでしょう。
長期にわたり鮮度を保ち、安定的にレベルの高い状態で冷凍保管できることが歩留まり改善には必要不可欠であり、そのために急速冷凍機が必須設備となっています。
実際に大手スーパーなどの販売店の裏手には業務用急速凍結機が設置されており、売れ行きを見ながら必要最小限に加工することで、大幅な歩留まりアップを実現しているのです。
これはもちろん肉に限ったことではなく、大型魚などにもいえることです。

■歩留まり原価の計算も必要

前述の精肉加工の例のように、食品業界の歩留まりは、仕入れた総原材料のうち可食部位がどれほどあるかという計算式だと理解できます。
またこの可食部は、単に「食べられなくはない部分」という意味ではなく、「食品の商品として成り立つ部分」という意味であることはもちろんです。
1kgのマグロ1尾を1,000円で仕入れ、可食部=商品化できる部分が400gあったとしたら、歩留まりは40%ということになります。
ところが保存状態が悪く、変色や冷凍焼けが起こってしまった部分をトリミングしたら200gになってしまったとすれば、歩留まりは一気に20%にまで落ち込むわけです。
このままでは利益体質化することはできませんし、費用がムダになるわけですから大問題です。
「仕入れ時の原価÷歩留まり率」で歩留まり原価を導き出すことが可能となりますので、こちらも把握しておきましょう。
上記のマグロの例で言えば、歩留まり40%なら1,000÷0.4で歩留まり原価は2,500円となります。
これが20%になってしまうと、当然歩留まり原価は5,000円に跳ね上がります。
仕入れた食材の可食部をいかに多く残せるか、いかに廃棄部分を少なくするかが経営に大きく影響することは一目瞭然です。


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