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GⅠチャンピオンズカップ
序文:流砂の行き先
生真面目を通り越して堅苦しく、気が利かない対応をする人のことをよく「融通の利かない人だ」などといったりするが、「融通」とは本来、仏教の用語として端を欲している。「融通」を辞書で索引すると「金銭などに余裕があること」の他に「 臨機応変にうまく処理できる」という意味が解説される。これを語源に遡り、仏教的な意味合いで「融通」を解説してみるとこうなる。
別々のものが、融け合い、通じ合い、両方相まって完全になること。融通無碍。混同して差別がなくなるのを融といい、通達して障りなくなるのを通という。一切の法をみな肯定して、小執を排除する般若の立場を融通淘汰という。
「融通無碍」(ゆうづうむげ)
「碍」という一字は「妨げになるもの」という意味で、これが「無」であるからして「妨げになるものが無い」という意味になる。従って融通無碍とは何者にも捉われず、自由闊達としていることを指す。だが"逆もまた真なり"で、自由であるからこそ、この世のすべての事象には隔たりがなく、万物は皆一つに繋がっていて、互いに影響しあっているのだ、という風に考えることが出来るだろう。
「融通無碍」は、本来は仏教の経典のひとつである「華厳経」の教えが由来となっている。華厳経は華厳宗という宗派の経典で、華厳宗とは中国の唐から伝えられた大乗仏教の宗派のひとつである。
長く奥行きの深い華厳の教えをここで詳らかにすることは叶わないが、端的に言えば、人の心とは「水のようにあること」を理想としている。
水には決まった形がなく、カップに注げばその形になり、その場に応じて姿かたちを変えていく。また水はひとたび流れ始めれば、いかなる障害物にぶつかろうとも苦にすることなく、形を変え流れ続ける。
人の心の形も同様で、水のようにあれば滞ることなく、自らの歩みをスムーズに進めていくことができる。つまり、一つの見方考え方に捉われるのではなく、自由自在にものを見、考え方を変え、より良く対処していくことが肝要なのである。
さて今から遡ること20年前、一頭の牡馬が生まれた。その血筋を見込まれ、クラシックロードへと挑戦をしたその馬は不甲斐ない結果に打ちひしがれた。再起をかけ、もう一度走りだした彼は、やがて自分の居場所を見つける。まるで水が流れるように、一所に留まることなく、自由闊達と走り続けた先に、彼は誰も達したことのない境地へとその身を届けた。
馬の名はヴァーミリアン。
07年ジャパンカップダートを制覇。
獲得賞金額11億円
ダート競馬史に残る不滅の金字塔を打ち立てた。
ヴァーミリアンは2004年、北海道は早来町にあるノーザンファームにて生まれた。ノーザンファームは日本競馬の中心を担う社台グループに属する牧場で、94年に社台ファームが分割したことにより「社台ファーム早来」から「ノーザンファーム」へとその名称を変えた。2024年現在も、日本最大のサラブレッド生産牧場として、多くの優駿を輩出し続けている。
ヴァーミリアンはノーザンファームのクラブ法人、サンデーレーシングの所有馬として、栗東所属の石坂厩舎に入厩した。
サンデーレーシングといえば、オルフェーブルやジェンティルドンナに代表される、黒地に赤十字、襷模様の勝負服でおなじみの超有名オーナークラブである。設立は2000年と歴史は浅いが、元々は88年に発足した愛馬会法人「有限会社サンデーサラブレッドクラブ」が前身となっており、92年にレッツゴーターキンが天皇賞秋を制覇して以来、中央競馬のターフに有力馬を送り続けてきた。ヴァーミリアンが生まれた04年はサンデーレーシングになってからまだ4年目だったが、この年はブランディスが中山大障害、デルタブルースが菊花賞を制覇と、立て続けにGⅠ勝利を挙げており、新興企業として結果を出し始め、揺籃期を抜けた時代だった。
ヴァーミリアンの父はエルコンドルパサー。98年にNHKマイルカップとジャパンカップを制し、翌99年に仏・凱旋門賞で2着に奮闘した、いわゆる「98世代」を代表する稀代の名馬である。母の名はスカーレットレディ。スカーレットインクから連なる「スカーレット一族」の一頭で、ヴァーミリアンの他、サカラート、キングスエンブレム、ソリタリーキングなどの重賞馬を輩出している。特に初仔のサカラートは、米GⅠを制したアフリートの間に生まれた仔で、後に東海Sなど重賞4勝を挙げる活躍を見せた。
ヴァーミリアンは兄サカラートと同じ厩舎、栗東の石坂正厩舎に預けられそのキャリアをスタートさせることになる。
ヴァーミリアンが厩舎にやって来た02年、石坂厩舎はまだ開業4年目の新興勢力だった。とはいえ、既にこの時ダイタクヤマトでスプリンターズSを制しており、GⅠ勝利を飾った実績があった。石坂にとってヴァーミリアンは、厩舎が上り調子になって来た時に巡ってきた大きなチャンスといえた。
話をもらいノーザンファームへ会いに行ったとき、石坂は一目見てその馬のことを気に入った。黒く大きな馬体、幼駒とは思えないほど精悍さに溢れていた。父はあのエルコンドルパサーである。石坂の直感が告げていた。「この馬でクラシックに挑戦できる」と。
