デザイン史(概論)#05 近代デザインの源流(4)”モダン”ってどんなスタイル?①モダンの生まれた頃
はじめに(毎度の挨拶)
大学での講義をまとめて不定期に少しずつ記事にしていっています。
専門的になりすぎず、なるべく平素にわかりやすくなるよう、努めていきます。
しかしボリュームがあるため、いつ終わるかわかりません。(汗)
書いているうちに、授業では言えなかかったことも盛り込めることに気づいたので、ゆるゆる進めていきます。
単独でも読めて、小分けにして、読みやすくなるようにしようかなと思います。
前回の記事
こちらの記事は、下の記事の続きになってますが単独で読んでもいただけます。
https://note.com/francis_dubreuil/n/nf5f830a15957
”モダン・デザイン” とは何か?を理解するために
”モダン”は今でも主流のデザイン
「モダンなスタイルにしたいな〜」とか、
インテリアや建築などの空間デザインの世界で、今でも、モダンスタイルという言葉を使うと思います。
仮に、モダンスタイル とgoogle 検索してみると、上位にこんな画像が出てきます。↓
多くの人が持つイメージの一つ?ということでしょうか。
ちなみに、このインテリア空間のデザインを言語化するとどんなふうに形容できますか?
シンプルである、すっきりしている、色が抑えられている、装飾が少ない、シャープ、、などなど。超ざっくりとはイメージできますか?
ちなみに、インテリア・デザインを学ぶ&お仕事をする上で、定番とも言えるスタイルがあります。クラシックと7つのモダン(インテリアコーディネーターアカデミーの町田ひろ子先生の分類による)という分類がありますが、モダンスタイルにも種類があるとは言え、現代でもモダンスタイルが主流であるということは言えるでしょう。
そして、細かいスタイルの違い、むしろ”ニュアンス”と言ったほうが良いくらいのイメージができるとよりそれぞれの違いが分かるようになるわけですが、モダンスタイルについて、まず歴史から知ることで格段に理解が深まります。
モダン・スタイルとは”今”生み出されたわけではない
さて、モダン=現代的な という意味なのだから、モダンスタイルが今の主流であるのは当たり前ではないか?
という問いがあると思います。
それは言葉としては合っていますが、実はそうではありません。
これは、様式(スタイル) という概念(考え方)について知らなければ理解し難いかもしれませんが、特定のスタイルを指すデザイン用語の一つだと思ってください。(わかりやすく、を心がけて極端な言い方になっていますので、違和感を持つプロの方はスルーしてください)
つまり、皆さんが生きている現代に今あるデザインをモダン・スタイルと呼ぶのではなく、デザイン史の始まる前後の時代(つまり18〜19世紀、広くは20世紀も含めて)に社会・政治・産業構造などが劇的に変化していき、必然的に生まれてきた考え方が現れ出てその形が定着した様式(スタイル)をモダン・スタイルと呼んでいるということです。ですから、古くは19世紀初頭ごろから現れ出てきたスタイルだということです。これは徐々に変化していく社会の現れなので、いつが最初という短期的な見方はできません。徐々にそのスタイルが時間をかけてできていくというイメージです。(ですから、対極にある”クラシック(古典的な)”というスタイルももちろん同時期に残っています。)
ここ、わかりますか?かなり重要なことなんです・・・。
社会的背景
西欧では、18世紀末〜19世紀初めには、政治的にも進展がありました。
例えばフランス革命(1789年)により、貴族階級ではなく、”市民” という自意識が芽生え、これが倫理・経済の発達の出発点となりました。
その革命後、ウィーン会議(1814年)ののちにヨーロッパに政治的な新秩序がもたらされました。
そして、商業や関税などの障壁が廃止されたり、ギルドが廃止されたりしました。
ギルドって簡単に言えば組織的な、厳しい徒弟制度のようなものです。普及した機械生産によっても、このようなものが失われていきました。
細かいことは省きますが、産業構造が大きく変化したと理解してください。
このことで、飛躍的に商工業、産業が発展していくことになります。
貴族と市民の ”デザイン” は何が違うか想像してみて
ここで貴族階級の崩壊、市民階級の台頭
という社会情勢をイメージしてみてください。
あなたが市民階級ならば、どんなデザインを好みますか?あるいは、どんなデザインが流行ってきたと思いますか?どんな家に住み、どんな家具を置きたいですか?
お金を持った人が、貴族の真似をして豪華で荘厳な御殿に住みたい!と思ってそれが大流行したでしょうか?
それとも・・・・?
その辺りの答えの一つ(?)は次回の アメリカ・シェーカー派 のところでお話しすることにします。
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