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GⅠスプリンターズステース

序文:あの日見た花の名前を僕達は


唐突だが、貴方にとっての"特別な一頭"とはなんだろうか。
歴史に残る三冠馬か、壮絶な叩き合いを制したGⅠホースか、それとも初めて訪れた競馬場で払戻金をもたらしてくれた1勝クラスの馬か。
それぞれの楽しみ方がある競馬において、人それぞれに思い出に残っている馬がいる。それはどれだけ時を経ても、たとえ競馬を離れたとしても忘れることはない。思い出は思い出として残り続けるだろう。

ひとえに、サラブレッドの競走生活は短い。あっという間に終わりの時を迎えてしまう。怪我や予期せぬ事故で生涯を閉ざす危険性も常に孕んでいる。そんな、儚げに映る一瞬の命の煌めきに、今日も私たちは声援を送り続ける。

懸命に走り抜ける優駿たちに、私たちは自分の思いを乗せる。
時として自分の姿を重ね合わせたりもする。
人々の思いを乗せて走り続けた馬がその歩みを止めた時、そしてこの世を去った時、その思いはいったい何処へ向かうのだろうか。
私たちが声を枯らしてまで応援をした、愛した馬はもういない。
そんな虚しさに苛まれた時、いったいどうすればよいのだろうか。


1993年12月19日、一頭の牝馬が競争生活から身を引いた。
牡馬たちに囲まれながら、その馬は懸命に駆け続けてきた。
最初、その馬に多くの人があまり期待をしていなかった。小さな馬体、細長いだけの脚。いずれ牡馬たちを相手に大仕事をやってのけるなど、誰も思っていなかった。
最期は決して有終の美を飾ったとは言えない幕引きだった。
それでも最後まで凛として咲き誇ったその花に、人々は惜しみのない喝采を送った。

ニシノフラワーは92年スプリンターズSを制覇
同年JRA賞最優秀スプリンター
及び最優秀4歳牝馬を受賞した。

1989年4月19日、ニシノフラワーは北海道鵡川町の西山牧場で産まれた。
西山牧場は実業家の西山正行によって開業された。1955年に会社を設立後、68年に西山興業に社名を改め多角経営に乗り出していた。不動産業やゴルフ場経営、リゾートホテルなど様々な方面に事業を展開。66年に開業した西山牧場は、牧場面積400haと当時においては国内で最大級の敷地を有し、創業から現在に至るまで日本の競馬界へ多数の競走馬、種牡馬、繁殖牝馬を送り出している。
当時西山牧場は大量生産の牧場として知られており、80年代には繁殖牝馬だけで250頭前後にも及ぶ数を所有し、生産競走馬も最盛期には年間約200頭にまで達していた。これは当時生産者としてトップを走っていた社台グループ、メジロ商事に並ぶ一大勢力であった。
大量生産を繰り返すことにより、その中から活躍する馬も現れるだろうという西山の明朗快活な思考、雑な言い方をすれば「下手な鉄砲も数撃てば当たる」だったが、実際この経営理念が功を奏し、西山牧場はオーナーブリーダーとして成果を上げていった。73年にはトップを走っていた社台を抜き、リーディングブリーダーとなった。
当時のスプリンターズS(グレード制導入以前)を勝ったキョウエイグリーンや、同レースを連覇したサクライワイらの活躍により、社台の11年間連続首位の記録を阻止したことは、競馬界の中で大きな話題となった。
その後も活躍馬を輩出した西山牧場は、84年~87年にかけてGⅡ重賞で4勝を挙げたニシノライデンという馬をターフに送り出した。菊花賞3着、有馬記念3着と惜しいレースを何度も繰り返し、87年の天皇賞では強豪ミホシンザンと並んでゴールイン。写真判定に持ち込まれる程の僅差だったが惜しくも2着。直後にアサヒエンペラーへの進路妨害があったと審議に諮られ、失格処分となってしまった。次走の宝塚記念は1人気に支持されるも、同期のスズパレードに敗れ3着。その後に故障を発生し、結局GⅠ未勝利のまま現役を退いた。
一時とはいえ社台グループを退け、重賞馬を多く抱えていた西山牧場だったが、GⅠタイトルまではなかなか手が届かなかった。大量生産、大量出走を繰り返す経営に次第に無理が生じ始めていた。
牧場はオーナーブリーダーゆえの問題を抱えていた。それは繁殖牝馬についてである。当時の西山牧場における繁殖牝馬のほとんどに「○○シロー」という名前が付けられていた。「シロー」は西山正行が馬主として有していた冠名、つまり自らの牧場で産まれた生産馬をそのまま繁殖牝馬として里帰りさせていたわけだ。また一方で西山は外国から輸入する牡馬を妄信し、購入しては自家の繁殖牝馬へ繰り返し種付けを行っていた。
これにより抱える競走馬の血統構成はどんどんと似かよったものになっていった。勝てているうちはそれでもよかったが、先のニシノライデンのようにGⅠ勝利まであと一歩、と足踏みをしている間に、徐々に牧場全体の成績が悪化してくる。そうして稼げなくなると大きな資金を投入できなくなってしまう。西山牧場は88年プレジデントシチーのGⅢ勝利を最後に、重賞制覇から遠ざかっていった。
この頃の西山牧場には、競走馬育成や管理に対する種々のファクターが欠けていたようだった。そんな折、西山正行の息子である茂行が、牧場を再起させようと様々な改善策に着手し始める。牧場の土を入れ替えることからはじめ、獣医などの育成スタッフを増強し、産駒の成績を正しくデータ化、徹底的に管理するようになった。また冬場にも運動ができるようにと室内運動型のコースが作られ、昼夜放牧に取り組んだ。こういった施策は大手のファームでは既に取り入れられていたものだったが、大量生産へと資金投入を続けていた西山牧場にとっては新しい試みだった。こうして西山牧場は従来の経営方針から、少数精鋭で馬質を重んじるやり方へ徐々に方針転換を図っていった。

茂行には、どうしても忘れることのできない一頭の馬がいた。82年に生まれたニシノバルカンという馬だった。幼駒の頃から洗練された馬体を持ち、デビュー当時から完成度の高い走りで2連勝を飾っていた。茂行自身「この馬ならダービーを勝てる」と信じて疑っていなかった。周囲の評価も非常に高く、3戦目のGⅠ阪神3歳S(現阪神JF)では1人気に推され出走。しかしこのレース中に骨折を発症し競争中止。その直後に予後不良となってしまった。
レース中のトラブルは競走馬にとっての常ではあるが、この非業の死は茂行にとって堪え難いものだった。そしてこの時から牧場のやり方に疑問を感じ始めた。ただ競走馬を生産する、それだけでいいのだろうか?生産者そして馬主として、最後まで走り抜いてくれる、真の意味で強い馬を作らなければならない。そんな思いが芽生えていった。

経営改革の一環として、牧場は新たな繁殖牝馬の輸入へ踏み切った。ケンタッキーの繁殖牝馬セールで売りに出された馬を4頭合わせて数億円、という思い切った買い物をしたのだ。その内の1頭にデュプリシトという馬がいた。デュプリシトは競走馬にならないまま繁殖に回った牝馬だったが、その父はダンジク、かの名馬ノーザンダンサーの血筋だった。デュプリシトはこの時すでに胎内に仔を宿しており、その相手はマジェスティックライト。ネイティブダンサー系の米国馬で、現役時代にはマンノウォーSなど米競馬で11勝を挙げた名中距離馬である。産駒にも活躍馬が多く、デュプリシトは今までにない大きな期待を背負い、西山牧場へとやってきた。