04年京都の新馬戦でデビュー、鞍上に武豊を迎え盤石の布陣でスタートを切った。単勝2番人気だったが、上がり33.8秒の末脚で2着に3馬身半の差をつけて勝利した。2戦目、3戦目と続けざまに2着に終わったが、4戦目の重賞初挑戦となったGⅢラジオたんぱ杯2歳Sでは、シックスセンス、ローゼンクロイツ、アドマイヤジャパンといった後の重賞馬たちを次々と交わし、鮮やかな勝利を収めた。
ここまでは上々、むしろ順風満帆といってもいいほどの滑り出しだった。新興有力クラブに買われた良血統馬、クラシックを獲るに相応しい走りを見せていた。管理調教師の石坂も自信を持ってヴァーミリアンを3歳春の戦線へと送り出した。
春の初戦はスプリングSを選択、鞍上は北村宏司だった。2歳戦まで主戦を勤めていた武豊にはディープインパクトがいたため、3歳時のヴァーミリアンへは一度も騎乗していない。とはいえ、これが陣営にとっての誤算だったかというとそんなこともなく、誰が乗っても調教では力強い試走を繰り返していた。
この世代の中心には早くから期待を掛けられていた、サンデーサイレンス産駒のディープインパクトがいたが、ディープの調教時にその走りについて行ける馬は、同世代ではヴァーミリアンだけだったと言われている。ディープは2歳デビュー戦の時から衝撃的な走りを見せ続けていたが、石坂はヴァーミリアンであればディープインパクトにも勝てるのではないかと、淡い期待まで抱いていた。
さて春のスプリングSでは2人気に支持されたヴァーミリアンだったが、レースでは良いところがなく14着と大敗を喫した。全くと言っていいほど直線で伸びなかった。
敗けた主たる要因を掴めないままクラシック一冠目の皐月賞に臨んだが、ここでも伸びを欠き12着に敗退。2歳時にみせていた鋭い末脚は完全に鳴りを潜めていた。ライバルと密かに自負していたディープインパクトは皐月賞をあっさり快勝、この時点で大きく水を開けられてしまった。
ダービーをあえなく回避。そのまま夏を全休に当て、秋初戦に選んだ京都新聞杯でも12着敗退。心機一転で鞍上に名手・福永祐一を迎えた神戸新聞杯でも、さしたる変り身を見せることなく10着に惨敗してしまった。
4戦連続2桁着順と、この頃には競馬ファンやメディアもディープのライバルなどとは呼んでくれなくなっていた。管理をしている石坂本人も頭を抱えた。ヴァーミリアンには何の故障も発生していなく、すこぶる体調の良い状態を維持できていたからだ。「一体どうしちまったんだ」というのが素直な気持ちであった。
ここで石坂は思い切った舵を切ることにした。ヴァーミリアンをダート路線で使うことに決めたのだ。決めた、といっても容易なことではない。多数の出資が集うクラブ系法人の難しいところで、ダービー回避の時もそうだったが、出資者の中には菊花賞やその後の芝重賞に使って欲しいという声も多くあった。調教師の一存で、とは当然いかない。
芝で勝てなくなったからダートを走らせる。現実から逃げているようにも捉えられる選択には懐疑論が向けられたが、それでも石坂は周囲を説得しヴァーミリアンをダートで走らせることを主張した。"芝で勝てなくなったから"だけではないのだと。
この主張にはヴァーミリアンの半兄・サカラートの存在が大きかった。同じスカーレットレディの仔としてこの年に東海S、ブーリーダーズゴールドC・日本テレビ盃とダート重賞で3勝挙げており、芝からダートへの路線変更に成功していた。
05年10月、ヴァーミリアンは京都で行われたOP・エニフSへ出走。鞍上は武豊に戻っていた。そしてハナ差ではあったがこのレースに勝利すると、続く11月のJPNⅡ浦和記念も勝利。ダート転戦後2連勝を飾ることが出来た。…この勝利に誰よりも安堵したのが石坂である。
「とりあえず勝てて良かった」
疑いの目を向けられていた、プレッシャーの日々から少しだけではあるが解放された。
こうしてヴァーミリアンはデビュー2年目にして、ダート馬として新たなスタートを切ったのだった。
晴れてダート馬となったヴァーミリアンだったが、ここから栄光に彩られた道を邁進していったかというと、そう簡単にはいかなかった。
06年、3年目を迎えた初戦はGⅢ平安ステークスからスタート。昨年からの使い詰めによる調整不足と、当日は落鉄によるトラブルがあったものの、直線では鋭く脚を伸ばし2着に入線した。
しかし次走のフェブラリーSでは、主戦の武豊がカネヒキリに騎乗したためC・ルメール鞍上で臨むも、そのカネヒキリに先を許し5着に敗れた。カネヒキリはヴァーミリアンと同年の02年生まれの馬で、金子真人所有馬であったことと、その戦績から「砂のディープインパクト」と畏怖されていた。後年目覚ましい結果を残したヴァーミリアンだったが、この馬に先着したことは生涯一度もない。
結局ダート路線に舵を切り直し、新たな挑戦を始めたこの年は、交流GⅢ・船橋のダイオライト記念と名古屋グランプリに勝利しただけで、大一番のジャパンカップダートでは同厩舎のアロンダイトに敗れるなど、思っていた以上の成果を残すことはできなかった。
翌年正月、調教師の石坂はサンデーのオーナーサイドにひとつの打診を申し出ていた。
「2月の川崎記念に勝ったら、ドバイに遠征したい」
