脳みそ次第 ひとり言@フランス語
先日、某携帯ショップへ旦那と行った。
家のWi-Fiが繋がりづらくなったので新しいルーターを買うためと、ネット回線、携帯料金プランなどをまとめて見直しするためだった。
「お客様を対応する石川です(仮名)。よろしくお願いします。」
とカウンターに現れた方は、20代後半から30代前半と思われる女性で、胸元のバッジには【チーフアドバイザー】と書いてあった。
チーフらしく、彼女の話し方はとてもテキパキしていて、かなりはっきりものを言う感じだった。説明は分かりやすくコンパクト、口調は少し早口だった。
人によっては、彼女のこの感じを、少しきつめ、もしくはちょっと強め、と思う人がいるかもしれないなと思ったが、
わたしは彼女のような、今まで積み重ねてきたことや取り組んできたことに裏打ちされているような強め感が出ている女性が好きなので、彼女の営業スタイルに満足していた。
彼女は紙とiPadを駆使して各種説明を行ってくれた。仕事が出来るんだろうなと、すぐわかるようなiPadの早い手さばきはとにかく見事だった。毎日やってる仕事だから当然とも言えるが、隣のカウンターで同じようにタブレット画面を見せながら対応している子との、その手さばきの早さの差は歴然としていた。
石川さんは綺麗なジェルネイルをしていた。パネルをさわる度に爪先が画面に当たってコツコツと音が鳴る。その音すらかっこよく感じられた。
彼女は料金体系や、キャンペーンのこと、この機器を抱き合わせで使うとさらに安い、但しこういうデメリットもある、など、とにかく複雑な構造をなす携帯やネットプランの世界を簡単に紐解いて見せてくれた。
ちなみにわたしのiPhoneはそろそろ使用期間が3年を迎える。だいたい不具合が起きる頃だというのはわかっていたけど、わたしは買い替えを少ししぶっていた。そんなわたしに彼女は、
「それくらいの期間お使いですと、急に壊れてしまって突然携帯が開かなくなくなるということがよく起きますし、本体に保存していたデータが全部取り出せなくなった!などと言って、助けを求めてここに来られるお客様が大勢いらっしゃるんですよ。なので今買い替えをおすすめする一番の理由はそこですね」と買い替えを促した。
今までわたしはずっと彼女の話を理解していくのに必死で、聞くばかりの相談会になっていたが、わたしはそこでつい思ったことを口に出してしまう。
「ん、それってiCloudにバックアップしてるから大丈夫なんじゃない?」
やっちまった.. たぶんこれは正解なのだ。そして、彼女の説明してくれたことも、もちろん同じくらい正解だと思う。でも、今までついてくのがやっと感がでているわたしに、いきなり「別にそれは重要ではないでしょ」がごとく水をさされ、おそらく彼女をちょっとだけ不快にしたとわたしは直感した。
そして、それは当たっていた。
「そうですね。でも、iPhoneのIDとパスワードってお客様今言えます?
普段、本体にパスワードとか登録しちゃってません?顔認証とか?
だからほとんどの人がIDとパスワードって覚えてないんですよ。
覚えてないとデータは取戻せませんよ。ID、パスワード必要ですから。
わたしが見てきた人はたいていiPhoneの中のメモアプリに、IDとパスワードを書き留めちゃってるんで、そもそも携帯が壊れて起動しなくなった時点で終わりなんですよ。
まぁ、確かに.. cloudにデータのバックアップされてるなら、戻りますよね、なので、ID、パスワードを自分で覚えてられるかどうかだから...
