タイツ・競馬ライター【無料予想と馬のお話】

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過去10年のデータによる、当該レースの分析を行います。 ③推奨する馬を数頭紹介、イラストや数値で戦力比較。 初心者にわかり易く、玄人にもなにか気がつけるように、がモットーです。

タイツ・競馬ライター【無料予想と馬のお話】

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過去10年のデータによる、当該レースの分析を行います。 ③推奨する馬を数頭紹介、イラストや数値で戦力比較。 初心者にわかり易く、玄人にもなにか気がつけるように、がモットーです。

マガジン

  • 優駿たちと「あなた」の物語

    主に今年に入ってから、予想とともに掲載してきた「序文」。 この馬のコラムをまとめてマガジンにしてみました。過去のものには一部加筆修正を加えてお届けします。 競馬ファンの「あなた」に読んでいただきたい。スターホースたちと読者の距離を近づけさせれるような、競馬をより身近に感じられるような、 そんな記事を目指します。

最近の記事

GⅠジャパンカップ

序文:巨人殺しのパラドックス旧約聖書に登場する巨人ゴリアテは、身の丈290cmを超える大男だったと伝えられる。 青銅の兜をかぶり、帷子(かたびら)と膝当てを身に纏い、重さ7キロの鉄の大槍を片手で振り回した。 イスラエル王国に敵対するフィリスティア軍の大将格として、サウル王が治めるエルサレムに侵攻し、多くの敵兵を殺めてきた。 この向かう処敵なしの大男を迎え撃ったのは、ダビデという名の小柄な羊飼いの青年だった。 剣も槍も持たぬ、鎧さえも身につけないまま、ダビデはその拳に掴んだ石

    • GⅠマイルチャンピオンシップ

      序文:偶然の魔法昭和を代表する詩人であり劇作家として活躍した寺山修司は、膨大な数の文芸作品を世に送り出す一方で、無類の競馬好きとしても知られていた。 後年、馬主として活動するほど競馬に傾倒していた寺山だが、競馬に関する著書も多く書き残している。 その中の一篇『旅路の果て』の中にある「競馬無宿人別帖」では、競馬に魅せられた人々の悲喜こもごもが鮮明に描かれている。 弱い馬が好き、頑張っている馬を応戦したくなる。というこの「山崎さん」の馬券購入術は、馬券妙味を狙う者としては実用性

      • GⅠエリザベス女王杯

        序文:百錬製鋼の姫君人が最も大きく成長を遂げるとき、とはどんな瞬間だろうか。 自らが課した試練を乗り越えた時。 困難に直面し、その壁を打ち破った時。 愛する者との悲しい別れを克服した時。 順風満帆なだけの人生を歩めるのならそれに越したことはないが、そうもいかないのが人の生涯である。 いい時もあれば悪い時もある、連綿と繰り返される喜怒哀楽の狭間に、人は幸せを得るためもがき続け、その中で成長を遂げていく。 成長をするためには人の助けと出会いもまた重要だ。 自分の資質を見抜き、才

        • GⅠ天皇賞・秋

          序文:皇帝のいない十月 1985年10月27日15時37分、府中・東京競馬場。 騎手・根本康広29歳。 ゴール板を横切る瞬間、こんなことを考えていた。 「いま横目に見えたの、ルドルフの勝負服じゃね?」 目の前には緑のターフと、空一面の青だけが広がっていた。 さっきまで聞こえていた耳をつんざくような歓声は、いつの間にか何も聞こえなくなっていた…。 第92回を迎えた伝統の一戦、天皇賞・秋。このレースには史上最強の呼び声高い、あの「皇帝」シンボリルドルフが出走していた。 史上

        マガジン

        • 優駿たちと「あなた」の物語
          27本

        記事

          GⅠ菊花賞

          序文:優駿よ菊花紋と共に踊れ「 菊 」 菊は日本を象徴する花として、古来より重用されてきた。 元々は外来種であり、薬草や観賞用植物として平安時代に中国から伝来したとされている。日本に現存する最古の和歌集『万葉集』には157の植物が登場するが、菊を詠んだ歌は一首もなく、これは当時の日本に菊が存在していなかったことを暗に示している。平安時代の歌集『古今和歌集』になると、菊を詠む歌が散見されはじめる。 菊は物品への意匠として用いられることも多く、鎌倉時代に後鳥羽上皇が身の回りのもの

          GⅠ秋華賞

          序文" Omnia vincit Amor "-今でも愛してる- 表題「Omnia vincit Amor」は " オムニア・ウィンキト・アモル "と読む。 ラテン語で「愛は全てに勝る」という格言である。 主語の"Amor"は小文字で表記されると「愛」だが、大文字で表記されるとより大きく「愛の神」を意味する言葉となる。従って「Omnia vincit Amor」とは、正しくは「愛の神は全てを打ち負かす」という意味である。 この言葉は一般的な意訳として「愛さえあればどんな困難も

          GⅡ毎日王冠

          序文:太陽の仔「自然崇拝」 人は古来より、あらゆる自然物を崇拝し、その中に超越的な存在を見出し敬ってきた。これは「人」だったものを「神」としてみなす、いわゆる一般的な宗教が普及され始めるより前の、太古の信仰である。厳密にいえば「自然物への崇拝」ではない。「自然」という概念が生まれる以前の崇拝形態であり、対象は空、大地、山、海。はたまた雷や嵐といった自然現象や、熊や虎のような猛獣まで。科学が生まれるよりもずっと昔、自分たちの考えでは及ばない超常的な現象や力に対し、人は畏怖と畏敬

