卵から育てたニワトリがラーメンの具材になるまで② 【0からラーメン】
タリラリラーンのコニャニャチワでございます。
突然ですが、あなたは父親が青空の梅干しに祈るとき、トンボとカエルが結婚すると思いますか?
また、自分自身で卵から孵したニワトリを食べるとき、どのような感情が湧き上がると思いますか?
これらの問いに対する答えも求めつつ(?)、FR0M SCRATCH では小麦を畑で育てたり、器も自作しながら、最終的にラーメンを「0から」作ることを目指してきました。
(FR0M SCRATCHとは何か?をこちらの記事で紹介していますので、ぜひ見てみてくださいね。)
この記事は、卵から孵したニワトリがラーメンの具材になるまでを書いた三部作の内のパート2になります。
卵から孵ったヒヨコが、三週間かけて成長していく様子を記したパート1は下のリンクから読めますのでそちらを参考にされてくださいね。
ニワトリ4羽を室内飼育することの限界
見出しの通りです。
養鶏場であるならまだしも、都会の一般家庭でニワトリを屋内飼育をし続けることがいかに無謀であるかを、卵を孵化させてからの三週間で思い知りました。
そもそも、孵化した個体がオスであった場合、ある程度成長したところで雄たけびを上げ、朝一番のコケコッコーでご近所さんに多大な迷惑をかけるというリスクが不可避なものとなります。
しかし、今回飼育した品種はブロイラーと言って、通常雄鶏が雄たけびを始める生後四か月よりも早い生後二か月ほどで食用サイズとなるため、先述した懸念点に関してはさほど気に留めていませんでした。
では、何が問題だったのか?
……それはズバリ、排せつ物のにおいです。
パート1でも少し触れたように、ニワトリは生後2-3週間すると、通常の糞に加えて盲腸便を排出するようになるのですが、その糞が絶望的に恐ろしく臭うのです。
あいにく、それぞれの便を写真に納めることが叶いませんでしたので、今回は下のように食品で再現したものを紹介します、そちらの方がお食事中の方にも良いかと思われますしね。
念のため強調しておきますが、食品で再現した食べられる糞ですので食事中の方もご心配なくご覧ください。
まず、水でふやかしたグラノーラに抹茶、ココアとヨーグルトを加えた固形の通常便(再現)ですが、こちらは糞と言ってもさほど臭いません。
むしろ、ニワトリの主食である穀物由来の芳香すら感じられる程で、孵化後2週間の内は特に問題なく室内飼いが可能でした。
次に、ヌテラを水で溶いた液状の盲腸便(再現)ですが、納豆に腐敗した生魚、そしてニンニクを加えたような激烈な悪臭が半径4-5メートルほどを突き抜けていくほどの代物で、ヒヨコ4羽がこれを数回射出することにより、飼育していた部屋のみならずその外部まで臭いが充満……。
臭い糞だという事を事前リサーチで知っていたのですが、ニワトリ達に近づいていくにつれ常時のどから何かがこみあげてくる感覚に襲われ、心身ともにエネルギーをすいとられていく羽目に……。
汚い話ですが、仮に人間が食することが出来た場合、かの悪名高きシュールストレミングに比肩するのではと思う程その臭いは強烈で、ふ化直後は温かく見守っていた同居人からたちまちブーイングの嵐が。
ということで、飼育開始から四週間後、ニワトリたちを室内から室外へ移動させることにしました。
(ニワトリを室内で飼いたいとお考えの方は、雄鶏の雄たけびもそうですが、盲腸便の激臭に襲撃されることを念頭に飼育をご検討されてくださいね、そうでないと最悪人間関係の崩壊につながりますので。)
室外飼育を開始
幸運なことに、飼育場所については本活動を応援してくださっている方のご好意で、卵を孵化させる前に確保済み。
このように、簡易的な鶏小屋を金属管、亜鉛製の金網、ビニールシートなどで作り……
内部にシェルター、エサ箱、そして水飲み皿などを入れた後に生後四週間の生体を移動させました。
また、夜間や雨天時など気温が冷え込むときは、このように外套をかけて小屋の中の温度を一定に保つようにもしました。
四羽いたニワトリの内、一羽はもともとの虚弱体質に加え急激な環境の変化に耐えられなかったのか残念なことに移動後一日で力尽きてしまい、入手した卵五つの内残る個体数は三羽に。
これ以上落鳥すると後々支障が出るので、これまで以上に慎重になりながら飼育を続行していきました。
ブロイラーは遺伝的に成長ホルモンの分泌量が多く、通常のニワトリに比べ多くの筋肉がつくようになっているので、そのために多くの餌を必要とします。
加えて、ニワトリの身体の構造上、食物をちょくちょく摂取するようになっていますので餌が切れるとあっという間に体重が減っていき最悪死に至る危険性もあります。
ですから、飼い主が常時見張っていられない室外飼育に切り替えてからはポリバケツに穴をあけたものの下に受け皿を置いたものをエサ入れとし、最大1キロの飼料が常に食べられる状態にしました。
残された三羽はエサをよく食べすくすくと成長していきましたが、シェルターの構造が想定していたよりも大分大きく、生体にとっても少し窮屈であると感じられたので、
このように鶏小屋を改造し、中で自由に動けるスペースを拡大。
そして、時折掃除などのついでにカゴの外へ出してやり……
草原を自由に駆け巡らせたりもしました。
小屋の外に出す理由は、日光浴や運動不足解消の意図もありますが、それ以外にもニワトリたちの栄養バランスを考えて草や虫などを食べさせるというもの。
人間が白米やパスタだけでは健康に生活できないように、ニワトリたちも様々な栄養を取る必要がありますからね。
興味深いことに、小屋から出たニワトリたちは近くにあるエネルギー量の多い配合飼料には目もくれず、目下にある草をモリモリ食べますから、本能的に必要な栄養素が分かっているのかもしれません。
草に比べると少ない虫も、ひとたび見つけると普段からは想像もできないスピードで襲い掛かり捕食します。
その様子は、鳥類が恐竜の親戚または子孫だという学説が納得できるほど見ごたえ抜群です。
と言っても、ニワトリ達もいつ猫のような捕食者に襲われるか分かりませんから、小屋の外に出す場合は常に見張れる環境を作ることが大切でしょう。
いよいよ飼育も終盤に
屋外飼育を始めて三週間後のニワトリ達の様子です。
卵の孵化から数えて七週間で、だんだんと成鳥に近づいてるのが分かりますか?
写真奥の個体に関しては、他二羽よりも食事量が多く、サイズが一回り大きいだけでなく朱色のトサカが目立ち始めています。
ヒヨコ時代からうすうすと感じてはいましたが、亡くなったしまった一羽も含め、四羽のニワトリはぞれぞれ性格や個性がありました。
上述の個体は4羽のボス的な存在で、捕らえた虫を何としても渡すまいと同族だけでなく人間からも逃げ回るほどの欲張りでして、そのようなこともあって他よりも早く成長したのかもしれません。
と、同時に4羽の中では一番人懐っこい性格をしていて、近づいてくるなり服の一部を引っ張ってアピールしてくるなど遊び心さえ感じられたのです。
ニワトリ達には、いつしか癒しを求める様になりました。
彼らの成長を純粋に喜んでいました。
胃の底に重石をズシンと載せたような感覚にも見舞われるようになりました。
そして、彼らの成長に対して複雑な感情をいだいていました。
続きます。
(ネタバレが大丈夫な方は、下のリンクから動画が見れますので、そちらもご利用ください。)