Vol.101 アマゾンに勝つ算段?
2017年の1年間でAmazonが研究開発に前年比約41%増の約230億ドル(約2.5兆円)の巨額な投資を行っており 、投資額と増加率ともに全米No.1ニュースが出ていた。利益を出さない経営もこのレベル感になってくると改めてとんでもない決断だなぁと、開いた口がふさがらない。
Amazon spent nearly $23 billion on R&D last year - Recode
https://www.recode.net/2018/4/9/17204004/amazon-research-development-rd
※ちなみに、1位がAmazonの約230億ドル(約2.5兆円)、2位がGoogleの親会社のAlphabetでで約170億ドル(約1.8兆円)、以降Intel、Microsoft、Appleと続いている。
また、研究開発部門に巨額の投資は、AWSやAmazon Alexaなどの技術を利用することで、Amazonのレジなしコンビニ「Amazon Go」の店舗数拡大などの構想の実現に力を注いでいるとのこと。
では、アマゾンは何をしようとしているのか。著名な方の記事が4話に渡ってあったのでまとめてみようと思う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/031300233/
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/031300234/
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/031300235/
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/031300236/
結論として、アマゾンは
【オンラインを基点としてオフラインに進出し、顧客とのつながりを創り出すことによって、マーケティング要素自体を変革し、個客単価を上げていこうとしている。】
ということであると感じた。
そのキーワードは、
「チャネルシフト」。
※※
そもそもチャネルとは。
①シングルチャネル→②マルチチャネル→③クロスチャネル→④オムニチャネル
といった形でチャネルは変遷してきている消費者と生産者の接点のこと。
人が購買をするときに、①実店舗しかなかったのが、(在庫は店舗でのみ管理)②ウェブ上も含めた複数の店舗で検討をできるようになり、(在庫はウェブ上と実店舗を別々で管理)③ウェブで注文したものが実店舗で受け取れるようになり、(店舗側がウェブ上と実店舗の在庫管理を統合)④次第にウェブや実店舗というチャネル自体を意識することがなく購買できるになった。
また、その変遷の中で大きなパラダイムシフトが以下のようにおきている。
①~③までは、 個別店舗での在庫管理によって顧客へ商品提供「店舗を軸に顧客の管理を行っている」
③~④では、顧客の要望に応じて店舗の在庫を統合管理し商品提供「顧客を軸にチャネルの管理を行っている」
というところで、顧客を軸にして考えていくと「チャネル=店舗」ではなく、店舗はチャネルの1つに過ぎなくなるということになる。
→「チャネル=顧客とのあらゆる接点」
そのため、顧客を軸にチャネルを統制するのであれば、 店舗はもはや、顧客の買い物行動における、1つの通過点に過ぎないので、来店前の情報チャネルや、購入した後の接点も含めて考える必要がでてくる。
また、同時に顧客の選択に影響を与える、店舗・アプリ・商品・メディア・SNS、そのすべてが情報であり、チャネルであると考えねばならず、顧客の買い物行動を軸として、これらのチャネルを配置・連動させるという視点が必要になってくる。
※※
と、話を戻し、オンラインに軸足を置くアマゾンは、顧客の自宅にアマゾンダッシュ(Amazon Dash)やアマゾンエコー(Amazon Echo)、アマゾンゴー(Amazon Go)、アマゾンブックス(Amazon Books)などのオフライン空間に次々とチャネルを設け顧客を取り込もうとしている。そして、その手とうとうホールフーズ・マーケットの買収にまでのびていった。
そして、目的は「販路の多様化」ではない。目的はネットとリアルを融合させたチャネルを通して、「顧客の行動データを掴む」ことにある。また、それを使って、販促・価格・商品のすべてを「個客」ごとに最適化する戦いを仕掛けてくることになる。
改めて、アマゾンが実践する「チャネルシフト戦略」とは、
①オンラインを基点としてオフラインに進出し、
②顧客とのつながりを創り出すことによって
③マーケティング要素自体を変革