これにはオーナーサイドも少々首を傾げざるを得なかった。確かに年末の名古屋グランプリには勝利したが、その前のジャパンカップダートは敗退している。重賞勝ちの馬とはいえ交流重賞、それもJPNⅡレースを3勝しただけの馬である。川崎記念はJPNⅠで地方交流重賞の中では最も格付けの高いレースの一つ。確かにドバイの前哨戦として位置づけられているが、しかし大きく出たな。率直に言えば「調子に乗るな」といったところだった。
一方の石坂も、ただ何の考えもなしに大目標を掲げていたわけではなかった。昨年は目標にしていたGⅠレースこそ勝てなかったが、一年間ダートに挑み続け確かな手応えを感じていた。敗けたレースは落鉄などの不利も重なっていたし、この時はヴァーミリアンの先輩にあたる馬たちが先にJPNⅠへの出走枠を抑えていたため、格下の重賞へ出走せざるを得ないという、いわば「順番待ち」のジレンマを抱えていた。そんななか着実に結果を残してきたのだ。出走するチャンスさえ叶えば、地方交流GⅠなら勝てると踏んでいた。
結果として1人気に支持されたヴァーミリアンは、地方の有力馬アジュディミツオーとの一騎打ちを制し、ここに勝利を収めた。その後、目論見通りドバイからの招待状を受け取り、初の海外遠征を果たす。
日本とはなにもかもが異なる環境に戸惑い、初のドバイ遠征は4着だった。国際GⅠの舞台でまずまずの結果、と言いたいが7頭と少頭数でのレースだったため、石坂のなかにはもやもやが残る結果となってしまった。それでも帰国してから心機一転、秋の重賞へ向け新たな準備が始まった。
10月大井で開催されたJBCクラシックは、鞍上を武豊に戻し地方競馬の雄・フリオーソとブルーコンコルドを破り勝利すると、翌月のジャパンカップダートでは前年の雪辱を晴らす快勝。中央GⅠ初制覇を達成した。さらに年末の東京大賞典へ出走するとここでも勝利。フリオーソとブルーコンコルドに全く仕事をさせなかった。
これでドバイ遠征を挟み、国内GⅠ4連勝。ヴァーミリアンはこの年その素質を一気に開花させ、押しも押されもせぬダート重賞のチャンピオンホースとして輝きを放ったのである。
翌年6歳を迎えたヴァーミリアンだったが、馬体は充実期を迎え、その勢いを止めることの出来る馬は、誰もいない状態になっていた。
昨年同様に川崎記念を念頭に調整を進めていたが、フレグモーネによるアクシデントにより出走を断念。それでも3週間後のGⅠフェブラリーSに出ると、ここを圧勝。復活を期していたブルーコンコルドに2馬身差をつけていた。故障明けとは思えないその走りでGⅠ連勝記録をさらに伸ばしていた。
絶頂期を迎え、2年連続のドバイWCに挑戦した。だがここでは出走直前に、愛用していた日本製の蹄鉄が使用不可になるなどのトラブルに加えて、レースではスタートを決め見せ場を作るも、道中は馬群に埋もれ砂を被されるなどの展開の不利もあり、最下位の12着という存外な結果に終わってしまった。日本の砂場は全て支配したヴァーミリアンも、海外での実績は最後まで実らないままだった。
帰国後は前年を踏襲し、夏は全休に充てられ、秋の大一番JBC連覇に向け調整が進められた。その年は園田競馬での開催となったが、1人気に支持され、サクセスブロッケンを破り連覇を果たす。次走ジャパンカップダートからの東京大賞典という、昨年と同じローテーションが組まれたが、2戦とも復帰したカネヒキリに敗れ、国内連勝記録はストップしてしまう。ただそれでもGⅠを2勝という大きな戦果を収め、この年を終えた。
ダートホースとして確固たる地位を得てからというもの、ヴァーミリアンはGⅠレースのみにターゲットを絞ってローテーションを組んできていた。GⅡ重賞に顔を出せば確実賞金を稼ぐことが出来たはずだが、チャンピオンホースとして矜持と言えばいいのだろうか、石坂はGⅠの出走にこだわっていた。この点に関しては確執を繰り返してきたオーナーサイドからも深い理解を得ることが出来ていた。石坂は一戦一戦を噛み締めながら、ヴァーミリアンが自分らしい走りができる環境づくりに注力していった。
09年、7歳になってもヴァーミリアンの飽くなき挑戦は続いた。2月のフェブラリーSは、早い流れについていくことが出来ず6着に敗れた。武豊騎乗時においては初めて連対を外すことになった。
流石に衰えが見え始めたのか、限界説がささやかれ始めたが当の本人はどこ吹く風。ヴァーミリアンは6月の大井競馬帝王賞に勝利し、11月今度は名古屋で開催されたJBCクラシックで3連覇を達成。その実力がいまだ健在であることをアピールした。これでGⅠ8勝、いわゆる地方交流JPNⅠを含む勝利数であるが、この時点での「8」はJRAにおけるGⅠ最多勝記録である。
続くジャパンカップダートで8着、東京大賞典では2着と前年までのような結果を残すことはできなくなったものの、石坂もサンデーレーシングも一歩も引かず、最後までGⅠ重賞へこだわり続けていた。
年明け8歳を迎えたヴァーミリアンの初戦は川崎記念。例年通りのローテーションだった。鞍上は武豊、デビュー時から数えて20戦以上この馬に騎乗してきた。陣営もそうだが、この歴戦のジョッキーもまた馬のキャリアに終わりが近づいてきていることを察していた。
武豊はそれこそ同時期に活躍したディープインパクトや、ダート馬に限ればカネヒキリら数々の名馬の背に跨ってきたが、ヴァーミリアンにもまた特別な思いを抱いていた。
