見出し画像

【翻訳】TNO開発日誌24:オデュッセイア(後編Part2)

原文はこちら(https://www.reddit.com/r/TNOmod/comments/o2qkbx/development_diary_xxiv_the_odyssey_part_2/

この文章は後編をさらに二分したうちのPart2です(それでも7000文字ほどあります)
Part1はこちら(https://note.com/fred409/n/nfa782f4fca20/

前編はこちら
Part1(https://note.com/fred409/n/n976c27af9e87
Part2(https://note.com/fred409/n/n3258ace34757

三頭連合がマルタの荘厳な建築物と共に塵になった後、地域の地政学は激変しました。古い同盟関係を決裂させるに至った大量の反感が地中海で、アルジェリアで、キプロスで、ロードス島で、そしてレバントで表面下し、全てが一触即発の状況になりました。しかし、マルタの余波を受け最も注目を浴びるようになったのは豊かでありながらも不安定な土地であるイラク共和国でした。トルコ、イタリアの両帝国の辺境に位置するイラクは誰もが羨む独立、よろめきそうなほどの石油資源、十分な装備を与えられた軍を持ち、地中海政治では独特の立場を築いてきました。しかしこの二大国はイラクがその間のどこに位置するかを気に病み、旧三頭連合諸国間の最初の衝突の場はイラクとなるでしょう。

イラクはモースルやキルクークを占領しているトルコに対し恨みを募らせています。イタリアの厳しい弾圧の帰結であり、国民からの強い不信感を溜めていたハシミテ王朝が転覆することとなった革命に手を焼いたイタリアがトルコに介入を求めたことが占領のきっかけでした。イタリアとトルコは生まれたての共和国に対し王政を復古させるために侵攻したのです。クウェートでの緒戦で敗北を重ね、バグダードで公開処刑が行われてしまったことで王政復古は不可能になり、イタリアは三頭連合へのイラクの加盟と引き換えにイラクはクウェートを統合し三頭連合にも傀儡国でなく同盟国として参加するという条件の単独講和を結ばざるを得ませんでした。しかし、イラクとトルコの間での膠着状態の結果、クルディスタン州は講和後もトルコの占領下に置かれてしまいました。

マルタ会談の開催が決定された際にはイラクの外交官は自国の国際的地位を案じて会議の参加者リストを確認しました。イラクに対するトルコの外交方針は常にイラクを不安定化させることを目標としており、三頭連合が終焉を迎えた現在となってはアンカラのパラノイアはその傾向をますます強める一方でしょう……。それこそがイラクが嫌っているはずのイタリアに保護を求める原因なのですが。アブドルカリーム・カーシム首相は革命とそれに次ぐ戦争で卓越した指導力を発揮した人間ですが、それでもイラクを預けられるような所は少ないのです。それでも、彼もイタリアに対して影響力を全く持たないというわけでもありません。

イラクでの戦端はすでに開かれています。トルコは強力で復讐心に燃えるイラクがモースル奪還に動くのを恐れ何としても不安定化しようと試みています。そのためイタリアは反対にカーシム政権に対し支援を申し出ることで、イラクを軍事支援を通じて少しずつ自身の勢力圏へ引き戻そうとできるようになりました。地域一帯の経済の生命線であるモースル・パイプラインはトルコとイラク、イタリア領レバントの国境を跨いで引かれ、陰謀の格好の対象となっています。イラクの戦いは軍事を超えた政治や経済といった次元にも拡張されており、その勝者は一気に地域を支配することとなるでしょう。

トルコがイラク国内を十分に不安定化させられれば第三の戦線が構築され、トルコ軍は手に負えないほどに長大な戦線を抱える懸念から解放されますが、介入がイタリアがバグダードに安定状態をもたらすのに繋がってしまえば、カーシムはイラク領クルディスタン回収のためにイタリアとさらに近い関係を築こうとするでしょう。この関係が中東全体でのイタリアの地位を爆発的に強化することは間違いありません。

イラクでの戦い

イノニュはアンカラからトルコ中へ届ける演説を準備しています。マルタの悲劇から指数関数的に増大した緊張の中で、CHPの指導力が試されています。トルコ国民の間に政府を疑問視する姿勢が広まっているのです。これを根治する方法は一つしかありません。演説は歴史に残るものとなるでしょう。誰が何をしようとも、戦争は避けられません。

そして鳥も飛び立った

伊土戦争が始まった!

