本読み感想2冊目
「たゆたえども沈まず」原田 マハ
ゴッホ兄弟と日本人画商のお話。
でも、それだけじゃない。
圧倒的な熱量でもって、人間の内包する苦しみと、絆とを描き切った。
私は、ゴッホの絵でもともと星月夜が1番好きだったけど、この本を読んでより好きになった。
作中特に私が心動かされたところは、フィンセントが糸杉に惹かれていくところだ。わたしも杉と言う木が好きだ。真っ直ぐにすっくと立っていて、雪や雨などにも時に枝木を曲げながらも折れないその姿が。
自分で自分がコントロールできないと言うのは、すごく苦しい。フィンセントはその苦しみのなか、それでも自分を取り戻したかったのではないかと思う。
だから糸杉に惹かれた。サンレミの病院で彼は最後の苦闘をしてたのかもしれないと思った。
それこそ、たゆたえども沈まずと。
フィクションなのにビビットで、そこにいるように錯覚させてしまう彼らへ迫るその情熱は、恐れ入った。