スプラトゥーン2における編成と役割論理(役割編)

というわけで早速わりとガチめな記事になるのですが、スプラトゥーン2において最も重要な戦略である、編成について語っていこうと思います。

その前に、役割論理という言葉をみなさん聞いたことがあるでしょうか。
もともとはポケモンでの対戦における用語でして、いわゆるポケモンでの対戦をポケモン個体の一体一体の能力で考えるのではなく、パーティ3体(シングルバトルの話ですみませんが)ないしは6体の構築で考え、そのポケモンにどんな役割を持たせるかというものです。
例えば、一体あたりの性能がめちゃくちゃ弱いポケモンでも味方のポケモンとの組み合わせや、特定の敵次第では驚異的な効果をもたらしたりします。そういった「役割」を持たせ、(ときには自ら犠牲になってでも)後続のポケモンに有利に働く環境を作ったり、普段は攻略できない相手でも無理やり突破できるようにしたりする、いわば戦闘教義です。

個人的にはこの役割論理はスプラトゥーンでも当てはまると思っています。もちろんアクションゲームであるので実力次第でひっくり返せるものではあるのですが、編成構築を練っていけば自分たちより上手い相手でも十分に戦える状況を作り出すことができます。逆に言うと、上位のプレイヤーでも編成次第で普通に負けるゲームです。XPというレートを賭けたガチマッチではランダムに味方とマッチングするので、この編成差を覆せる個人の力を持ったプレイヤーが単純に強いわけですが、リーグマッチや大会、対抗戦などでは自分たちで好きに編成を組めるので、その前提の中で、どんな役割の組み合わせが強いのか考察していきます。
一般的にはブキを射程の長さで分類して、短射程の前衛、中射程の中衛、長射程の後衛というポジショニングという役割が編成を考える上でメジャーな考え方になりますが、今回はさらにそれを具体的に細分化した「役割」とした上で、スプラトゥーンのブキ種はどんな役割があるのか、分類化していきたいと思います。

なお、ルールはガチエリアを前提に書いています。

◯前衛

【攻撃(キル)】
ブキ例(スプラシューター系、52ガロン系、スプラマニューバー系、クアッドホッパー系、L3リールガン系など)
正面から敵と対面し、キルを取る役割。単純明快にして、純粋に実力が問われるポジションである。以前はスプラシューター、マニューバー系がこの役割だったが、ギアパワーのメイン性能アップ(いわゆる擬似確定数減)が解禁されてからは、プライムシューターやデュアルスイーパーも役割の中心になってきた。このゲームの花形とも言える役割であり、この役割を担うプレイヤーが常にオールダウンを取り続ければ試合が終わっているということもあり得る。どんな編成でもわりと欠かすことのできない役割であり、敵を正面から迎え撃つため、最初の犠牲になりやすい立ち位置でもある。良くも悪くも均衡が崩れるきっかけになりやすい。主な仕事は撃ち合いを制し、ラインを上げていくことである。

【奇襲】
ブキ例(スプラローラー系、スパッタリー系、ホットブラスター系、ノヴァブラスター系)
隙は多いが、決まれば一撃ないしは圧倒的なキルタイムを持つ短射程の役割。基本戦術は潜伏になり、対面には持ち込まず、相手に反撃の隙を与えずに一撃で倒すことが求められる。というよりは、性能上、一撃で倒せなければかなりの確率で反撃に会う。奇襲役の仕事は、防衛時は一瞬で人数差を作り打開の起点を作ることと、攻撃時は敵勢力がスペシャルウェポンを撃つ前にキルを取り、打開の出鼻を挫くのが最大の役割と言える。メインの射撃の後に硬直のあるブキが多く、継続して撃ち合いをするブキではない。

【陽動(ヘイト)】
ブキ例(パブロ系、シェルター系)
いわゆる、「ヘイトを買う」前衛である。他を圧倒するパブロの機動力や、シェルター系の高い耐久値を生かし、とにかく目立ち、嫌がらせをする役割である。基本戦術はちょっかいを出しつつ生き延びることであり、エリア周辺の要地に存在し続けることが重要であると言える。相手の意識を自分に逸らさせ続けることで、味方にキルを取らせたり、本来遂行すべき役割を見失わせたりするのが仕事と言える。生き延びることが重要と書いたが、要地に存在している時間を増やすためにゾンビ(復活時間短縮)ギアを積むというのも場合によっては有効になり得る。

