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GⅠ有馬記念


序文 「もろもろの心、柳に任すべし」

「グランプリ」という言葉は「Grand Prix」、フランス語で「大賞」、grand(大きい・最高の)prix(賞)を指す語である。
年末になると話題になる「M-1グランプリ」等、現代の我々にとっては耳馴染みの強い言葉であろう。
戦後、はじめてこの単語が広まったのが1951年に黒澤明監督の映画「羅生門」が公開された時だといわれている。ヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した際、「国際映画祭でグランプリ受賞」と国内報道されたことで、この語が一挙に広まった。
発端が国際映画祭だったため「グランプリ」という単語は、主に映画をはじめとした文化・芸術分野での大賞を指す言葉として用いられることとなった。

そして1956年にこの言葉を冠したレースが日本競馬界で産声を上げた。
「第1回中山グランプリ」、考案者は当時の日本中央競馬会理事長・有馬頼寧(ありま よりやす)。

「有馬記念」の誕生である。

当時、東京競馬場では「競馬の祭典」日本ダービーの他、秋の天皇賞、優駿牝馬(オークス)と格式の高いレースがすでに開催されていた。対して中山競馬場では皐月賞こそあるものの、年の瀬のビッグレースは中山大障害(現在は有馬記念前日に実施)のみで、理事長になったばかりの頼寧は「ダービーに負けないくらいの一大競争を中山で開催したい」と関係者に働きかけたのだった。
さらに腹案として考えていた「ファン投票による出場馬の決定」を盛り込んだ。これは頼寧が東京セネタース(現・日ハムの前身チーム)のオーナーを務めていたこともあり、野球のオールスター戦から着想を得たとされているが、現在も競馬ファンから愛されている、当時にしては斬新すぎるアイデアだった。
こうしてはじまった「第1回中山グランプリ」は出走12頭のうち、天皇賞の優勝馬が3頭、クラシック競走の優勝馬が4頭と当時の強豪が一堂に会し、中山では1万人入れば大入りといわれた時代にあって、当日の入場者は3万人弱という盛況振りであった。
…しかし成功も束の間、考案者の理事長・有馬頼寧は翌年肺炎により急逝。第2回の開催を見ることなくこの世を去ってしまった。そしてこれを機に創設者である頼寧を讃えるため、中央競馬会は2回目以降の「中山グランプリ」を「有馬記念」と改名したのだった。

70年近くの歳月が経った…。競馬は見ないが有馬だけは見る、買う。という人もいるほど、年末の恒例行事となった有馬記念。すべては頼寧の「ファンによるファンのためのレースを開催したい」という情熱からスタートした。もし彼が現在の光景を目の当たりにしたら、どう思うだろうか…。
誰よりも競馬会の隆盛を願った男の、無邪気に喜ぶ姿を想像するのは難くない。

「もろもろの心 柳に任すべし」。有馬頼寧、座右の銘である。
調べてみると出典は日本史最大の俳人・松尾芭蕉の一句の中にあった。現代風にざっと意訳するとこんな感じだろうか。

己の心を占めている様々なこと、いいことも悪いこともあるが、それらの事柄に対する思いは、風の吹くままにゆらゆらと、逆らうことも無く、その身を任せて揺れている、柳の葉の様に生きるのが一番だ。思い悩んでも仕方ない。肩ひじを張り固くなっても、きっと上手くなどいかないだろう。

柔軟な思考を持ち、周囲の人間の意見を幅広く聞いた、頼寧らしい考え方である。

今年も色々なことがあった。いいこと、悪いこと、あなたにとってどんな一年だったろうか。あなた自身の競馬を楽しむことはできただろうか?

迎えた年の瀬の大一番、自身の一年を振り返りながら、競馬の黎明を顧みながら、難しいことは考えず、思いつくままに馬券を購入してみても面白いかもしれない。

もろもろの こころやなぎに まかすべし

「第68回 GⅠ有馬記念 まもなく出走です」

農林大臣も歴任した有馬頼寧は
篤志家としても知られた人物だった。

今年の有馬は主役不在?
いやいやオールスター戦でしょ?!