          GⅠスプリンターズステース

          序文:あの日見た花の名前を僕達は 唐突だが、貴方にとっての"特別な一頭"とはなんだろうか。 歴史に残る三冠馬か、壮絶な叩き合いを制したGⅠホースか、それとも初めて訪れた競馬場で払戻金をもたらしてくれた1勝クラスの馬か。 それぞれの楽しみ方がある競馬において、人それぞれに思い出に残っている馬がいる。それはどれだけ時を経ても、たとえ競馬を離れたとしても忘れることはない。思い出は思い出として残り続けるだろう。 ひとえに、サラブレッドの競走生活は短い。あっという間に終わりの時を迎え

          GⅡオールカマー

          序文:君は無邪気な鉄の女王競馬の寄稿文において度々目にする言葉に「無事之名馬」がある。これは読んで字のごとく、競走馬を指して「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」という考え方を表した格言である。 この格言は昭和の作家であり、馬主としても活動していた菊池寛によるものとして有名だが、実際は時事新報社(福沢諭吉創設の戦前5大新聞)の岡田浩一郎によるものだった。岡田氏はこの造語を臨済宗の語録の中にある『臨済録』に求めており、その中の「無事之貴人(ぶじこれき

          GⅡセントライト記念

          序文:暁の三冠馬 空の彼方に最後の軌跡。 2020年10月25日、京都競馬場で行われた牡馬クラシック3戦目、菊花賞を制したコントレイルは史上8頭目の三冠馬に輝いた。未だ記憶に新しい、新型コロナウイルス感染拡大下で行われた未曽有の年の出来事だった。無観客開催措置が解除されたものの、解放された席数は僅か700余り。関係者を含めても例年とは比べるべくもない、静けさ漂う京都競馬場になってしまった。 歴代三冠馬の中ではシンボリルドルフ、ディープインパクトに次ぐ史上3頭目の無敗による達成

          GⅡ札幌記念

          序文:奔流の因果律 サラブレッドの血統は川の流れによく似ている。 競馬はブラッドスポーツである。その競技が産声を上げてから間も無くして、源泉から「血統」というひとつの流れが生まれた。最初それはごく僅かな、小川にも満たないような小さな流れだった。競馬が続けられていく中で、流れもまた脈々と血を繋ぎ、いくつもの支流と重なり合い、次第に大きな流れへと変貌を遂げていった。父から子へ、子からそのまた子孫へと受け継がれ続けるその「血統」という流れは、いま多くの者を熱狂させる激流へと進化し

          GⅢアイビスサマーダッシュ

          序文:照星と照門 第二次世界大戦の勃発からちょうど3か月目にあたる1939年11月30日。北欧諸国への圧力を強めていたソビエト連邦は、この日フィンランドへの侵攻を開始。ソ連側は和平を求められること想定し一大戦力を投入したが、フィンランド軍は徹底抗戦の構えをみせた。 世にいう「冬戦争」の幕開けである。 この戦いにおいて講和条約が締結されるまでの4か月間、フィンランド国防軍に「白い死神」の通り名で、ソ連軍を恐怖の底に陥れた一人の兵士がいた。 シモ・ヘイヘ “人類最強の兵士”

          GⅠ宝塚記念

          序文:能事畢れり 能事【のうじ】畢る【おわ-る】 とは「できることは、すべてやり尽くしてしまうこと」を意味する。 明治44年「三田文学」に寄稿された森鴎外の自伝的短編「妄想」のなかに、「日の要求に応じて能事畢るとするには足ることを知らなくてはならない」の一文がある。この「能事」という言葉の初出は儒教の経典の一つ『易経』に由来を発している。これは「八卦」、現代でいう東洋占術の起源であり、ここでは「天下の能事畢る(この世界で起こりうるあらゆることを、すべて占うことができる)」と述

          GⅠ安田記念

          序文:“Cross the Rubicon” 歴史が変わるその瞬間というのは、往々にして当の本人が逆境に置かれていることが多い。 BC49年、古代ローマ。 政敵ポンペイウスとの対立が露わになった将軍ユリウス・カエサルは、元老院から自らが統治するガリア属州総督解任および本国召還を命じられ、窮地に立たされていた。 命に従えば自らの立場を追われ、最悪死罪に断罪されるかもしれない。 刃向えば自身は国賊としてみなされ、元老院との衝突は避けられないだろう。 カエサルはルビコン川の畔で

          GⅠ日本ダービー

          序文:英雄の条件 英雄の死は突如として訪れる。 競走馬の世界の話ではない。 ギリシア神話に登場する英雄アキレウスは、大詩人ホメロスが作ったとされる一大叙事詩「イーリアス」の主人公であり、不死身の肉体を誇った超人だった。誰よりも速く戦場を駆け抜けたその姿から「駿足のアキレウス」の二つ名で呼ばれた。 アキレウスが生まれたとき母である女神テティスは、彼に不死の肉体を与えるべく冥府を流れる川ステュクスの水に息子を浸した。そのとき、テティスの手はアキレウスのかかとを掴んでいたためにそ

          GⅠオークス

          序文:マイ・フェア・レディ 映画『マイ・フェア・レディ』をご存じだろうか。1964年に公開された同名ミュージカルの映画化で、米アカデミー賞を8部門受賞。日本でも公開され大ヒットを飛ばした。 物語のあらすじはざっとこうだ。 言語学が専門のヒギンズ教授はひょんなことから、下町生まれの粗野で下品な言葉遣い(コックニー訛り)の花売り娘イライザと出会い、彼女をレディに仕立て上げられるかどうかを巡り友人のピカリング大佐と賭けをすることになる。 教授は初めから義務感でつきあっていたものの