◯中衛

【整地(塗り)】
ブキ例(わかばシューター系、プロモデラー系、N-ZAP系、シャープマーカー系、スプラスピナー系)
スプラトゥーンでは自軍の塗りがあることで潜伏することができ、移動速度も上昇するため、塗りによるフィールドのドミネーション(支配率)が非常に重要であり、ガチエリアではこれが勝利条件にもなっている。しかし、塗りに特化しているブキは戦闘面(威力、射程)が非力に設定されているパターンが多い。この役割は基本的に戦闘は単独では行わず、味方と合わせて動かなければならないが、スペシャルを撃つタイミングでは前に出る必要があるなど、場面によって押し引きの立ち回りが求められるポジションでもある。基本戦術は攻撃役の味方を動きやすくするため、自陣塗りをしながら、対面が発生している味方をサブやスペシャルで支援していく。また、この役割はガチエリアに勝利する必要条件の要であるため、ブキが非力なことも相まって敵の攻撃役に狙われがちになることから、詰めてきた敵から逃げる、その敵を味方に倒させる、あるいは自衛することも役割の一つである。射程の短いブキが多いが、上記の戦闘面での脆弱性から、必然的に中衛となる。

【援護】
ブキ例(プライムシューター系、デュアルスイーパー系、96ガロン系、H3リールガン系、ラピッドブラスター系、スクリュースロッシャー系、14式竹筒銃系)
中射程を持つ、削り役である。武器によっては塗り役を兼ねることもあるが、整地役はメインの射程が足りないことから基本的にはサブ・スペシャルで戦闘を支援していくのに対し、この役回りは基本的にはメインの性能で前衛のキルをフォローしていく、もしくは前衛を倒しに来た敵を返り討ちにする役割となる。主な仕事は敵の前線を射程で一方的に削り、味方と一緒に倒す。もしくは削りからの事故死(敵に明確にエイムされてない状況で、なにかしらの攻撃で死ぬこと。ボム踏みやスペシャルへの巻き込まれ等)を警戒させてラインを下げさせることで、味方の前衛を敵陣に浸透させることである。敵に倒されそうになっている後衛のカバーも重要な仕事である。

◯後衛

【封殺】
ブキ例(スプラチャージャー系、リッター4k系、ハイドラント系)
後衛でありながら、前衛に求められるキルという役目を果たすポジションで、チャージ時間というリソースを割く代わりに圧倒的なキルタイムと射程で敵の前中衛(そして時には後衛)を無力化していく役割である。ガチエリアはエリアの塗り合いが勝利条件であるため、塗り要員を1人でも欠いた方が不利になる。つまり、一番簡単な勝ち筋はキルをすることであり、その体現者とも言える役割である。基本戦術は有利な高台等に位置取りし、エリア周辺に近づいてくるすべての敵を射程圏内に入れておくことで睨みをきかせ、不用意にエリアに入らせないようにすることである。エリアに入ってきた敵を容赦なく処理することで、さらにその脅威は上がる。実力次第では一方的に敵を一瞬で倒し続け、そのまま試合を終わらせることが理論上は可能であるが、相応の技術が必要なポジションである。生存すること自体が牽制になるので、まずは落とされないように気をつけたい。

【統制(ゲームメイク)】
ブキ例(ジェットスイーパー系、エクスプロッシャー系、バレルスピナー系、クーゲルシュライバー系、Rブラスターエリート系)
分類は難を極めるが、共通するのは「長い射程を持ち、エリア制圧に関するスペシャルを持つ」ブキで、上記の【封殺】に該当しないブキといったところ。封殺のブキは安全圏からキルを取る、もしくはキルをちらつかせて相手を動き辛くするというある意味で単純明解な役割なのに対し、こちらの役割は前衛中衛の状況を見て臨機応変にカバーや塗りをこなし、打開のときには安全圏から強力なスペシャルを確実に入れていく役割である。そのため、基本戦術というものはなく、その場その場に応じて必要なことを射程を生かして行なっていく。特に後衛特有の(前衛が持ってもあまり効果を発揮しない)スペシャルであるハイパープレッサー、それに準ずるマルチミサイル、バブルランチャー 等、この役割のスペシャルが打開の起点を作ることが重要である。マップ全体に関与できる射程とスペシャルで、ゲームの流れを支配する戦略を組み立てる役割であると言える。

さて、ここまでの編成をまとめると次のようになる。

◯前衛
【攻撃】キルで前線を上げる。
【奇襲】一撃で人数差を作る。打開阻止。
【陽動】ヘイトを集め、敵の目的を阻止。
◯中衛
【整地】塗りとスペシャルでサポート。
【援護】敵の体力を一方的に削る。
◯後衛
【封殺】射程とキル速度で敵を寄せ付けない。
【統制】盤面管理と制圧の展開を指揮する。

そして、結論から言うと「これら複数の役割をこなせるブキ」か「一つの役割に突き抜けているブキ」こそが環境ブキの条件であり、編成の考え方の根本になってくる。

次回の記事ではこれら役割を踏まえつつ、具体的にどんな編成が強いのか(というか実際に強かったのか)、考察していきます。

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