年末恒例のドリームレース
ジョッキーたちにも注目したい

はじめに

いよいよ歳末大一番「有馬記念」がやってまいりました。イクイノックスが現役を退いたことによって、一強体制から混迷のグランプリレースに様変わりしました。高配当を狙うなら妙味ありのレース…わくわくしますね。
今回はいつも以上の好走データ集に加え、推奨馬・穴狙い馬の情報量も多めに、『年末特大号』的なnoteとしてお送りできればと思います。かなり長くなりますが…最後まで何卒お付き合いください!

コース攻略

有馬記念専用コース、ともいわれている
中山2500m

外回り3コーナー付近からスタートし、内回りを約1周半。6つのコーナーに加え、外→内でペースが上がりにくく前に行く馬が有利に。差し追い込みタイプは早めに動けないと厳しいでしょう。昨年のイクイノックスも早仕掛けが功を奏しました。また直線の急坂を2度駆け上がらなければならず、タフさも要求されます。中山中長距離で実績のある馬に注目したいです。

気になる展開は?

枠順発表前に書いているので詳しくは言及できませんが、パンサラッサが不在(引退)ということもあり、タイトルホルダーにとっては逃げやすい展開になると思われます。一方、差し・追い込み勢も後方一気というより機動力の高い馬が集まっているため、一見するとタイトルホルダーの単騎逃げによるスローペースになることが予想されますが、個人的には昨年のように早めにレースが動きそうな気もします。スローの上り勝負にならない、と仮定するならば中山2500に対する距離適性を最重視すべきでしょう。そして仕掛け所を察知できるジョッキーの勝負勘も問われます。中山での好走馬、実績上位の騎手。この2点は「おさらい」しておいた方が良いと思います。

グランプリホースになる為
勝利への必須条件5か条+α

それではここから好走データを基にした、勝利への必須条件をまとめてみました。本命馬も穴馬もこの条件をクリアできないと上位進出は難しいと思います。ぜひご参照ください。

📝3歳クラシックで実績がある

天皇賞の時も書きましたが、伝統ある八大競争はクラシック時代の成績と直結することが非常に多いです。過去10年の勝ち馬9頭がクラシックGⅠで3着以内に入っています。非該当馬のブラストワンピースもダービー5着でした。

📝非根幹距離重賞での勝利経験

非根幹距離(400mで割り切れない距離)という考え方自体に疑問を呈す方も多いですが、過去10年全馬が該当しており、無視できないデータになっています。宝塚記念・菊花賞で好走した馬が有馬で勝ってきた、という事実が裏付けになります。

📝「捲り」脚質を持つ馬

道中は後方グループに位置して、3コーナーから4コーナーにかけて先頭グループに突入。これが「まくり」の脚質とされていますが、ここでは3コーナーの通過順位より4コーナーでの通過順位を上げて勝利した経験、と言い換えていいと思います。中山の小回りコース、コーナーでポジションを押し上げれる機動力はストロングポイントとなります。

📝芝2200m以上の重賞勝ち経験

先述しましたが、中山の2500戦は非常にトリッキーなうえに急坂を2回駆け上がらなければなりません。長距離実績のあるスタミナ馬であることが当然望ましいといえます。

📝中山芝重賞での連対経験

こちらも前項と同様、特殊な中山2500で勝ち切る重要な要因だと思います。関西やその他の競馬場で無双でも中山では…。期待を裏切る馬は史上数多くいたはずです。

以上の5項目に加え
📝GⅠ勝利(連対)経験
📝斤量58㌔での勝利(3歳57㌔/牝馬56㌔)
📝3~5歳馬である
📝1~5枠
📝1~4番人気

などをチェックしておきたいです。
すべての項目を埋めれなければ、というわけではないですが、より多くの条件を満たす馬を見つけたなら、優勝の有力候補とみていいと思います。既に上位人気になっているかもしれませんが、中位人気以下に沈んでいるようなら穴馬候補として抑えておきたいですね。

📝+αで、重要なローテーション

前段で距離適性への重要さを説きましたが、今回スロー展開の上り勝負にならないのであれば、出走する馬のローテーションも重要になってくると思われます。
すなわち、

📝①距離短縮ローテ
📝②宝塚記念出走組
📝③秋競馬での「余力」

この3点に注目したいです。詳しく説明しましょう。

早めにレースが動いて差し脚が求められるのであれば、それを持続させるだけのスタミナが必要になってきます。距離短縮で臨む体力に余裕のある馬は有利に立ち回れます。現時点での穴候補として1頭、ヒートオンビートが面白いかもしれません。同じく同距離からの参戦で、長距離戦が得意なプラダリア、ディープボンドらが長い脚を使ってくる展開は、穴党にとっては堪らないかもしれませんね。