この時デュプリシトが宿していた仔がニシノフラワーである。

こうして西山牧場で誕生したニシノフラワーだったが、その姿を見た西山親子は落胆の色を隠すことが出来なかった。生まれ落ちた瞬間、誰の目にもその馬体は小さく映って見えたからだ。胴体の幅が狭く、脚だけがやけに長い。逆にこれといった長所が見当たらない。ごく普通の黒鹿毛の仔馬だった。とても競走馬として大成するようには見えなかった、少なくともこの時点では。
ニシノフラワーは特に病気もケガをすることもなく育っていったが、競走馬としての素質は平凡なままだった。だがデビューへ向けては管理厩舎に入厩する必要がある。当時3人の調教師が牧場を訪れたが、ニシノフラワーに対する評価は冷ややかなものだった。細身の馬体が敬遠され、引き取ってもらうことが出来なかった。4人目にフラワーを検分したのが栗東の調教師、松田正弘だった。松田もまた他の者同様に彼女へ懐疑的な視線を向けたが、同時に直感めいたものを感じていた。母父がダンジクという良血であり、名馬を連想させるような薄い皮膚の張り。ひょっとすると化ける可能性があるのかも…。そんな淡い期待を抱かれ引き取られたニシノフラワーは、松田厩舎からデビューを目指すこととなった。
調教が始まるとニシノフラワーは瞬く間に成長を遂げていった。単純に馬体が大きく成長し、高さと幅が出てきた。調教でもいい動きを見せるようになってきた。一見必死に走っているように見えなくとも、併せ馬では何度も僚馬に先着し、好タイムを連発するようになっていた。

91年夏、いよいよデビューが近づいてくる。フラワーの鞍上を託されたのは佐藤正雄という騎手だった。この時すでに41歳、毎年リーディング下位から中位が定位置で、GⅠ勝利の経験もない男だった。
デビュー戦は札幌のダート1000m、この時のフラワーはソエに悩まされていて、満足に調教がいかない状態だった。まだ仕上がり途中の段階でのデビューとあり、まずはダートの短距離を使おうという判断を下した。競馬ファンは直前になってもほとんど期待、というより注目をしていなかったようだ。松田厩舎での急速な成長があったとはいえ、馬体は420キロ程度。となりのゲートに入ったフジノルパンという馬は480㌔を超す馬体、ニシノフワラーの小柄さが際立って見えた。加えて厩舎は平地ではいまだ重賞勝ちのない松田厩舎。鞍上佐藤もキャリアに実績が追い付いていない、うだつの上がらないイメージのジョッキーだった。

だがここから、
ニシノフラワーは大輪の花を咲かせることとなる。

デビュー戦は後続に4馬身差を突き反しての圧勝。ソエも解消され、次走でGⅢ札幌3歳Sを選択すると4人気の下馬評を覆し勝利、いとも簡単に重賞初制覇を成し遂げたのだ。
これは西山牧場にとって88年のプレジデントシチー以来3年ぶりの重賞勝利。また松田厩舎は平場では初の、鞍上の佐藤にとっても22年目で初めての重賞制覇だった。
なれない勝利騎手インタビューにそわそわしながら受け答えをする佐藤だったが、ニシノフラワーの強さを問われたときだけ、しっかりとした口調でこう語った。
「騎手の思い通りに動いてくれる従順な仔です」
3戦目のGⅡデイリー杯は騎乗停止の佐藤に代わり、敏腕の田原成貴が代打騎乗できっちりと結果を残した。3馬身半差の圧勝劇に、この馬こそクラシック戴冠候補だと、世間が認知し始めることになった。そして次走、GⅠレース阪神3歳牝馬Sへ圧倒的な1番人気として出走する。このレースは前年まで「阪神3歳馬S」の名称で、牡馬牝馬の混合重賞として、3歳馬の関西王者を決める位置づけとして行われていた。

レースを直前に控え、西山茂行はかつてこのレースを走り予後不良となったニシノバルカンのことを思い出していた。
ここまで下馬評を覆しながら勝ち進んできた。ここを制すれば牝馬クラシックも視野に入る。だが、もうあんな思いは二度としたくない。まずは無事に走り抜いて欲しい。期待と不安が入り混じる、複雑な胸中だった。
レースが始まるとそんな心配をよそに、ニシノフラワーはここでも力強い走りを見せつける。このレースはサンエイサンキュー、シンコウラブリイら同世代のライバルたちが揃った一戦となったが、ニシノフラワーは自慢の末脚で一蹴。デビュー4連勝でGⅠ制覇を達成したのだった。

翌年クラシック戦線が幕を上げると、牝馬の中心にいたのは紛れもなくニシノフラワーだった。始動戦は桜花賞の前哨戦である3月チューリップ賞。ここでニシノフラワーは2番人気オグリホワイトの単勝13.1倍のオッズを突き放し、単勝1.2倍の圧倒的1人気に推されていた。デビューから無傷の4連勝で重賞を3勝、誰の目に見ても小柄な牝馬だったが、その素質は誰しもが認めるところとなっていた。
しかし圧倒的人気を誇り、他馬から追われる存在となったニシノフラワーはここで思いもよらぬ苦汁を味わうこととなる。このレースでは内に進路を確保したが外側から他馬に寄られ、あえなく後退。最後の直線に入っても進路を塞がれ、前に抜け出すことが出来なかった。先に抜け出したアドラーブルを捉えることが出来ず結果は3着、デビュー5戦目にして初の敗戦となった。
ここで敗けてしまったことによって大きな責任を感じる者がいた。他でもない鞍上の佐藤正雄だった。このまま桜花賞に出るのは荷が重い。自分を責めた佐藤は、調教師の松田に自ら乗り替りを志願した。
陣営はこの時点での佐藤の降板を正式には決めていなかったが、佐藤の意志は固かった。「この馬の素質はどの馬にも引けを取らない。私よりもふさわしい騎手がいます。」
そうして佐藤に指名され、一人の騎手に声がかかった。それが河内洋である。
河内は佐藤の7つ下の後輩で、79年アグネスレディーによる桜花賞制覇の他、86年メジロラモーヌによる史上初の「牝馬三冠」を達成。牝馬を悉く勝利に導くことから「牝馬の河内」と呼ばれていた。80年には全国リーディングジョッキーを獲得。その後は4歳下の田原成貴と二人で騎手界を牽引していた。87年には河内が所属する武田作十郎厩舎に、若き日の武豊が入門。以来、武の兄弟子として後進の指導にも係っていた。

とある晩、河内のもとへ一本の電話がかかってきた。相手は佐藤正雄本人からだった。呼び出され松田厩舎へ向かったが、河内にはどんな話になるのかなんとなく想像がついていた。伝聞で佐藤があの馬を降りようとしていることを知っていたからだ。案の定、開口一番に佐藤は河内へニシノフラワーのの騎乗を打診してきた。自分の代わりに乗って欲しいと、口数少なく佐藤は言った。
どうして自分を指名するのか、河内は佐藤に聞き返したが、すぐに底意地の悪い質問だと思って後悔した。佐藤と河内、騎手としての実績を見ればどちらが優秀か誰の目にも明らかだったからだ。
佐藤は決して「きみの方が上手いから」とは言わなかった。佐藤の騎手としてのプライドがそうさせていたのかもしれない。終始寡黙に、それでいてはっきりと河内へ想いを伝えた。

