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不特定多数の前で英語で自己紹介するのが初めてな、留学前の52歳(52歳の田舎のおばさん留学記12)

(写真は、Canvaからいただいたもので、実際の写真ではありません。でも、イメージはかなり近い)
4月上旬。
アメリカへの出発2ヶ月前。
奨学制度財団の最終合格者が東京に集められて、説明会が行われた。
日本人20数名である。
九州や北海道から来る人もあり、本当にご苦労なことだ。
と、
思っている場合ではないのだよ、私!
アメリカの保険屋とドタバタして、ようやく決着がついた朝、私は希望と、緊張で強ばる顔面筋肉を抱えて、説明会会場に入場した。
緊張しているので、早めに行って、入り口より奥の席に座る。

このシリーズでは、「52歳で、日本の田舎に住んでて、主に子育てと介護で”表舞台”からは隔絶されていたおばさんが、突然単身アメリカ留学すると何が起こるか?(ちなみに途中脱落帰国。2017年のこと)」ということを、英語学習面ではなく(それも少しは書くけれど)、生活面の視点からちょっと紹介します。誰かに何か参考になるかもしれないなー、というのと、ようやく振り返る気持ちになってきたので、自分のまとめを兼ねて書いています。思い出し思い出し書くので、たまーにという感覚で、ながーい期間をかけて、書こうと思っております。時系列も前後するかもしれません。

今もその時の光景は2〜3枚分の写真として瞼に焼き付いている。

1枚目。
説明会開始前、隣の席の青年が聞いてきた。
「今日の説明会、って、英語で行われるんですよね?」
「たぶん、そうじゃないかな・・・。」
・・・・。
! 
仲間だ!仲間がいた!
英語という言語ベースで物事が進められるということに、全く慣れていない方が、私のお隣にお座りになられて、私は心底ホッとした
私の前にお座りになられている女性は、アメリカの大学に4年いて、卒業された後、さらに勉強がしたくて、この企画に応募したと言っている。
「わわわわからない説明があったら、後で教えてくれる?」
「いいですよ💕」
「よよよかった〜」
と、青年と顔を見合わせる。
青年は、日本の大学を卒業したての22歳。私の30歳下である。

犬の中には、自分の目に映る生き物が人間しかいないので、自分を人間だと思い込むものがいるという。
自分は52歳だが、この制度に参加した目に映る人間が、若者しかいないので、自分が若者だと思い込んでいる節があった。これは、この一緒に学ぶ若者群と過ごす日々の間中ずっとのことであった。


2枚目。
自己紹介タイム。

ぶるぶるぶる。

今、58歳の私の時代の「学校英語教育」に英会話なるものは存在しない。
大学入試にリスニングなんて存在しない。
高校受験には少しだけあったが、
アプリはおろか、音楽CDすらもこの世に存在せず(注;パソコンももちろん存在しない)、
受験用のリスニングの教材として手に入れられるのは、進研ゼミ高校入試直前ゼミのリスニングの付録のソノシート(ペラペラのレコードのようなもの)1枚のみであった。
そうして当然(?)、中学高校を通して、「自分で英語で話せ」などと授業中に言われることは、まずない。(大学では英語をやったとは言えない)
そう。
おそろしいことに、不特定多数の人の面前で、英語を話すということも、自己紹介することも、これが52歳おばさん、人生初めてなのである!

周りの皆さんの流暢な英語を聴いて、驚いている余裕などない。
いつかは、順番が回ってくる。
何を話そう?何を紹介する?
52歳でここに座っている私を端的に紹介する、ってどうあるべきなの?

in English
「こんにちははじめまして、まーみです。◯◯県出身です。□□州の△△大学に派遣されることになっています。(ここまで、前の人たちと同じテンプレート的な)」
ここで、スタッフ陣に目をやると、みんなめちゃくちゃ楽しそうな笑顔で、頷いている。
お? 私は歓迎されているのかしら。
「歳は52歳で、皆さんのお母さんと同い年です」
ここで、なぜか会場大爆笑。

「まーみさんが、あの会場で”as same as your mother" って言った瞬間、まーみさんのこと大好きになった。」
と、かなりあとで、同期の一人に言われたが、
今も意味がよくわかっていない。

ちなみに隣の席の青年は、
見事に、
全部、日本語で自己紹介した
「僕は英語が苦手ですが、パワフルイングリッシュで頑張ります!」
と言ったので、
私はその時からこの青年を”パワフルイングリッシュ”と心の中で呼んでいる。

この説明会で、DSが配布され、これを持ってビザ発行の手続きにアメリカ大使館に行け、とか
当日は現地集合だ、とか
スケジュールの関係上、宿泊施設の入所日に1日たりとも遅れてはいけないが、施設の都合上、1日たりとも早く来てはいけない。Justその日に来い、とか
質疑応答とか、
あとは、記憶に残っていることはほぼない。
私は目の前で繰り広げられている光景に、
半ば呆然としているだけ
であった。

そして、交流のために、その後飲みに出かけることになった。
私は半ば呆然としたまま、若者の群れの中で、私の住んでいる地域では見かけない、おしゃれなパブ(?)に赴いた。

教訓25;自分の英語レベルに近いが、自分の年齢の半分以下の同期を見つけて安心する、といった状況は、理解が追いつかない。
教訓26;経験してきた英語教育の質(時代)が違うことを初めて自覚する。



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