同じGPレースである宝塚記念での好走経験は当然生きてくると思いますが、特に今年の宝塚は終始緩みのないペースで差し・追い込み馬が台頭しました。有馬も同様の展開になるのであればイクイノックスに迫ったスルーセブンシーズ・ジャスティンパレスは有力候補となるはずです。

一戦ごとの消耗が激しくなった現代の競馬では、昔のような「秋古馬3冠」など夢のまた夢。イクイノックスですら退きました。現時点で出走想定の馬全頭が秋競馬2戦以内(有馬で3戦目)ですが、前哨戦をステップにしてきた馬には疲労が蓄積されている可能性があります。要するに初めから有馬記念を睨んでローテーションを組んできた馬に軍配が上がりやすい、と言えるのです。これを踏まえると天皇賞秋・JCと2戦に渡り古馬GⅠを戦ってきたドウデュースは不安では?ということと、JC回避して調整してきたジャスティンパレスらは有利なのでは?という結論に至ります。天皇賞に出ないでJCに出たスターズオンアースらの調教も気になります。

データをもとに勝利の馬券を…!
優勝有力候補馬の紹介

それではここからは本誌(というか森タイツ)が推奨する馬を上げていきたいと思います。今回は年末特大号ということで8頭の強豪を紹介します。筆頭候補から穴馬まで絡め、ご参考にしていただければ幸いです。

🏰ジャスティンパレス

4歳牡馬•ディープインパクト産駒 栗東•杉山厩舎
鞍上•横山武史

有馬記念ファン投票では29万票を集めました。トップ人気のイクイノックス(引退)、リバティアイランド(回避)となったため実質の№1人気馬として出走します。
この馬がディープインパクト産駒、と言われれると正直それらしい印象はあまりなく、長めの距離で脚を長く使える馬、という印象が強かったです。実際春の天皇賞を制した際の走りは、瞬発力というより、失速せずに長く脚を使った勝利でした。
ところが前走秋の天皇賞では、最強馬イクイノックスには敗れはしたものの、デビュー以来初めての「上り33秒台」を記録しました。道中ポジション取りに失敗した感あり、直線に入る際には最後方からの厳しい勝負になりましたが、プログノーシスの末脚を上回るキレを見せてくれました。
元来の失速しない持続力に加え、ここにきてディープ産駒特有の末脚というアビリティが備わったとなると、古馬としていよいよ完成に近づいてきたのではないかと期待してしまいます。
また3歳以降関東ではイマイチだったこの馬にとって、前走関東圏において結果が出たことは非常に大きかったと思います。
天皇賞秋からJCを走らずに有馬で結果を残した馬は、20年~クロノジェネシス、エフフォーリア、そしてイクイノックスと3連勝してます。輸送の問題もクリアしローテーションを味方につけたとなれば、恐れるものなどなにもないはずです。
※以下ジャスティンパレスのABC評価になります

最終追切 栗東・坂路・良
800m 53.3-38.7-25.1-12.4(馬なり)


🌊スルーセブンシーズ

5歳牝馬•ドリームジャーニー産駒 美浦•尾関厩舎
鞍上•池添謙一

今年の宝塚記念でジャスティンパレス以上に輝きを放った馬が一頭、それが本馬です。昨年秋からGⅠを6連勝して引退したイクイノックス。その間、彼に最も差し迫ったのがスルーセブンシーズだったのではないでしょうか。
道中はほぼ最後方からイクイノックスをマークし直線で仕掛ける、勝負師の池添騎手らしいプランでしたが、この時不利があり追い出しのタイミングが一歩遅れてしまいました。タイム差なしのクビ差で、世界ランク1位を追い詰めたこの馬を決して軽視してはなりません。秋は凱旋門賞に挑戦。そこまで話題にならなかった気もしますが、凱旋門掲示板内に入ったのはオルフェーブルとキズナ以来10年ぶりのことでした。GⅠ未勝利ながらこの急成長ぶりには目を見張るものがあります。
凱旋門賞帰りの有馬参戦は疲労の蓄積が懸念されますが、一点注視しておきたいこととして、この馬は宝塚好走以前より凱旋門賞への登録を済ませていた、ということです。
古馬になって以降の成長過程を見越して陣営が選択していたプラン、ということになりますが、よほどの素質が見られない限り出来ない選択だと思います。すでに5歳ながら未だ底を見せていないという点において、今回の有馬記念で最も恐ろしいダークホースになるような気がしています
そして鞍上はグランプリ男・池添謙一騎手。かつてドリームジャーニーの背に乗って制した有馬の舞台で、今度はその息子と再び…。要警戒です。
※以下スルーセブンシーズのABC評価になります