「良く走ってくれている」
ありきたりな言葉だが、こんなセリフは彼にこそ相応しかった。
暮れなずむ川崎競馬場、武は時折訪れるこの川崎の景色が好きだった。中央にはない、地方独特の雰囲気を感じることが出来た。
ヴァーミリアンと見た景色はここだけではない、東京、大井、川崎、名古屋、園田。そして海外まで一緒に行った。彼は何処にでも着いてきてくれた。そして、どんな時も期待に応えてくれた。
ラストランが間近に近づいてきている。自分が有終の美を飾ってやるのだ、今までの走りに報いるために…。
全盛期の走りに比べれば陰りが見えてきているのは明らかだったが、競馬場に訪れたファンも皆一様にこの馬に特別な敬意を払っていたに違いない。当日は1.3倍の単勝オッズで1人気に支持されていた。
レースは2人気のゴールデンチケットを早々に突き放し、3人気で前で粘り込みを図るフリオーソを直線で捉え、クビ差で勝利をもぎ取った。
これによりGⅠ勝利数は「9」を数え、この時点での歴代最多勝を更新した。また直線で地方の英雄フリオーソと共演した叩き合いは、コースレコードを更新していた。
6月連覇をかけて挑んだ大井・帝王賞は、2人気に支持されるもサクセスブロッケンの9着に敗戦。年内最後、GⅠ勝利数「10」をかけて臨んだジャパンカップダートでは、自己最低着順である14着に敗れると、陣営はヴァーミリアンの走りに踏ん切りをつけた。
後日引退を発表すると、同年12月18日に阪神競馬場で引退式が行われた。
当初はその血統を買われ、芝のクラシック候補として期待されていた一頭。困難にぶち当たっても、諦めることなく歩みを、走ることを止めはしなかった。やがて自身に相応しい、新たな居場所を見つけると、そこから日本中を、時には世界を駆け巡り、今なお破られることのない不滅の金字塔を砂の上に打ち立てたのだった。
ヴァーミリアンのGⅠ/JPNⅠ勝利数「9」は後にホッコータルマエの10勝、コパノリッキーの11勝に追い抜かれはしたものの、歴代3位に残る大記録である。また引退時までに獲得した賞金総額約11億6千万は、ダート競争における歴代1位の金額だ。
さらにヴァーミリアンは2歳時のラジオたんぱ杯2歳Sから引退年の川崎記念まで、8年連続でJRA認定重賞に勝利しており、これも未だ誰にも抜かれていない大記録である。
そして日本中を流れる水が如く駆け巡り、川崎競馬場・大井競馬場・東京競馬場・園田競馬場・名古屋競馬場の5つの競馬場でGⅠ/JPNⅠ勝ちを収めている。グレード制導入後5つの競馬場でGⅠ勝利を挙げた馬はヴァーミリアンが初めてで、これは現在でも日本競馬史上最多タイ記録である。
冒頭で紹介した華厳経の教えである「融通無碍」。なにものにも妨げられることなく、自由闊達と走りまわった一頭のダート馬、ヴァーミリアンほどこの言葉が相応しい馬はいないだろう。たとえ傷ついても、どれほど老いてもなお、砂塵の荒野を流れる流水、いや流砂の如きその走りを自ら止めることはなかった。
融通無碍の精神とは、流れる水のように自由気ままに、妨げるものが無く動き回ることを理想としている。一方でこれは "この世にあるものはすべてつながっていて、互いに作用しあう影響下にいる" ということを示唆する考え方でもある。
人と人、人と動物、人と自然、すべてのものが融通、自由に行き来をして、そして、妨げることなくこの世の中に存在している状態こそが本来の理(ことわり)であり、理想でもある。
それでも人はいつの間にかその心の内側に枠を作り、境界を引き、自己とそれ以外を引き離して捉えてしまいがちだ。心も身体も、自由に行き来するようなことは制限される。当たり前のことだろう、しかし本来は同じ世界に生まれて、同じように命を育んでいる者同士。いつでも自由に、そして境を作ることなく往来をし、支え合い、交わり合って生きていきたい。
たかが馬一頭の物語に何を大仰な、と思うかもしれない。だが今回の物語を追うにあたり、その力強い自由な走りに改めて魅せられ、胸の内にそう感じたのも事実である。
巻き起こる砂塵の向こう側、
今日も馬たちは駆けていく。
自由に、誰にも妨げられることなく。
その先にある未来に向かって…。
「GⅠチャンピオンズカップ、まもなく出走です」
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17年に種牡馬引退、ノーザンホースパークで乗馬に。
24年疝痛のため死去、ダートの王者よ安らかに。R.I.P
はじめに~冬のダート王決定戦~
お疲れ様です。いつもご愛読いただいている方も、たまにしか読まない方も、初めて読んでくれた方も、ありがとうございます。毎週言っておりますが今週もまた言うことになるとは…。
一週間まじ早え(;゚Д゚)
あっという間に12月ですね、本当に早いものです。
先週のJCは如何でしたでしょうか?
ドウデュース圧巻の走り。凄すぎました。
当noteでももちろん推していましたし期待していましたが…。
まさかルメールのチェルヴィニアが飛ぶとは…。
展開が向かなかったとはいえ、かなりショックでした。最近ルメール騎手はGⅠ戦線では不発が多いですが、どうなのでしょう?もちろんね、トップ騎手としてのプレッシャーは半端ないと思いますが、今週はどうなのでしょうか?
