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♯空を手に入れろ-自由に空が飛べるまで‐

 ーJPAパラグライダーパイロット資格合格までー

 2021年10月4日にJPAパラグライダーパイロット試験に学科実技共に合格いたしました。5月20日に”白馬スカイブルーパラグライダースクール”に入校してから通学日数42日間。フライト本数152本。総フライト時間31時間32分という時間をかけて手にした資格です。

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 この資格があると、基本的にどこでも(都市部上空や航空法で規制されている部分を除く)飛ぶことが出来、ようやく「空を手に入れた」事になります。

 さて、今回は僕がパラグライダースクールに入校してからパイロット資格を取得するまでの技術的、時間的、金銭的な部分についてのお話をさせていただこうと思います。

―パイロットになるまでにかかるお金―

 パイロットになるまでにかかる部分で一番知りたいのは皆さんこの部分ではないでしょうか。ざっくり概算を出しましょう。

・空を飛ぶための機材 35万円
・スクール入校費22000円(3段階あるので×3) 66000円
・教材 8000円くらい
・講習費2000円(42日間分なので×42) 84000円
・無線レンタル代500円(38日くらいなので×38) 19000円
・送迎費200円(152本なので×152) 30400円
・講習性エリア年会費 20000円
・夏季ゴンドラ券 20000円
・別エリアに行った時の諸経費 10000円
・テストの費用と登録費用10000円くらい(3段階あるので×3) 30000円
・バリオメーター 45000円
・交通費28回分(泊りもあるので) 56000円
・1日当たり1500円の食費を42回分 63000円
 ※ありがたい事に泊りは友人に融通していただきました。

 というのが、技術と知識を習得するのにかかる価格です。ちょっと正確な数字がわからない部分も多いので、ざっくり80万円くらいと言った感じですね。パラグライダーの機材費用+45万円と思っていただけるとなんとなくイメージしやすいかもですね!

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 うおー!いっぱい金使ってるな!!と思って書いてましたが、よく考えれば普通自動車免許を取るために自動車学校に通う金額とさほど変わりませんでした。そう考えるととっても打倒なお値段な感じがしますね。

ーパイロットになるまでの時間―

 僕の場合は通学日数42日間。フライト本数152本。総フライト時間31時間32分というのが、パイロットになるまでの時間になるわけですが、その時間を稼ぐには5月に入校してから約4か月半の時間がかかりました。

 というのも、パラグライダーは”風が強すぎると飛べない”、”雨が降っていると飛べない”、”視界がないほど雲や霧がかかっていても飛べない”、”初心者の頃は晴れ過ぎてても飛べない事がある”と、気象条件に恐ろしく左右される乗り物だからです。

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 僕のスクールがある白馬村は夏季に平均して10~13日ほど雨の日があるそうです。そして、そこに雨以外のフライト出来ない条件を5日ほどプラスすると月の半分程度は無理して飛ばないほうが良い日という事になります。

 そんな日は学科や動画講習をして過ごすことも出来ますが、5~7日程度真剣に向き合えば学科と動画講習は終わらせることが出来ます。

 なので基本的には出来る限り飛んで技術を習得することになるのですが、月に半分程度飛べない日があるというのはなかなかタイミングが難しいですね。自分の休みの予定の日の40~50%は飛べない可能性がある、と考えて差し支えないと思います。

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 つまり、月に8回の土日休みがある方は一ヶ月に4回飛べる事になるので、40日程度のフライトを稼ぐのに10カ月かかるという計算ですね

―パイロットになるまでの技術―

 ここはほとんど僕の個人的な感覚に基づく覚え書きのような部分です。

パラグライダーは基本的には落ちません。先生の指導に従って、気象条件を選べばまず危険な状況には陥らない、、、のですが。脳が「本当にそれが事実であるかどうかを理解するまで」に時間がかかります。

 そうですね、だいたいですが

・20本くらい飛ぶとなんとなく周りが見えてきます
・40本くらい飛ぶと落ち着いてハーネスに腰掛けることが出来ます
・60本くらい飛ぶと気流の変化を感じ危険を回避しようと考え始めます
・80本くらい飛ぶと上昇気流に乗ってみようかなと思い始めます
・100本くらい飛ぶとテイクオフとランディングに余裕が出ます

 つまり100本飛ぶくらいまではほぼほぼ精神的な余裕がなく空に居続ける事になります

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 先生たちに技術的な部分を指摘していただく事は講習生として毎回あるのですが、そもそもいっぱいいっぱい過ぎて空の上で体を言われた通りに動かすことが出来ない事がいっぱいあります。だんだんと慣れて行って、100本程度飛ぶとなんとなく頭がクリアになって体が動くようになってきます。

 僕はプロとしてスキーをしているのですが、そんなアドバンテージは吹っ飛びます。地上に足を付けて生きてきた生物がいきなり空を飛ぶので、それくらいの時間は必要なんだと思います。

 だいたいですが、100本飛ぶと総フライト時間は18時間くらいになります。日数でいうと30日です。この時間がテイクオフも、空も、ランディングも集中しながらも楽しく出来るようになるまでの準備段階ですね

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 また、滞空時間とテイクオフから上昇した距離も精神的なストレスに直結します。滞空時間1時間を超えると本当にしんどい。1時間を超えるフライトを講習生がするという事は(山飛びの場合)かなり条件のいいサーマルコンディションであると言えるので、とにかく機体が揺れます。

 それを何とか操作しながら、下手なりに上昇していくと、めっちゃ高い空域に行きます。つまりすぐに降りる事が出来ない場所へ行く事になります。

 それが半端じゃないストレスになります。イメージとしては素潜りで水深7~8mのテトラポット沿いを潜りながら魚突いている時と似たイメージです。わかりづらいですかね。一歩ミスったら取り返しのつかない岩場を登山しているイメージです。わかりづらいですよね。

 とにかく、人間が生存できる場所を遠く離れて存在しているという事がとにかく精神へダメージを与え続けます

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 ただ、結局やらないと慣れないので、サーマルコンディションが良いタイミングは1時間は降りないぞ、と固く心に決めて飛び。少しでも浮きがあるタイミングでは、とにかく1秒でも長く空にいるぞと考えながら飛びます。

 これ、何気なく言ってますが、僕はやりたい事は全力投球と決めているので、恐怖や不安と戦いながら飛んでましたが、「お空をふわふわとびたいなぁー」と思って始めた人達はこの部分どう考えているのでしょう?いや、本当に。

―最後に―

 パラグライダー界隈には、「パイロットになってようやくスタート」という言葉があるそうです。そうですよね。150本飛んでも強いサーマルに入れば怖いし、1時間以上飛ぶと降りた後ぐったりするし、まだ機体も一番安全な機体で飛んでいるわけです。

 これで「うぇーい!俺パイロット!」とテンション上げて調子乗ってたらいつか落ちる気がするので、ホント先輩たちのお言葉は偉大です。絶対無理無茶しないように飛ぼうと思います。

 ただ、しっかりと技術レベルを上げて行けば、この資格が世界中の大空への切符となる事は間違いないので、これからも学ぶ姿勢を大切にしながら、一つ一つヒューマンエラーを潰しながら楽しく空を飛んでいこうと思います。

読んでいただいてありがとうございました。

I can fly.

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