“お客様の脳みそ次第” ってことになりますね」と言いのけた。
そしてすぐまたネイルのカタカタ音を出しながら画面を動かしはじめた。
脳みそ次第.. あなたの脳みそ次第だぞ、ってか。
彼女… ほんと、なんか最高だな、とわたしは思った。
こういう強気な感じ、わたしきらいじゃないのさ。
この子面白い子だなと思った。
わたしより何十歳も年下だけど、つい出るこの強さ感がなんかうらやましかった。
わたしはなんだか最近ぽにょぽにょしているから、会社の年下軍にも遊ばれていじられることが多くなってきている。
だからこんな強さで仕事場の年下たちと接していりゃ良かった、と思った。
まぁそれはさておき、
聞いたことないよ、笑 「脳みそ次第」なんてワード。
おそらくだけど、「お客様の記憶次第になりますね」とか、
もっと普通に「お客様が覚えていられるかどうか次第ですね」みたく、
やんわり言うチョイスもあっただろうけど、
物理的にわたしの脳みそを指定して、そこで覚えていられりゃいいよ、って言うんだから、内心わたしは爆笑していた。
までもね本当にその通りなんだよ、完全に同意。
フランス語もそうなの。昨日調べた単語がね、もう今日覚えてないのよ。
で、また同じ言葉調べちゃって、あコレ昨日も見たなって気づいたりするの。だから、フランス語の勉強は、地味に何回も読んで、何回も聞いて、見て、確認しての繰り返し。それをやり続けないと、もうぜんっぜんわたしの脳みそにフランス語なんて定着してくれないの!
「老化とか年齢を理由にしちゃダメですよ、言霊でほんとうにどんどん老化してっちゃいますよ~!」って、以前通っていた美容室の若い子に言われたことがあるけど、でもね、20代30代はそんなのどこ吹く風でそうやって過ごしてもいいんだけど、わたしアラフィフだからね、それ相応に年齢のせいってこともあるのさ。
わたしは数年前に、15年というフランス語ブランクをあけてからの、仏検2級→準1級取得という2年ほどかけた復帰劇を遂げてみたけど、それでも成長なんてものは、そう簡単には手に入らない。今も正直フランス語については若干悩んでいる。
成長が見えづらいからかもしれない。言葉、言語は学ぶことが無限にあるから、これが話せたからと言って、じゃぁあの話題もうまく話せるかというと、そうはならない。
強い分野と弱い分野もできる。料理に関することはうまくしゃべれても、そうだな、わたしはファッションのことは単語もよくわからないし得意ではないのでうまく説明ができない。そもそも日本語でちゃんとした知識が必要だったり、前持ったインプットがないと外国語で話をするなんてお手上げなんてことはざらにある。
だから、成長がそんな簡単には見出せないということが、言語を学ぶ上での障壁になりやすい。成長ロードは、目の前に出てきたハードルを倒してでもいいから前に進んでみて、でもやっぱりそこに戻ってきたりしては、倒したハードル立て直してまたそこを超えて行く、そんなことをやり続けること以外に語学の成長なんてないのだ。
やめれば当然衰退していく。維持はできない。それは、わたしが15年離れていたからよく知っている。
わたしは、ここ2年くらいに渡る試験生活が今年2月にやっと終えたので、今では自由に好きな形でフランス語を学んでいる。
しかし、やはり好きと苦手が枝分かれしていき、学びに偏りがでることが多くなっている。
それにこれだけ毎日やらないといけない学びって他にあるんだろうか?と、(もちろんあると思うけど) 遠い目をすることだってある。
そうそう、わたしは、フランス語学系アカウントを運営されているある方の投稿をよく見るのだけれども、その方がXでこう投稿したのを、わたしはスクショしてお守りのように眺めることがある。
「何日間かあまり語学の勉強ができてないと、
アイデンティを失う気持ちになる」
これを読んだ時に、めちゃめちゃわかると思って、心に染み入った。
積み上げたものと、今の自分と、これから進ませようとする自分の葛藤を書いていらっしゃるのかなと思った。
それくらい語学は小さな歩みの積み重ねが大事だということ。
この方の本音すぎる本音の投稿、とても共感できたし、そんな本心を飾らない言葉でぽんと短い言葉で吐き出したこの方の力に敬服し、スクショしたのだった。
フランス語の学びに関しては、もちろん週に一回フランス語を習いに行ったり、アプリで勉強してみたり、楽しんで学ぶことは素晴らしい。それは語学の原点だから。
