仏検準1級、二次試験対策としてわたしがやっていたこと
わたしは2023年度仏検準1級試験を受験し、合格しました。
今回は、わたしが当時実際にやっていた二次試験対策とその勉強方法について書いていきたいと思います。
一次試験が終了し、これから二次試験対策をはじようと思っている方や、今後準1級の受験をしようか検討されている方などにお役に立てたらうれしいです。
二次試験の概要
まず仏検準1級試験のおおまかな日程について書きます。
11月 一次試験(筆記)
12月 一次合格発表(合格者のみ二次試験へ進む)
1月 二次試験(面接)
2月 最終合格発表(準1級取得)
というように、一次試験から二次試験までは年をまたぎ、最終の合格発表を受けるのは2月なので、全行程に約3か月を要するという長い道のりの試験です。
但し、一次試験後だけは即日仏検事務局より「正解および回答例」がHPで掲載されるため、自己採点をして自分が一次に通ったかどうかの目安は自分ですぐ分かるようになっています。
二次に進めそうな場合は、そこから二次試験用の勉強を始めると、約2か月それに充当することができるため、年末年始をはさむとはいえ、それなりに時間の余裕があるといえるかと思います。
次に、二次試験の形式、流れについて書きます。
試験は個人面接形式で行われ、その面接時間は7分となります。
7分の配分は決められていて、はじめの3分は選んだテーマについての論述をしなければなりません。monologueです。そして残りの4分は質疑応答をすることになります。
以下は当日の流れです。
集合時間に会場へ行く。
↓
スタッフの方の指示に従う。
その後、それぞれの面接室へ移動する。
↓
面接試験開始時刻3分前に、スタッフの方から論述テーマが書かれた紙が渡される。
↓
そこにA,B, 2つのテーマが書かれているので、2つの内1つを選び、その場で(=自分の頭の中で)論述の準備を開始する。
※スタッフの方から渡されたテーマの書いてある紙に、メモを書くのはOKとされています。しかし、面接試験中に、そのメモをそのまま読み上げる行為はNGとされています。(仏検事務局HPより)
ちなみにわたしは、メモはあくまでも試験前の「準備用」という位置づけで捉えていましたで、実際の面接中に書いたメモを見るということはありませんでした。
↓
試験時刻になると、スタッフの方から面接官のいる部屋に入るよう促されますので、入室します。
↓
名前の確認をされたのちに、どちらのテーマを選んだかを聞かれます。
(面接中は常にフランス語です)。
「わたしはA(もしくはB)を選択しました」と答えた後に、「では、はじめてください」と言われ、3分間の論述スタートです。
(面接官はタイマーをつけて測ります)
↓
7分後、終了です。
続いて、出題されるテーマの傾向も見ていきましょう。
出題テーマの傾向
試験前に渡される紙には2つテーマが書かれているのみです。AとBです。どちらか一つを選び、論述することになります。
過去5年分の実際に出題されたテーマの確認と、あと自分の実際の試験時のテーマを見てもそうなのですが、基本的に A.時事問題、B.一般的テーマ という傾向が強いです。
では、実際の過去問を二つ見てみましょう。
※問題そのままの引用は避けていますので、一部名称省略をご了承ください。
※試験時、テーマはフランス語で書かれています。
(ここでは日本語で書いています)
A.〇〇戦争のフランスと日本への影響はどのようなものだと思いますか?
B.△△について、あなたは賛成ですか?反対ですか?
Aは時事です。試験の該当年度に起きたある戦争についてのことでした。
Bは一般的・社会的なあるテーマについて、自分の意見を賛成、反対をもって論じます。
もう一つ見てみましょう。
(上記とは違う年のものです)
A.〇〇は何のためにあると思いますか?
B.少子化が進んでいるのに、学校で△△が増えていることについてどう思いますか?
