週末バスアングラーのミヤモト

休日のバスフィッシング、日々の仕事や子育てを楽しむバスアングラーです。 このnoteは、時代もジャンルもノーリミット、古今東西の「考え方」をバスフィッシングと結びつけた、半分ノンフィクションの物語です。 一緒にバスフィッシングを楽しみ、少しだけ深く考えてみませんか?

週末バスアングラーのミヤモト

休日のバスフィッシング、日々の仕事や子育てを楽しむバスアングラーです。 このnoteは、時代もジャンルもノーリミット、古今東西の「考え方」をバスフィッシングと結びつけた、半分ノンフィクションの物語です。 一緒にバスフィッシングを楽しみ、少しだけ深く考えてみませんか?

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一生幸せになりたければ釣りを覚えなさい

皆さん、バスフィッシングは好きですか? それはどうしてですか? 手軽に美味しい魚を食べたいなら 魚屋に行きますよね。 豪快な引きを味わうなら 他の魚を狙うほうがいいです。 それでもバスフィッシングが楽しいのは 「手軽に始められるから」が 入り口にあり 「多様な釣り方があるから」が ジワジワ来るから。 ではないでしょうか。 風の当たるバンクをスピナーベイトで流す。 リップラップをクランキングする。 岩盤へフットボールを落とす。 冠水したブッシュにパワーフィネ

    • 第11話 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

      髪がベタベタのフケまみれ、爪が黒ずんで伸びまくった料理人の作るカレーライスは、正直食べたくないし、鶏肉や小松菜が挟まった黄ばんだ前歯が見えたスマイルには、嫌悪感を感じる。 冒頭から、汚い話で申し訳ない。 人は、第一印象が大事だ。中身が大事だとか、ありのままの自分を大切にだとか、色々言う人はいるが。相手に不快感を与えないように自分の清潔感を気にすることや、穏やかな言葉遣いを心がけることは、円滑な人間関係を作るうえで重要だ。「外見は中身の一番外側」なんていう人もいるが、まったく

      • 第10話 武士道

        発達した太平洋高気圧が日本上空をすっぽり包み込み、七滝ダム上空はカラリと晴れ渡っていた。青々と水をたたえる湖も徐々にその水位を下げ、水底がすっかり露わになっていた。僕は、乾いてひび割れた岸辺に立っていた。僕は水底のごみを拾いに来た。以前、平沢さんに教わったキャロライナリグを根掛かりで失ってしまった時、湖底にゴミを残してしまったことが未だに心を痛めていたからだ。 僕は「段々畑」に行った。ダムができるより昔、このあたりにも小さな集落があったそうで、その名残で水中には石垣が残って

        • 第9話 パンセ「人間は考える葦である」

          インターチェンジを降りてから七滝に着いたのは16時前だった。平沢さんは、観光協会の人と漁協の人たちに挨拶や手土産を渡していた。そしてパック詰めのアユの塩焼きをもらってきた。平沢さんと一緒にイベントの片付けを手伝ったので日没まであと1時間ほど。僕らはプロショップの縁側で焼きたてのアユに舌鼓を打った後「段々畑」に立っていた。段々畑は湖全体の流れが避けられる逆ワンドの地形だ。湖底は粘土質で岸際にはパラパラと草が生い茂っている。 先日のまとまった雨で湖は久々に増水し草が冠水している

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        一生幸せになりたければ釣りを覚えなさい

          第8話 老子、学問のすすめ、七つの大罪

          手塚池での釣りの後、僕らは買い物に出かけた。どうやら今日の七滝ダムは観光目的のイベントがあり、湖面利用はできないらしい。 地元の観光協会と漁協が行っている、納涼アユつかみ取り体験だそうだ。世間の休日に合わせて休みができたので、平沢さんはこちらまでやってきたとのことだった。 僕は一度家に帰って釣り具を片づけ、平沢さんの車に乗せてもらった。平沢さんは市内の釣具店の品ぞろえや客層を確認していた。どんなルアーがよく売れているのか。大手の量販店と老舗のプロショップでは、売れるものに違

          第8話 老子、学問のすすめ、七つの大罪

          第7話 チーズはどこへ消えた?

          今週は、久々に雨が続いていた。 今日は残業があった。 かなり遅くなりそうだったので、同僚と相談して、晩メシに牛丼のテイクアウトをすることになった。 新卒の後輩が注文を取りまとめて、買いに走った。 牛丼が届くまで、細かい確認作業が続いた。目が疲労してくる頃に、後輩が帰ってきた。 僕の注文した牛丼が無かった。 正確には、人数分の牛丼はあったんだけど、僕の牛丼にはチーズがなかった。 僕が頼んだのは 「チーズ牛丼の大盛りに温玉トッピング」 だった。 僕の牛丼には、何のトッピン

          第7話 チーズはどこへ消えた?

