【コピペOK】#01:秘密保持契約書のひな型
個人や会社が取引をしようとするとき、投資を受けようとするとき、必ずと言ってよいほど交わされる「秘密保持契約書」。英語ではConfidential AgreementあるいはNon-disclosure Agreementといいます。
一般的な書籍やウェブ上にもたくさんひな型が落ちていますが、それを使うことでどういうことが生じるのか、どういった意味が生じるのか、それを分からずに使ってしまうことはやや危険です。内容をきちんと理解せずに締結した秘密保持契約書に基づいて多額の賠償責任を問われるということも考えられなくありません。
一般に、秘密保持契約書は、情報を受領する側なのか、情報を開示する側なのか、によって見る視点は全く異なりますが、このひな型は、のようなややこしいことは全て捨象し、受領側であっても開示側であっても使用して大きな問題が生じないような、極めて「無難な」秘密保持契約書のひな型です。誤解を恐れずにかんたんに言えば、開示された情報は、冒頭に記載した「本件目的」の範囲内でのみ使用し(悪用しない)、かつ、他の人に開示・漏洩してはだめ、という内容です。
「そもそも秘密保持契約書はなぜ締結するのか?」「秘密保持契約書を締結することによって生じる当事者の義務はなにか?」「それぞれの条項が持つ意味は?」「秘密保持の期間は何年にしたら良い?」といった基礎的なことを分かりやすく解説したものも追ってアップする予定ですが、ひとまずひな型本文のみを公開いたします。
本ひな型は、そのままお使いいただくのも、一部をコピペしていただくのも全て自由です。どうぞご活用ください。微力ながらスタートアップ、フリーランスの皆様のお役に立てましたら幸いです。
(以下、秘密保持契約書のひな型)
秘密保持契約書
株式会社AA【=相手方】(以下「甲」という。)と株式会社BB【=自社】(以下「乙」という。)は、[●●の検討および遂行](以下「本件目的」という。)に関し甲乙間で相互に開示される情報の秘密保持について、以下の通り合意する(以下「本契約」という。)。
第1条 (定義)
1.本契約において「秘密情報」とは、書類、口頭等方法を問わず、本件目的に関連して本契約の一方当事者が(以下「開示当事者」という。)が他方当事者(以下「受領当事者」という。)に対し開示した情報をいう。
2.次の各号に定める情報は、秘密情報には含まれないものとする。
①開示を受けた時点で受領当事者が既に保有していた情報
②開示を受けた時点で既に公知であった情報
③開示を受けた後、受領当事者の責めに帰さない事由により公知となった情報
④開示を受けた後、正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく入手した情報
⑤開示を受けた後、秘密情報に関係なく当社が独自に開発した情報
第2条 (秘密保持)
1.受領当事者は、秘密情報を厳に秘密として保持及び管理し、開示当事者の事前の書面による承諾がない限り、秘密情報を第三者に開示しないものとする。但し、受領当事者は、次の各号に掲げる場合、開示当事者の承諾なく秘密情報を開示することができる。
①受領当事者の役員もしくは従業員または関係会社に対し開示する場合
②受領当事者の依頼する弁護士、税理士、公認会計士、アドバイザー、コンサルタントその他の外部専門家に対し開示する場合
③法令または裁判所、行政機関、公的機関等の規則、命令、要請等により開示する場合
2.受領当事者は、前項第1号又は第2号に基づき秘密情報を開示する場合、当該被開示者に本契約と同等の秘密保持義務を遵守させるものとする。
第3条 (秘密情報の使用)
受領当事者は、本件目的以外の目的で、秘密情報を使用しないものとする。
第4条 (秘密情報の返還・廃棄)
受領当事者は、開示当事者の書面による要求があった場合、開示当事者の指示に従い、遅滞なく秘密情報及びその写しを開示当事者に返還または廃棄するものとする。但し、本件目的または適用法令もしくは受領当事者の社内規程もしくは監査基準に照らし受領当事者において引き続き保管することが必要である場合は、この限りではない。
第5条 (損害賠償)
甲および乙は、相手方が故意または過失により本契約に違反した場合、これにより被った損害(合理的な弁護士費用を含む。)の賠償を請求することができる。
第6条 (契約の有効期間)
本契約の有効期間は、本契約締結日から1年間とする。
第7条 (準拠法)
本契約は日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとする。
第8条 (合意管轄)
本契約の履行および解釈に関し紛争が生じた場合、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙各記名捺印の上、各1通保有する。
令和 ● 年 ● 月 ● 日
甲
乙