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フランス留学中にわたしが遭った住まいトラブル


わたしはフランス長期留学中、住んでいたアパルトマンであるトラブルに遭いました。
日本のマンション、アパートではおそらく起きないだろう(日本ではあまり聞かない)そのトラブルの光景を思い出すと、今でもフランスの破天荒さに感心するので (わたしはフランスが好きすぎてこう言ってるタイプです)、その顛末について今回は書きたいと思います。

住まいのトラブル

フランスは建物が古いものがほとんどです。
アパルトマンも築100年、200年なんていうのはざらで、配管や造りの古さから、フランスのアパルトマンではよく水漏れが起きるという話は知っていました。
そして、まさか自分の部屋でその水漏れトラブルが起きるとは思ってもいませんでした..

まぁそれにしても見事な水漏れでした。

水漏れって、なんかじわじわ天井から水が染み出てくるのかと想像していましたが、全く違います。
普通に小さめの滝が落ちてくる感じです。笑
これ、ほんとです。
キッチン奥の天井から流れ落ちてきてるのです。


当時のわたしはどうしていいのかわからず、まず大家に電話をしました。
そしたらなぜか大家にいきなり怒られてしまいます。

「ちょっと!!
その水がさらに下にいくと困るのよ!!
絶対あなたで止めてよ!
下には絶対にいかせないでよ!
下に漏れて相手の家のパソコンやテレビにでも当たったら、わたしが弁償しなきゃいけなくなるんだからね!」

と。

滝よりも弁償が気になるようでした。


『あのね、、
部屋に滝が現れてるのよ。見たことあるの?
部屋の中に滝がある光景を??
緊急事態なんだから、そんなキレなくてもいいでしょう..』

と思いましたが、大家だし、わたしは穏便にこう返しました。

「大丈夫です。その滝は奇跡的にキッチンの水場の上から流れ落ちてきているので、水はキッチンのタイル壁をつたいシンクの排水溝へと礼儀正しく流れていますよ」と。


電話を切ってしばらくすると、次は大家から折り返しの電話がきました。

「あのね、もう大丈夫。
ポンピエ呼んだから」と言われます。

『ポンピエ・・、ポンピエ・・、あっ、ポンピエね!!
って、えっー!ポンピエを呼んだの??!!』

ポンピエは、=消防 です。


『水漏れ起きると、フランスは消防を呼ぶわけ?
日本だと、水漏れは、水道修理業者みたいのがいて、それを呼ぶんだけど、フランスは消防なんだ..』
とわたしは面食らいました。

その後、わたしはそのまま部屋で待機するよう言われ、
なんかもう滝と大家にわたしは疲れてしまって、
ソファに座り込んで目をつむって心を静めていました(ただのふて寝とも言える)。

しかし、なんか待てど暮らせどポンピエは来ない。
このままどうしようかな、、
と思いふと目を開けて、窓を見てみると..

窓の外にハシゴがかかっていることに気づきました。

わたしの部屋は、通りに面して、ワンルームの部屋があり、そこの食卓側とベッドがある方側の2箇所に窓があったのですが、その両窓共に各1本ずつ、計2本ハシゴがかかっていたのです。

わたしは窓にダッシュして下を覗くと、消防車2台と大男の消防士たちがアパルトマンの目の前にいました。

そしてその内の何人かはそのハシゴをのぼっている最中でした。

「おいおい、、何をしようとしている?!」
と思ったその時です!




ピッーーーーーーーーーー!!!


けたたましい電子サイレン音が鳴り響きました。
そして続けて、


バリーン!バリーン!!

窓が砕ける音がします。

消防士たちは、わたしの部屋の上階の家の窓を叩き割って中へ入っていったのでした。

わたしはめちゃくちゃ驚きました。
だって..なんでドアから入らないの・・?
たとえ上階が留守だったとしても、窓じゃなくて、ドアノブだけ壊して入ればいいんじゃないの?
その方が窓壊すより被害少なくないかな?
って、わたしのそんな正論?は、フランス式ではなかったようです。


その後、わたしはどういうことなのか分からないまま

『これってドラマの撮影なのかな..
いや、それよりこんなことして上階の人に訴えられたりしないのかな。いやもしかして、上で犯罪が起きていてるとか??』

と、あらゆる想像をふくらませました。

そして間もなくして、うちのドアを誰かがノックしてきて、ドアを開けると上階の窓を破壊してきた消防士の大男たちでした。

「悪いが君の家の中も見させてもらう」

と入り込んできました。


なぜ見る必要があるんだろう..
それは分からないまま、消防士が4人ほど入ってきました。間近で見る消防士は窓越しに見たときより、さらに大きく感じました。

そして大男の方の一人がわたしにこう言います。

「上階は誰もいない。
 風呂場の水栓が壊れていて水漏れが起きている。
 だが、処置をしてもうじきに止まるから大丈夫だ」と。



(もしかしたら、これはフランス消防における、水漏れ留守時の、スタンダード、セオリーなのかもしれませんので、もしそうなら、色々文句を言って申し訳ないのですが、当時のわたしはこどもで未熟でしたので、それを知る由はありませんでした)


わたしはなんとも安心できないような気分でした。
『留守なのになぜこんな大量の水が流れ落ちてくるのかなぁ、、この強引な状況ほんとに大丈夫なのかな、
ほんとは事件が上で起きてるとかじゃないよね..
あとで、上階の人が「何ポンピエ呼んでんだ!うちの窓が壊れて無くなっただろ!」って、笑、笑いごとじゃないんだけど、怒ってうちに乗り込んできたりとかないといいんだけど』など考えていました。


その後、数時間もしない内に、水漏れはちゃんと止まりました。水はずっとシンクに流れていたので、二次被害もありませんでした。

『窓を割ることで事件は一件落着したんだな。』

と、わたしは無理やりそこに自分の気持ちを落とし込みました。



そして、その後そこでわたしは何か月も暮らし続けましたが、心配していたような、上階の人がうちに乗り込んでくるということはなかったです。

大家とは、その後、何度か話す機会はありましたが、なんか怖くて後日談は聞けませんでした。向こうもその件は言ってこなかったので、わたしはもうなかったことにしました。

そしてこの家を離れることになるまで、水漏れが起きることはもうありませんでした。


最後に

こんなエピソード、日本のマンションではまずない?
ですよね。古アパートとかなら起きうるんでしょうか..とにかくフランスのアパルトマンおそるべし!
いや、消防士がおそるべしでした 笑。

現在、フランス留学中の方も、何ごともなく穏やかに平和に滞在されて楽しく過ごされるのが何よりなんですが、まぁでも外国ですからね。って、おどすつもりは全然ないんですけど、そんなトラブルや珍道中のようなことは留学中は色々起きるものです。

その時は本当に大変だし、なんなんだよー!と嘆くと思うのですが、ほんと後になったら、いいエピソードトークのネタができたなと思うと良いと思います 笑。

それに、そういう色んな経験談というのは、ほんと自分が気づかずうちに蓄積して、人の深みというか、豊かさなどにつながりますので、大変なことがあっても損はないです。
「そんな時もあるよね」と、トラブルが起きても、とりあえず腹をくくって受け入れるのも留学生活を生き抜く知恵の一つのような気がします。

こんな部屋トラブルはまだいいですけど、安全だけは本当に大切なので、それだけはご注意ください。



ではまた次回のnoteでお会いしましょう!

À bientôt !!

Eva

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