最終追切 美浦・ウッド・良
5F 65.9-50.6-36.3-11.2


🌟スターズオンアース

4歳牝馬•ドゥラメンテ産駒 美浦•高柳厩舎
鞍上•Cルメール

昨年のクラシック2冠牝馬。今年はGⅠを3戦して未だに勝利がありませんが、デビュー以来11戦全てにおいて馬券内に入っており、安定感は現役屈指。
イクイノックス引退に伴いルメール騎手の騎乗が決まったため、万全を期してGP戴冠を狙いに行きます。
昨年のオークス勝利に象徴されるよう、長距離戦は最も得意とするところ。前走JCでは大外枠を引き絶対的不利と言われた中、ビュイック騎手鞍上で3着に入りました。中山はフェアリーS以来の出走になりますが、コースを知り尽くした鞍上となれば不安よりも期待が勝ります。
特筆すべき点は、前々走のヴィクトリアマイル。この馬には距離が短すぎると下馬評から言われており、実際脚を使い切れず3着に終わりました。今思えばこの一戦でマイルGⅠを経験できたことは収穫だったと思います。この時は後方からの競馬になることを嫌がったルメール騎手が、先団好位につけての競馬を選択しましたが、結果的にスターズオンアースにとって選択できる競馬が増えた気がします。有馬記念は(あくまで枠順によりますが)どういった展開になっても、自在性の高いレースで臨めると思います。あとは昨年も制した鞍上の手腕に任せれば…、自然と期待も高まって来るでしょう。
※以下スターズオンアースのABC評価になります

最終追切 美浦・ウッド・良・鞍上ルメール
6F83.1-66.2-51.5-38.1-11.7 馬なり
セッカチケーン1勝クラスと併せ、0.1秒先着


🎹タスティエーラ

3歳牡馬•サトノクラウン産駒 美浦•堀厩舎
鞍上•Rムーア

Dレーン騎手のたずなに導かれ日本ダービーを制したのが今年の6月、半年が経ち今度は名手Rムーア騎手の鞍上でGⅠ2勝目を目指します。
この馬の最大の特徴はそのレースセンスの高さにあります。また操舵性が高く持久力もあるので有馬記念は最適な舞台と言えるでしょう。
特徴を顕著に表しているのが上りタイム。この馬は逃げ馬でないにも関わらず、上がり3Fで最速タイムを出したことがありません。日本ダービーの際は上りタイムは33.5秒とメンバーの中でも決して早い方ではありませんでしたが、スタートから4角まで終始4番手につけ、見事な差し切り勝ち。また菊花賞(2着)の際には、中団を追走し馬群の中から上がってきました。ドゥレッツァには離されましたが、休み明けいきなりでGⅠを好走しました。
好位を器用に立ち回ることができ、差しの競馬もできる自在性の高さ、中山コースでの実績もあり、距離も射程内…。これといった弱点が見当たりません。当初、堀厩舎が菊花賞から有馬記念を選択してくるとは思ってもいなかったので、というのもGⅠを15勝の堀厩舎ですが中山は不得手でGⅠ1勝のみ、しかし逆に自信の裏返しとも取れます。今年の3歳馬は軒並み低調といわれていますが、この舞台で自らの資質を証明することができるのか、期待してみましょう。
※以下タスティエーラのABC評価になります

