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ありがとうK・D

 先日、映画館に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観に行って来た。ネタバレを回避するために具体的な感想を述べることは控えるが、かなり余韻が深く残るような内容だったので久しぶりにパンフレットを買って帰った。マーベル映画やスパイダーマンシリーズに精通している人間でまだ観れていない人がいるなら無理矢理有給をブチ込むなり無理矢理仮のスケジュールを創出するなりして一刻も早く観た方が良いだろう。僕はおよそ2週間ぐらい、ネタバレを踏まないようにインターネットを使わなければならなかったのでとても骨が折れた。

 一応シリーズものの3作品目になるので、この映画を観るにあたってスパイダーマンのホームシリーズといわれるもの(『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファーフロムホーム』)を観ている前提としてストーリーが展開されていくのだが、予告映像を見る限りホームシリーズ以外のスパイダーマンの映画を観た方が良さそうだったので、サムライミが監督したいわゆる初代『スパイダーマン』、そしてアンドリューガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』のシリーズを見返してから映画を観に行った。

 これらのシリーズは何年か前に一回観たことがあったのでもう一度おさらいするつもりで見返してみたが、そこで気付いたことがひとつ。キルスティン・ダンストが演じるMJ(初代『スパイダーマンのヒロイン』)はネットで散々バッシングされてるほどブスではないんじゃないかということ。いや、確かに僕も初めてこのMJを見た時は「他に配役いなかったんか?」と思うほどなんというか…………理想のヒロイン味に欠けていた。そもそも初代『スパイダーマン』シリーズは他のシリーズと比べ人間関係を巡って若干シリアスなムーディになることが多く、話の流れ上MJの存在が必要不可欠なんだけど、逆にMJがいなければ主人公ピーター・パーカーの周りは至極平和な世界であるように思える。ヴィランとのいざこざはあるにせよ。そういう損な役回りも相まってMJがブスだとか全ての元凶だとか言われてしまうのだ。

 『アメイジング・スパイダーマン』のヒロイン、エマ・ストーンが演じるグウェンがかなり顔の造形美にものを言わせてくるタイプだったことも悪い意味で比較材料になってしまったのかもしれない。まあ逆にエマ・ストーンはあまりにも美形すぎるのでもっと抑え目なヒロイン配役でも良かったんじゃないかという気もする。ともかく最初に見た時はいまいちだったMJが改めて見返してみると何故だかいやに魅力的に見えてくる。

 僕が思うに初代『スパイダーマン』のヒロインMJを魅力的に思えるか思えないかという二択は、その人間の成熟度合いを見極めるものさしになり得るのではないだろうか。人生経験の浅い人間は初代MJを観て「なんだこの醜いビッチ……」と思うかもしれないが、人生経験をある程度積んだ人間であれば「そう、これこそが女性そのものなんだ!実に味わい深い……嗚呼、人生とは素晴らしきかな」と思うであろう。キルスティン・ダンストが演じるMJは噛めば噛むほど味が出るスルメのような、大人の嗜好物なのだ。

 誤解がないように述べておくがキルスティン・ダンストは決してブスではないし、一部のインターネット過激派がそう言っているのを例に挙げただけで控えめに見ても綺麗な容姿を持つ女優なのは間違いない。ただ、いささか素朴な感じの魅力を兼ね備えているという点が悪い方向に捉えられてしまっているのではないかということである。
 あえて言おう、いくら外見が素晴らしくとも中身が醜くければ意味がないと。そしていくら外見がパッとしなくても中身が充実していればそれだけで充分であると。欲を言えば外見が素晴らしく中身も素晴らしければなお良い。初代『スパイダーマン』でのMJはそれでいうならば………………いや、ともかくキルスティン・ダンストは素晴らしい女優である。うん

 とりあえずヒロインについての話はここまでにして、今後のマーベルのシリーズ展開が楽しみである(無理矢理な方向転換)。

 MCUを観たことがある人はわかると思うが、ほぼ大体の映画のエンドクレジット後にはおまけ映像みたいなのがついていて、それが次の何らかのMCU映画に繋がるという「エンドロール入ったら即刻退場したいおじさん」にとって大変不親切な仕様になっている。毎回そんな感じなのでこれは述べてもいいと思うが、やはり今回の『ノー・ウェイ・ホーム』にもそういうような映像があり、自分なりにその意味を解釈した結果、やむを得ずディズニープラスに加入することになった。今後の話の流れ的にディズニープラスのみで配信されているマーベルシリーズを観なくてはならなくなったのだ。完全に資本主義に踊らされている。かくしてここ直近の僕の土日はディズニープラスに侵食されたのだった。「ディズニープラス?キッズ御用達のだろ?もう25歳(※ただし実家暮らし)だしいいわそんなん金払ってまで入らんでも」と思っていた時が遠い昔のようである。

 他にもマーベル映画でおなじみの映像といえば、冒頭で流れる原作コミックのパラパラ漫画からマーベルのロゴが出てくる例のあのシーン。あのシーンを初めて見たのが多分15歳ぐらいなんだけど、10年ぐらい経った今でも普通にワクワクして興奮する。あのロゴがデーンと映し出される度に毎回テンションが上がる。と同時に、結局何年経っても己の心は子どものまま何も成長してないじゃねえかという無力感に苛まれる。
 すみません、MJの魅力は成長した人間にしかわからないとか偉そうに嘯いていた僕自身が一番のガキだったみたいです。という完璧なオチがついたところでこの記事は終わりにしよう。ありがとうキルスティン・ダンスト。ありがとうスパイダーマン。

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