プーチンの反逆との闘いと「サルマト」発射実験
4月20日、露防衛省が第5世代の大陸間弾道ミサイル『サルマト』の発射実験に成功したと発表。発射をプーチン大統領もリアルタイムで見ていた。そして発射後の祝福の言葉として次の様に述べた:
『「サルマト」大陸間弾道ミサイル発射成功おめでとうございます。これはロシア軍の先端防衛システムの発展における極めて重要な出来事だ。この新システムは、最高級の戦術・技術的仕様を用いており、現存のミサイル防衛手段の全てを突破できる。全世界でも同類のものは当分ないだろう。
この実にユニークな武器は、我が国の軍事ポテンシャルを高め、ロシアを外的脅威から守る。そして、狂気に満ちた口調で我が国を脅そうとしている全ての者を考え直させるだろう。この新システムの開発と生産に携わった方々、目標を達成すべく様々な知恵と工夫を重ね、研究者の思いを実現した全ての関係者に感謝の意を表したい。最も強調したいのは、「サルマト」の製作に使用された構成品、部品の全てが国産であり、これは当然ながら量産と戦略的ミサイル軍への提供の難易度を下げる。再度、この度の成功の祝福とここまでの労への感謝を伝え、今後も母国のための更なる活躍を祈る』。
「サルマト」は、軍事技術面、戦術面でまさにゲームチェンジャーとなる武器であることは間違いないだろう。そして、米およびNATOは言うまでもなく、全世界に露の力を再度示すきっかけとなったのも、疑いの余地はないだろう。しかし、なぜ今、この「サルマト」の発射をする必要があったのか、その意図は何か。今日はそれについて少しだけ深堀してみたい。
露国内反逆への期待
日本を含む先進国の一般人は、欧米諸国からの武器供給、その他軍事支援によって長引かされているウクライナでの特別軍事作戦は、やはりどこか遠くの話しで、『明日は我が身』と本気で考えている人は少ないだろう。ましてやこのままいくら進んでも核戦争にまで発展することは無いと信じている人が多い(ほとんど)だろう。では、なぜ米英を中心に核戦争というキーワードがチラホラ聴こえる様になってきているのか?メディアで垂れ流されている様な話しはさておき、本質的に考えてみると、米英(独仏‥等)にとって、これは露を滅亡させる最後のチャンスだからだ。露の文化も言語も民族も全てをこの世から消すのが本来の目的なのではないだろうか。
同時に、上述の米英を中心とした諸国は露が核兵器を使った反撃に及ぶ可能性も念頭に置いている。故に、すぐさまに露との直接対決にはでようとしていない。しかし、露がいざ反撃しようとしたときには、露国内の裏切り者が最高司令官の命令を無視し、核兵器の使用を阻止するのではないかと考察しているから、ウクライナへの武器供給やその他の軍事支援を通じて露を挑発し続けているのではないだろうか。スウェーデンとフィンランドのNATO加盟の話しも同じ流れなのではないだろうか。露がそもそも今回の特別軍事作戦を開始した際の要求の一つだったNATO拡大の停止と1997年時点の境界への遡りだったのに対し、NATO(やはり米英)がスウェーデンとフィンランドに具体的な条件を確約し、加盟を促している。これは露に対する挑発の他に何物でもないといえよう。やはり露国内に、反逆があり、プーチン大統領の命令がサボタージュされ、あわよくば政権交代もありかという期待の表れだと考える。それもそのはず、ウクライナに武器を提供したら、それを運ぶ如何なる運送手段も、露にとって標的になると言っておきながら、未だウクライナを西から東に横断して武器が運ばれているのではないか?ウクライナから露国内(ドンバス地方ではない、本当の露の領土!)に対して攻撃が複数回行われているが、これも当然、現場の兵隊ではなく司令官の指示、つまり司令官の責任に他ならない。つまり大っぴらに露国内(軍隊の司令部内から)反逆が起きている訳だ。ではなぜ反逆が起きているのか?私見だが、裏切り者どもは、何しても罰則を受けないと確信しているからだろう。つまり、露が敗北(滅亡)すると確信しているからだろう。確かに、今の露は、その様な裏切り者を特定しても、排除は出来ない(例:露中央銀行のナビウーリナ総裁、シルアーノフ財務相‥等)。単純な事例をいうと、石油と天然ガスを露が欧米に売らなくなった次の瞬間、少なくとも欧がトーンダウンすることは間違いない。だが、そんな単純なことも露が出来ない。大統領の命令が無視され、反対されるからだ。
裏切り者が見捨てられそうになったら
4月19日、露元大統領のメドベージェフ氏(現 国防会議副議長)は、面白い発言をした。
『NATOが我が国の国境沿いにまでプレゼンスを拡大してきている。これは最早、単なる言い回しや脅迫ではない。我々はNATOの攻撃に備えるべき』。素人でもわかるぐらい、ルーマニア・スロバキア・バルト三国への武器と兵力の集中が未だかつてなかった水準に達している。防衛のためだろうか?少なくとも露から見て、防衛のための動きには見えていない様だ。なぜNATOがそこまでやれるかというと、またもや露の裏切り者による反逆への期待だと考える。一方、メドベージェフをはじめとする露の裏切り者は、万一のことが起きたら、自らの命もないと気づいてしまい、手のひら返しを始めたのだ。
サルマト発射実験の意味
冒頭に触れた様に、4月20日、露が「サルマト」発射に成功した。メドベージェフの発言の翌日だ(笑)。
ここで再度、プーチン大統領の祝福の言葉の中でも気になる部分を見てみたい:『そして、狂気に満ちた口調で我が国を脅そうとしている全ての者を考え直させるだろう』。一見、国外の敵を対象とした発言に見えるが露の支配層間で繰り広げられている争い、反逆が何遍も起きている状況を踏まえるとどうだろう?
露国民のプーチン支持率がメキメキと上昇している中、例えば、どこかの裏切り者司令官が最高司令官の命令を無視し、必要な時にミサイル発射を拒んだら、部下に殺され、ミサイル発射される可能性だってあると分かってきているのではないだろうか。こういうメッセージなのではないかと考えている。
少し感情的になってしまった部分もあったかもしれない、悪しからず。
当方は露の回し者でもなんでもない。ただ裏切り者が嫌いなだけだ。
今日はここまで。