          【ショートショート】私の記憶

          私は、全てを覚えている。 雨が私に降り注ぐ。 音もなく、そっと、傷ついた草木を癒す。 乾いてひび割れた土に、染み入る。 またある時は、天の奥から並んでやってくる。 大粒のガラスのような大驟雨が注がれる。 岩の隙間からも、染み出した水が流れ込む。 谷底からも、コンコンと湧き出てくる。 その日は、霧が重たく閉ざしていた。 一人の少年が、缶ビールのようなルアーを私に向かって投げた。 静寂の中、カションカションと缶ビールが泳ぐ。 彼は無邪気にルアーを投げ、満足そうに帰っていった

          【ショートショート】私の記憶

          第6話 星の王子さま

          梅雨が開けた。僕は、夏が好きだ。 夏のボーナスが振り込まれ、強気になる。新しい釣りをするんだ! と意気込み、1本タックルを増やした。 6フィート1インチULパワーのソリッドティップリールは2000番のハイギア ラインはフロロカーボンの3lb。マージナルゲインから満を持してリリースされたロッドを手に入れた。 正直、かなりフンパツした。でも大丈夫!これだけ高価なタックルを揃えたんだ。釣れるに決まってる。 七滝ダムをもっと遊びたい。サイトフィッシングに挑戦するのだ。新しいことに

          第5話 失敗の本質

          平沢さんは、55センチを釣ったジャークベイトを結び変えている。 オービタルピリオドのフラットサイドtypeカバーを手に取っていた。 丁寧に結び変えながら、平沢さんは話し続ける。 「雪平君、好きな食べ物はなんだい?」 平沢さんは急に話が飛びまくる。 それはもちろん、意図があるのだ。 最終的に繋がるので、話を合わせる。 「そうですね。カレーライスが好きです。」 「そうか、自分でも作るのかい?」 「そうなんですよ。スパイスの調合にもチャレンジしていて、職場の先輩に絶賛され

          第4話 イシューからはじめよ

          6月の最後の週、大規模な梅雨前線が南熊にかかっていた。木曜日には大雨警報が発令されていた。心配になって、平沢さんに連絡をすると 「こっちの人は、雨に慣れているよ」 と返事がきた。平沢さんはレンタルボートをガレージに避難させ、カーペットやリベットを修理しているらしい。金曜の昼過ぎには、南熊の警報もいつのまにやら解除されていた。僕は釣りの支度をして七滝へと走らせる。スーパー銭湯、サービスエリア、海沿いのコンビニ、狭く暗い林道を経て七滝ダムに到着したのは午前5時頃だった。 ダ

          第4話 イシューからはじめよ

          裏話 その1

          さて、お楽しみいただけましたでしょうか? 今まで取り組んでいたアメブロ。 ここにはありのままの自分を書けばよかったんですが、ストーリーの執筆となると、また勝手が異なりますね。 難しいです。 登場人物は 今のところ二人です。 雪平(ゆきひら)は 若かりし頃の 承認欲求にまみれた僕がモデルです。 SNSにたくさん写真をアップし たくさん見てもらって それがむちゃくちゃ嬉しくて 「もっと見てもらいたい」 そんなことを考えていました。 そうしているうちに 手っ取り早く釣る方法

          第3話 課題の分離

          あの日から何度か釣りに出かけたが、実は魚が釣れていない。 思考が大切、情報が大切、判断が大切と平沢さんから教わったが いざ一人で釣りに行くとあの人のように釣ることができないでいる。 僕は、あの人と何が違うんだろうか。 先週は、僕のホームフィールド「手塚池」に行っていた。 自宅から車で1時間ほど走ったところにある、農業用の巨大なため池だ。 江戸時代に整備された「野ダム」と言ってもいい。 矢板や杭、石積みがあちこちに残っている。水草もたくさん生えている。 なかなか自然豊かで、実

          第2話 孫子の兵法

          エントリーしたスロープの周辺には、遠浅のシャローフラットが広がっているらしい。 エサを食べに来ている小魚が来ているかもしれないと思って沖の方にポジションを取り、岸際めがけてマスタングを遠投する。 マスタングはピチャピチャと可愛い音を立てながら泳いでくる。 これが釣れる動きなんだ。 僕は動きに魅入られワクワクしてきた。早くバイトしてくれ! そうしてマスタングを根気よく投げ続けること30分、一匹もバイトが無い。 バイトはおろかチェイスも一切、無い。 予想外の出来事だ。魔法のルア

          第1話 出会い

          午後9時、いつも通りに仕事を終えた僕は、オカッパリタックルを車に積み込み、南へと走らせた。 SAで仮眠を済ませ、高速道路を降りてから海沿いのコンビニでホットコーヒーを買い、朝日を迎える。 そのままさらに曲がりくねった山道をアプリに従って走る。走る。 家を出てから4時間は走っただろうか。 杉林の峠を越えると突然視界が開け、眼下に湖が広がっていた。 日本有数の豪雨地帯、南熊山地にひっそりと水を蓄えているそのダムは、名前を「七滝ダム」という。 僕は路肩に車を停め、腰を伸ばす。6