その辺も踏まえてここからは週末に控えるダートGⅠチャンピオンズカップも予想をお届けしたいと思います。今年も残すとこ1か月、馬券的にも良い形で年の瀬を迎えたいですね(;^ω^)
舞台は中京ダート1800m
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スタンド前、正面左寄りの地点からスタート。向こう正面から4コーナーにかけての下りで、前に行った馬が息を入れるため、逃げ先行馬がそのまま粘り込むケースが散見されます。内枠の逃げ・先行馬は有利に立ち回れるので注目しておきましょう。最後の直線には急坂が待ち構えていますので、こなせるだけのパワーが必要とされます。馬格のある馬に注目です。
馬場が渋ると前残り傾向はより顕著になります。先行争いが激化してペースが流れないと追込みは決まりづらく、軸にするならやはり先行脚質の有力馬がおすすめです。
昨年のレースを振り返る
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勝ったのは1番人気のレモンポップ。大外8枠を不安視する声もありましたが、ハナを切ったあとにマイペースでレースを作り、そのまま押し切って優勝。若きエースジョッキー、坂井瑠星騎手の好判断が光りました。
レモンポップは前半5Fを60秒9のペースで逃げながら、最終はメンバー2位となる37秒3の上りで快勝を決めました。フェブラリーSとの春秋制覇を達成しました。
2着は猛烈な追込みをみせたウィルソンテソーロが12番人気から激走、鞍上は原優介騎手でした。3着には9人気のドゥラエレーデが入線。前走セントライト記念からダートに臨戦の3歳馬。1人気の勝利であっても馬連29,040円、3連単は100万超えの波乱決着となりました。
さあ今年はどうなるでしょうか…?
砂のレースもTOPIC5で
ではここから、そこそこ役に立つと専ら噂になっている過去10年データを引用した。注目のデータTOPIC5選をご紹介したいと思います。
📝1番人気の成績は?
毎週挙げておりますが、今回の1番人気の過去十成績は【3-3-0-4】で連対率60%とまあまあの信頼度。馬連、3連系の馬券が高配当になるのは相手に人気薄が来るからで、1人気はそれなりの確度で推せると思います。今年は昨年の春秋覇者レモンポップになるでしょう。引退を表明しており、ファンの期待も大きいと思います。
1人気から馬券外に飛んだ4頭はそれぞれ…
14年・15年コパノリッキー、20年クリソベリル、22年テーオーケインズです。クリソベリルとテーオーケインズは単勝1倍台。圧倒的1人気であっても疑う必要はありそうです。
📝人気馬が必ず連対中!…そのお相手は??
過去十では必ず3番人気以内の馬が連対を継続中です。仮に1人気が期待を裏切ったとしても、2・3番人気は2着以内に来ることが前提になっています。軸にするのは1~3人気の内の一頭、という考え方が妥当だと思います。一方、6人気以下の馬が連対したことは過去10年で6回あり、昨年は12人気のウィルソンテソーロが2着に入りました。相手には思い切って人気薄を絡めていきたいです。過去10年において1・2人気で連対決着したのは、19年のクリソベリルとゴールドドリームでフィニッシュした1回のみです。
📝問われる資質は「ダートGⅠ実績」
過去10年の連対馬20頭のうち、14頭にダートGⅠ勝ちの実績がありました。ダート馬は芝以上に好不調の波に左右されやすいので、前走好走し、且つ過去ダートGⅠで実績を残した有力馬をチョイスしたいところです。上記14頭以外の6頭ですが、内1頭にGⅠで2着の経験がありました。GⅠでの連対経験のない5頭は前2走以内のダートGⅢで好走をしていました。
GⅠ未勝利であっても、シリウスSかみやこSで良い走りをした馬は有力候補になり得ます。
📝穴狙いの若君へ
過去十において6番人気以下から連対した回数は、先述した通り6回ありました。で、6人気以下から馬券内に入った馬になると、過去10年で12頭います。この内8頭が前走で重賞を走り、且つ5着以内の成績を残していました。穴狙いの方はここに妙味を見い出すべきで、昨年を例に挙げるとすれば2着に激走したウィルソンテソーロは前走JBC5着からの臨戦でした。
ダート重賞は前走、前々走の好走履歴が重要になってきますが、前走5着までの負けは許容範囲とみなし、前走重賞で連対を外し3~5着に敗れた馬を相手候補にする作戦が非常に面白そうです。
うーーん、わかりやすい解説だ笑
📝脚質は先行2・3番手からだが…
逃げ馬は【1-0-3-6】で昨年1番人気、不利枠の大外から華麗に逃げ切ったレモンポップ1頭のみです。逃げ馬はよほど傑出した能力差がないと難しいかと思われます。最も連対経験が多いのが先行脚質で、過去10年で7頭います。この内5頭が道中2~3番手につけていたので「逃げるのは難しいが前につけないと厳しい」という見解が模範解答でしょうか。
一方差し脚質6連対、追込み脚質6連対と後方からの競馬も決まっています。中京ダート1800mは統計的には圧倒的逃げ先行有利ですが、そこはGⅠレースということでスピードを有した実力馬の末脚も炸裂しています。
流れてタフなレース展開になれば余計のこと後続勢に期待がかかりますので、展開予想はより重要になってくるでしょう。
追込みから連対した6頭は3~12番人気で、下位人気の馬が非常に多いです。昨年のウィルソンテソーロが良い例ですね。
そのウィルソンテソーロもそうでしたが、内をロスなく回って直線外から一気に差してくるケースが多く散見されますので、過去の履歴の中で、最速上がりで勝利もしくは連対経験を果たしたことのある馬を、事前にピックアップしておきましょう。
