コミュニティについてまとめてみた
はじめに
Makuakeプロジェクトのサポートをさせていただいた中で、共通していく人の行動やそこから見えてくる感情を通して、その集団としてのコミュニティを意識するようになりました。また、「ファンベース」や「熱狂顧客戦略」、「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.」と出会い、さらに僕のコミュニティ起点での思考を深めさせていただきました。ある程度知見がたまってまいり、改めて非常に重要な考え方かと思いまして、なるべくわかりやすく、見えてきたメカニズムについて考察していきたいと思います。多くを学ばさせていただいた分、もし読んでいただいた誰かの学びに還元できるような内容になっていましたら幸いです。
ハウツーについては、ほかにも多くの本がありますが、あくまで、共有して見えてきたことについて考察していくにあたって、立ち戻って、そもそも人はどういうメカニズムで行動を起こしていくのかについて考察しておく必要があります。
1.人が行動を起こし相互作用していくメカニズム
1.①人の行動はどう起こるのか
人がなんで行動を起こすのか、について、発端は外部からの刺激と考えています。外部からの刺激とは、「見たもの」、「聞いたもの」、「触ったもの」、「嗅いだもの」、「食べたもの」などの五感刺激する事象を意図しています。この事象が五感を刺激し、感情、または直接行動が引き起こされると考えています。刺激に対して、反射的に行動を起こしてしまう、または事象を五感のいずれかで感じ、感情が刺激され、なにかしらの行動を誘引するかの二つのパターンがあります。
そして、生まれた感情によって、行動が引き起こされ、行動すると、なにかしらの結果(フィードバック)があり、それに感情が引き起こされ、とループしていく形となります。
1.②人の行動が他人の刺激となっていく
では、刺激はどこからくるのか。についてですが、いわゆる広告や広報的な形で、メディア媒体を通して強制的に、事象を人に刺激として与えることはできます。ただ、刺激するだけの設計だと、メディアへ出稿をし続けないと刺激は止まってしまいますので、持続可能かといわれると少し難しいかもしれません。そこで、最初の刺激は、そういったメディアを使いつつも、その後、その人の行動が他人の刺激となるように設計していくことが必要となります。そして、そうしていくと人々が相互に反応し、理論的には、自動拡大的に、コミュニティ状態となっていきます。
※理論的には、です。
と、ここまではシンプルですが、人の行動と感情はそう簡単なものでもないです。
そもそも人の行動が他人の刺激となるのはどういったときなんでしょうか。
ということで、顧客の行動や感情については、いわゆるAIDMA的な考え方とファンベースをアレンジしてみました。
1.③感情・行動がアップデートしていく其々の流れ
顧客の感情と行動はらせん状に愛着度を高まっていくのではと考えます。
通常は顧客の感情が「知りたい」となると顧客の行動が「接触」いわゆるAttentionまたはSearchといった行動をとる。と考えますが、
実はそうでもないのかもしれない、といくつかのプロジェクトのTwitterやFacebookでの反応をみておもいました。「投稿」のハードルは、シェアやいいねの普及で、どんどん下がっているように感じます。シェアやいいねした記事は他者のタイムラインに出たりしますので、いわゆる「投稿」と同義になっていたりします。また、記事の中身を読まずともリツイートをしたりするアクションもあるような気がします。具体的には、「認知」、「興味・関心」、「検索」段階でシェアやいいねを含めた投稿が行われることがあります。
例えば、すでに知見があり、記事のタイトルをみて、内容をある程度把握し、人に「勧めたい」という感情を抱いてシェアをする
※ニュースピックスの有料会員のみ見れる記事ですが、会員でなく、中身を見なくてもシェアすることもできます
また、例えば、こんな投稿があったとして、
「●●めっちゃ使ってみたい!●●の用途で使えそうだし、●●が好きそう」
この投稿をした人は、この商品を買っていない状態での投稿されていた、ということがありました。
この人は、商品を理解し、用途定義まで考察してくれ、人に「勧めたい」のフェーズを超えた「自分で作りたい」まで進んでいる可能性のある感情的にはかなり高次なフェーズなのに、「購入」といったことはあり得えます。決済はしてくれていないですが、今後、自分にあった商品がでてくると決済してくれる可能性の高い、大事にしていきたい顧客であることは間違いありません。
この人は、
顧客の感情:
単に勧めるだけではなく、使い続けていくための想像もできている「使い続けていきたい」または「自分で作りたい」
一方で、
顧客の行動:
自分は、興味・関心フェーズ
つまり、見ていくと「投稿」ハードルが下がってきた中で、顧客が他顧客を刺激するタッチポイントは、感情、行動の両面で、いずれかが、太枠のフェーズにいる顧客となるのではないかとおもっています。
「感情」「行動」のどちらでも良いので、顧客を太枠のフェーズに進んでいただくために考えていくと人と他人が相互作用しあう、コミュニティ状態になっていくのではないかと考えています。次にコミュニティが必要な理由について考えていきます。
2.コミュニティが必要な理由
以前こちらで、考察してみましたが、アップデートを少ししてみました。
コミュニティ化していくといろいろな要素が変わっていくと思いますが、今回僕が注目したのが、コミュニティ内である種独占的、先行的に情報が流通する要素です。
2.①コミュニティを2つに大分するとしたら