最終追切 美浦・ウッド・良
6F 80.9-65.5-50.4-35.7-11.1
サイルーン2勝クラスの内、0.2秒先着


🌅ソールオリエンス

3歳•牡馬 キタサンブラック産駒 美浦•手塚厩舎
鞍上•川田将雅

皐月賞馬。ダービーと菊花賞こそタスティエーラの後塵を拝しましたが、4月の中山で見せたあの末脚はいまだ健在。虎視眈々とGPホースの座を狙っています。ここまで6戦して3勝、3着内を外したことはありません。タスティエーラ同様世代レベルでの物足りなさを懸念されていますが、この2頭は古馬相手でも十分やれると思いますし、2㌔の斤量差を活かしそうな気もします。ただ決め手はあっても基本不器用なタイプの馬なので、外を回した経験しかなく、ある程度展開の助けが必要になってくると思います。そして今回乗り替わりで鞍上になった川田将雅騎手の存在。このトップジョッキーと手が合い、外差しが効く馬場にでもなれば、一気にチャンスの芽が広がってくると思います。
※以下ソールオリエンスのABC評価になります

最終追切 美浦・ウッド・良・鞍上川田
5F 69.2-53.4-38.0-11.2 単走馬なり


🏅タイトルホルダー

5歳牡馬•ドゥラメンテ産駒 美浦•栗田厩舎
鞍上•横山和生

昨年春の古馬王者が、万感の思いを胸にラストランに挑みます。思えば22年春競馬はこの馬の独壇場でした。春の天皇賞と宝塚記念において他馬を圧倒した競馬はクラシック世代には見られないものでした。
ところが秋の凱旋門賞挑戦のプランにより全てが一転。11着に敗れると帰国後も調整に失敗、一年前の有馬記念は9着で年内最終戦を終えました。
23年も一向に調子は上がらず苦戦を強いられてきましたが、前走のJCでようやく復調の兆しが見えると、レース後の陣営から前向きなコメントが聞こえました。
「ここからもう一段ギアを上げれれば…。」
前走は稀代の逃げ馬パンサラッサの存在があったため、番手の競馬を強いられましたが、今回は他に逃げ馬も見当たらず、思い切ってハナを切れれば展開が向きそうです。日経賞で2勝の中山2500mも好相性です。
タイトルホルダーの最大の武器は、自分でレースをコントロールできること。ここにきて調子も上がってきているようで、全盛期の自分でペースを作れる、あの頃の競馬ができれば、何者にも影を踏ませぬ走りを見せる可能性もゼロではありません。数々のラストランを彩ってきた有馬の舞台で、かつての最強馬がドラマを生み出すか、注目しましょう。
※以下タイトルホルダーのABC評価になります

最終追切 美浦・ウッド・良・鞍上・横山和生
5F 64.6-50.6-37.3-11.6 馬なり
ホウオウルーレット3勝クラスに併せ、0.2秒先着


🌼プラダリア

4歳牡馬•ディープインパクト産駒 栗東•池添厩舎
鞍上•Bムルザバエフ

想定2桁人気ながら、スタミナとタフさでいえば出走馬の中でもトップクラスなのがこの馬です。3歳春、青葉賞を快勝後ダービーに挑戦しましたが、5着敗戦となりました。「青葉賞勝ち馬はダービーで勝てない」という有名なデータがある通り、間隔を詰めての東京芝2400mでの連戦はクラシック馬にとって相当な負荷がかかります。そんな中ドウデュースがレコードを叩き出したダービーで掲示板確保は、この馬の素質の高さを示していると思います。その後勝ちきれない競馬が続きましたが、今年の京都大賞典を制覇。GⅡ2勝目を挙げました。
プラダリアの最たる特徴として、叩き良化型であることが上げられます。前述の青葉賞→ダービーだけでなく、目黒記念→宝塚記念→新潟記念→京都大賞典1着と、間隔が詰まっていく中で好走を見せています。そういう意味ではJCで見てみたかった気もしますが、波乱が起きやすい有馬記念主役の座を狙ってきた感もあり、それはそれで楽しみです。
父・ディープインパクト×母父クロフネの血統には同じく叩き良化型のステファノスがいました。また同血統ではレイパパレもおり、21年大阪杯では初GⅠにも拘らず、コントレイル・グランアレグリアを相手に大金星を挙げました。今回の有馬記念でプラダリアが波乱の使者になる可能性も捨てきれません。
※以下プラダリアのABC評価になります