画像5

戦争は悲惨ですが、この戦争はその中でも悲惨なものです。国家の栄光という幻影を追い求めるためだけに昨日までの同盟国が地中海を挟んで武器を向け合います。アンカラではイノニュが多数の戦線に対して立案を行っています。戦争はかつての三頭連合の土地で、トルコが虐げてきたいくつもの場所全てで行われます。

トルコの軍事ツリー

画像4

トルコ国民は心の底から勝利を願っており、敵を粉砕するという強い思いが戦線を前進させます。戦争を成功させるためには人々の中の例外を慎重に取り除かねばなりません。行進のドラムは強く強く打ち鳴らされています。そしてトルコ国民は戦場へ向かっていくのです。

行進曲と共に……

画像3

突然の宣戦布告にアテネはパニックに陥ります。数、質ともに圧倒するトルコ軍がギリシャの東部戦線に押し寄せてきます。パルチザンが戦線後方を攻撃し、政府は防衛のためできること全てをしようとします。ギリシャ国民は1922年の暗い記憶を想起しているかもしれません。復讐は叶うのでしょうか?

ギリシャでの戦争

エルサレムでも総督がレバントを守るため全ての人員をかき集めようとします。もしベイルートが陥落すれば、エルサレムはもう目と鼻の先です。そして帝国はそんな事態を許容しないでしょう。多少の強制を伴いユダヤ人のパルマッハやアラブ旅団が前線へ投入されます。彼らもイタリアの統治が最後の試練を受けているとは感づいています。同じ悪魔なのなら顔見知りの悪魔の方がいくらかましなのでしょう。

最大の脅威は外敵なり

画像2

ロードス島ではディファウスト総督が許可された緊急権を使ってローマからの援軍が到着するまでの間何とかトルコ軍の攻勢を凌ごうと決死の防御を繰り広げます。ロードス島そのものが要塞島へと変えられ、島に残るイタリア人とギリシャ人は何としても島を守り抜くと決意します。

ディファウストよ我らを救い給え!

画像1

最後はローマです。ドゥーチェは東方を怒りに満ちた目で見ています。トルコの裏切りは罰されなくてはなりません。レバント、ロードス島、ギリシャの支配者であるイタリアは、その立場からしてこのようなむき出しの敵意を放置するわけにはいかないのです。トルコの攻勢に対抗するためあまたの作戦が帝国中で実行に移されます。イタリア国民は帝国がこの試練をくぐり抜けられるかどうかを息を殺して見守っています。

激化する戦争

ボンジュール。私はBaron Steakpuncherです。レバントやその向こうでの恐ろしい戦争の結果についてお見せしたいと思います。ちょっと待て!と思うかも知れません。一体いくつの結果があるんだよ!と。ははは、少しですよ。いえ、たくさんです。本当にたくさんありますよ。
細かいことを言えば、広範な紛争と小規模な紛争が同じようなやり方で解決されなくてはならないという道理はないのです。つまり、レバントやギリシャでの大規模な衝突があり、その周りでは戦争の趨勢を揺り動かす様々な小さい紛争が存在します。その代表例がレバノンです。レバントでのイタリアの根拠地とも言えるレバノンは、トルコが特に中東での地位を主張していたのにも拘わらず第二次世界大戦の結果としてイタリアへ割譲されたものです。マルタでの悲劇が戦争を引き起こすのは避けられないとしても、トルコには戦争では無く国境紛争を通してレバノンからイタリアの影響力を排除する機会が訪れます。しかしトルコは慎重に動かねばなりません。シリアの同盟国の目の前で失敗してしまえば、一体どうなってしまうのでしょうか……

レバントでの結果(イタリアの勝利でシリアの色が変わっているのに注目)

画像6

二つ目の材料は公式にはギリシャの領土であるキプロスです。第二次世界大戦がもたらした領土再分配において、キプロスは割譲させられた領土の代わりとしてギリシャへ与えられました。キプロス島北岸には無視できない規模のトルコ人居住地が存在し、そのためそれ以来常にイタリアとトルコの勢力圏の間で緊張を生む土地となってきました。当然、伊土戦争が起きれば、パルチザンとオズミン・ファザール・ポラト(Ozmin Fazal Polat)のTMT(トルコ人抵抗組織)が奇襲的に動いて島を奪取しようとするでしょう。当初の作戦は成功するでしょうが、物事は良い方にも悪い方に行くものであり、紛争は最後に勝者を生むとすら約束してくれません。

