老犬との日々を自分なりに 言葉として残しておきたいと、 何回かに渡り記事にしてきたけれど、 彼女との最期の日々を送る前に、 私は実家で一緒に過ごしてきた 一匹の猫も亡くしていた。 彼女もまた♀(メス)で、 20年と数か月生きたのだった。 20年生きると間違いなく 長寿認定を受けるであろう犬とは違い、 猫の場合、20年以上生きることは そう珍しくはない。 ちなみに20年以上生きた猫は、 「猫又」になるという説がある。 もともと猫はかなり人語を 解すると云われるが、 猫又
*Ⅲ* 老犬介護において、 定番中の定番である悩みのひとつに、 「夜に寝ない」&「通しで寝ない」 ということがある。 野生動物の生きる術なのだろう、 昼夜問わず、その眠りは「切れぎれ」で、 こと「認知症」を患う犬は、 通しで寝てもその時間は長くとも2時間ほど。 起きている間はこちらも 起きていなければならなかった。 (吠えるので) 幸い家で仕事をしている夫と、 昼間は外でフル勤務の私は、 交代で彼女の面倒を見ていたのだが、 3時間以上通しで眠ることが出来ない 日々
*Ⅱ* 次の日、とりあえず病院に連れて 行くことにした。 興奮して診察台の上で 排泄物をまき散らす彼女、 勿論恐怖心もあったに違いない。 しかし、先生は顔色一つ変えず、 淡々と傷口から蛆を一匹ずつ ピンセットで取り除き、 抗生物質の注射を一本打った。 (いや二本だったか) 目が潰れていたように見えていたのは、 目ヤニが覆いかぶさっていただけで、 拭き取ってもらうと、はじめて瞼が開いた。 瞼の下からは現れたのは、 老犬ではなく、少女のようなつぶらな瞳。 しかし、その
*Ⅰ* 数年前の11月、突然一本の電話で、 19歳の老犬を引き取ることになった。 人は「19歳」と聞くと 不思議そうな顔をする。 犬の寿命というのは、一般的には約15年。 長寿とされる犬でも18年ほどとされる。 なので「19」という数字となると、 途端に理解の範疇を超え、 頭の中は「?」となるらしい。 「人間年齢に換算すれば、 ということではなくて、 本当にきっちり19年生きてきたんですよ。」 いつも説明が長くなった。 「人間年齢にすれば」、ではない。 その時