スプラトゥーン2がスプラトゥーン1より「爽快感がない」のは運営の狙い通りである。

よく、スプラトゥーンの上位勢がYouTubeやインタビューでこう答えているのを見かけたことはないだろうか?
「スプラトゥーン1よりスプラトゥーン2は爽快感がない」
これについて、筆者は明言できることがある。
それは運営の狙い通りであると。

【爽快感がないのは競技性が増したから】
はい、これで今回の記事は終わりである。
結論を述べてしまったが、その根拠がスペシャルウェポンの一新であると言える。
爽快感を定義するのは一概には難しいが、個人的には大量キルを個人で決めたときではないだろうか、と思う。
スプラトゥーン1のスペシャルはまさにスペシャルウェポンという感じで、個人の発動したスペシャル一本で状況を一気に塗り替えることができた。個別に見ていこう。

【無敵】
◯バリア
◯ダイオウイカ
絶対無敵の存在がまず一つである。後にこの2つのスペシャルウェポンは相手インクによるノックバックが大きくなる調整を受けることになるが、これが発動している間はインクによる攻撃ではたおせなくなる(頑張ればノックバックで場外に落とすことはできるが)。
スプラトゥーン2でもインクアーマーやイカスフィア等、類似のスペシャルはあるが、これらはスペシャル発動中でも攻略法が明確であり、デスのリスクを幾分か背負っている。
分かりやすい無敵状態で、なおかつメインブキでガンガン殴れるバリアや、潜伏強襲からのガバガバ判定ジャンプで二、三枚キルに持っていけるポテンシャルのあるダイオウイカは、一発逆転要素も強く、非常にそれが魅力的だったとも言える。

【理不尽】
◯スーパーショット
◯メガホンレーザー
トンデモナイ弾速とトンデモナイ当たり判定と壁通り抜け乱数一撃死を合わせた神スペ、それがスーパーショットである。
運直から長射程潰し、4枚やり等、爽快感うんぬん言われる理由はやはりこのスペシャルの存在が大きいのではないだろうか。
やはり類似スペシャルとしてはジェットパックが上げられるが、こちらはピンポイントで直撃を当てる難易度の高さ、弾速の遅さ、空を飛ぶリスクから逆に長射程に弱い等、使いこなすのが難しく、容易に一撃で敵を倒せないことに不満がある人が多いのかもしれない。
なお、筆者が一番好きなスペシャルはジェットパックである。難易度の高いスペシャルで理論値出した方がカッコいいだろ。(暴論)
ステージによってはメガホンレーザーも脅威であった。特にモンガラキャンプ場での十字砲火で無惨に死んでいったのは筆者だけではあるまい。スプラ2のハイパープレッサーと違う点は範囲がバカでかいのと、当たればほぼ即死という点であり、爽快感の源と言える。


【分かりやすい打開】
◯スーパーセンサー
固定チームでこのスペシャルを採用していないところはなかったのではないだろうか。
全員にセンサーをつければ、もはや打開は終わったと言ってもいい。このスペシャルをメタるためにマーキングガードというギアが必須だったことも感慨深い。2では人気が無さすぎて爆風軽減と統合されてしまったあたりお察し下さいとしか言いようがないのでは。(つまりそれだけポイントセンサーが弱いということ)
潜伏という概念のあるこのゲームにおいて、無条件で全員にセンサーがつくというこのスペシャルこそまさにぶち壊れスペシャルと読んでしかるべきであり、相手のやりたい行動がすべて読めてしまう。そしてこのスペシャルを持っているのが、あのゾンビダイナモとクイボリッターだったので、メインウェポン理不尽勢がこれを持っていたのも大きい。振っているだけで短射程が消し飛ぶダイナモと、最長射程(2よりもかなり長い)のリッターが詰められてもクイボのインク回復用にこれを使ってくるのは流石に酷いというか、筆者も使ってました。
無双=爽快感なのだ。

【そのほかのスペシャル】
◯ボムラッシュ
◯トルネード
このあたりは性能としては微妙だったが、ボムラは使いやすく、トルネードはエフェクトが派手だったのが良かった(小並感)。

【総括すると】
スプラトゥーン1のスペシャルは単独で撃っても十分な効果を発揮する。

【ではスプラ2は?】
基本、ガチエリアはスペシャルを合わせて撃って打開するものである。
つまり、単独では打開しづらい=そんなにスペシャルなウェポンじゃないよねという話である。
と、いうわけで、それぞれのスペシャルの弱さについて考えてみる。

◯インクアーマー
30ダメージまでしかアーマーが保たない。味方全員に付着することで潜伏がバレる。白兵戦をしなければならないリスクを背負う。

◯イカスフィア
対物攻撃力アップのついたボムですぐに破られる。破られれば硬直があり、反撃できずにほぼ死ぬ。また、無敵になるまでは一瞬時間が必要のため、対面中に吐くのは難しい。爆発するのも時間が多少必要なため、相手を追い込が求められる。