Aは時事です。試験の該当年度に開催されたあるイベントに関してでした。
Bは若干時事よりのテーマですが、日本の独特で特徴的な学校のあることについて、どう考察するかを問われました。
このように、渡されるテーマの内の1つは試験該当年度に起きた時事について、もう1つは広く一般的な、社会的なテーマに関わること、という組み合わせがとても多いです。
では、それを踏まえた上で、実際に二次試験用にどう勉強していくのか、わたしが実際にやったことを書きます。
やっていた3つのこと
1. 時事の把握
来年1月の二次試験を受ける方は、2024年1月から12月までに起きた主な出来事、時事から、題材になりそうなものをピックアップして、その内容を理解しておくことをおすすめまします。
2025年度の試験を受けようと考えている方は、来年からスタートする時事をその都度、例えばその月毎などでまとめてチェックしておくと、後々とても役立ちます。それをフランス語でチェックしておくと、一次試験の勉強としてもとても有効です。
わたしは2023年度受験でしたので、2023年1月から12月まで時事をニュースサイトを使って調べ、日本語でその背景、現状、問題点、そしてそれに対する自分の意見を簡単にノートに書き出していきました。
それをフランス語へと文章化、翻訳するということはしていません。
なぜかというと、それをすると作文にかなり時間を要してしまうからです。時間がもったいないです。そもそも二次は口頭試験ですので、文章化するよりも、自分の分からない単語や、主要なポイントだけをフランス語で書くにとどめて、とにかく口頭で(フランス語で)説明や論述ができるよう練習をすることに時間を割く方がよいです。
ちなみにわたしが当時利用したニュースサイトは、時事通信フォトというサイトにある「重要ニュース年表」です。
ここのサイトは月ごとの国内、海外、スポーツと時事が分かれてコンパクトにまとまっているのが、使いやすかったためにわたしはこれを利用していました。(もちろん自分が見やすいと思うニュースサイトでチェックするので大丈夫です)
時事通信フォトHP
https://www.jijiphoto.jp/web/index
同サイトの2024年の出来事ページのURL
https://www.jijiphoto.jp/resource/html/ext/news/year/2024/index.html
2.一般的テーマの把握
過去問を見ると、時事だけではなく、一般的な分野における題材も必ず出ていますので、そういう題材の論述練習をすることも大切といえます。
しかし一般的テーマは、一年の時事と違って、範囲に終わりがありません。
テーマを探し続けたら尽きないので、一般的テーマの方は延々と題材を見つけようとするのではなく、ある程度の数のテーマを集めたら、まず練習としてそれらに実際に取りかかってみることをおすすめします。
自分が準備した一般テーマがドンピシャで試験に出るということはあまりないかと思います。なので自分が練習してやってきたのと違うテーマが本番で出たとしても、困惑しなくて大丈夫です。
言い方や展開の仕方など、自分がやってきたことはいくらでも応用できるはずです。うまく応用しながらやりくりするということがポイントになります。
下記はわたしが当時取りかかった一般的、社会的テーマです。
他の方と比べたことがないので、これが多いのか、少ないのか、判断がつかないのですが、時事の勉強の方も合わせてやっていますし、これくらい色んなパターンをやれば全然問題ないかと思います。
〈題材〉
少子高齢化、環境(温暖化)問題、
シェアエコノミー、
自分のやっている環境保護の取組み、
男女格差、同性婚、夫婦別姓、
移民問題、インフレ問題、
オーバーツーリズム、エアーbnbの問題点、
スマホ依存、マスコミが我々に与える影響、
塾・受験の必要性、高校の無償化、
バイリンガル教育について、
スポーツの利点、動物の福祉、
日本の食料自給率、生成AI、
文化遺産・伝統文化を守ことについて
大事なことは、色々な問題、出来事に対して日常的に理解を深めたり自分の意見を持つようにすることなので(そしてそれをフランス語で考えてみる)、そういうことを意識的にやってみて、一般テーマの練習をすると有効な勉強になると思います。
3.実践トレーニング
ノートに書いたことを目で追いながら(読みながら)頭の中でフランス語を言うのと、口に出してリアルに言ってみるフランス語は全然違います。
皆さんもそういう経験はないでしょうか。
わたしはたくさんあります。笑
なので実際に自分が考えて、書きだしたことや、ノートなどは最終的には見ることなく、実際に声に出しながら論述の形にのっとって練習をしてみましょう。
実際に口に出すと、言葉が詰まる、単語が思い出せない、うまく発音ができていない、など色んなことに気づくと思います。
又、時間を測りながらやることも大事なポイントです。
そして更にもしできれば、個人レッスンなどで、自身の論述をフランス人の方などに聞いてもらう、そして4分間の質疑応答を、試しにやってもらう、というのは良い練習だと思います。
でも、フランス人の方などにレッスンをしてもらう機会はない、という方でも大丈夫です。
自分でタイマー測って、こんな風に聞かれるかな?と想定しながら、自分でそれに回答していく、という練習を繰り返すことで全然よいと思います。
わたしも実際、フランス語の個人レッスンの先生と練習はしましたが、毎週レッスンを受けてた訳ではなかったので、基本的には家での自主トレでがメインでした。
重要ポイント「構成」
わたしは個人レッスンの先生から、論述する際の構成方法を教えてもらいました。
