【コラム】教員不足に悩むドイツの小学校
「長年にわたって、ドイツの多くの州は小学校教員の需要を見誤っていた」という報道を、最近よく目にします。その原因は?そして、『キャリアチェンジャー』は助っ人となり得るのでしょうか?
「2025年には、26,300人もの小学校教員が不足する。その数は、常習各州文部大臣会議(Kultusministerkonferenz, KMK)によるこれまでの予想(15,300人)を大きく上回る。」と訴えるのは、「KMKの誤算が、昨今の教員不足を招いた」と結論づけるドイツ最大の財団・ベルテルスマン財団です。
当財団いわく、教員数を決める際にKMKが根拠とした数字は、2012年以降上昇が続いている出生率や、難民の受け入れに伴う生徒数の増加などの諸要因を適切に反映していなかったとか。
犯人捜しも大切だけど、対応策を練るのも急務。ということで、各州は応急措置として、既に定年退職した教員を再雇用したり、パートタイムで働いている教員の労働時間を増やすなどして、その場を何とか凌いでいるようです。特に注目に値するのが、『キャリアチェンジャー』の雇用。
『キャリアチェンジャー』とは、教員免許を取得していない、もしくは教員養成課程を修了していない人々のことをいいます。教育とは関係ない仕事に就いていたものの、教員不足問題を解消すべく、彼らは学校に雇われ、教鞭をとっています。この『キャリアチェンジャー』、ドイツでは需要が比較的高く、ここ10年でその割合は3%から13%に上昇。そして、特に小学校において、その上昇傾向は今後も続くと見込まれているのです。僕が住んでいるヘッセン州でも、小学校全教員の10%に当たる1,500人が『キャリアチェンジャー』であり、その数字は、まるで事の緊迫さを物語っているかのようです。
現状を的確に把握できなかったと非難されるKMK。それが原因で、教育の専門家ではない『キャリアチェンジャー』に頼らざるを得ない小学校。ドイツの教育制度は、今後どこへ向かうのか、気になるところです。
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