「この仔は、こんなところで立ち止まる馬じゃないと思う」

次走の桜花賞、ニシノフラワーは1人気に推されていた。大方の見解では前走の敗戦は致し方なしという論調の中、鞍上がトップ騎手の河内に替わったのだ。陣営の本気度が伝わる人選に、ファンは色めき立った。
この時誰よりもプレッシャーを感じていたのが鞍上の河内だっただろう。乗り替わりと一言にいっても、ニシノフラワーはいまやクラシック制覇を期待されたトップホース。ましてや前走敗けた下位騎手からの交代となれば、それは勝利を義務付けられたも同然である。
しかし百戦錬磨「牝馬の河内」はこの状況に臆することなく、威風堂々とニシノフラワーを乗りこなした。
そこに“絶対”が存在しない勝負の世界、ましてや馬という生物の上に乗り、律しなければならない競技である。何が起こるかなどわかりはしない。それでも勝利を求められたその男は、穏やかな人柄とは裏腹に誰よりも勝負強かった。なにより先輩である佐藤から預かった手綱、そこに込められた自分への信頼とこの馬をどうしても勝たせたいという気持ちが、河内を静かに燃え上がらせた。
結果、ニシノフラワーは完勝を収めた。早めに抜け出した河内の選択が光ったレース運びだった。直線では徹底マークをしてきたアドラーブルを3馬身半差突き放し、前走の意趣返しを果たした。
この桜花賞戴冠により河内は同レース4勝目を挙げ、松田と西山親子にとっては初のクラシック制覇となった。ニシノフラワーは前年に最優秀3歳牝馬を獲得していたが、この馬の桜花賞優勝は、75年テスコガビー、76年テイタニヤ、86年メジロラモーヌに次いで史上4頭目の快挙だった。

ニシノフラワーは次走クラシック2戦目、オークスへと駒を進めた。
桜花賞を制したことによりここも1人気の支持。テスコカビーら先にあげた3頭もオークスを連勝しており、ニシノフラワーも当然の如く勝利を期待された。しかし桜花賞後のフラワーは前年夏からの酷使により疲労が溜まり、思うような調教が出来なくなっていた。
馬体重は420を下回るギリギリの状態、陣営側は無理に負荷をかけず馬体の維持と復調に努めていた。
結果は7着敗退。いつものように素早く好位を奪い2番手追走のポジションを確保したが、最後の直線で失速。誰が見ても本来の走りではなく、桜花賞で先着したアドラーブルに樫の女王の座を奪われた。
夏の休養を挟み秋の始動戦に選んだのは、エリザベス女王杯の前哨戦ローズS。牝馬三冠最終戦、エリザベス女王杯を見据えての選択だった。調教師松田はオークスの走りを見てから2400mの距離適性へ懐疑的になっており、古馬GⅠであるマイルCSへの参戦も検討されたが、陣営が最終的に選んだのはローズSからの女王杯。あくまでもクラシックにこだわっていた。ローズSはトライアル競争ということもあり1番人気に推されたが、ここも本調子とはいかず伏兵エルカーサリバーらに交わされ4着に沈んだ。
次走、クラシック戦の最終目標だったエリザベス女王杯に出走。連敗で人気が陰り、6番人気になっていた。ファンの目から見ても、2400mは長いと思われていたのだろう。ここでニシノフラワーは不調を脱し、本来の走りを取り戻したかのように見えた。スローペースに河内が上手く折り合いをつけ好位から追走、直線へと向いた。前走とは異なる差し脚を伸ばしたが、後方から追い込んできた17番人気のタケノベルベッドに交わされた。またハナを奪って逃げていたメジロカンムリも捉えることが出来ず、3着敗戦となった。

こうしてニシノフラワーのクラシック挑戦は終了、終わってみれば一冠の名誉を授かったのみ。生まれた時の期待値に比べれば大健闘とも言えたが、反面もっとやれたのではないかという悔しさもあった。直前の3連敗には少なからず批判もあった。距離適性を考慮せず三冠路線にこだわった陣営の判断ミスだと責められた。また佐藤から手綱を受け継いだ、河内の不甲斐の無い騎乗ぶりにも批判は集まった。河内自身、馬が万全と言えなかったとはいえ、自身の騎乗に納得がいってなかった。このまま終わるわけにはいかない。
ここからは世代限定戦ではなく、古馬たちとの戦いが待っている。どのような道筋を辿るか、その可能性は無限大。ニシノフラワーと彼女を囲む者たちは大きな岐路に立たされていた。

最終的な判断は2択となった。GⅢ阪神牝馬SかGⅠスプリンターズS、前者はGⅢの格付けでいうまでもなくレースの質が下がる。勝ち抜ける可能性が高く、安寧の道といえた。
後者は90年に格上げされたばかりだが、まごうことなきGⅠ競争。4歳馬のニシノフラワーにとって茨の道となることは明白だった。
彼女と共に道を歩む者たちは皆、茨の道を進むことを望んだ。
西山親子は早熟と囁かれはじめていたニシノフラワーへ、もう一度輝きを取り戻させたかった。松田は距離適性において、スプリント路線なら古馬たちと勝負ができるはずだと確信していた。河内は鞍上を託してくれた者たちの想いに報いるため、再びGⅠの栄誉を手に入れたかった。

そしてその気持ちを汲み取った小柄な牝馬は、
ここで咲き誇ってみせた。

1992年12月20日、ニシノフワラーはスプリンターズSへ出走。自らの才能が本物であることを再び示すため、GⅠレースへと挑んできた。
この年のスプリンターズSは俊足馬が勢揃いしていた。春秋マイルGⅠ馬のヤマニンゼファーとダイタクヘリオス。ここまで5戦全勝、世代短距離の代表格サクラバクシンオー。桜花賞を制したニシノフラワーといえど、あまりにもハードルの高すぎるレースのように思えた。
レース直前のオッズで、ニシノフラワーは2番人気に支持されていた。直近では勝てないレースが続いていたが、ここにきて待望の距離短縮。ファンも関係者もフラワーが能力全開で走る姿を期待しており、1人気のダイタクヘリオスに次ぐ評価を与えていた。

ゲートが開くと同時に勢いよく飛び出したバクシンオーにユウキトップラン、トモエリージェントが続き、前半3Fは32秒8というハイペースになった。久々のスプリントのペースに少々戸惑ったが、フラワーも河内も慌てず後方から組み立てに入った。
前に行った馬たちは直線でいずれバテるだろう、河内は虎視眈々と仕掛ける機を窺っていた。
3角から4角にかけて徐々に外に持ち出す。視界がクリアに広がる瞬間があった。仕掛けるなら今しかない、前を塞ぐ者はいなかった。前半3Fで溜めた脚を、いやそうじゃない。今までの敗戦で味わった溜まりに溜まった鬱憤を、一気に弾けさせる時が来たと河内は猛然と鞭を入れた。
ハイペースを演出していた3頭が早々に脱落していく、直線中ほどではダイタク、ヤマニン、ナルシスノワールの3頭が懸命に争っていた。
遅い。あまりにも遅すぎる。河内は馬上で辺りの光景がスローモーションで流れるように感じていた。ふと、佐藤に託された時の言葉が浮かんだ。
「こんなところで立ち止まる馬じゃない」確かそんなことを言っていた。
ダイタクヘリオス、ヤマニンゼファー、牡馬たちがゆっくりと後ろに流れていった。
つんざくような歓声が耳に響く。彼女を呼ぶ声も確かに聞こえた。
そういえば、いつからかこいつには通り名がついていたな。
ファンは皆一様に彼女をこう呼んだ。