しようとする戦い方である。
実際にアマゾンは、アマゾンブックスやホールフーズなど、オフライン店舗でもプライム会員の価格優待を拡大しつつ、プライベートブランド(PB)の展開も加速している。アマゾンの乾電池などはネット販売で全米トップシェアになっているという現状もある。
では、ここからそんなアマゾンに勝つにはどうしたらいいのか。
上記のような動きに対抗するためには、単にオンライン店舗とオフライン店舗を設けるだけでは、不十分で、まず、チャネルの認識を
「販売の場」→「顧客とのつながりをつくる場」へ。
変えていく必要がある。
それについては、フィリップ・コトラーは『コトラーのマーケティング4.0』の中で次のよに述べている。
「新しいタイプの顧客の特性は、マーケティングの未来がカスタマー・ジャーニー全体にわたってオンライン経験とオフライン経験のシームレスな融合になることを、はっきり示している」
そして、顧客を軸として、チャネル管理という側面を考えると、KPIも変わってくる。
【店舗】を軸とした統制を行っているのであれば、全店舗売上の総和が企業の業績になる。しかし
【顧客】を軸とするならば、企業の業績とは全顧客売上の総和になる。
極論すれば、店舗ではなく、「個客」の売上を追求することがKPIになる。
※小売業はすべからく、顧客1人当たり、すなわち「個客」当たりの売上推移も重要な指標として見ているが、それは平均としての顧客単価に過ぎない。
※最大の問題は、「その顧客が誰なのか」「なぜ来店し、何を購入し、どう使っているのか」を把握できているかどうかであり、それが分かっていないとしたら、「個客」当たりの売上を上げるために、「個客」に対する提案には直結しない。
その段階で改めて、アマゾンに目を移してみると
アマゾンゴーが無人レジを導入した真意は、入り口で来店した顧客を認識し、センサーでその動きを追うことで、店内での選択・購入の行動データを「個客」に紐付けて把握していくことで、 店頭オペレーションの効率化だけでなく「個客認証」の部分を握っていきたいというところにあるのだろうとなる。
そういった中で、クラウドファンディングという武器とはなんだろうと思案。
企業が新商品開発の際に用いたい個客データという側面を見たときにデータの精度は(※ここでいうデータの精度とは、ユーザーから意見を抽出したときの具体性の粒度や意見の散らばりを指す)
市場調査
(一つ一つのデータの精度は低い→標本数を多くし、傾向を捉える。そのデータを用いて別の目的へ活かしていく必要があり。デプスインタビューを行ったとしても、目的ドリブンで調査を行わないと期待するデータを集められない反面、期待している「声」をユーザーから「引き出そう」としてしまう傾向あり。)
↓
CF調査(データの精度は市場調査よりは高いがECよりは低い→ページ上のみではあるが具体物を閲覧し、購買判断をする※ユーザーのレビューは商品への使用前の期待に限られる。一方で、ユーザーのコメントを紐解く定性データの分析を精緻に行っていく必要あり。)
↓
EC調査(データの精度はCF調査よりは高いが店頭販売よりは低い→ページ上のみで具体物を閲覧し、購買判断※ユーザーのレビューは使用後の感想に限られる。ユーザーの動線をデータで探って行きながら購買データを取得し、ライフスタイルの把握へ繋げることはできるが、パラダイムシフトを起こすような新商品の企画は結び付きづらい。)
↓
店頭販売調査(データの精度はEC調査よりは高い→ユーザーのレビューは具体物を五感で感じていることもあり、具体性の粒度が高いことも多く、デプスインタビューを行い、インサイト抽出を行わないと画期的な商品開発には活かしづらい。)
一側面としてこんな感じなのでは、なんて感じている。
物に「触れる前に」、「購買」したユーザーの商品への「期待」レビューを購買した「その瞬間」に聞けるという部分がクラウドファンディングだからこその価値になるのではないかと思う。
そのデータの紐解きを行うことで、画期的ながらユーザーとの親和性の高い新商品の開発へ活かしていくことも可能性となる。
しかも、副次的にコミュニティ創出へつながり、ユーザーとの高密度なコミュニケーションを行いながらコミュニティ運営ができるとブランド創出へも繋がっていく。
リスクは、プロトタイプ製造へかかるさまざまなコストのみ。(費用対効果的に一番割りを食うのはクラウドファンディング運営者/担当コンサルタント)
まずはGAの見方を覚えねば。
同時にデータ分析について教えも乞おていきたいなぁと思った13日の金曜日。
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