「仕事一筋」「仕事熱心」とは⑤ ~斧を研がず、ボロボロの斧を振るう「仕事一筋」「仕事熱心」な人~

「仕事一筋」「仕事熱心」という言葉は、

仕事の事しか、考えていない人。

それこそ、この人から仕事をとったら何も残らない人。

「自分」ー「仕事」=ゼロの人。

仕事以外に、物差しがない人。判断基準がない人。

そんな人を、「仕事一筋」「仕事熱心」というのか。

それについて、続けて述べさせて頂いています。


前回は、仕事に「足し算」と「掛け算」の2つの考え方がある。

「足し算」だと時間や人数を増やさないと、2倍の仕事にならない作業も、

「掛け算」なら時間や人数もそのままで、2倍の仕事になる。

しかし、「掛け算」になるシステムを見つけることが難しい。

見つけられないまま、次々と仕事が任されるようになった結果、

いくら仕事を片付けても、減らない。

そんなスパイラルに陥り、残業している。

そんな「仕事一筋」「仕事熱心」な方が多いのではないか。

ここまで書かせて頂きました。

皆さんは「木こりのジレンマ」という話を聞かれたことはあるでしょうか。

ビジネス業界で、よく使われるたとえ話です。

ある木こりが、頑張って木を切っています。

通りがかった旅人が、その様子を眺めていた所、

斧を振るう勢いは十分なのに、なかなか木が切れないのでした。

よく見たところ、木こりの使っている斧が刃こぼれしているのでした。

そこで旅人は、

「斧を研いだ方が良いのではないですか?」

とアドバイスしました。

すると木こりは言いました。

「分かってはいる。

 だけど、木を切るのに忙しいんだ。

 そんな事をしている時間なんてない」

このような話です。


「足し算」で仕事を考えている人は、

まさにこの木こりと同じでしょう。

たとえ話で言われれば、この木こりは間違っていると分かるでしょうが、

現実は中々難しいものです。

なぜなら「足し算」で仕事を考えた方が、

成果に直結するので分かりやすいのです。

時間と人数を増やせば、成果が出る。

とても分かりやすいです。

しかし「掛け算」で仕事を考えるとなると、

それは斧を研ぐ作業をすることになります。

研いでいる間は、木を切ることはできません。

はたから見ると、仕事をしていない。サボっているように見えます。

そのため「掛け算」で仕事を考えるのは、勇気が求められます。


しかもたとえ話ならば、研げば成果を出せると確信がありますから、

「掛け算」で仕事を考えることに意味があると思えるでしょう。

しかし現実は、今やっている作業が、

本当に斧を研いでいることになっているのか分からない。

斧を研ぐことになるシステムとは何か。

試行錯誤で見つける場合が多いです。

ですから、その試行錯誤の中で、

斧を研ぐばかりか、斧を壊してしまうこともあるでしょう。

はたから見ると、仕事をしないばかりか、

余計な仕事を増やす人に見えるでしょう。


斧を研ぐこと、「掛け算」で仕事を考えることの難しさゆえに、

斧を振るうこと、「足し算」で仕事を考えたい。

そのような木こりの会社員が多いからこそ、

「仕事一筋」「仕事熱心」ということを、

斧を振るうことだけ、「足し算」での仕事の考え方だけで、

判断されやすいのです。

その結果、「仕事一筋」「仕事熱心」とは

仕事の事しか、考えていない人。

それこそ、この人から仕事をとったら何も残らない人。

「自分」ー「仕事」=ゼロの人。

仕事以外に、物差しがない人。判断基準がない人。

そのように解釈するのでしょう。

しかし、薄々気づいているはずです。

「斧を振るうだけでは、ダメだ」

「斧を研がなければ、マズイ」と。

そこに気づくことが、

本当の「仕事一筋」「仕事熱心」とは何かを知る第一歩なのです。


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