半分はんぶん「第1回:~はじめに~」
若い頃にお金に苦労したせいか、35歳までの僕は仕事に猛進していた。
仕事仕事、休みの日にも仕事の予習。電話がくれば即出勤の「THE・社畜」である。通帳の残高は増えていかないが、サービス残業と仕事の責任は、冬の雪山で転げおちるかのように、雪だるま式に増えていく。
その様子は、明るい未来とは程遠いと言わざるを得ない。
そんな僕を変えるきっかけになったのが、子供であり、家族の存在だった。
長女が体調を崩し、深夜の救急病院に搬送されたとき、僕は朝まで付き添っていた。目を覚ました