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私の00smusic#58
#571 Montgomery Park by Richimond Fontaine
オレゴン州ポートランドのオルタナカントリーバンドの5作目Post to Wireより。この辺の作品はイギリスのカルチャー誌であるUncutが絶賛していたようで、このアルバムも年間アルバムリストの4番目に入れていたんだとか。
カントリーフォークやスライドギターにあまり馴染みがない日本では、なかなか知られない存在だったとは思いますが、個人的にはこのレイドバックしてて、時にはしんみりした空気感とロックバンドというフォーマットの掛け合わせが好きで。
残念ながら10枚くらい作品を出して、解散してしまいました。
#572 The Late Great Cassiopia by The Essex Green
ブルックリンで結成されたインディバンドのセカンドアルバムThe Last Goodbyeより。
60年代70年代のクラシックなソフトロックサウンドに、男女混声のボーカルや軽快なハーモニーが乗っているような感じ。このアルバムからMergeとレーベル契約したところから、きっと知って聴いているのだろうと思うけど。
時間は何十年も経っているけれど、こうして現在にも真空パックされて運ばれてきたような音楽を聴ける幸せというのかな。オールドスクールなポップスから溢れるノスタルジーと親近感、時にはムーディーで、ほっこり和みます。
#573 Walk in The Park by Oh No Oh My
テキサス・オースティンのバンドの自主制作のデビュー作Oh No! Oh My!より。
これはサブスクで何となく初めて聴いた感じなのですが、牧歌的なポップソングかと思えば、突然テクノが始まったり、なかなか器用だなぁ、などという印象。
バイオを読むと、メンバー4人全員がマルチプレーヤーなのだそうで、まだその始まりにしか過ぎなかった自主制作デビューって感じなんでしょうか。
ただいつもメロディ重視の練られている感じではあるので、どう鳴っても、曲はわかりやすいとこが良かったりして。
#574 Night and Day by 747s
リバプールのバンドの唯一作Zampanoより。
演奏力もそれなりにありそうで、結構能力値の高いUKバンドが出てきたなあという個人的な印象で、ラカンターズやストロークスのツアーのサポートをしたりして、精力的な活動もあったようですが、この作品のみで、あっけなくバンドは終わり、次の活動に移っていきました。
割り切りがいいのかもしれないけど、うーん、なんか勿体無いよなあ。こんなバンドなら、あと3作ぐらい聴いて、展開を見たかったなあという思い。
#575 Big Drag by Limbeck
カリフォルニア・オレンジカウンティのバンドの4作目にして最後の作品、セルフタイトルより。
この作品はもっと普遍的なポップロックに寄っていってますが、オルタナカントリーとポップロック/パンクのクロスオーバー的な位置取りのバンドで、モーション・シティ・サウンドトラックやオール・アメリカン・リジェクツのようなバンドと一緒にツアーも周っていたりしたそう。元々パンク畑の人たちのようで、その辺の人脈が結構あるみたい。
かわいくて、親しみやすそうなジャケットに惹かれて買ったようなものですが、ポップだし、こういうアメリカーナ感覚の音楽はやっぱり好きだなという感想でした。
#576 Call to Love by Croocked Fingers
90年代にカルフォルニアのインディバンドとして活動していたアーチャーズ・オブ・ローフのフロントマン、エリック・バックマンがバンド解散後に立ち上げたプロジェクトの4作目Dignity and Shameより。
作品はスペインの人気闘牛士マノレテと女優ルペ・シノの恋人同士の日々をコンセプトにした作品だそう。
バンドというよりSSW作品な感じで、キャッチーなポップロックな側面と、フォーキーで雰囲気のある歌の側面がバランス良く並んでいる印象。余韻も味わえる良いアルバムですね。
#577 This Day Last Year by The Panics
オーストラリア・パース郊外で結成されたバンドのデビュー作A House on a Street in a Town I'm Fromより。
地元のライブに観に来たハッピー・マンデーズのメンバーに目撃されてから、イギリスのレーベルと契約して、マンチェスターでレコーディングされた作品なんだそう。
UKバンドのような繊細さとクラシックなソフトポップの掛け合わせ、エアリーなボーカルを中心に生まれる音空間が印象的。
後に3作目のCruel Guardがヒットして、本国でゴールドディスクと音楽賞を獲得して人気を博したようなんですが、たまたまサブスクでこのデビュー作が流れたのをふと耳にして、このオレンジな夏色のアルバムジャケットも含めて、とても気に入ってしまいました。
#578 Thumbelia by Nightmare of You
ムービーライフ解散後、ギタリストのブランドン・ライリーが立ち上げたニューヨークのバンドのセルフタイトルデビュー作から。アメリカのイーストウエストとライセンスを組んだ自主レーベルからリリースされている。
ジャケットの満面の花のイメージとバンド名の悪夢というワードがかけ離れてるとこにユニークさを感じつつ、音楽の方は前身のハードコアパンクから離れて、メロディセンスや楽曲のフックを意識したポップロックを展開していて、歌謡要素が強く印象的になっている。総じてキャッチーだし、これは隠れた名盤かも。
#579 Don't Take My Sunshine Away by Sparklehorse
バージニア州アーリントン出身のSSW兼マルチ奏者のマーク・リンカス率いるインディバンドの4作目Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountainより。
95年のデビュー作リリース後、レディオヘッドのヨーロッパツアーを前座として回ったことで、少しずつその名を知られるようになる。
しかしバンドの歴史は、マークのうつ病との闘いの歴史でもあり、本作はデンジャーマウスらとコラボしながら、自分の状態と付き合いつつ、結果5年もの月日をかけて制作された作品だった。
繊細さや悲しみを、ポップで甘美な世界観で色付けしているような感じの、決して華やかではないけど、アレンジの引き出しも印象的な作品。
残念ながら、このリリースから4年後、自ら命を絶ってしまいました。
#580 Alone on the Sea by Steel Train
ニュージャージーのバンドの2作目Trampolineより。
テイラー・スウィフトやラナ・デル・レイなどの作品の楽曲プロデュースや、ファン.のメンバーを経て、ソロバンドのブリーチャーズでも活躍しているジャック・アントノフが在籍していたバンド。
このアルバムは本当に素晴らしい作品で、インディレベルでこのクオリティの作品が普通に出ているのが、とてもゼロ年代らしくて良いなあと思うのですが、あまり日本では紹介されてるようには見受けられず、知名度がないのが残念。
全曲キャッチーで、わかりやすいポップロック曲が並ぶ名盤。