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GⅠ天皇賞(秋)

2022年秋の天皇賞、現地観戦。
スタートを送り出したファンの大歓声はしばらくして、どよめきに変わった。
パンサラッサの大逃げで、誰もが予想していなかった展開を迎えた天皇賞。結果は最後の一刺しでイクイノックスが優勝、果敢な逃げをみせたパンサラッサは2着に終わった。ちなみに私の本命ジオグリフは9着。メインだけで2万の負け、撃沈。

レース後、明日のランチをどうやって浮かせようか思案している最中、なぜか晴れやかな気分になっている自分に気づく。
「いいレースを観させてもらった。」
…そんな思いが胸に去来してきた。
見渡せば皆一様に興奮気味に今日のレースを振り返っている。
競馬はギャンブルに過ぎないが、時としてそれを超えるドラマを与えてくれる…。改めてそう思える瞬間だった。

数日前、11年ぶりの天覧競馬が発表された。
舞台は整った。これはただのギャンブルではない。勝ち負けの先にあるストーリーだ。
今年はどんなドラマが、私たちを待っているのだろうか…。

「第166回GⅠ天皇賞(秋)、まもなく出走です。」


はじめに

さ、秋の天皇賞の展望です。
今年は豪華メンバーが集結。とりわけ耳目を集めるのが「現役最強馬」イクイノックスと「ダービー馬」ドウデュースの4歳馬対決。
有馬、宝塚のみならずドバイシーマを勝ったイクイノックスが、昨年ダービー以来となるドウデュースと対戦します。
そこへ本格化をみせるジャスティンパレス、プログノーシスらが迫る…。
他にもGⅠ馬ジャックドール等、多士済々の秋天となりましたが、イクイノックスが不動の中心なのは間違いないでしょう。

コース攻略

外枠不利のタフなコース、シンプルに能力が問われる。

東京芝2000mは1コーナー奥のポケットからスタート。すぐに2コーナーがあるため、外枠はコースロスが大きく不利。
向こう正面の長い直線でスピードに乗るためペースが落ちにくく、逃げ馬は展開に恵まれないと厳しいでしょう。

ポイント
秋の天皇賞は、基本後傾ラップと考えていいです

過去11年で、パンサラッサが逃げた22年とシルポートが逃げた12年以外は、前半1000mが60秒前後、後半1000mが57秒前後、平均して1.5秒~3.0秒の後傾差があります。
昨年のイクイノックスも60.1-57.4でまとめてきてます。
おそらく今年はさほど縦長にならず、平均的な秋天が予想されるため、決め手重視の決着になるのではないのでしょうか…?

今回は下記箇条を勝利条件として、推奨馬を上げていきたいと思います。

・上り33.6秒以内での勝利経験(過去10年全馬に該当)
・非根幹距離での勝利経験(過去10年9頭に該当)
・前走がGⅠもしくはGⅡに出走(過去10年全馬に該当)
・斤量58キロでの勝利経験が欲しい

4項目のうち、先に挙げた3項は特に重要だと思います。

それでは推奨馬を発表していきます。

本命推奨馬


◎イクイノックス

4歳牡馬・キタサンブラック産駒 美浦・木村厩舎 鞍上・Cルメール

LONGINESワールドホースランキング1位。文句なし大本命。
8戦して6勝、敗れた皐月とダービーは僅差の2着、目下GⅠ4連勝中と現役最強は伊達ではありません。
ほぼ死角は見当たらず、自らレースを作ることもできますし、末脚も確かなので展開は不問。鞍上の東京芝2000の連対率は約50%。府中での戦い方を熟知しています。秋GⅠの大目標は賞金5億円のJCが濃厚ですが、仮に8~9割の仕上がりでも馬券内を外すイメージは考えにくく、この馬を本線として以下対抗馬を推奨していきたいと思います。

対抗推奨馬

〇プログノーシス

5歳牡馬・ディープインパクト産駒 栗東・中内田厩舎 鞍上•川田将雅

ディープインパクト産駒のなかでも最後の大器が本格化。3歳3月までデビューが遅れ、2戦目の毎日杯でも賞金加算に失敗。そのまま埋もれていってもおかしくない状況下で、着実に勝ち星を重ね、GⅠ奪取のチャンスまで漕ぎつけました。前走札幌記念では重馬場を苦にせずGⅠ馬を含む強豪たちをねじ伏せました。
近年の秋天は春のGⅠ戦線から直行した馬が勝っています(過去4年)。かつてのトレンドだった毎日王冠組は2014年以来勝っていません。
では夏重賞および秋緒戦で勝った馬に勝ち目がないのか、というとそうでもなく、先述した通り本命イクイノックスの大目標は来月のJCだと思われますので、JCではなく本レースを目標に仕上げてきた馬に勝利の可能性を見出したいと思います。
川田将雅騎手が騎乗した際のプログノーシスの成績は勝率100%(?!)、さらに鞍上の本年129勝のうち中内田厩舎とのタッグが25勝とトップで、勝率34.7%、連対率45.8%と驚異的な戦績を残しています。
(この数字だけ見ればルメール×木村厩舎×イクイノックスと遜色なし。むしろ上。)
5歳を迎え、種牡馬入りを視野に入れるプログノーシスにとって、このレースを絶対に獲りに来るだろうという意欲は高く、先週の菊花賞を獲れなかった社台RHにしてみても、今年の重賞10勝目を伝統のGⅠでものにしたいと思っているはずです。「打倒ワールドーホース」という本気度をどの馬よりも感じ、対抗筆頭とします。

