
孤島の窓辺から #024「自分にとって価値あるものは」
「日本人は、どうしてそんなに新品が好きなんだ?」
海外に住む友人に
そんなことを聞かれたことがあります。
一度のみならず、何度も。
日本人が皆そういうわけではないだろうに、
偏見を持たれているものだなと思って聞き流していたら、やはり別の場所でも、海外の友人に同じようなことを言われるんですね。
よくよく考えてみれば、
確かにそういう面もあるのかな?
家や車を買うにしても、服を買うにしても、
日本では新しい物が価値があると一般的には思われているし、
多くのものの価値は、新しいものほど買った時が一番高く、次の日から価値が下がっていくもの。
そんななかで、海外では景観さえよければ、
新築よりも価値がある中古住宅はたくさんありますし、車でさえも古い車種がヴィンテージ扱いされていくこともあります。
国によっても、人によっても、
絶対的な価値などないのだから、
自分の思う価値と向き合いたい。
華やかなハイブランドもいいけれど、
流行にとらわれることなく、
お気に入りの柄のシャツを身に纏い、
長年大切にしてきたアクセサリーや靴を身につけて出かける。
そんなふうにして、
軽やかに日常を楽しんでいくのも素敵だと思うんです。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ちなみに僕自身、
古いものには愛着があるんです。
昔から茶道をしていたことも関係あるかもしれませんが、
数百年も前から伝えられた、
ただ、土と釉薬だけでできた「古い茶碗」で
抹茶を飲み続けてきたことも影響しているのかもしれません。
「古い」を通り越した時代物には
なんとも言葉で表せない重みがあるんですね。
やはり良いものというのは、
手に取っただけで感じるものがあるし、
見ているだけで心が安らかになることがありますから。
僕は、新しいものよりも、
古いものが現代に伝えていく「なにか」に、
何にも代えがたい価値を感じるのだと思います。
✳︎ ✳︎ ✳︎
もちろん、
新しいものも好きなんです。
「今」に触れるために、
ショッピングモールを散策するのは僕の習慣で、海外に行くと必ずその国のショッピングモールで数日を過ごすことにしているんです。
(孤島に来てからは、できていませんが、、)
そこには、衣食住を含めた、
あらゆる「今」が新しいものとともに溢れていますから、
何時間でもその場所に居られてしまうんですね。
ちなみに、スウェーデンの地では「リサイクル店」だけを扱う、
一見変わったショッピングモールが人気なのだそう。
人々は、なぜそこに向かうのか。
単にリーズナブルというだけではなく、
押し付けられた価値に耐えきれない人々が、
「自分だけの価値」を探し求めて向かうのでは。
その人にとって本当に価値あるもの。
「新しい古い」という垣根がなくなった時にこそ、
そうしたものが見えてくるものかもしれませんね。
いいなと思ったら応援しよう!