キプロスの運命

イタリアの同盟国であるギリシャでははるかに大規模な衝突が戦争そのものの中で醸成されます。エーゲ海の狭い戦場では、ギリシャ側もトルコ側も軌道線を展開する余地は無く消耗を繰り返すこととなり、戦争は残酷で血なまぐさいものになるでしょう。しかし、ここでの勝者は最終的にはキプロスで賭けられている田舎の細々とした土地とは異なり、ずっと大きな土地を手に入れられるはずです。トルコにとってはこれらの土地は喉から手が出るほどほしいというものではなく、エーゲ海中央の島々を緩衝地帯にできれば御の字だという程度ですが、そうすればギリシャはもう二度とトルコにとっての脅威とはなり得なくなるでしょう。

ギリシャでの結果

画像7

復讐主義を一切含まない戦争というのはあり得ません。イラクはそのエネルギーを十分にため込んでいます。50年台の戦争を戦ったのは弱く愚かな政府でしたが、今日のイラクは強くなりました。トルコは地域をクルド人のゲットーにしようとしていますが、一般的な自治権を与えていたとしてもその政策は地域住民からの支持を得られたものではありません。そしてイラク軍はイタリアの支援があれば何か形ある有益な成果を得られるだろうと考えています。従って、例として古いイギリス時代の国境線の復活が目指されます。これはトルコにとっては対処しなくてはならない大きな紛争となるでしょう。心臓部と隣接しているのはトルコにとっても同じです。ですが、復讐主義と改革がトルコの持つ純粋な力を越えられるかは誰にもわかりません。

イラクの勝利(敗北や勝者なしの場合現状維持)

画像8

当然、地中海での戦いがロードス島に波及しない訳はありません。ドデカネス諸島はイタリアがオスマン帝国から奪った地域であり、承諾しようとしまいと取り返したいと考えています。トルコ海軍がかつては島だった半島に向かい電撃侵攻を以て開戦の火蓋を切ろうとします。勝者は将来の数世代にわたってドデカネス諸島の支配権を得ることになるでしょう。しかしここでも、トルコは慎重に動かねばなりません。ロードス島に駐屯しているのは植民地師団やギリシャ軍ではなくイタリア軍の守備隊であり、戦いがどう進むかは予測できません。

ロードス島での結果

そして結末です。イタリア軍が勝利しました!キルクークからロードス島に至るまでイタリアとその同盟国はトルコというジャガーノートを打ち破ったのです!ドゥーチェの勝利であり、イタリアの勝利です。尊敬と畏怖を受けるイタリアの立場は不動のものになりました。現政権が最初はトルコを同盟国として扱おうとしていたことはすぐに公の記憶からは消え去るでしょうが、勝利の記憶はずっと響き続けるでしょう。この戦争が起こったこと自体がイタリアという巨大な建造物にヒビをつけたという認識は見当違いです。イタリア帝国は千年という視座で物事を見ているのです。

イタリアの全面的勝利

画像9

トルコが勝利したのならば当然話は別です。イタリアの抑圧者に対する勝利はトルコの復活として歴史に深く刻まれることでしょう。トルコの領土は占領者から奪還され、人々は団結しました!アタトゥルクの遺産はイノニュ大統領によって守られ、トルコは対等な立場へと昇格したのです。もちろん、何もかもがうまくいくわけではありません。新しく獲得した領土を統合しより偉大な国家を築くためには解消すべき国内問題がたくさんあります。権力を確保したイノニュは今度は自身をトルコの歴史の中で象徴的な人物にしたいと望むでしょう。何もかもがよい方向に進んでいると考えているのは確実です。

トルコの全面的勝利

画像10

これだけではありません。伊土戦争が終結したあともPenelope's Webのコンテンツはまだ終わりません。タイトルにもなっているそもそもオデュッセイアはトロイヤ戦争の終わった後の話なのです。これは始まりです。戦争の結末が地中海世界を形作り、様々な国の将来を巻き込んで世界の舞台に影響を及ぼします。

リークの続きとして、戦争最前線国家であり、イタリアに代わって陸戦を戦うギリシャについて続けましょう。イタリアは戦争を義務であるとし、ギリシャは若い兵士達の命を使い、トルコは戦争は不当な攻撃であると見なしています。しかし事態が落ち着くと、戦場に残ったのは地獄と呼ぶに相応しい惨状だけです。