◯ジェットパック
かなり目立つため、狙い撃ちされるリスクを背負う。また、直撃を当てるのと飛行のキャラコンには練度が必要。着地地点がバレるとほぼ死ぬ。

◯ハイパープレッサー
自陣リス地前から撃てばほぼノーリスクで撃てるが、撃ってる間はイカ移動しかできないため、強襲されると弱い。キルするためには見えない敵を捉える必要があるため練度がいる。前線から下がる必要があるのもマイナス点。

◯マルチミサイル
ミサイルで狙いをつけている間はイカ移動しかできないため、少し前線から下がる必要がある。ほぼノーリスクで撃てるが、相手を仕留められるかどうかは状況と乱数による。

◯ボムピッチャー
ボムを消せるスペシャルが増えたため、単純に刺さらない場合がある。またボムピッチャー中は目立つため、長射程に倒されやすい。妨害されるとピッチャーをやめてメインで立ち回る必要も出てくるので、そのまま封殺されやすい。

◯バブルランチャー
ボム持ちじゃないブキでは即割りができない。対物攻撃力アップの付いたボムで無理やり無効化される可能性もある。またバブルランチャー を利用されてボムの即起爆で狩られる可能性もある。バブルは敵が透過するので、突撃されて本体が潰されることも。

◯ナイスダマ
アーマーに無限の体力があるわけではないので、打ち破られる場合もある。特に対物攻撃力アップが乗るのでそういったブキも危険。射出したナイスダマも相手をじわじわと削るので、削りきれない場合もある。

◯ウルトラハンコ
小回りがきかない。またハンコで相手のインクやボムを消せるが、背面だけでなく、上や正面からも倒される場合がある。イカ移動で近づく場合、見破られるとほぼ死ぬ。

結論は、どんなスペシャルでもそれを撃ち破る方法が存在するし、そしてせっかくチャージしたそのスペシャルが100%刺さるわけでもない。これがスプラトゥーン2の爽快感のなさの理由である。

【爽快感のなさは悪か?】
筆者から言わせれば、答えはノーだ。たしかに独力で状況を打破する力は2のスペシャルにはない。
1のスペシャルは絶対無敵と一撃必殺のあるスペシャルを持っていて、かつメインの性能が高く、ついでにゾンビと相性がいいブキが環境トップだったと思うが、これを扱える上位のプレイヤーの理不尽無双により試合がぶち壊されたということは多々ある。まさに鬼に金棒、マイケルジョーダンにナイキのバッシュ、背中にジェットを付けたメッシだ。
例えはアレだが、しかしながら、ジョーダンもメッシも実際は独りで勝ってきたわけではない。彼らを支えるチームメイトがそれぞれの役割をしてきたから勝ってきたのである。
スプラ1のスペシャルは実力うんぬんはメインの撃ち合いに終始し、スペシャルが実力すら塗り返す調整であった。かくいう筆者もスーパーショットの運直に救われたこともあるし、バリアポイズンスピコラで対面勝ち確をやったこともあるし、リッターのセンサーで延々とぶち抜いてたこともある。鬼に金棒とまでは言わないが、一般人に大陸間弾道ミサイルのボタンみたいなものであった。
2のスペシャルの特徴は、一時的に無敵になることやじわじわ削ることはできるが、確実に無敵ではないし、確実にキルが取れるわけではないというものである。これをより確実にするためには、連携をするしかないのだ。
ハイパープレッサーで長射程を下ろし、インクアーマーで不用意なデスを抑え、マルチミサイルで敵を炙り出し、ジェットパックでやっと1キルを取る。人数有利から打開が始まる。こういった流れは2のエリアの王道だ。
幸い、2のスペシャルはステージ空間全体に関与できるものが多い。一つ一つの打点が弱くなったかわりに、合わせればエリア全体を網羅した攻撃ができる。一つ一つが削ることしか出来なくても、合わせればキルに繋がる。
eスポーツはゲームだがスポーツだ。多人数のスポーツであれば当然連携が重要になる。体格の良い選手だけを揃えれば確実に勝てるわけではないのと同様に、スプラトゥーンも環境ブキを揃えれば、もしくは個々の強さで試合に勝てるわけではない。
任天堂は1から2になるに当たって確実にeスポーツを意識した調整をしてきた。その最たるものがスペシャルウェポンであり、爽快感がなくなった理由である。だが、それは決して悪ではない。それもまた、連携を重要視したゲームバランスの結果であり、協力を楽しむことも、また別の爽快感だからである。

【ではガチマッチは?】
そりゃクソゲーになるよね。

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