先生いわく「これがフランスの論述のセオリー」ということでした。
(ちなみにわたしの先生はフランス人の方で、教師歴も長く、仏検だけではなく他試験にも精通されていらっしゃいます。)
<構成>
① 導入 → ② 問題提起 → ③ 展開 → ④ 結論
詳しく説明すると、
①導入として、まずテーマにおける現状や背景の説明をします
②話を展開するために、自分で問題を提起します
③提起したことへの賛成・反対、策や利点・欠点など話を展開していきます
④最後に結論、自分の意見のまとめを話します
です。
先生いわく、これは仏検試験に限ったものではなく、フランスでもフランス人が論述の試験をやる際の定石となるそうです。
では、具体的にどう構成するのか例題を出してみます。
テーマは
「砂糖税や脂質税は肥満対策として有効だと思いますか?日本でも導入するべきだと思いますか?」
です。
これはあまり聞き慣れない税かもしれませんが、諸外国では導入されていたり、もしくは導入したけど、上手く機能せず今は撤廃されたりなど紆余曲折あります。
以下はわたしが考察した内容を上記4つの構成にのっとった形で書いてみます。
※これが真実かどうかは無視してください。これはあくまで例として作っています。構成の流れを見るためだけに書きます(日本語で書きます)。
導入:現状、背景などを説明する
「欧米では、国民の肥満が増加していて、それに伴なう健康被害も問題化しています。その対策として、政府が肥満又は健康に影響を与える可能性があるような、砂糖もしくは脂質を多く含む食品への課税を検討しているという動きがあります。」
問題提起:自分でこの件について問題提起します
「では、課税をすることでの利点と欠点は何でしょうか?又、日本でもこの税は必要でしょうか?」
展開:課税からくる利点と欠点どちらもあげます。これは可能な限りどちらもあげます。
「課税の利点としては、税をかけることによって砂糖・脂質含有食品の消費を抑制することができ、国民の健康を守る一役を担う可能性があります。
又、それは医療費の抑制にもつながるため、政府の財源対策としても有効であるといえます。
欠点としては、課税により中低所得者層に対して顕著に経済的負担が大きくなることへの懸念があります。
更に、課税により消費減が起き、食品メーカーの売上が減少します。これは企業生命を奪いかねないことであり、食品メーカーからの大きな反発があると思います。
又、消費減から生まれる企業の経営悪化は、現在経済が停滞している国においては得策とは言えないと思います。経営悪化は、雇用や賃金形態の悪化も同時に招きかねなく、国民にダイレクトに負担がのしかかります。
結論:自分の意見を結論づけます。これがわたしの結論です。というワードは必ず言いましょう。
「結論としてわたしは、課税をすることで国民の肥満を減らすことはできないと思います。
なぜなら欠点が利点を上回ると考えるからです。
そのことより、日本での脂肪税・砂糖税の導入も必要ないと考えます。
わたしは必ずしも課税だけが国民の肥満減少への成功する道とはといえないと思います。
そもそも脂質、砂糖などに対する依存性は簡単に課税するだけで治るものではないです。課税に焦点を当てるよりも、政府がそれに代わる健康的な代替品の開発や研究などにまずお金をかけてほしいです。
以上のことより、砂糖税や脂質税は肥満減少策として有効とはいえず、日本でも導入するべきではないと思います。」
という感じです。
流れの構成はこんな感じです。実際のわたしの試験時もこの構成にのっとって行いました。
(再度言いますが、上に書いていることの信憑性はないので、流れの作り方だけを見てください)これは題材が何になったとしても基本的に同じような形を取ってみましょう。
ポイント
・利点・欠点、出来事の良い面・悪い面は、両方あげることが常套手段です。両側面をあげたうえで、結論として、わたしはこっちだ。となるのが、より良い論述となります。
・当然のことですが、結論としてどちらを選んだからといって試験の点数に差がでる、影響が出るということはありません。試験官が見ているのはフランス語での論述能力と、その後の質疑応答力です。
・実際の試験では、もし分からないことがあっても、黙りこくらないでおきましょう。そういう時は、それに近い話でも何でもいいから言ってみましょう。きちんと論じているか?もしくは、ちゃんと応答できているか?を見るテストですので、内容や知識が合っているかは気にせずいましょう。
『どうしようなんか分からないかも..』とその場でなっても、何かしら発話をしてみましょう。そこからまた話の輪が必ず広がります。巻き返せます。
実はわたしも実際に試験中の質疑応答で、面接官に問われた質問がちょっと難しくて、『・・何言ってます?』と思って一瞬固まったことがありました。
でも「すみません、もう一度言ってもらいたいのですが・・」とお願いしてみると、(これを頻発することは避けましょう)なんと違う言い方で質問を言ってくれました。向こう側も対話をしようとしているので助け舟がでてきます。
ちょっとした発話やアクションなどしてみると、次の会話、もしくは次の別の質問へと変わっていくことにつながるはずです。
わたしがよく使っていたフランス語
わたしが論述用によく使っていたフランス語を書きます。
これが論述で使うフランス語のすべてではもちろんありませんが、練習時に使用頻度が多かったものです。
Aujourd’hui,
De nos jours,
Récemment,
À la suite de
D’un côté,~~. D’un autre côté,~~.