最終追切 栗東・CW・良・鞍上ムルザバエフ
6F 80.3-65.3-51.2-36.7-11.9
 


🎍ドウデュース

4歳牡馬•ハーツクライ産駒 栗東•友道厩舎
鞍上•武豊

最後に1頭、22年のダービー馬を解説して終わりにしたいと思います。
2走前の天皇賞秋当日、イクイノックス対抗の有力候補の一角だったドウデュースでしたが、鞍上武豊騎手の不意の怪我により歯車が狂ってしまいました。前走JCまで代役だった戸崎騎手は本当によく努めましたが、ここで本来の主戦ジョッキーがカムバック、それだけでファンの期待も高まってきています。昨年ダービーの際は覚醒前のイクイノックスをねじ伏せ、一強時代を作る気配まで感じさせましたが、同年の凱旋門賞でやはり調子を狂わせてしまいました。年明けGⅡ京都記念を制したものの、GⅠ勝ち星はいまだなし。それゆえに年末の大舞台にかける気持ちもひときわ強いでしょう。
ただし、最大の懸念点として、前述したとおり昔の秋古馬3冠路線は現代ではもはや幻といっていいほど現実味がありません。天皇賞秋とJCを戦ってきたこの馬にとって、疲労の蓄積は相当なものがあるでしょう。かなり厳しいレースになると予想されます。
それでも日本競馬界を代表する名手とのコンビに、今年最後のどんでん返しを期待するか…。それもまた面白かもしれませんが…。
※以下ドウデュースのABC評価になります

最終追切 栗東・ポリ・良
6F 80.6-63.8-49.0-35.8-11.0 馬なり
アドマイヤソラ1勝クラスの内1.1秒追走・クビ遅れ


ここまで

以上、有力馬の紹介になります。そのほかにも紹介したい馬はいますが、この辺にしておきます。
現時点での森タイツ式本命はジャスティンパレス、スルーセブンシーズ、スターズオンアースまでとしておきます。もちろんこれから変更の可能性もありますし、週末には別途指数表も投稿の予定です。
またあえて今回は急ぎで作り、枠順発表前に公開させていただきました。「有馬記念は枠ゲー」などと近年は言われていますので、今回の記事に明日発表になる枠順を加味して、予想をしていただければと思います。今回はいろいろな試みも加えここまで作成させていただきました。今後も改良しながらお届けできればと思っています。
またここには上げていない有力馬ももちろんいますが、今回は文量のことも考えて1万文字までとさせていただきました。

最後に

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。本当にいるだろうかと思いますが、いてくれたら嬉しいです。
以下、ただの駄文の後記なのでスルーしていただいて構いません。スルーセブンシーズって感じで。

暮れの大一番有馬記念、ということで森タイツ式noteの方もだいぶボリュームがかさみ、いつもの倍くらいの内容になってしまいました。自分自身、相当な熱量で今回の原稿を書き上げました。
競馬の予想には様々な方法論がありますし、馬の力や仕上がりに対する評価も人それぞれだと思いますので、当noteを読んでいただいた方の中には違和感を覚える方も少なからずいらっしゃるかと思います。批判があったらもちろん受け止めます。今後も予想を中心とした投稿を続けるつもりですし、より良い記事を書くため、読んでいただいた方のご意見は素直に受け止めていきたいと思います。むしろどんどんご意見ください。
それから冒頭のポエム…?コラムみたいな文章ですが、これも当初からなんとなーくはじめて今に至るわけですが、意外にも好評というかお褒めの言葉をいただくことが多いのでこれからも続けていこうと思います。ネタ切れにならなければいいのですが…。
また画像使用などもこのままいくと問題になりそうなので、今後別の方のやり方を考えていきたいと思います。

兎にも角にもあと数日でこの一年も終わります。今年から本格的にXをはじめて、その中で知り合った方々にいろいろと競馬のことを教えていただいたりしながらやってまいりました。ご教示くださった方、絡んでくださった方、この場を借りて心より御礼申し上げます。どんな小さなやり取りでも日頃の励みになっています。
これからも真摯に当noteと、Xの方ではいつも通りゆるーいバカな感じでやっていこうと思いますので、ド底辺クズの森タイツをよろしくお願いいたします。あ、あと「森タイツ式指数」も引き続きよろしくお願いします。それではまた来年、と言いたいところですが来週ホープフルSと東京大賞典も記事を書くと思います。じゃあこの挨拶は何なんだよwww笑

…ではまた。


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