コミュニティとは、何ぞやという議論はまた別であると思いますので、大きな分類で生産者と生活者を縦や横の関係で結ぶか、の二つで考えてみました。
あえて命名するのであれば、このような感じでしょうか。
この内、コミュニティ運営担当者になるべく依存せずに、自走していく持続可能性を考慮して、右側の横の関係にフォーカスして「コミュニティ」を設計していくのが良いのではと考えています。
戻りまして、そもそもなぜ、ほかの人に紹介したいと思うのか。
という部分について株式公開と同じような原理が働いているのでは、と思いました。
2.②人に紹介したいと思うモチベーション
持っている情報が希少性なタイミングでその情報を公開することで価値へ転化していくのではないか
先ほどの行動と感情について、情報の希少性が価値になるタイミングについて図式すると
行動:
感情:
2.③行動をX軸、感情をY軸に取ってみる
このような形となります。
顧客のコメントをこの図上にプロットし、各層に合わせた施策を打てると効果的なPDCAが回せるかと思います。
イメージ:
そして、いわゆるコミュニティが効果的に活用できる層
=クローズド情報が一番響く層
は、ここです。
言い換えると気軽に「運営者」のように自分事化して振る舞ってくれる層ともいえるかと思います。
番外編で、各層の具体的な投稿イメージをつくってみました。
最後に、改めて、なぜ自社でのコミュニティ運営が割に合わないのかアップデートについて記載します。
3.なぜ自社でのコミュニティ運営が割に合わないのか(アップデート)
3.①顧客と売上の関係そしてその拡がりについて**
ファンベースの考え方を僕なりにかみ砕き、考察すると、売上構造がパレートの法則にのっとったときに、8割の売上を構成する上位2割のファンをどうやって大事にしようという価値観があります。
そのなかで、営業担当者は、イノベーター理論にそってどうやってマジョリティに伸ばしていくかと考えます。それをチャネルやターゲットペルソナで分けて考察することが多いですが、実は上位2割の顧客が「シェア支援」をしてくれ、それによってキャズムを超えていくという考え方もあるということだと思います。
3.②信頼している人から紹介されると一番CVRが高い
情報チャネルの多様化と二-ズの細分化により最適に情報を流通していくことは難しくなっている時代に、どうやって情報を届けるのかという観点で、1万人にリーチしていくことと、100人のフォロワーに100人リーチしていくことは総数が一緒だが、広がりや持続が全然違うという話があります。
ただ、そういった「信頼のおける人」々を確保し続けることは、ビジネスとしては難しいと僕は、思っています。
「信頼のおける人」にも財布の上限はあります。そのためどれだけその商品やブランドを愛したとしても購入できる金額には上限があります。
一方で、顧客を獲得していくコストは、認知が広がるにつれて改善していくものの、多くの認知を獲得したある一定点を超えると上限なしに上がっていきます。そのため、同じ謳い方だと、いずれひたすらコスパが合わないタイミングがきます。
そのため、その前にターゲットを変えたり、場合によっては、違う国をみたりしないといけなくなります。
または、ひとつの方法として、カテゴリー市場やベネフィット市場という視点を持ち、改めてコミュニティ内の人々を見ていくことがあるかと考えています。
※カテゴリー市場やベネフィット市場については、以下をご参照ください。
僕は、コミュニティ設計には、このベネフィット市場視点をもって、ユーザーが自由に発するコメントから、ユーザーが感じているベネフィットを読み取り、それに合わせて、コミュニティの運営を変えていけると持続可能性が増していくのではと思っています。
3.③ベネフィット市場を基軸としたコミュニティ設計
従来のコミュニティは、自社のリソースや商材のカテゴリーに依存した運営を行っていましたが、ユーザーは実は違った視点で見えていたりします。
顧客視点を踏まえますと、同じ商品を購買していても、違ったベネフィットに共感していたりします。そしてそこから見えるベネフィット市場は、カテゴリー市場で見たときに、複数のカテゴリーまたいでいたりします。そのため、運営については、一つのカテゴリー市場に集う設計にするのではなく、ベネフィットを意識して、コミュニティは複数のカテゴリー市場をまたいだ、発散性を持たせた思考をしていく必要があるとおもいます。
僕はうまく言語化できませんが、そういった観点から、高橋遼さんの問題提起とコミュニティをシェアしていく考え方には、僕も激しく同意しています。
ただ、カテゴリーを複数またぐとすると自社で持っているリソースでは足りない、または、自社で、複数事業部をまたいで行おうとすることの方がより時間や負担がかかってくることも多いかと思います。
そのため、複数事業者と組んでオープンイノベーションなどの方策を、それもそれで中々の難しさがあると思います。
そこで、モラトリアム的なテストマーケティングができる場として、0次流通でそういった挑戦者とそれを許容できるサポーターが集う場所で、応援購入という、投資と購入の間の市場の声を可視化する有用性が出てくるのではないかと思っています。
ここまで来ていただいた人は稀有だと思いますので、最後に宣伝します。
そんな状況を鑑みつつ、プラットフォーマーとして、新規事業企画をテストマーケティングし、
小さく産んで、大きく育てるサポートをしていく取り組みをしています。
フレジアーノの長いぼやきにお付き合いいただき、ありがとうございました。
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