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仕上がりに影響!? “木地磨きの重要性”

木工加工はザックリ2段階に別けられます。

第1段階:機械や刃物を使い大まかな形にする “ 粗取り加工 ”

第2段階:サンドペーパーで完成形にする “ 仕上げ加工 ”

そして、“ 仕上げ加工=木地磨き ” の良し悪しが

  • 演奏性

  • 塗装の仕上がり

に影響する、とても重要な工程です。

今回 “ 木地磨き ” についてお話しさせて頂きます。

「木地磨き」とは?
ここまでの工程では、ノコギリ、カンナといった刃物で切削して形を作っているので、角が立ったままだったり、曲面が滑らかではなかったりしています。簡単に説明すると、塗装前にこの滑らかでない所をサンドペーパーで研磨して形を整えるのが 木地磨き の工程です。

● 作業の流れは先ず “ 機械による研磨 ”

ベルトサンダー、チューブサンダーといった、サンドペーパーが高速で回転する機械で研磨していきます。

平面はベルトサンダー、曲面はチューブサンダー 等、数種類の機械を使い分けて研磨していきます。

● 次に “人の手による研磨 ”

機械では研磨出来ない所や繊細な仕上げを手作業で行います。

ここではサンドペーパーとパッドを使い、目視と指先の感覚で何度もチェックしなから仕上げていきます。

● 参考記事
ファクトリーツアー#4 “木工編③”

密着!F.C.G.R.


木地磨きで “ 大切にしていることは二つ ” あります。

・一つ:演奏性、造形に関わる “ 滑らかさ ”

例えば

  • エルボーカットは どれくらいの深さ?どのように加工するか? で、弾き心地に大きく関わります。

  • ボディのエッジは どの位の大きさ?どのように丸めるか? で、光が当たった時のラインの見え方等、全体の雰囲気に関わります。

  • ネックは 指板サイドの丸みのつけ方で、握り心地に大きく関わります。

  • 木地が尖っていると後の 塗装のサンディング磨き、バフ作業 で塗膜が剥げる場合があります。 ※薄い塗膜だとより危険性が高まります。

などなど、常に完成形をイメージしながら仕上げていきます。


・二つ:塗装下地、仕上がりに関わる “ 美観 ”

傷が粗いと塗装後、表面に傷が浮き上がってくることがあります。

特にラッカーは顕著に表れます。

色がシースルーの場合は、傷が視認できるほどハッキリ残る場合があります。特に木地着色をする場合は傷に色が入り込み、傷がよりハッキリと分かります。

「美しくありません!」

ソレ等を防ぐために、木目の方向に合わせながら丁寧に丁寧に磨いていきます。

下の画像はどちらも#240で磨いたものですが、右が目合せをキッチリしたものです。

木本来の綺麗な木目・色味、そして透明感にも歴然とした差が出てますね。

ちょっとした事かも知れませんが、ひと手間掛けてあげれば、グッと旨味が増します!

そして、入念に全体最終チェックをしたら木工作業はすべて完了、塗装職人にバトンを渡します。


木地磨きには楽器を作る上で大切な事が沢山詰まっています。それ故、若いスタッフには最初に覚えてもらいます。

仕上がった木地には “ 作り手の大事にしている部分 ” が、よく表れていると思います。

塗装の下にある木地磨きの仕上がりにも注目してみると、お手持ちの楽器の見え方が今までとは少し変わるかもしれませんね。

*当記事は2018年3月12日の投稿記事を再掲載したものとなります。登場する人物・製品名・各種名称等は現在とは異なる場合がございます。


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