シャトー・ラフォリー・ペラゲ(Château Lafaurie-Peyraguey)
名称:シャトー・ラフォリー・ペラゲ(Château Lafaurie-Peyraguey)
格付け:★★★★★(2024年)
所在地:
現ヌーヴェル・アキテーヌ地方圏(Nouvelle-Aquitaine)
旧アキテーヌ地方圏
ボンム(Bommes)
ホテル紹介で最初に紹介するのは、ボルドー南部のソーテルヌ地区に位置するシャトー・ラフォリー・ペラゲ(Château Lafaurie-Peyraguey)。2018年6月に開業した比較的新しいホテルです。
場所は、ボルドー市内から南や42kmほどのボンム村に建ち、甘口の貴腐ワインで有名なソーテルヌ地区にあたります。ワイン好きな方であれば、ホテルの名前で、ピンとくるはずですが、このシャトー・ラフォリー・ペラゲは、ホテルとしては、まだ開業して間もないのですが、ワイン生産は400年以上続いているという非常に長い歴史を持つワイナリーです。その品質も指折りで、ソーテルヌ地区でも高品質なワインの照明でもある格付け第一級を獲得している高級貴腐ワインを生み出しているワイナリーです。
このシャトー・ラフォリー・ペラゲのワイン生産400年の節目の年に、同じく創業130周年を迎えたクリスタル・ブランドメゾン・ラリック(Maison Lalique)がタッグを組み、ソーテルヌ地区の高級ホテルが誕生したわけです。ラリック社が手掛ける豪華なクリスタル装飾、長い歴史を持つ名門ワイナリーのワイン、当地の食材を用いた美食、そしてきめ細やかなサービスを提供するホスピタリティを有する超高級ワイナリー・ホテルとなっています。
2023年にこのホテルに宿泊する機会に恵まれました。ボルドーからアクセスすると市内や郊外は流石の大都市ですので、町らしい雰囲気がしばらく続きますが、郊外を抜けるとアキテーヌの田舎風景が広がります。ソーテルヌ地区に入ると、やはり世界に名を馳せるワインのメッカだけあり、美しいブドウ畑が広がり、名門のシャトーがブドウ畑の中に点在します。
シャトー・ラフォリー・ペラゲもそんなブドウ畑の中に位置します。歴史を感じさせる重厚な建物の門をくぐると、美しく手入れされた前庭が広がります。建物内部は美しく改装されていますが、建物の増築は行っていませんので、客室は全13室と非常に小さなブティック・ホテルです。
ホテルに一歩足を踏み入れると、そこからはルネ・ラリックの世界。ホテル内の様々な箇所でルネ・ラリックのクリスタルの装飾をご覧いただけます。中でも、ブドウの葉をデザインした装飾やシャンデリアなどは、このホテルがブドウ畑の中にあることを思い出させます。グランド・フロアにはレセプションやレストランがありますが、階段を上がった1階にライブラリーがあり、ワイン関連の本とともに、ソファーが配されており、ここでごゆっくりお過ごしいただくのもおすすめです。
客室はモダンな雰囲気の客室となっていますが、ここでも、細かい部分でラリックの装飾で飾られており、優雅な雰囲気を作り上げています。そして、窓から外を望めば一面に広がるブドウ畑がご覧いただけます。緑が広がるブドウ畑はまさにフランス的な雰囲気を感じられるでしょう。
ホテルのダイニングは、「レストラン・ラリック」。朝食からディナーまで食事の提供をしています。2023年格付けでミシュラン・ガイドの2つ星を獲得している美食のレストランですが、このレストランでの朝食では、気持ちの良い朝を迎えられるでしょう。天井には美しいラリックのクリスタル装飾がなされ、大きな窓の向こうには、ホテルの裏側に広がるブドウ畑を一望しながら朝食を楽しむことができます。コンチネンタル風の朝食ですが、別途卵料理やサラダなどを注文することもできます。
夕食では、一層ラグジュアリーな雰囲気に満ちたレストランで、シェフ、ジェローム・シリング(Jérôme Schilling)氏が手掛ける美食をお楽しみください。洒落たアミューズから始まる斬新で革新的な料理は、モダンなフレンチ。当地の食材を使い、当地のワインにインスパイアされたディナーをお楽しみいただけます。食器やシルバーも一流ブランドのものが使われているのはもちろんですが、何よりグラス類はすべてラリックの製品というのも、当然なのかもしれませんが、とても豪華です。お食事の最後には、せっかくですからシャトーの貴腐ワインでディナーを締めくくるのがよいでしょう。
このシャトーはもちろんホテルではあるのですが、ワイナリーでもあります。もちろん今でもワイン生産を行っていますので、事前に依頼は必要となりますが、ワイナリー見学ツアーや試飲プログラムをお楽しみいただくことができます。
シャトーの周りに広がるブドウ畑を巡って、ブドウの説明などを受けたのち、ホテルにある17世紀の礼拝堂へ入ることができます。ここは現在、ワインカーブとなっており、ワイン樽がずらりと並んでいます。その先にあるのは、なんとルネ・ラリックがこのホテルのために作ったオブジェで、クリスタルで作ったワイン樽が飾られています。見学後は、ワインショップの一角でワインの試飲体験を楽しめます。シャトーが手掛けているのは、貴腐ワインだけではなく、辛口白ワインも作っていますが、やはり貴腐ワインが、フラッグシップとなります。
セミヨン(93%)、ソーヴィニョン・ブラン(6%)、ミュスカデル(1%)の割合でアッサンブラージュされた高級貴腐ワインが
■「シャトー・ラフォリー・ペラゲ(Château Lafaurie-Peyraguey)」
そして貴腐ワインのセカンド・ブランドとなる
■「ラ・シャペル・ドゥ・ラフォリー・ペラゲ(La Chapelle de Lafaurie-Peyraguey)」があります。
また、辛口白ワインとしての
■「シャトー・ラフォリー・ペラゲ・グラン・ヴァン・ブラン・セック(Château Lafaurie-Peyraguey – Grand vin blanc sec)」
とセカンド・ワインとなる
■「リス・ドゥ・ラフォリー・ペラゲ(Lys de Lafaurie-Peyraguey)」
を生産しており、辛口と甘口の白ワインの試飲体験を楽しめます。
ブドウ畑の中にあるホテルです。ホテルから歩いて町の散策や観光に出かけるということはできませんが、ボルドーやサン・テミリオンなどは車があれば訪ねられる距離ですので、時間があれば、足を延ばして観光に行くのもよいでしょう。しかし、せっかくこのホテルに泊まるのであれば、ソーテルヌの中心で過ごす時間も大変貴重なものです。忙しく観光をするよりも、ブドウ畑の中を散策したり、またワインがお好きであれば、近郊のワイナリー巡りもおすすめです。ソーテルヌ特級格付けのシャトー・ディケムや同じく第一級格付けのシャトー・ギローなどは、ホテルから車ですぐ訪ねることができます。
ボルドーでラグジュアリーなワイン・ツーリズムを楽しむのであれば、是非とも泊まってみたいホテルの1つと言えるでしょう。