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私の00smusic#62

#611 Daylight by Remedy Drive

ネブラスカ州リンカーン生まれのナッシュビルで活動するバンドの、本名義では2作目のDaylight Is Comingより。10年ほどのインディレベルの活動で、作品も6作発表していて、その後の本作は、前身のRemedy名義を改名してからの初のメジャー配給作品。
クリスチャン系のロックバンドらしいポジティブな文言と雰囲気に、とてもメロディアスでキラキラしたピュアな佇まい。自分がネガティブなムードに陥っても、再び光をもたらしてくれるような、ありがたく救われる名盤なんじゃないかと。

#612 Troubled Sleeping by The Perishers

スウェーデンのバンドの国内2作目Let There Be Morningより。サラ・マクラクランのツアーのオープニングに抜擢されたり、アメリカのテレビドラマに曲が流れたりして、英米向けにも再リリースされた。
初期コールドプレイやアスリートのような系譜で、パッと聴いた感じはメロウで暗い楽曲が並ぶ。かと言って、決して重くなるような感じでもなく、あくまで歌心のあるシリアスな良い曲が多いだけで、ドラマの隙間に曲が流れていく感じも想像に難くはない。この調子だと、ライブはどう盛り上がるんだろう?とは思うけど。

#613 Without a Clue by Matthew Perryman Jones

ナッシュビルを活動ベースに持つアメリカのシンガーソングライターの3作目のSwallow the Seaより。
元々カントリーフォークシンガーのような感じだったようですが、この辺は良質なポップロックを背景にしたソロ作品なので、とても聴きやすいです。
たぶん日本ではなかなか名前を聞かないミュージシャンだとは思うんですが、アメリカのSSWものが好きな人には、見つけた時の掘り出しもの感がかなりあるのではないかと。

#614 Hanasakajijii (Four: A Great Wind, More Ash) by Anathallo

ミシガン州マウントプレザントで結成されたインディパンドの3作目Floating Worldより。
アルバムタイトル、曲タイトル、アルバムジャケットを見ての通り、日本のおとぎ話や浮世話をテーマに制作されたコンセプトアルバム作品。
このモチーフを前にして、鍵盤や管弦楽器、打楽器、ハンドクラップ、声のハーモニーを駆使して、アーティスティックに昇華させたカラフルな音表現で、どこかの大学の演劇サークルか街の演劇集団の舞台を音で聴いてるような、そんな錯覚にも陥ります。

#615 Take Your Time (Coming Home) by Fun.

フォーマットが解散した直後、ネイト・ルイスはニューヨークへ向かい、スティールトレインのジャック・アントノフとアナサロのアンドリュー・ドストを誘い、ファン.を結成してリリースしたデビュー作Aim and Igniteより。プロデューサーはレッドクロスのスティーブン・マクドナルド、アレンジャーはロジャー・マニングJr.。
フォーマット時代の3作目になるかもしれなかった素材もここに持ち込んだようですが、あのインディロックの大名作Dog Problems後の風景を引き継ぐ形で、もっと大衆的なポップに、より洗練された動きになり、エンターテインメント性もぐっと増して、文字通りに音楽がファンな流れに向かっていくようなイメージ作品なんではないかと。ジャケがちょっと残念な気がするけど、ここでも名作っぷりを発揮。
そしてこの次の作品では、メインストリームの場で大バズリ大化けしていくわけですが。ここの3作品3連打の流れは、とても印象的だったと思います。

#616 Underneath the Golden Grain by Reubens Accomplice

アリゾナ・フェニックスのバンドの3作目The Bull, the Balloon, and the Familyより。同じアリゾナのバンド、ジミー・イート・ワールドのジム・アドキンスが運営するウェスタン・トレッド・レコーディングスからリリースされている。
エモーショナルなメロディとハーモニーを、オルタナカントリー/ロックと掛け合わせたような感じで、優しく包み込むような雰囲気の楽曲が並び、エモの部分でぐっときてしまう場面がつらつら。キャッチーな掴みも多く、超優良作品。

#617 Stuck at Sea by The The Honorary Title

ブルックリンのバンドの2作目Scream & Light Up the Skyより。プロデューサーはデビュー駆け出しのベックやエリオット・スミス作品を手掛けていたロブ・シュナフで、このリーダートラックのみ、ブッチ・ウォーカーが担当している。
当時もインターネットや雑誌を駆使して探すようなことを頑張ってやってましたが、サブスクの時代になって、まだこんなあぶり出されてない好きすぎな作品が新たに出てくるのかと震えるくらいの良作。
アメリカの大陸的なフォーキーな空気を時折感じつつも、キャッチー&メロウで、かつカチッとしたバンドサウンドで魅了するような作品。どれ取っても曲が良いなあ。  

#618 Existentialism on Prom Night by Straylight Run

当時のエモロックシーンで頭角を現して、成功を収めていたテイキング・バック・サンデーの主要メンバー2人が、バンド脱退後に結成したバンドのセルフタイトルデビュー作より。
テイキング・バック・サンデーで魅せていたエモーショナルな部分は引き継ぎつつも、ここではピアノロック的なアプローチを取っている。アルバムは叙情的なメロディを持ったバラードやスローな楽曲の割合が高く、時には壮大で美しい作品の印象が強いんだけども、男女のメインボーカルで聴けるというところでは、しっとり続く作風が単調にならずにいるのが良いかも。

#619 Is There Something On Your Mind? by The Drowners

スウェーデンのパワーポップバンドの3作目のタイトルトラック。90年代に国内レーベルから2作品をリリースしていた彼らは、ニューヨークのインディレーベルとリリース契約を結んで、スレイヤーやモンスターマグネットの作品プロデュースした経験を持つマット・ハイドのプロデュースの下、LAのスタジオで前2作からの楽曲の再録音を含むアルバム作品を制作してリリース。このタイトル曲も元々はデビュー作の収録曲でした。
リリースが2000年に入ってしまって、少し遅れて出てきた感はありますが、90年代における輝かしいパワーポップを聴かせる作品として間違いない内容のアルバムだと思います。おそらく総パワーポップファン必聴。

#620 Out on the Wing by Superchunck

ノースカロライナのインディロックバンドの8作目Here's to Shutting Upより。知名度を上げた4作目Foolishで共にしたブライアン・ポールソンと再びタッグを組んで制作された作品。
作風はこれまでのバンドのイメージと距離を置くもので、作品としては一番優しく聴きやすい雰囲気のアルバムかと思います。
個人的には彼らの作品で一番最初に触れた作品で、事前に話に聞いていたようなカレッジチャートを賑やかしてきた90年代の尖ったオルタナギターバンドのイメージかと思っていたところと聴いた印象が違ったので、あれ?こんな感じ?という感じではありましたが、でも逆に良い意味でこの聴きやすさは、初体験としては受け入れやすい印象だったりして。
時は同時多発テロのタイミングで、バンド活動も難しくなり、次の作品までは9年も要してしまいますが、そのこともあってか、この作風のイメージは長いこと自分の中で保たれることになりました。


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