ニシノフラワーは「天才少女」だと。

ヤマニンゼファー鞍上の田中勝春は、勝利を掴んだと思ったかもしれない。
見ている観衆さえそう思った。ただその刹那、後方から疾風の如くやってきた黒い影に全てを攫われた。
短距離への転身でみせた鮮やかな変り身。かつて「天才少女」と呼ばれていた時の輝きを取り戻し、ニシノフラワーは大輪の花をそこに咲かせた。

この勝利を以ってニシノフラワーはGⅠ3勝目を挙げ、その年の最優4秀歳牝馬と最優秀スプリンターの栄誉を獲得、最高の形で4歳を締めくくった。
翌年、2月のマイラーズカップでは期待に応え勝利を飾ったが、結果としてそれがフラワーにとって最後の勝ち星となった。次走、安田記念10着。宝塚記念8着。GⅠ競争で結果を残すことが出来なくなっていった。秋のGⅡスワンSで3着、咲き誇っていた花から1枚、また1枚と少しずつ花弁が落ち始めていた。
12月、前年に鮮やかな勝利を飾ったレースから1年、ニシノフラワーはスプリンターズSの連覇を掲げ、その場に挑んできた。前走マイルCSで13着に敗れてはいたが、3番人気。昨年輝きを放った舞台に、多くの人たちがニシノフラワーへその思いを乗せようとしていた。
ニシノフラワーは中団を追走して直線でスパートをかける。先行するサクラバクシンオーとヤマニンゼファーを追いかけたが、昨年先着したはずの2頭に届くことはなかった。ヤマニン、バクシンオーに大きく離されての3着だった。連覇の夢が潰えたのを最後に、ニシノフラワーは競走生活を退いた。

3年余りの短い激闘の歴史。
それは勝利を渇望する先にある、
愛馬に健やかでいてもらいたいという馬主の想い。
この馬を勝たせてあげたい、
絶対に勝たなければならないという騎手同士の信頼。
そして最後までその走りを、
雄姿を見届けたいと思うファンの願い。
携わった全ての人々の愛情を一心に受けて、可憐に、そして鮮やかに咲いた、一輪の花の刹那の歴史だった。


こんな話を度々見聞きしたことがある。
「人間は2度死ぬ」という話だ。一度目は物理的に死んだとき、二度目はその存在が忘れられたとき。
小説、映画、漫画やエッセイ。この話はさまざまな形で引喩されており、どこかで聞いたという方も多いのではないだろうか。
この原典は、放送作家で「言葉の天才」と言われた永六輔氏の残したものであり、その著書にはこう書いてある。

僕がその人を忘れない限り、その人は存在して消えることはない。僕たちは死者と共に生き、自分が死ねば誰かの心に記憶として宿る。でも、人は歳月の中で、亡くなった人のことを忘れがちです。だから、ときどき誰かと故人の思い出話をしたり、街角で出会ったりしましょうよ。それも供養のひとつだという気がします。

人の死は一度だけではありません。最初の死は、医学的に死亡診断書が書かれたとき。でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。最期の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。僕はそう思っています。

『永六輔のお話供養』

突拍子もない話かもしれないが、これを競走馬、あるいは身近に暮らすパートナーでもいい。人間以外の命に当てはめてみることは、間違っているだろうか。
その短い生涯を終えたことにより、行き場のなくなってしまった私たちの想いの行き先がまだあるのだとしたら、少しは溜飲の下がる気持ちになれるような気がするのだ。
様々な人の思いを乗せて、最後までターフに凛として咲き誇った馬。ニシノフラワーの生涯を振り返った時、そんな思いが去来した。

歴史に残る三冠馬も、叩き合いを制したGⅠホースも、初めての払戻金をくれたあの馬も、もう二度と会うことはできない。それでも誰かの心の中で、記憶の中で生きている限り、永遠に走り続けていくことが出来る。
だから時折思い返しては、その名前を声に出して語り合いたい。

競馬を愛する全ての人へ。

あの日見た花の名前を

僕たちは、きっと忘れない。

「GⅠスプリンターズステークス、まもなく出走です」

引退後は繁殖牝馬として西山牧場へと帰ってきた。
数々の産駒を産んだが、その中には同牧場クラシック2冠の
セイウンスカイとの仔も生まれた。2011年に繁殖を引退。
2020年老衰のため死去。可憐に、力強く咲いた一凛の花…R.I.P

はじめに ~レース展望かく語りき~

お疲れ様です。いやー、先週のオールカマー如何でしたでしょうか?
レーベンスティールの頭は読めていた方多かったと思いますが、アウスヴァールとリカンカブールまで買えた方はそんなにいないのではないでしょうか?
いくら前残り傾向とはいえ、穴馬2頭のの激走とは、なかなか劇的な幕切れだったと思います。中山マイスターの田辺騎手、津村騎手はお見事でした。当noteとしてはほとんど良いとこがなく、「ステラとソンキーが飛ぶよ」といったことくらいかな、お役に立てなかったので大変申し訳なく思います。

さて今週はいよいよ秋のGⅠ初戦・スプリンターズSが開戦ということで、冒頭コラムもいつも以上に長ったらしく、西山牧場初のGⅠ馬であるニシノフラワーの物語を書いてみました。
以前、札幌記念でセイウンスカイの話を書いた際には、オーナーの西山茂行社長がSNSで取り上げてくださり、バズることができました。その節は本当にありがとうございました。
今回はどうでしょう。別に忖度しているつもりもないので、取り上げて欲しいとか、褒めて欲しいとかは思いません。ただもし万が一お読みになった場合は、どうかお怒りにならず広い心で許容していただけるとありがたいです。
毎度のことですが、本当に好き勝手に書いてますので(;^ω^)タハハ


いわゆる「電撃6ハロン戦」てやつです

そんなわけで、ここからはスプリンターズS攻略を真面目に勤勉に、まっとうにお届けしたいと思います。秋になったけど全然勝てへんやないかーい、とお嘆きのそこのアナタ、ぜひ当noteをご参照して的中させてください。

秋GⅠ初戦の舞台は中山芝1200m。外回りコースの2コーナーからスタートします。直後の下り坂でスピードに乗り、差し掛かる外回りカーブはそのスピードを殺さないため、ハイペース気味になると前に行った馬が急坂で失速、差し追込みが決まります。逆にペースが若干でも緩んだ場合は、前いに行った馬が粘り込みます。急坂を攻略するためのパワーも要求されますね。今開催の中山は圧倒的な前残り傾向。逃げ・先行有利と考えて良いと思いますが、先行勢が殺到しペースが上がるようだと差し・追い込み勢が台頭してくるでしょう。どのような展開・ペースになるのか、まずはそこからじっくりと考えましょう。

