【ネタ話】コジマくんと日本刀
僕の友達、コジマくんが日本刀を手に入れた話をします。
※大昔に書いたネタ記事の復旧です。表現修正版
ちょうド天然中年男性コジマくんがある日酔っ払いながらこう叫んだ。
「最近日本刀にはまってるんだよ〜〜〜!」
と。
週末の賑わいを見せていた居酒屋はピタリと静まり返った。
またおかしなことを言い出した…
こいつが突拍子もなく狂ったことを言うのはいつものことだ。
あ…そっ…そう…
おれは周囲の刺すような目線をビンビン感じつつ曖昧に相槌をうった。
周囲の刺さる目線にいつものように全く気づかないコジマくんはなおもこう続けた。
「おもちゃの日本刀なんだけどさ〜。それを仕事終わったら家でスラッと抜いたり眺めたりしてると疲れを忘れるんだよー」
と。
何がおもちゃの日本刀かよ。
心の中で毒づくおれであった。
コジマくんのいうおもちゃの日本刀というのが、よくトイザラスとかで売ってるプラスチックのライトセーバーのようなものと思っていたが事実は違った。
コジマくんは携帯をおれに見せながら「これがおれの刀!」と息巻いた。
その画像を見る限りでは、もはや本物の日本刀と何も変わらない、想像以上に本格的な代物だったのである。
あれ?これって鉄?
「そうそう!本物と違うのは刃がついてないだけ!ズッシリ重いんだよ〜!」と我が意を得たりと嬉しそうに解説を始めるコジマくんであった。これなら人間を撲殺するぐらいわけはない。前科一犯のコジマくんが持つにはやや危険なシロモノと思われた。
だが、ふ〜ん、これなら大の大人が多少夢中になるのもわかる話だな。と言いつつも、大して興味もなかったのだがコジマくんは続けてこうまくしたてた。
「最近これを腰にさして夜の街を酒飲んで歩いてるっ!」
はぁっ(゚д゚ )?
え?夜の街を歩いているの?
「うん!」
刀さして?
「おおよ!(どや顏で)」
そこでようやく我に帰ったおれは思わず二度聞きしていた。
「カップルとかいるじゃん?こないだそいつらに刀抜いて肩にこんな感じで置いて
睨みつけてやったんだよ!女は絶句してたよ!男は見るな見るなって言ってた(笑)。追いかけ回してやったら逃げてったよ。いい気味だったな〜(笑)」
次に絶句したのがおれであったのは言うまでもない。
あゝ…こうして殺人者は野に放たれるのだ…まさにその生き証人的地位を独占しているコジマくんである。おれがそんなことをしてはいけないんだよ、と諭すと「いやいやその一回だけ!それ以外はしてない!うん!してない!ゴミ出す時だけ!」そう言って眼球をギョロギョロさせた。
破滅的に嘘の下手くそなコジマくんはちょっと突っついたらあらいざらい自分の犯行をゲロっていった。
似たようなことを繰り返していたのである。
最初は宮本武蔵だった。コジマんは宮本武蔵の古い映画を観て日本刀にハマった。模造刀の存在を知ってすぐに購入。最初は抜いたり鞘に戻したり家の中でアレコレしてるだけで満足だった。しかしそのうち家の中だけでは満足できないようになり、徐々に欲求を大胆にエスカレートさせていったようだ。
「キックアス」の緑タイツかおめえは…
まあ、だいたい青年期の男が煮詰まっている原因なんて女か金か仕事のことである。どれか一個でもうまくいってればそうでもねえが、全部うまくいってない奴は犯罪に走る。コジマくんをみてるとそんな気がする。ゴチャゴチャ言ってないで彼女でも作ってセッ×スでもしてなさい!それで君の悩みの八割は消滅します。跡形もなく。
そう言って聞かせるのも何度目か。コジマくんは決まってこう息巻くのである。
「おれは彼女なんかいらねえ!誰 にも愛されなくてかまわねえ!寂しくなんかねえ!一人で太く短く自由に生きるのよ!」
確かにこの男にそれ以外の生き方はもはや望めまい。だが本当にそれでいいのかと言えばそんな訳はない。
そんなコジマくんだがおれの部屋で数々のスプラッター映画を観た挙句、それにドはまりし「悪の教典」を一人で観に行って今度は「猟銃が欲しい!猟銃が欲しい!」と叫んでいたのであった。暴力映画とかってほんとに犯罪と無関係なんか?と疑問に思った今日この頃である。
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