単穴推奨馬

▲ドウデュース

4歳牡馬・ハーツクライ産駒 栗東・友道厩舎 鞍上・武豊

昨年のダービー馬、想定2番人気。
ダービーではイクイノックスに勝っており、あの時以来の再戦となります。
11年ぶりの天覧競馬となり、この好カードに競馬ファンのボルテージ上昇は必至。とはいえ上記2頭に比べると不安材料が多く、今回は3番手の評価といたします。
まず周知の事実ですが前走ドバイターフは左前肢跛行のため直前で出走取消。復帰いきなりで強敵との再戦で体調は万全なのか?
また必須条件にあげた上がり33.6秒以内での勝利がなく、確かにダービーと京都記念の走りは圧巻でしたが、後者はメンバーに恵まれた感は否めなく、上がり勝負では◎〇の2頭と、この後紹介するダノンベルーガに劣る可能性もあります。
とはいえダービーで披露したあの瞬発力こそがこの馬の魅力。海外での敗けで見失いがちですが、国内では阪神・中山・東京を走っていまだ馬券内を外しておらず、体調面さえベストであれば当然勝ち負けになるはずです。
加えて、ハーツクライ産駒は東京向きで血統面でも高く評価できます。

ここまで

ここまで書いてやはり今回はほぼ人気通り、特に上位3頭に関しては着順差はあれど、かなり堅いのではないかと思います。
そんなことを踏まえて、連下推奨の2頭(といっても人気どころ)を解説して今回の記事を締めたいと思います。

連下推奨馬

△ジャックドール

5歳牡馬・モーリス産駒 栗東・藤岡厩舎 鞍上・藤岡佑介

前走は重たい馬場でこの馬には向かないスタミナ決着となった感があり、参考外としても問題はないと思います。むしろ前々走の安田記念、初のマイル重賞挑戦での走破タイムが1分31秒7(前34.5-後34.0の後傾ラップ)とかなり優秀で、ここを評価すべきではないでしょうか。勝ったソングラインに対しては0.3秒差と、5着に敗れはしましたが、着差以上に競っていた印象でした。前残りの競馬の印象が強い馬ですが、番手の競馬もできますし、安田記念をみても終盤にしっかりと脚を使うことのできる万能型だと思います。
乗り代わりによる鞍上弱化笑などマイナス要素も見受けられますが、調教も良く、外枠からストレスなく走れるので、得意の2000mをベストの状態で挑めば、上位進出があっても何らおかしくないと思います。

△ダノンベルーガ

4歳牡馬・ハーツクライ産駒 美浦・堀厩舎 鞍上・Jモレイラ

札幌記念に続きモレイラ騎手鞍上で東京の大舞台に臨みます。
ドウデュースと同じくハーツクライ産駒で、ダービー馬になったドウデュースだけでなく、ジャパンCを勝ったシュヴァルグラン、スワーヴリチャード、今回と同じ天皇賞秋を勝ったジャスタウェイとその血統は間違いなく東京向き、本馬も新馬戦から共同通信杯と東京を2連勝しており、昨年は当レースで3着と、得意の左回りで好走を続けています。あの時の上りタイム32.8はイクイノックスの32.7に続き全体の2位。最後の直線では前が壁になる不利もあったので、あれがなければ…とタラレバもよぎってしまうナイスランでした。
とはいえ、3歳春以降から勝ち鞍がなく、毎回後方からの競馬という一本調子でここまで走ってきているので、展開に左右されるのは間違いないでしょう。若干前がバタついて、展開が向けば……。といったところでしょうか。
余談ですがレース前の合同会見の際、堀厩舎は「仕上がりがイマイチだ。」といった主旨の発言をしていましたが、あまり当てにしないほうが良いと思います笑
むしろ、2018~23年の統計において、堀厩舎管理馬の東京芝2000m連帯率は54%超。"東京芝に堀厩舎あり"です。今回は下位人気ヒシイグアスとの2頭出し。侮らない方が良いのではないかと、そんな風に思います…。

最後に

以上、今回は本命サイドに偏る、とくに捻りのない記事になってしまったかと思います。上位馬の実力は確かで、穴馬の台頭は少々考えづらいです。まあそんなこともあります。
11年ぶりの天覧競馬ということで、競馬ファンのみならず世間の注目をいつも以上に浴びる大レースになりそうな予感がします。どの馬が勝っても後世に語り継がれるような、冒頭に書いた素晴らしいドラマになるような、そんな期待を抱いてわたくし森タイツは現地観戦してまいります…!
時間があれば観戦した感想、日記?みたいなものも書けたらなあ、なんて思っています。…では。




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タイツ・競馬ライター【無料予想と馬のお話】
いつかプロライターになることが目標です