昨年のレースを振り返る

前半3Fは33秒3。GⅠスプリント戦と考えれば決して早くはないペースで、テンの速いジャスパークローネが先手を奪いました。勝ったママコチャは3番手を進んでいましたが勝負所での手応えが抜群で、川田将雅騎手に導かれ早めに先頭へと躍り出ました。先頭に立ったところで内を突いたマッドクールとの競り合いになりましたが、激しい叩き合いを制しママコチャがハナ差で初のGⅠを制しました。陣営の短距離戦への路線変更という決断が実を結んだ瞬間でした。2着のマッドクールはその後、春の短距離GⅠ・高松宮記念を制しました。

ポイントになったのは初角3番手の好位を獲ったママコチャのポジショニング。過去3年において勝った馬は全てこの「3番手」のポジションを奪ってから直線に侵入しています。年々高速仕様になり、前残り傾向が強くなった中山単距離で観られる特色です。今年も先行馬が殺到しそうですが、この"ゴールデンポジション"(命名:森タイツ)を奪うことのできた馬が最も栄冠に近づくのではないでしょうか?


お馴染になった注目の"TOPIC 5 "

ここからは短距離王奪取へ向けた、注目しておきたい重要な5項目をご紹介していきます。過去10年のデータをもとに分析しました。
先週、先々週と割と重要なことが書いてあったと思います。今週も要チェックです!

堅めか波乱か両極端な過去十データ

過去10年における馬連配当のデータに目を向けると、馬連10倍台までが4回、30倍以上ついた年が6回、20倍台の年が0回でした。堅実決着か波乱か両極端なようです。過去5年に限ると22年がジャンダルム(8人気)とウインマーベル(7人気)で馬連153倍の高配当を生んでいますが、傾向的には人気馬と人気薄による、中穴決着になることが多いですね。

前残り傾向強く、先行馬の台頭が多い

過去十、逃げ馬の戦績は【0-2-1-7】で勝ち鞍なし。2連対したのは3番人気以内。14年~20年までは差し3勝、追込み4勝と後続勢に軍配が上がっていましたが、21年からの直近3年では全て先行馬が勝利しています。近年の高速仕様になってきている中山の馬場が、この傾向を生んでいるに他ならないでしょう。スムースに先行好位を取れる馬、もとい枠番に注目したいです。
今年は特に高速化が顕著です。後ろからの競馬では届かない、ということはしつこく主張しておきます。

実績は口ほどに物を言う

過去十の連対馬20頭のうち19頭に、芝1400m以下での重賞勝ち経験があり、残る1頭は高松宮記念2着の実績がありました。22年シュネルマイスターが不発に終わったように、重賞馬でもマイル勝ちの馬は当てにできません。1400m以下、出来れば1200m重賞での実績がある馬を選びたいですね。また短距離馬は仕上がりの好不調の波が敏感かつ大きいです。直近で好走している馬、もしくは今年に入ってスプリント重賞で勝利している馬など、好調の波に乗れているかどうかを選ぶことがポイントです。

オーシャンSとスプリンターズSの奇妙な関係

過去5年の勝ち馬3頭が同一年のオーシャンステークスで連対をしていました。
📝22年ジャンダルム      (オーシャンS1着)
📝20年ダノンスマッシュ    (オーシャンS2着)
📝19年モズスーパーフレア(オーシャンS2着)

今年のオーシャンS勝ちはトウシンマカオ。既に重賞3勝と実績は十分な上、前哨戦のセントウルSを勝利しています。このローテは19年2着のダノンスマッシュと酷似していますし、セントウルSからの連勝は18年ファインニードルの例がありますので、覇権候補の1頭と言えそうです。
またキーンランドC組からの好走例もオーシャンS、セントウルSに次いで多く、今年の勝ち馬は想定1人気のサトノレーヴでした。サトノレーヴは今年の春雷Sを勝っていますが、昨年そのレースを連対したマッドクールはCBC賞9着を経て本番で勝利しています。春雷S⇒函館SS⇒キーンランドCと王道を連勝で飾ったサトノレーヴが、不動の1人気で文句なしでしょう。

大穴からの激走条件とは…?

過去十データの中で2桁人気から連対した激走馬を掘り下げてみます。

📝14年スノードラゴン13番人気1着 
            (高松宮記念2着)
📝15年サクラゴスペル11番人気2着
            (京王杯SC1着)
📝18年ラブカンプー 11番人気2着 
            (セントウルS2着)

3頭すべてが過去3走以内にGⅡ以上の重賞で連対を果たした馬でした。今回は10人気のまま行けば、京王杯SCを勝ったウインマーベルが該当します。一昨年連対馬で実績十分、妙味ありですね。
また3走以内にGⅢで連対した馬に広げると候補が一気に増えます。今回はハイレベルな一戦ということで、下位人気でも各馬に上位進出の目が残されている気がします。上位人気が拮抗し過ぎて選びきれない場合は、思い切って穴馬を軸にするのも面白いかもしれませんね。


時間のない方へ要点まとめ画像のコーナー


森タイツ式推奨馬の解説

狂乱の芦毛、再び

サンデーレーシングから1頭、春のスプリントGⅠ高松宮記念を制したマッドクールが春秋制覇をかけて出走します。22年1月の中京競馬場でデビュー。2戦目でダートを経験した後、芝に戻った3戦目の未勝利から破竹の4連勝とその才能を一気に開花させました。その後昨年のシルクロードSで3着、次走のL競争・春雷Sで勝利すると再び重賞戦線へ名乗りを上げてきました。人気を背負った夏のCBC賞で9着に敗戦。期待を大きく裏切り、買い時の分からない、気難しい馬という印象を与えてしまったようでした。しかし続くスプリンターズSで2着に奮闘すると、今年3月に春のGⅠを制し、一気に頂きへと昇り詰めました。勢いそのままに単距離界で一強体制を築くかと思いきや、7月の香港遠征の国際GⅠチェアマンズSPで11着に敗戦。毀誉褒貶というか、相変わらず浮き沈みの激しい競馬を繰り返しています。今回は上位人気に支持されそうですが、昨年連対を果たした秋のGⅠで再び輝きを放てるかどうか、探っていきたいと思います。

マッドクールの父DarkAngelはアイルランド産馬で母国のGⅠミドルパークSを勝利している欧州GⅠ馬。日本での産駒は本馬以外にしらかばSを勝ったシュバルツカイザー、りんどう賞勝ちのダークペイジなどがいます。どの馬もやはり短距離路線で活躍していますね。母AboutYouは母国でGⅢを1勝した他、愛GⅠ1000ギニー(マイルの直線レース)で2着2回、3着3回の実績を残しています。単距離特化型でありながら、直線でのスピードと勝負強さを兼ね備えた血統と言えるでしょう。
マッドクール自身、中山の芝短距離は昨年の当レースを含め2戦2連対と好相性で、血統・コース適正面では出走馬の中でも上位だと思います。