📝その他の特注データとなります
以上ですが、その他の特注データとして
①関西馬
②キングカメハメハ産駒
③当日1~6枠推奨
を列挙させていただきます。基本的な事ですが…。
時間のない若君へ向けた画像
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森タイツ式推奨馬のご紹介
ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ホッと一息、ここからはイラスト付き恒例の推奨馬解説です。上位人気馬+αで穴馬の推奨となります。多少でもね、参考になればと思います。
JBC戴冠の勢いそのままに
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前走のJBCクラシック(佐賀)で待望の地方交流GⅠを初制覇。勢いそのままに参戦のウィルソンテソーロです。
思えば昨年のチャンピオンズCでは原優介騎手騎乗で12番人気から2着に激走。続く東京大賞典も2着、年明けフェブラリS、ドバイ遠征ではほどほどの成績でしたが帝王賞・コリアCで2着に続くと、前走佐賀で行われたJBCクラシックで初のGⅠ級競走を制覇。川田騎手は地元凱旋で、故郷に錦を飾ることが出来ました。
ウィルソンテソーロはキタサンブラック産駒、近年はイクイノックス、ソールオリエンスに代表されるよう芝重賞で活躍する馬が多いですが、ダート路線も豊作で、本馬の他には同レースに出走するガイアフォースらがいます。
ダート路線での産駒の活躍は、1勝クラス以上で距離は1600m~左回りを得意とする馬が多いのが特徴です。ウィルソンテソーロは昨年同レースで2着に入っており、血統的なコース適正は問題なしといえるでしょう。
馬場状態への適正も不問です。良~稍重なら全く問題ないと思います。
なかなかGⅠ(JPNⅠ)では結果を残すことの出来なかったウィルソンテソーロですが、ここに来て馬体も完成され、満を持してのJBC制覇。鞍上川田将雅騎手は「まだ奥行きがある」と自信を覗かせます。
昨年末は他馬に騎乗していた川田騎手ですが、地方でJPNⅢを3連勝していた時には主戦を勤めており、この馬のことをよく理解していると思います。なによりダートでの戦績は現役の中でも屈指の存在で、芝中長距離ではルメール騎手に一日の長がありますが、先行意識の高い川田騎手の積極騎乗はダートでこそ輝きます。中京競馬場も得意の舞台としており、過去5年データでは中京ダート1800mで勝率25%・連対率に至っては45%を超える驚異的な実績を残しています。チャンピオンズCでは19年にクリソベリルで制覇していますね。
充実期を迎えたGⅠ馬と、ダートの最強騎手のコンビで砂の王座戴冠へ、優勝待ったなしです。
万感の想いを胸にラストラン
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昨年JRAダートGⅠ春秋制覇、今年JPNⅠ盛岡南部杯連覇と、国内では現役最高の実績を誇る現ダート王者・レモンポップが連覇をかけて出走です。
昨年の当レースでは過去連対記録なしの大外枠から、果敢にハナを切るとそのまま逃げ切り。圧巻の走りを見せつけました。あれから1年、馬体に多少の陰りは見え始めましたが、その実力は未だ一線級のレモンポップ。今回ラストランを表明しており、引退を賭け昨年制した舞台に戻ってきました。
レモンポップは Lemon Drop Kid 産駒。海外血統なのであまり馴染みはありませんが、日本でもレモンポップ以外の産駒は何頭かいます。とはいえ重賞勝ちの実績があるのは本馬だけなので、統計上のデータを提示することはできませんが、昨年このレースを制しているという事実から血統背景における問題は全くないと言えるでしょう。
今回の出走馬のなかでも群を抜いた戦績を残しているレモンポップですが、大崩れした海外2戦を除いては国内で連対を外していない、パーフェクト連対を継続中で、その安定感は目を見張るものがあります。今年のサウジでの大敗から帰国後も順調に調整できており、前走、前々走の地方交流重賞もきっちり勝ってきています。死角はなしと言ったところでしょうか。
管理厩舎は田中博康調教師ですが、今年の3歳馬路線ではミッキーファイトが重賞を勝っており、ダート馬の管理育成における手腕も確かなものがあります。余計に信頼がおけますね。
一方、勝った昨年は不利といわれた大外枠から豪快に逃げ切って、センセーショナルな勝利を遂げましたが、展開面で恵まれていたことも否めません。今回は最内枠を引き大外枠のような不安はありませんが、前に行きたがる馬が一定数いそうですので、序盤の位置取り、展開がどうなるかという点において、昨年以上に慎重になるべきかもしれません。
さらに言えば、本質的にはマイル向けの馬なので、今回の1F延長がどう影響するか、昨年よりも若干加齢による衰えはあるはずですから、その点も少々不安ではあります。
とはいえ実力はやはり折り紙付きなので、スムーズに主導権を握り、ハナに立つか好位を奪うことさえできれば、あっさりと勝利することも可能でしょう。鞍上はレモンポップの相棒にして、日本競馬界の若きエース坂井瑠星騎手です。今年も海外や国内重賞で揉まれ、さらなる実力をつけていることは言うまでもないでしょう。十二分に期待できます。
枠順は出てますので、他馬との戦力比較、展開予想を改めて検討しながら印を打ってみたいと思います。
春秋制覇を賭けいざ出陣