戦後ギリシャの国家方針ツリー

画像11

戦後ギリシャの国家方針ツリーを見ていきましょう。ここからもたくさんのヒントが得られるはずです。戦争の前、ギリシャは国家を挙げて手に入れられる全てをかき集め、国家全土がひっくり返ったように揺すぶられました。しかし問題は戦争が全て解決したというわけではありません。抵抗組織は未だに山地を占領していますし、国家機構は脆弱です。そしてなにより、事態は悪化の一途を辿っているのです。大規模な戦争、国家の支配権の弱体化、資金不足は歴史上で様々な国家に共通して灼熱のような厳しい環境を作りだしてきました。今回のギリシャを焼き焦がす火とはなんでしょう?

伊土戦争で苦しい思いをしたのはギリシャだけではありません。平和になろうと戦争が起ころうと、勝利しようと敗戦しようとトルコもまた厳しい経験をすることになりそうです。中東やレバントに対する支配力は不十分で、アケメネス朝からモンゴル、イギリスに至るまで全ての帝国を克服してきた民族主義運動は強く、次に打ち負かされる帝国はトルコなのでしょう。

シリアはもはやトルコに従属しない

画像12

しかしこれは周縁部の話です。トルコ自体はどうなのでしょうか?地域の覇権国の力とは何なのでしょうか?トルコは戦争でたくさんのものを得て、たくさんのものを失いました。国粋主義国家であり、ケマルのルーツを尊重していますが、相手の銃が優勢だと知れば国家のプライドなど気まぐれなものだということは言うまでもありません。ですが、もし戦勝を収めたのならばどうなってしまうのでしょうか。賭け金をさらに上げて勝負にでるのでしょうか?

戦争がトルコの未来を形作る

トルコにとって中間点は存在しません。勝利は直ぐさま戦勝の光景を見せますし、敗戦はトルコが望んでいたもの、イノニュが作り上げたものを越えて悲惨な光景を作り出すでしょう。そうです。時間はそう残されていません。偉大な可能性を秘めるトルコがどうなるかはあなた次第なのです。それでも、最高の可能性と最低の可能性は同じコインの裏表に刻まれています。コインとは国粋主義のコインであり、アタトゥルクのコインであり、トルコのコインです。
最後に、国家の運命を決めるためヴェローナ会議が召集されます。会議にはイタリアの指導者達が錚々たる顔ぶれで揃います。市長や代表団から黒シャツ隊、官僚までが、ドゥーチェの国家に対する壮大なビジョンが有益であるのかどうかを徹底的に議論します。しかしチャーノにとってこの会議は簡単に追認されるだけではすまないでしょう。もしも伊土戦争が悪い方向に転がっていたのならばなおさらです。議場の中で彼はファシスト反対派の四頭連合に糾弾され居心地悪く感じるでしょうし、議場の外には過激派(おそらくは学生連合などでしょう)がファシストのシステムを一掃して抹消しようと待ち構えているかもしれません。もしチャーノが父ムッソリーニのレガシーを一人守ろうとするのならば、何をするにも慎重にならなくてはなりません。失敗すれば彼の働きは全て無に帰します。

ヴェローナ会議

再びEpochです。今回はたくさんの国家を紹介できましたね!ギリシャ、トルコ、イタリアとお話ししてきましたが、このアップデートでリワークされるはずの「ある国」について忘れているのではないかとお思いになった方もいらっしゃるかもしれません。西の端にある小さな(TNOでは本当に小さいです!)国家ですよ。そう、フランスです!ご心配なさらずに。フランスに関するコンテンツもほんの少しだけお見せしましょうか。

フランスはこの開発日誌では、最悪の地点からスタートします。ドイツはブルグンドへ領土を与え、ゲームが開始してすぐにさらに追加で領土を獲得します。ドイツ内戦が発動するとブルグンドはもはやドイツの監視を受けることはなく、ヒムラーと彼のSSは堂々と国境を越え新天地を求めます。「アーリア人種のユートピア」のために、フランスのディストピアのために。

首都も指導者も失われた

またもう一つの……

大いなる不和


これで開発日誌は終わりです。お楽しみ頂けたでしょうか。皆さんがPenelope' Webを楽しみに思えたのなら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?