マッドクールは昨年夏の中京CBC賞で9着と期待を裏切ったあと、次走のスプリンターズSで2着と目が覚めるような激走をしました。CBC賞の大敗は夏バテが理由だったといわれています。この馬は暑さに弱く、夏の中京では全く競馬にならなかったようでした。その後秋・冬のGⅠで2連対(内1勝)したように、寒さは全く苦にしていません。また高松宮記念を見ても分かるように、重馬場でのレースであっても問題はないです。
今年の夏の香港では暑さと遠征による疲労で大敗と、負けた理由ははっきりしています。今年は9月に入ってからも猛暑日が続いており、この馬にとっては不利になるのではと心配していましたが、ここ数日一気に気温が下がり涼しくなってきました。たったその程度の変化であっても、気候に敏感なサラブレットにとってはレースに対する重要なファクターになることはままあります。涼風の中山となれば、マッドクールにとって文字通りの追い風になるでしょう。
鞍上は坂井瑠星騎手が引き続き務めます。有望な若手ホープが今年は海外で揉まれ、さらなる急成長を遂げています。坂井騎手は昨年レモンポップによるダートGⅠ春秋制覇を達成しましたが、今年は単距離です。高松宮記念とスプリンターズSを同一馬で制し、自らの歴史に新たな記録を残してもらいたいと思います。

快刀乱麻を断つ"闘神"

今年のオーシャンSを制覇、前走GⅡセントウルSも制したトウシンマカオ。爆発的な末脚を持ったスプリンターが後方からGⅠの頂点を狙い打ちます。トウシンマカオは21年8月、新潟の新馬戦でデビューしました。初勝利後2戦目でGⅡ京王杯2歳Sに出走し3着と、早い段階からその素質を評価されてきました。22年、23年の京阪杯を連覇。今年に入ってから2重賞を勝ち既に重賞4勝。待望のGⅠ制覇の瞬間が近づいてきています。

トウシンマカオはビッグーアーサー産駒で、祖父サクラバクシンオーというスプリント特化型の血統。この産駒は他にブトンドールやビッグシーザーらを輩出しており、圧倒的なスプリント血統と言えるでしょう。母父スペシャルウィークの血は切れ味とスタミナを兼ね備えた万能型の向きで、代表産駒にはエピファネイアやサートゥルナーリアがいます。エピファネイアに象徴されるように気性難なイメージがあるかもしれませんが、トウシンマカオに限っては素直で操縦性の高い馬なので問題ありません。前走のセントウルSがそうでしたが、馬群の外から差し込んでくる競馬は、スペシャルウィークの血筋をいかにも体現しているようで、見ていてわくわくしてきますね。

オーシャンS勝の際は好位から上手く抜けし、中山へのコース適正の高さを見せてくれました。また前走セントウルSでは大外枠の不利を跳ね返す差し切り勝ちで、盤石の競馬。内枠有利の中山1200ですが、この馬に限っては外枠でも問題ないかもしれません。内の狭い進路取りよりも悠々と外から差せる競馬の方が、トウシンマカオにとっては好走できそうな気がします。
ここにきて一連の仕上がりはキープされており、GⅠでも好勝負が出来ると思います。陣営は道悪の適正も示唆していますが、高松宮記念よろしく重・不良馬場への適性は低いと思われますので、良馬場ありきで買い目には入れたいです。鞍上は今年の宝塚記念でGⅠ初勝利を飾った菅原明良騎手です。彼もまた若手の急成長株として勝利を重ねており、過去5年・芝1200mでは30勝以上を挙げ、勝率は約10%にも及びます。もちろん中山での勝利も数えられており、今回も非常に楽しみです。先行勢が多数出走するスプリンターズS、後方から一気に薙ぎ払うトウシンマカオの姿が目に浮かんできます。刮目しましょう。

悲願のスプリント女王へむけて

昨年3着、ここまでGⅢ4勝、GⅠ・Ⅱでも好走を続ける牝馬・ナムラクレアが大願成就に向け今年もスプリンターズSに挑みます。21年小倉2歳Sを勝利以降、鞍上・浜中俊騎手と共に、常に重賞戦線で活躍し続けてきました。昨年からのGⅠ挑戦を振り返ると3月高松宮記念では不良馬場の中、外目から追い上げ2着。秋スプリンターズSでは痛恨の出遅れから巻き返しを図り3着。今年春の高松宮記念では、再び重馬場に見舞われたなか追い込んで2着。とGⅠ制覇まであと一歩届かない現状が続いています。秋の始動戦は昨年同様キーンランドカップを選択。連覇をかけ1人気に推されましたが、直線で内ラチ沿いに馬体をぶつける痛恨のミス。5着に敗れてしまいました。また今回は主戦の浜中騎手が騎乗停止中のため、テン乗りを横山武史騎手が務めます。この初コンビがどんな騎乗をするのかにも注目です。

ナムラクレアはミッキーアイル産駒、NHKマイルC・マイルCSなどGⅠ2勝の他、高松宮記念・スプリンターズSで2着の実績を有し、ディープインパクト産駒の中では短距離特化型でした。産駒には今年引退したメイケイエール他、ララクリスティーヌなど牝馬での好走例が多いです。道悪の適正もあり、この馬自身不良馬場の高松宮記念で2着に入っています。荒天に見舞われたとしても、優先順位を下げる必要はないでしょう。
母サンクイーンⅡは米国産馬で、産駒には万葉Sを勝ったマカオンドールなど長距離戦で実績を残している馬もおり、ナムラクレアの単距離型でありながら長く使える脚を有している特徴は、牝系の血統からきているのかも知れません。

勝ちきれないと評されるナムラクレアですが、ストロングポイントも有しており、まず第一に挙げられるのがその安定感。これまでに掲示板を外したのは昨年のヴィクトリアマイルだけで、短距離では抜群の実績を誇ります(前走は失策があっても5着)。さらに牝馬でありながらその闘争本能は高く、馬群に揉まれても尻込みしません。ロスのない内枠をひければありがたいですが、馬混みに入って牡馬たちに挟まれたときに、この馬の真価が発揮されそうな気もします。現在の中山競馬の芝は相当な高速仕様となっており、先行勢に有利に働くことは先述しましたが、差し・追込み脚質のナムラクレアにとって、この秋の単距離GⅠを奪取するためには展開の助けが必要になると思われます。
鞍上は横浜武史騎手、中山芝1200mの実績は下級条件を含めればトップ騎手にも引けを取らない実力の持ち主です。
逃げ先行が殺到しハイペースになるようであれば、当然後方勢にも展開が向いてくると思います。多少の運は求められるものの、その末脚は他馬にとってやはり脅威となり得ます。念願のGⅠ制覇に向けた、小柄な牝馬の激走に期待したいと思います。

新たなる怪物候補

4月のGⅢ重賞を含む3連勝中、今最も勢いに乗る上り馬サトノレーヴに注目です。
今年で5歳を迎えたサトノレーヴですが22年4月のデビュー以降9戦して一度も掲示板外がなく、4着に負けた休み明けの阪急杯以外、いまだ連対を外したことがありません。まだまだ底を見せておらず、スプリント界に久々の怪物登場です。

サトノレーヴはロードカナロア産駒です。ロードカナロアはこのスプリンターズS連覇の他、国内外でGⅠを全6勝。その産駒には歴代最強牝馬、アーモンドアイら多彩な顔ぶれが揃います。スプリント戦においては高松宮記念を制したダノンスマッシュなどがいますね。母チリエージェはJRAのダート短距離で4勝挙げており、その父はサクラバクシンオー。言わずと知れた名短距離です。このロードカナロア×サクラバクシンオーの配合は、先年のファストフォース、テイエムトッキュウら短距離特化型を多く生み出す黄金比、いわゆる"ニックス"です。今回出走するメンバーの中にあっても、最もレース適性が高い一頭と言えるでしょう。