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今年のフェブラリーS覇者、ペプチドナイルです。今回は中位人気に収まりそうですが、春GⅠを制した本馬がこの人気でいいのでしょうか。理由は例年に比べフェブラリーSのレベルがやや低かった点に集約されそうですが、それでもGⅠ馬には変わりません。また前走南部杯では絶対王者のレモンポップを追走し、負かしに行く競馬を見せました。結果として届きませんでしたが、昨年に比べ大きく成長してきていると思います。
充実期を迎えつつある、と判断できるならここで重たい印を打つこともありだと思います。
ペプチドナイルはキングカメハメハ産駒。ながらくトップサイアーとして君臨してきたディープインパクトに次ぐ大種牡馬として知られています。日本ダービー制覇後に現役を退き早くして種牡馬入りしましたが、多くの重賞馬を輩出してきました。活躍馬は芝だけにとどまらずダートにも多く、ホッコータルマエはGⅠ級のレースで10勝を挙げる活躍を見せました。
チャンピオンズカップ過去10年ではそのタルマエの他に19年チュウワウィザード、22年ジュンライトボルトと、3頭の優勝馬がおり、レース相性は抜群だと思います。
今回は血統的背景からプラスに作用する点が2点あります。ひとつは距離延長で、前走マイルの南部杯から1F延長で臨みますが、産駒は距離延長時の方が好成績を収めており買い要素だと言えそうです。もう一点は冬に強いという点、キングカメハメハ産駒のダート馬は11月から2月に成績が上昇する傾向がみられ、その点からみても今回ペプチドナイルを推せる要因となりそうです。
振り返ればペプチドナイルの年内始動戦は1月のGⅢ東海ステークスでした。ここで3人気の支持から6着に惨敗しましたが、次走フェブラリーSで勝利。それ以降のかしわ記念、南部杯では勝ちはしなかったものの馬券内に残る好走を続けており、昨年に比べ上昇しているのは明らかです。鞍上は藤岡祐介騎手、上位ランクの騎手ではありませんが、経験豊富で重賞の人気薄に乗った時に、度々穴をあける騎乗を見せることは競馬ファンなら知るところでしょう。個人的な所感ですが、藤岡祐介騎手は川田騎手と同じ重賞で走る際に好走を見せることが結構あるような…?同期のライバルに対する意地でしょうか。まあ気のせいかもしれませんが(笑)
いずれにしてもここでペプチドナイルが激走、GⅠ春秋制覇の可能性も十分あると思いますので、期待してみましょう。
衰えしらずの7歳馬は今が充実期
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前走シリウスSを制覇、7歳にして更なる成長を見せるハギノアレグリアスに注目しています。
昨年もシリウスSに勝っていますが、今年は斤量59.5㌔を背負うも物ともせず。鮮やかな差し切り勝利を決めました。前々走の平安Sでは7着と衰えを感じさせる走りだっただけに、驚いた方も多かったはずです。
「老いて益々盛ん」という表現がぴったりのアレグリアスですが、その強さの源は何処にあるのでしょうか?
ハギノアレグリアスは、キズナ産駒。この産駒については過去100兆回(多い)くらい言ってきましたが、今年は「キズナイヤー」と言えるほど産駒の躍進が目覚ましいです。実際、24年種牡馬リーディングではトップを走り続けており、重賞勝利数は「15」。
皐月賞勝ちのジャスティンミラノに代表されるよう3歳馬路線での活躍が目立っています。今回出走する3歳サンライズジパングもそうですね。さらに近走では札幌2歳S勝ちのマジックサンズやアルテミスSのブラウンラチェット、先週の京都2歳を勝ったエリキングなど2歳馬も活躍しており、ディープインパクトから連なるキズナ血統の隆盛を感じさせます。
一方、古馬路線ではどうなのかというとパラレルヴィジョンやアリスヴェリテなどが今年の古馬重賞を制しています。そんななか今年7歳を迎えたハギノアレグリアスはキズナの初年度産駒世代で、同世代にはエリ女勝ちのアカイイトや、ファンから熱烈に愛されるディープボンドなどの重賞馬が名を連ねます。これは私見ですが、本来キズナの持っている血統的な強みとは、ク
ラシック年代までで結果を残すような早熟血統の傾向ではなく、古馬になってからもじりじりと成長を続ける大器晩成型の血統だと思っていましたので、いまだ枯れることなく一戦で走り続けるハギノアレグリアスにも納得がいきます。
昨年のチャンピオンズカップの際にはハギノアレグリアスを激推し。理由は中京・阪神競馬場との好相性というデータからで、この馬はデビュー時から急坂を有するダートコースを得意としています。馬力があるので、京都のような平坦コースよりも急坂を擁する中京ダートでこそ輝きを放てる、といった方がより正解かもしれません。現に今年のシリウスSも勝っているわけですから、まあ、それゆえに昨年のGⅠチャンピオンズCは残念でした。
また昨年のチャンピオンズCに敗れてからは、前々走のアンタレスS以外では大崩れしていなく、比較的安定した成績を残せている点も強みです。
その血筋から、衰えることなく成長と進化を繰り返しここまでやって来た
ハギノアレグリアスです。本馬にとってはGⅠラストチャンスになるかもしれませんが期待はできると思いますし、これもnoteで度々推してきた岩田望来騎手のGⅠ初制覇にもまた、大きく期待したいと思います。
おわりに~その他の馬を添えて~
