2023年11月に読んだ、おすすめの本 その1
11月に読んだ本の中で、おすすめの本を紹介する第1回です。今回は、発売済みの『文芸/ホラー/ミステリ/SF 等』から10冊を紹介します。
🌟発売済み『文芸/ホラー/ミステリ/SF 等』
「バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1 《変身》」 阿泉来堂 著
BOOK1とBOOK2の2冊同時刊行。
最初は書名も副題も意味不明だった。それがやっと「心と体」を《変身》させる意図がわかると、その猟奇さにうめいた。 でもまだ『バベルの古書』の意味は不明。微かな予感があるのみで、Book2へと続く。
「バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2 《怪物》」 阿泉来堂 著
閑職に追いやられた加地谷らは、異様な〈エンゼルケア殺人事件〉担当にさせられる。伽耶乃のプロファイリングと加地谷のカンの対決。だが真実は更に意外な方向へと。 Book1と共通する、全ての元凶『BABEL』とは? Book3を待つ。
「優等生は探偵に向かない」 #ホリー・ジャクスン 著
シリーズ第2部
ピップは前回で得たSNSの力も駆使して、失踪したジェイミーを探していく。更にその過程を、〈グッドガールの殺人ガイド〉シーズン2として配信していく。その調査が、正義とは何か、死とは何を意味するのかに直面するとは気づかずに。
そして第3部へと続く。
「サエズリ図書館のワルツさん 2」 紅玉いづき 著
第三次世界大戦後、稀有となった紙の本を扱う私立サエズリ図書館。 そこでの人間模様が描かれていく。生き方を求めるボランティアスタッフ千鳥と図書修復家降旗の本音の応酬が凄かった。更にワルツさんは勿論だが、あの大黒柱サトミさんも一筋縄ではいかない人だったとは、びっくり。
そして、最終話のラブロマンス(?)にハラハラした。そして、きっとあのふたりは……
「躯体上の翼」 結城充考 著
今年出た「アブソルート・コールド」と同じ世界観なので、ハードカバー版は2013年に出ているこの本を再読。
地球であるのは確かなのだが、全貌を把握できないまでの広大で異形な未来。 生体兵器の「員」と謎の存在「cy」の心の絆を守るため、彼女は221隻もの飛行船団に独り挑む。さらに道仕、人狗も加わっての大規模なカタストロフィの果てに待つのは? 極限まで圧縮された「員」と「cy」のやり取り。そこに溢れる想いと決意が心にずっと残っていた。
互聯網、佐久間種苗、炭素繊維躯体、緑化露。これらの言葉が一切の説明がなく雨のように降ってくる様は、まさに目眩の世界。それが最高だった。
「ときときチャンネル 宇宙飲んでみた」 宮澤伊織 著
マグカップで飲む宇宙は喉越しよい。(するなぁ) 時間にペンで目鼻を書くの楽しい。(やるなぁ) 並行世界を風景にした外ロケなら安心。(してるなぁ) なんて配信してます。登録と高評価お願いします。
非局在化した人間の知覚? 時間と時間感覚はどちらが先? 観測者効果と記憶の関係? 量子コンピュータに量子もつれ状態を導入? 好みの思考実験が次々と出てくるので、読み進めるのが停滞する程だった。
「天久鷹央の事件カルテ 吸血鬼の原罪」 知念実希人 著
吸血鬼による連続殺人に挑む〈タカタカ〉ペアならぬ〈タカノトリ〉トリオ。推理のために猪突猛進する鷹央が目指すのは「名探偵」ではなくて「医師」。 終盤に繰り返されるどんでん返しの中、そこにブレはなかった。
シリーズ開始の頃と比べると、みな(鷹央はちょっと)成長したなぁ。
「逆転正義」 下村敦史 著
正義と信じて行う行為。客観的にも倫理的にも、心情的にも。ところが突然、人を傷つける側に逆転する。さらに逆転、鮮やかにまた逆転。 その中で、正義とは悪とはどのようなものか、考えさせられていく。エンターテインメントの中でも、そのあやうい関係を考えさせる短編集だった。
「猫を処方いたします。」 石田祥 著
京都本大賞受賞
仕事や家庭に疲れ切った、そんな人達が訪れる「中京こころのびょういん」。処方されるのは「猫」。個性豊かな猫との様々なやり取り。その中でふと、周りへの見方が変わる。一歩踏み出していく。猫はそんな心の万能薬。そして、だんだんと見えてくる〈2人〉の正体とここに居続ける意味。それは、次巻で明かされるのだろうか。