先に述べた通り、サトノレーヴはいまだ大崩れしたことがなく底を見せていません。こと短距離芝1200mにおいては【7-1-0-0】の戦績。中山芝は1回走って1勝と、ほとんどつけ入る隙の無いようにみえます。強いて言うなら、これまではスムースな流れの競馬しか経験したことがないので、激戦必至のGⅠレースということで、馬群に揉まれることになった場合どうなるかは未知数です。とはいえ、この馬は500㌔超えの巨漢にもかかわらず二の脚が速く、出遅れるイメージがありません。ここもしっかりと発馬を決めて流れに乗れば問題ないと思います。この馬のフォルムは近年スプリント路線で隆盛の時を迎えている、香港馬のような趣きがあります。今後短距離界隈でのトレンドになるかもしれません。
豪の名手Dレーン騎手が前走に続き手綱を握ります。この日、この馬に乗るためだけに短期来日したっといっても過言ではありません。おそらく想定1人気のまま人気を背負うことになるでしょう。馬券妙味は薄いですが、馬券内へ最も信頼度の高い一頭です。
日本のスプリント界は近年突出したスター不在のままでしたが、久々に現れた大器がここを制すれば、暫らくはサトノレーヴの一強体制が続くのではないでしょうか。そんな期待すら予感させる本馬に注目です。

衰えしらずの快速馬

前走千直GⅢアイビスSDで好走、7歳にして初のスプリントGⅠ参戦となるウイングレイテストです。
元々マイル専で実績を作ってきたウイングレイテストですが、昨年10月のGⅡスワンSの優勝を期にスプリント界に単騎殴り込み、7歳を迎えた今年になっても好走を続けています。あまり話題になりませんでしたが、2月のキングアブドゥルアジーズGⅡ・1351ターフスプリント4着は、世界の強豪相手に健闘したといえるでしょう。その後は前々走函館SSで斤量59㌔を見込まれながら2着と好走。さらに1F短縮のアイビスSDでも59㌔2着と、距離を短縮する度に下馬評を覆す結果を残し続けています。

ウイングレイテストはスクリーンヒーロー産駒。この産駒の最も得意とする距離は芝1400m~1600m、イメージとしてはモーリスやグァンチャーレの印象が強いですね。従ってこのスプリントGⅠでその血統の力をどこまで発揮できるか不明瞭な部分はありますが、しぶとさの光る先行力は距離短縮以降も大きな強みになっています。またこの産駒は左回りよりも右回りの成績が良く、統計上は中山芝の成績がTOPです。ただ1200m戦はあまり出走数が多くないので、主戦馬とするのはあくまで芝1400~1600mにはなります。

今年に入っての3戦は海外→洋芝→千直と、この馬にとって全て初めての経験でありながら、一定の戦績を収めてきたことは大いに評価できると思います。7歳にして未だ成長途上といったところでしょうか。そんな中初の単距離GⅠへ挑戦となりますが、定量戦で斤量58に戻り、マイラー時代に得意だった中山で走れるということは、この馬にとって大きなアドバンテージと言えるのではないでしょうか。もちろん相手関係は今までにないほど一気に強化されますが、この馬も決して衰えてきてはいませんし、ここを目標に早めの段階から調整されてきているわけですから、期待はできると思います。差し・追込みが決まりやすい中山1200mも今回は前残りが想定されるので、距離短縮以降、先行力を武器に戦ってきたこの馬にとってはおあつらえ向きの舞台といえます。できればスタートを決め好位を奪いたいところです。
また逆に考えれば先行馬が殺到してハイペースになった際は、後続からこの馬の末脚が活きてくる展開も期待できると思います。マイル時代は何度も差し脚を伸ばし馬券内に飛び込んでくることがありました。内枠が引ければベターではありますが、出脚がそこまで良くないウイングレイテストは馬群に包まれてしまう心配もありますので、むしろ中~外よりの枠を引いたときに思い切って賭けてみる、というのも面白いかもしれません。馬券的にも妙味が生じますね。
鞍上の松岡騎手もキャリア22年目でベテランの領域に入って来ました。若い頃からの勝負根性、というか勝ちにこだわる執念はいまだ錆び付いていないと思います。このコンビでの出走はこれで21戦目を数え、戦友という言葉がぴったりなコンビになってきました。愛馬の有終の美を飾るため、悲願のGⅠ制覇へ人馬一体となって挑みます。

香港からの刺客

今回、香港から参戦で注目を集める馬が一頭。ビクターザウィナーです。
母国香港では23年のGⅢシャティンヴァースで1着、24年のGⅠセンテナースプリントで1着と実績は十分。日本では今年3月の高松宮記念に合わせて来日。豪雨の重馬場となった中京の地で3着に入線しました。近走は香港のスプリントGⅢとGⅠを続けざまに惨敗しており、調子を落としているようですが、スプリント王国・香港のGⅠ馬ということで、やはり日本馬にとっては脅威となりそうです。

ビクターザウィナーは当然ですがバリバリの外国血統。父Toronadoは英国のGⅠサセックスSなどを勝利した名マイラー。産駒は母国だけでなく、香港や豪州など世界各国で見受けられ、日本では馴染みがないですが国際的にみれば人気の種牡馬のようです。産駒の馬は皆一様に、若駒の頃の成績は比較的凡庸なものの、古馬になってからの成長が目覚ましく、大器晩成型の血統であると言えます。この馬ビクターザウィナーも6歳になりましたが、まだ伸びしろを残していると言えるかもしれません。
牝系を遡ると牝祖Night and Dreamsに注目で、この産駒には仏のスプリントGⅢを勝利したDeep Sleepなど短距離で活躍した馬が多いようです。
500㌔前後で比較的馬格のあるビクターザウィナーは、パワー型のスプリンターといった向きがあるように思います。

彼がホームで戦うシャティン競馬場は洋芝で、日本の芝よりも日頃からパワーを求められる馬場になっています。時計的には日本の函館や札幌にイメージが近いでしょうか。現状の中山の高速馬場とは趣が異なるような気もします。またシャティンは急坂がないフラットなコースなので、直線に急坂を擁する中山はこの馬にとって大きな試練となりそうです。ただ中京コースでその資質を示したように、パワータイプのスプリンターということで、ここもさほど苦にしないかもしれません。
シャティンは最後の直線が430mと長くしかも下りのため、この点でも中山と大きく異なります。この馬のポテンシャルを侮ってはいけませんが、コース適正の面から言うとやはり分が悪いと言えるでしょう。

ビクターザウィナーは水曜に中山競馬場にて最終追切を行っています。ぶっつけ本番でなく、ここで中山の芝を一度体験できたことはプラスとして捉えるべきでしょう。シャム調教師と騎乗したモレイラ騎手も好感触を口にしており、単なるリップサービスではなく自信の現れだと思います。ビクターザウィナーとモレイラ騎手は今回が初コンビ、いわゆるテン乗りとなります。GⅠスプリントにテン乗りとは少々分が悪い気もしますが、そこはモレイラ騎手ということで、あまりマイナスに考える必要もないかなと思います。最終追いに直接乗ったことは、むしろ好材料として考慮すべきです。

