「みんなの為」とは③ ~「結果がすべて」の上司に喝!~
前回、「みんなの為」というやり方は2つある。
1つは自分の持ってる力を、部下全員1人1人に渡るようにするやり方。
もう1つは、部下の中からキーパーソン、インフルエンサーを探し、
その1人を選んで、自分の持ってる力をすべて注ぐことで、
その1人に点火した熱が、周りの人にも伝播するというやり方。
この2つのやり方があることを知れば、
上司はこの2つを使い分ける責任があることが分かり、
部下は上司の丸投げな指示、思い付きの提案を必ず受け止めなければならないという訳ではない。
ここまで述べました。
私がこうした事に気づいたのは、
ある上司のお陰でした。
その上司の口癖は「結果がすべて」。
成果至上主義な上司でした。
私は昨年、ある広告を行うグループに所属し、
そのグループの上司の指示の元、広告を作成していました。
週に1回ミーティングが行われ、
その度に「次のミーティングまで、〇〇をやって下さい」と、
「方針」を部下に伝えられていました。
部下の1人であった私は、
その「方針」の通りに実行することを最優先課題として行うようにしていました。
ところが。
前回「広告の文章を従来の文章から変えるようにして下さい」と
「方針」を言われて一週間経ったミーティングにて。
そのミーティングを迎えるにあたって私は、
文章を変えるべく1つだけではなく、
3つパターンを自分で考えてみて、
その後、決定案の文章になるまで推敲を重ねました。
するとミーティングで上司は、他の部下のある広告を注目されました。
その広告は、画像に工夫が見られました。
私も見ましたが、良い画像でした。
しかし。
その広告の文章を見たところ……
従来の文章から、変わっていませんでした。
「『方針』通りにやっていないじゃないか!?」
そう思った矢先に、隣の人が私にこう声をかけてくるのでした。
「本当に良い広告だ。ほら、見てごらんよ。凄いねぇ~」
声をかけた人に悪意はなかったのかもしれませんが、
自分は「方針」通りにやったのに、
「方針」通りにやったかどうかが話題にならない事にいら立ちを覚え、
その人から目を背けたのでした。
私はその後、この出来事からある教訓を得ました。
この「結果がすべて」な上司は、
部下の中からキーパーソン、インフルエンサーを探し、
その1人を選んで、自分の持ってる力をすべて注ぐことで、
その1人に点火した熱が、周りの人にも伝播するというやり方。
この「みんなの為」というやり方を選んでいたのだと知らされました。
自分の持ってる力を、部下全員1人1人に渡るようにする、
「みんなの為」というやり方は選んでいません。
すなわち、
「方針」よりも「結果」が大事。
毎回ミーティングの度に「方針」を部下に伝えていましたが、
本心は「結果」さえ出れば「方針」なんてどうでも良い。
こうした上司の思いを聞いて「よし、やろう」と思える部下を、
その上司は動かそうとしていたという事です。
「いや、お前が言った『方針』なんだから、自分の発言に責任を持て」
「お前は『方針』通りにやらなかったが『結果』が出た部下を誉めるのか。
『方針』通りにやったが『結果』が出なかった部下は叱るのか」
こんな事を思う部下は、相手にしていないという事です。
ただし。
こんな「結果がすべて」という上司の「みんなの為」での、
点火させようとしているキーパーソン、インフルエンサーは、
相当限られた人になるでしょう。
たとえ1人はいたとしても、
多くの部下から反感を買う事にもなるでしょう。
そうなれば「みんなの為」にならなくなります。
「結果がすべて」。成果至上主義。
そうした「みんなの為」というやり方をやるならば。
そのやり方を行う前に、しっかりと部下全員との信頼を築く。
「お前のやりたい事に、もうオレは口出しすることはない。
好きなようにやれ」
それくらいの信頼を築く。
あるいは。
そのやり方を行った後に、ちゃんと部下へのフォローを行う事です。
結果のために頑張ろうとしない部下を、奮起させるフォロー。
頑張っているが、結果が出ない部下に、アドバイスを送るフォロー。
これがあるならば、
「結果がすべて」という上司の「みんなの為」というやり方を否定はしません。
ただし、事前に部下全員の信頼を築くにせよ、
事後で部下へのフォローを行うにせよ、
自分の持ってる力を、部下全員1人1人に渡るようにする
もう1つの「みんなの為」というやり方を、
しなければならないという事です。
結局は「みんなの為」を使い分けなければならないのです。
2つの「みんなの為」を知らず、
「結果がすべて」と語る上司によって、
混乱に陥った組織は少なくないのではないでしょうか。
それについて、次回詳しく書きたいと思います。
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