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成功体験が奪った冷静さ‐2・26事件と試験不合格の理由
成功が生む「高揚感」と「油断」
「成功体験」が「その後の思わぬ結果」に繋がる事例は歴史でも、私たちのキャリアにもあります。
今日の木下斉さんのVoicyでは、昨日に続いて2・26事件が取り上げられていました。本日配信分は、事件を受けて現在にどう繋がったのか、が主にお話されています。
私の記事で昨日もお話しした通り、私は日本史の授業を中学校以来、履修していないので難しいお話はできません(単なる言い訳)。が、個人的には、事件で親王派を粛清した統制派のその後と、過去に私が見たとあるキャリアの1シーンが同じ構造のように思えました。
キーワードは「成功体験がもたらす影響」です。
2・26事件の誤った意思決定
2・26事件のあと、統制派は天皇の命令を受けて、親王派(皇道派)を排除することに成功します。
個人的な推測にはなりますが、この「成功」によって、統制派は「自分たちは正しい」「次も同じ方法でうまくいく」と過信してしまったのではないか、と考えました。
その後、政権を担った統制派は甘々な計画やダメダメな意志決定、そして冷静な分析を欠いてしまうことになります。その結果、準備が不十分なまま、太平洋戦争に突入することになってしまったのです。
2・26事件で親王派を駆逐した『成功体験』から、「自分たちのやり方は間違っていない」という思い込みが強くなり、庶民に大きな負担を強いる戦争を招いたのではないでしょうか。
社内MVP受賞者の「高慢さ」と「思わぬ結果」
『成功体験』から思わぬ結果になった事例は、個人的には既視感があります。
私が新卒で入社したメーカーでは、目覚ましい進捗 や成果を上げたプロジェクトを表彰する制度がありました。その制度で、私と同じ部門の先輩のチームが見事受賞し、先輩らは社内MVPの称号を手にしました。
確かに先輩方のチームは夜も遅くまで実験をしたり、ガッツリ議論をしていたりと、他のプロジェクトと比べても明らかに仕事の量が多かったのを記憶しています。
しかしMVPを受賞後、とある言動がその先輩方の中で見られるようになりました。
周囲を見下す発言を彼らがするようになったのです。
『〇〇さんは✕✕の技術がわかってないからマジ使えない』とか『■■のプロジェクトは進め方が云々で話にならない笑』など、私も自分のプロジェクトのことを直接ディスられたり、他の人に対するディスり発言を耳にしたこともあります。
MVPを受賞した先輩方の1人に、その後思わぬ事が起こります。その人は昇格試験に不合格になったのです。
一応その昇格試験は合格率が半分程度ということで、 ある程度の割合で落ちる小論文の試験でした。
私の勝手な見方ではありますが、昇格試験に落ちた その先輩は、「MVPを取った自分たちは特別だ」という意識から、昇格試験の準備(小論文対策)が後回しになったように見えました。
半分くらいは昇格試験に落ちるというのは前々から知られていたので、通常であれば数ヶ月単位で少しずつ小論文の記述練習していくのが当時の社内では一般的でした。他の受験者がしっかり準備していたのに対し、不合格だった先輩は「この前の成功(MVP)があるから俺のやり方は間違ってない」という期待に頼っていたのかもしれません。
結果として、彼は昇格試験で「思わぬ結果」となり、昇格のチャンスを逃してしまった、という次第です。
もちろん私はその人の行動全てを見ていたわけではないので、他にも体調不良や仕事が多忙など原因はあるかもしれませんが、成功体験が影響を与えた可能性も否定できないよなぁと考えました。
成功体験がもたらす“冷静さの欠如”を防ぐには
1つ目に考えられるのは、成功体験をアンラーンすることです。
成功したときほど、「次は初心の気持ちで挑戦する」という意識が重要だと思います。
2つ目は、周囲の声を取り入れる余裕を持つことです。
私の勝手な推測に過ぎませんが、2・26事件で親王派を粛清した統制派も、社内MVP受賞者も、成功体験で高揚してしまい「自分のやり方が正しい」という思い込みに強く囚われていたのではないでしょうか。
その結果、両者とも思わぬ結果に繋がりました。
他のチームメンバーや上司からのフィードバックを積極的に受け入れ、必要なら自分の進め方を見直す姿勢が大事だと思います。
まとめ
2・26事件後の誤った意思決定による戦争への突入も、社内MVPを受賞した先輩の昇格試験不合格も、「成功体験がもたらす油断」が共通していると考えました。
2・26事件から示唆出来ることとしては、成功した時こそ「冷静さ」を保ち、次に向けて着実な準備が重要である、ということです。
「成功したら終わり」ではなく、「成功は次のスタート」という考え方を身に着けて、周囲をディスりまくってた先輩方を反面教師にしたいと思います。
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