だけど、将来的に、そこに大きな成長を掛け合わせたいという希望がでてくると、語学は日々やる以外前進はない。たとえ5分でも、10分でも。
わたしは仕事を終えて、帰り道にふと、『今日まだ一回もフランス語聞いてなかったわ』と気づくと、出川さんのように「やばいやばい」と言いながら、おもむろにイヤホンを耳にさす。
しかし聞いたとて、何センチも前に進む成長を見られることはない。
おそらく成長曲線1mmあげた程度かもしれないんだけど、それでもやるしかない。
わたしは仕事も家事も親もペットの世話もするし、フランス語もやる。それを日々こなしていく。それがやり続けられるのは、おそらく確固たる「将来自分はこうなりたい」というものがあるからと、フランス語をやると楽しいが必ず付いてくる、というのをよく分かっているからだ。だからできるのだろう。
話しが逸れたついでに、語学のモチベーションの保ち方はどうすればいいですか?みたいな質問をしているSNSをたまに見かけたりするけど、こんな答えづらい質問ないなと個人的には思っている。
(わたしがこの質問を誰かにされることはないんだけど、笑)
そして、その答えがいつもやさしくかわいらしくて愛しいなと思っている。つまり、相談者にとても寄り添ってあげてるな、と思う。
わたしなんて、これを答える時は、おそらく石川さんのようになってしまう。
話が逸れすぎてお忘れでしょうが、携帯ショップのチーフアドバイザーの石川さんである。
おそらくわたしも厳しいことを言いそうな気がする。笑
なので、モチベーションの保ち方については書いたことがないし、おそらくこれからも書けないだろうけど、芯の強さがないと、モチベーションもなにも語学で上にはいけないのだからわたしは今も苦労しているのだ。
携帯とネットの相談会も終わりにさしかかり、わたしは石川さんのおすすめしたプランとWi-Fi機器を買うことにした。機種は変更しなかった。(実はそれを今ちょっと後悔している)
ここまでくるのにけっこう時間が経過していたが、彼女は、最後までだれることなく変わらずテキパキしていた。
「最後にWi-Fiはわたしより分かる専門者がいますので、交代してその者から詳しく説明させますね」と言ってたが、結局その専門の方も他の対応で忙しく「そのままわたしがやります」と言って、専門じゃないのに大丈夫なのかなとわたしは一瞬思ったが、彼女はそんなことをすぐ吹き飛ばす力をお持ちの方だった。
機器をくまなく説明し『これ以上ないほどあなたも専門家だわ』と最後まで彼女はわたしの称賛を逆に買いまくっていた。
すべて終わり、帰り際、わたしは以前のnote「はじめましての師匠」の中でもやってしまっている “どうしても言わずにいられない病” がまたでる。
「石川さん、ほんとうにすごい優秀ですね。見事でした。おかげで色々よく分かりましたし、ほんと石川さんすごい仕事できるんだなって称賛の目で見てました。」と急に告白してしまうのだ。
そうすると、彼女から出ている強い感じが少し薄らいで、彼女は顔をちょっと赤らめた。
「いや全然、説明がわたしいつも色々長くなっちゃうんです。逆にすみませんでした。」
と少し恥ずかしそうに言ってそれがとても可愛らしかった。
これが仕事とは別の彼女の素の感じなのかもしれないと思った。
誰しも、仕事場では闘っていることが多いので、多少強めになる。
そう、みんな強めでないとやっていけないから仕事上そうやっているだけなのだ。
こんな超年上のどこの誰かもよく知らない人から褒められて石川さん的に嬉しくはないかもしれないけど、超年上だからこそ、なんか褒めてあげたかった。
「君はすごいよ」って。
そういや、わたしのフランス語も本当に褒められやしない。笑
別に褒められるためにやっている訳でも、どこかで披露するためにやってる訳でもないけど、そろそろ個人レッスンの先生に(準1とった少し後くらいかな、一回少し上手くなったと言われた以降何も言われない)わたしが思わず言ってしまいたくなるように、先生も「Evaなんか最近フランス語さらに上手くなったね」ってつい言っちゃうくらいになれるよう、これからもフランス語を学んでいこう。
そう考えるとまた楽しいは続く。
楽しんで、フランス推し活もして、いろんな刺激をかき集めながら、これからもやっていく。
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