俺にとっての風邪薬

 薬が溶かした脳みそが、体が動かないのをいいことに、普段考えないでいたいことをゆっくりと紡ぎ出す様を耐えるしかない。
 世界と自分の境目を強く意識させる薬効が、僕の左腕を切るように仕向けてきます。
 大好きなあなたの事を、今はなぜだか傷つけたくなってしまいます。
 大嫌いなお前らの遺伝子を、強く感じないといけません。
 
 あなたの「愛してる」は、心を解いてくれて、その上で痛みを残して。
 明日生きるための穴を残していきます。

 重く、だるい体を引きずって夢想します。
 砂漠の中でうまく生きる術を。

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