Premièrement,~~. Deuxièmement,~~.
Tout d’abord, puis, ensuite, de plus, et en plus, (並列の順番です)
Grâce à
À cause de
Des avantages. Des inconvénients
C’est normal que
Le plus important est
Il faudrait que
Il est nésessaire que
Il serait préférable que
Pour conclure,
En conclusion,
Je pense que
Je dirais que
NHK Worldの利用
NHK Wordについては、以前のnoteで取り上げたことがあります。
時事ニュースなどを、フランス語でどのように説明しているかが分かるので便利です。
時事をフランス語で実際に読んでみることや理解すること、そこで使われている単語や成句・表現などを覚えることは二次試験だけはなく、一次の筆記試験においても、とても勉強になり、わたしにとってはやってて良かったなと思う勉強の一つでした。
とにかく日々の色んな時事をフランス語で読めるのはとても有効だと思います。よろしければ下記記事もどうぞご覧ください。
最後に
秋季試験は、11月から1月まで期間の幅があり、その間に師走を迎え、忘年会、クリスマス、大晦日、お正月、実家へ帰省など、用事が盛りだくさんで、生活スタイルが勉強に集中しづらい環境になりがちです。
わたしはこれらのイベントと勉強は完全に日にちを分けてやっていました。
この日は、飲む!又は遊ぶ!と決めたら、まったくその日は一切勉強しないといった感じです 笑。
そして、そのリカバリーとして、それ以外の日は、集中して試験に向かって粛々と勉強を重ねる、という感じでかなりメリハリをつけていました。
又、話題が変わりますが、たまにいらっしゃるのですが、余裕で一次試験を通って、二次もそのまま別に余裕でしょ、という方がいます。
いわゆる、そんなに勉強しなくてもできちゃう組の方です。
うらやましい限りですが、わたしはそういうフェーズには全然いませんでした。(今もいませんが 笑)
わたしの場合は、仕事をしながら準1級の勉強をするのは、最後のさいごまで時間が足りないと思っていましたし、難しいと嘆きながらも勉強を続けてきて頑張って得たものです。
なので、わたしの場合は、余裕なんてなく、しゃかりきに学んで受かった側の人間です。
(「しゃかりき」って言葉ちょっと恥ずかしいですけど 笑)
ちなみに今ではそのしゃかりきはやめています 笑。
目標へ向かう船に乗って周遊しながら楽しく学んでいる感じで今は勉強しています。
なので、ここで今回書いてきました、当時わたしがやっていた勉強方法というのは、これが二次に受かるための唯一正しい方法であるとは言いきれません。
わたしにとっては、これだけ頑張らないとそれだけの実力は付かなかったので、ここまでたくさんやりました。
しかし、そうやって努力をした結果、わたしは嬉しくも一発で準1級を受かりました。あのこれはほんとに全然自慢ではなくて何故これを言ったかというと、自分としてはすごいやってきて良かった勉強だったし、結果が出た勉強方法でもあったので、自信をもって皆さんには勧められるよ、と言う意味、そして担保として言いました。
これが唯一正しいとは言えないけど、おすすめはできるということです。
なので今回このようにご紹介した次第です。
ということで、ここまで長文を読んでくださり本当にありがとうございました。
次回以降のnoteでは、わたしが実際に二次試験面接で選んだテーマと私の実際の論述内容、そして、その後の質疑応答についても投稿しようと思っています。
又、他にも準1級関連の投稿は今後アップしていく予定でいますので、そちらも合わせて是非ご覧になってください。
ではまた次回のnoteでお会いしましょう。
À bientôt !
Eva
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