今回この馬を評するにあたって個人的にポイントになる部分が2点。一つはゲートの出が非常に速い点。とにかくスタートが得意なの馬なので、発馬さえ決めて先手を奪えば、高速馬場の流れに乗ってそのまま逃げ切り、もしくは粘り込みも十分に考えられます。
もう一点は休養明けに好走しているという点です。陣営サイドが発言していますが「休養明けがベストパフォーマンス」と本人たちが言っているのだから間違いないでしょう笑。惨敗したGⅢから3か月経過しており、状態は整っていると考えた方がよさそうです。

情報量の少ない海外からの参戦馬ですが、自分が調べ得る限りのことをここに書いてみました。今回は日本勢もメンバーが揃っているとは思いますが、やはり侮ることの出来ない一頭だと思いますので、枠順も考慮しつつ、買い目に入れといた方が良いのではないかと思っています。


おわりに~その他の馬を添えて~

ここまでがGⅠスプリンターズSの攻略noteになります。
今回は異常なまでに長文noteとなってしまいました。流石に脱落した方も多かったんじゃないかと思います。久々のGⅠということで気合が入りましたが、読み易さも大事だと思うので次週以降は少しコンパクトにまとめたいなと考えています。
最後までお付き合いいただいた方、もしいらっしゃいましたら心より御礼申し上げます。序文コラムの方もおそらく史上最長だと思いますので、毎回々々お付き合い下さる熱心な読者様には本当に感謝です。もちろん新規の方にも同様の感謝を申し上げます。

次週は毎日王冠を予定しています。話のネタはダイタクヘリオスにしようかなと…。まあ、まだなーんにも考えていませんが(;^ω^)
来週はコラムも少し短めにしようと思います。
では最後に恒例になりました、推奨しきれなかったその他の馬に短評を添えて了としたいと思います。ほんっとしつこいnoteだね。すんません。
では、また…。

📝ママコチャ

鞍上🏇川田将雅
昨年の勝ち馬。クロフネ産駒における最終世代でGⅠ馬であるソダシの全妹です。母系はシラユキヒメを牝祖としていて、重賞6勝のメイケイエールなども輩出しています。もともとクロフネ産駒は牝馬に活躍馬が多く、この馬もご多分に漏れずGⅠ馬となりました。これまでGⅠ含む6勝を挙げていますが、全て5~10月に勝っていて暑さに強いのが特徴です。逆に今年の高松宮記念では重馬場に見舞われ、好位追走も直線では伸びきれず、力のいる馬場には向きません。
前走セントウルSでは大外18番枠から豪快に差し込み2着。惜しくも勝てませんでしたが、前哨戦で改めてその強さを見せてくれました。状態は上がってきていると思いますし、高速仕様になっている現在の中山も地の利があると言えるでしょう。GⅠ2連覇に向けて十分期待は持てると思います。

📝モズメイメイ

鞍上🏇国分恭介
今年に入って調子を上げている快速牝馬。前々走は初の1000mスプリント戦も制しており、単純な切れ味だけなら上位の牡馬たちにも引けを取らないでしょう。ロケットスタートと称される発馬も魅力的です。フロック視されたのか前走セントウルSでは7人気と控え気味に支持されていましたが、トウシンマカオ、ママコチャにつづき3着入線。中京の急坂も経験値になったと思いますし、覚醒期に突入したかもしれません。内枠を引いて先行争いに加わることが出来れば、波乱の使者になる可能性も十分あると思います。

📝ルガル

鞍上🏇西村淳也
今年のシルクロードS勝ち馬です。
ルガルはドゥラメンテ産駒ですが、言わずと知れた名血統で近年タイトルホルダー他多くのGⅠ馬を出しています。マイル以上の距離で活躍する馬が多い中、短距離路線を進む本馬はやや異質な存在かもしれませんが、GⅠタイトルを掲げた兄弟たちに続き戴冠えお果たしてもらいたいです。
この馬の長所は大型馬でありながら二の足に優れている点です。また見かけによらず立ち回りが上手く機動力があるので、他頭数のレースを苦にしません。中山でのレースは初ですが右回りの方が得意なので、そこは大きな心配をしなくてよさそうですね。今年のシルクロードSでは強い勝ち方をしましたが、次走高松宮記念では重馬場に脚を捉われて力を発揮できませんでした。そしてその後に骨折を発症。今回は休養明けぶっつけでのGⅠ挑戦になりますが、どこまで復調しているかがカギとなるでしょう。陣営は健在ぶりをアピールし、調教でも早い時計を出しています。スタミナの回復が心配で、激しい先行争いのなか中山の急坂で息が持つのかどうか…。仕上がりには十分注視して印を打ちたいですね。

📝ピューロマジック

鞍上🏇横山典弘
今年のGⅢ葵Sと北九州記念で重賞2連勝を飾り、一躍単距離界の超新星として話題をさらいましたが、1人気で臨んだ前走セントウルSでは13着に惜敗。陣営は立て直しを図られています。まだ3歳馬なので急成長や伸びしろも期待できますが、ここは経験値を積むための意味合いが多いのかなと思います。鞍上がノリさんという点も、なんとなく教育騎乗を連想させます。またハナを切れなかった時のレースもどうなるか未知数なので、それなりに不安要素はありますね。とはいえ重賞を連勝したその素質は間違いないと思いますので、期待を込めて印を打つのもまた一興ではないでしょうか。

📝ウインマーベル

鞍上🏇松山弘平
距離適性を問われており、ベストは1400m。1F短い印象は拭えません。とはいえ重賞4勝の実績は軽視できず、一昨年のスプリンターズSでは2着に入線しています。
この馬の大きな強みはその先行力ですが、ハナにこだわらず好位につければ自在性の高い競馬が出来るので、他頭数のレースでは有利に働くと思います。やはりここも内枠を引くことが出来たなら、重めの印を打ってもいいかもしれません。

📝オオバンブルマイ

鞍上🏇武豊
昨年の豪州ゴールデンイーグル勝ち馬です。このレースは国際グレード規格外のレースのためGⅠ~GⅢ、L競争といった格付けがされていないレースです。ただ賞金額が大きく、レベルの高い一戦なのは変わりませんが。
前走は4戦ぶりに日本に帰国しキーンランドカップへ参戦、下馬評を覆し3着と好走しました。追込み脚質で今の中山とは合わない気もしますが、末脚の切れ味は本物ですし、鞍上が武騎手という点も注視すべきでしょう。
重たい印は打たずに、紐までの評価とします。

📝エイシンスポッター

鞍上🏇Aシュタルケ
下位人気ですがキーンランドカップ3着はそれなりに評価できるとは思います。鞍上はシュタルケ騎手で、先日は短期来日いきなりで勝ち鞍を挙げています。それなりに期待はできると思います。

📝ヴェントヴォーチェ

鞍上🏇Cルメール
ルメール騎手騎乗で穴人気しそうな(?)一頭。穴狙いの予想家やYouTuberが好きそうな馬だと思います笑。持ち時計も持っており、鞍上込みで期待値はあると思いますが。中山1200mに関してはルメール騎手の実績も抜けているわけではないですし、7歳58㌔定斤量というのも少々厳しいかと思います。しかも1年半ぶりのレース。自分は見送ります。


今回参考にさせていただいたサイト


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