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孤島の窓辺から #008「誤解は笑える範囲内で」
この孤島で、
お酒を飲んでいるように。
日本にいた当時の僕は、
やはり、毎日お酒を飲み続けていました。
仕事が多忙になるにつれて、
そんな時ほど、人付き合いは増えるものです。
事業や金策の話、同志と語らい、
仕事の規模が大きくなれば、人事に腐心。
いろいろな人々と毎日のようにお酒を交えて
時を過ごしていました。
気がつけば、
シラフで家に帰ることなんて
なくなっていましたね。
そんな中、
帰るべきはずの自分の家を
間違えるなんてことは日常茶飯事。
毎回、見事に「帰る場所」を間違える。笑
当時、都内のマンションを点々としていた僕は、時に数年前に住んでいた別の部屋に帰ってしまい、見知らぬ住人に笑われて迎えられ、酔い覚ましの一杯の水をもらい。なぐさめられたりもしました。
またある時は、
同じように、今度はまた別の過去の部屋に帰っては、その部屋のご主人に、不倫相手と誤解されるなんて珍事も。
✳︎ ✳︎ ✳︎
中でも、
忘れられない出来事があります。
シラフで部屋にいた時のこと。
当時、僕が住んでいた上の階の女性が
血相を変えて、ゴルフクラブを片手に
僕の部屋に乗り込んで来たことがあるんですね。
どうやら、その女性は、
上の部屋で男性と二人で暮していたようで、
不倫現場でも押さえるつもりだったのか、
完全な相手の勘違いで、
彼女は僕の部屋に乗り込んできたんです。
危うく、骨の数本でも
折られるところだった、、、笑
相手は僕に詫び、
その後、僕はしばらく彼女の
相談相手にもなりました。
そんな、今だから笑える。
でも当時は、
決して笑えなかった話。
✳︎ ✳︎ ✳︎
よく考えてみれば、
人の生活はそれぞれに違えど、
生活空間はさほど変わらない。
一軒家ならまだしも、
マンションのように、
無味乾燥に区切られた、
全てがフォーマット化した生活の中ではいくらでも、そんな間違いもあるだろうと。
先日、アメリカで保安官代理が、
突入する容疑者の部屋を間違えて
突き破る珍事があったのだそう。
笑いになる勘違いなら
いくらでもいいけれど、
笑えない間違いだけは勘弁してほしいと。
決して押してはいけないボタンを
押してしまったり。
越えてはならない境界を
越えてしまわないように。
そんな、一つのニュースから、
いろいろなことを想像してしまう自分。
何処かの国が間違えて、
この孤島に侵略してこなければと。笑
「ニューヨークポストより」
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