ここまでお読みいただいた方がいらっしゃいましたら、心よりの感謝を申し上げます。いつも読んでくれる方は、いつも以上にありがとうございます。今回もだいぶギリギリになりましたが、なんとかnoteを投稿することが叶いました。いよいよ12月に突入します、GⅠレースも残り少なくなってきましたが皆さまの回収率はいかがでしょうか?森タイツ式はボロッくそです笑
それでもこんな攻略記事を書いて読んでくれる人がいる訳ですから、本当にありがたい事だと思います。
来週は阪神JFの記事を掲載予定ですので、よろしければまたお読みください。ここから上記で解説しきれなかった有力馬の短評を添えて了とさせていただきます。あらためてありがとうございました、。では、また…。
📝サンライズジパング
🏇鞍上:武豊
前走みやこSを快勝。鮫島騎手騎乗で素晴らしい差し脚を炸裂させていました。ここもイラスト付きで紹介したいくらいいいなあと思っていましたが、ダートGⅠということで3歳馬の実績はイマイチ振るわないデータがあるので、少し評価を控えました。
3歳馬で勝った馬は過去十で18年ルヴァンスレーヴ、19年クリソベリルと2頭いましたが、両馬とも大井のJDDから交流重賞を連勝しての臨戦過程でした。今年はJDC(ジャパンダートクラシック)としてローテが刷新されましたが、ここで3着だったのでやはりどうか、という感じですね。
アレグリアスと同じキズナ産駒で、解説は省きますが、血統的には買えそうです。ただし、先年のセラフィックコール然り、みやこSからの臨戦で勝った馬は過去1頭もいないので、注意が必要です。
今回は紐評価までとします。
📝ガイアフォース
🏇鞍上:長岡禎仁
22年セントライト記念勝ち馬、当時はクラシック中途参戦で鳴り物入りのような扱いを受けていましたが、結局それ以降は勝ち鞍から見放されている現状です。今年2月のフェブラリーSでダート重賞に初参戦して2着と、いきなり適性の高さを見せつけました。その後安田記念でロマンチックウォリアー に0.3秒差の4着と奮闘。今回2月以来のダート戦となるため、どれだけ走れるか未知数な反面、ダートGⅠ2着という実績を考慮すればここでの激走も十分考えられます。
とはいえ春GⅠからの直行ローテというのは過去10年見てもほとんどないため、不安材料としては非常に大きいです。芝と違いダートは叩いて使ってなんぼの世界ですから、ひと叩きもしないでいきなり勝ちはないだろうというのが私個人の見解です。評価は紐までとしますが、人気の一角ですので来たらごめんなさい、また私が間違っていました、という感じですね笑
📝セラフィックコール
🏇鞍上:Cデムーロ
昨年のデビュー戦から破竹の5連勝を挙げたセラフィックコール。
昨年のチャンピオンズCでは10着と大敗し、以降もデビュー年ほどの勢いはなくなりましたが、今年も3月の船橋ダイオライト記念できっちり重賞勝ちを挙げており、全くもって勝てなくなったかというと、そんなこともないので、この人気なら買えるかなあと思っています。妙味あり、というやつですね。鞍上はMデムーロ騎手に戻るのかと思いきや、Cデムーロ騎手です。なんか複雑な気持ちにもなりますが、ここは素直に鞍上強化として受け止めておきたいです。
ヘニーヒューズ産駒ということで、本来はダートマイル以下の距離で能力を発揮する血統ですね。ダート血統でありながら中京1800mでの成績は、産駒全体の中ではイマイチなのでそこは少々割引ポイントかも。とはいえセラフィックコール個体に限って言えば、ダート中距離以上で結果を残し続けてきているので大きな心配は不要と思います。
1週間前の調教診断では、私のX相互フォロワーの競馬ライターはしくれ様【@hashiqre1】が推奨しておりました。基本、自分は予想家の方の予想を参考にしないのですが、はしくれさんは森タイツが敬愛する数少ない本格的な予想家の方です。宣伝するわけではないですが、まだご存じない方は一度ご覧になってみることをお勧めしますね。
まあそんなわけで森タイツ式も、セラフィックコールの評価を少々上げさせてもらいました笑
📝クラウンプライド🏇鞍上:横山武史
現在重賞2連勝中で勢いはありますし、鞍上の武史騎手とも手が合っているようなのでそこはプラス評価かなと。ただし前走のコリアカップは韓国の国際GⅢ重賞ですが、決してレベルの高いレースではないので、どの程度評価するかには注意が必要だと思います。
血統面では母父がキングカメハメハなので、そこは期待が出来そうかなと思います。
📝ペイシャエス🏇鞍上:横山和生
GⅢエルムSではメイチ仕上げで重賞3勝目を挙げました。鋭い末脚が魅力でダート戦線で常に安定した結果を残し続けています。今回はGⅠが舞台なので良くて掲示板内かなと思う反面、和生騎手の手腕で上手くいけば馬券内まで、と淡い期待も抱いています。人気の割には能力は低くないと思っています。
📝テーオードレフォン🏇鞍上:三浦皇成
エルムS3着からの福島民放C(L競争)勝ちからの臨戦、一気に条件は上がるわけですがこの馬なりに好調を維持できているので、面白い存在になればなと思っています。前走は道中4・5番手につけて上がり最速勝利。ハナを奪えば同タイプが多く、坂で100%垂れてくるでしょうから、ここも好位につけ展開に恵まれればといったところですね。丸山騎手で見たかったですが騎乗停止中ということなので、鞍上は三浦皇成騎手に変わります。悪くないと思いますので、けっこう楽しみな一頭です。
またドレフォン産駒なので、ストームキャット系ですから、ダートでは満遍なく走る傾向があります。ドレフォンのダート馬は左回り巧者が多い点もプラスに捉えています。
今回参考にさせていただいたサイト
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