みんなの給与の基準となっている
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私の父が高度経済成長期に教員という公務員になった時、周りから給与が低い職業についてバカだなぁ、と言われたそうです。
私はロスト・ジェネレーションのちょうど真ん中の世代なので、いわゆる就職氷河期時代に市役所に就職しており、給与が高くてイイね、と嫌みも込めながら言われました。
小泉政権時代の地方分権一括法による改革の後、地方自治体は正規職員の雇用数にかかる定員管理が非常に厳しくなりました。
業務効率化が叫ばれ、正規職員の定年退職に対する採用を抑制することで基準を満たそうとしました。
しかし、人を減らすのは簡単でも仕事を減らすことは容易くはありません。
DX化で簡単に人が減らせるのなら話は早いですが、例えば住民票のコンビニ交付一つにしても、職員の丁寧な応対がなくなったと苦情が必ず舞い込み、効率化を妨げます。
とは言っても、今さら採用を復活させて正規職員を増やすことはできないため、少なくなった職員がさらに業務を大量に抱えるか、非常勤職員を雇用することで対応することになります。
市役所では、正規職員と呼ばれる職員のほかに大勢の非常勤職員がおられ、現在の制度では「会計年度任用職員」として働かれています。
以前は、嘱託職員とか臨時職員(臨時的任用職員)という言い方をしていましたが、地方公務員法の改正でほぼほぼ統一されたと感じます。
建前としては、知識や経験がある方を嘱託職員として採用し、人手が足りない分を埋めるために臨時職員を採用していました。
しかし、嘱託職員の給与といってもそれほど高いわけではなく、知識や経験に見合っているのか、と言われると何とも疑問が残ります。
また、臨時職員は誰でもできる仕事をしてもらっているという建前上、最低賃金を割り込まない程度で相当低い額となっていました。
最低賃金が秋に上がると、その額を割り込んでしまう人が出ると新聞でしばしば書かれていました。
現在は会計年度任用職員という制度の中で、期末手当が出たり、特別休暇が整備されたり、以前よりはマシな状況ですが、あくまでマシのレベルです。
私が勤めていた頃から嘱託職員や臨時職員で働かれている方は、生活こそできるが将来の展望が持てない、とおっしゃっていました。
田舎だと市役所が街の中の最大規模の職場ということもよくあり、市役所の給与状況を見ながら自分の職場の給与を決められるところも多くあります。
このため最低賃金に張り付くような金額で設定されることで、市内の給与水準が低くなってしまい、役所がワーキングプアを作り出している、とも言われてしまいます。
このことについて、新聞でも記事が上がっていました。
・毎日新聞 「ダブルワークでも苦しい 最低賃金ギリギリ 非正規公務員の実態」 2023/09/09
記事中では、公務員の賃金が地方経済の下支えともなっている中で、最低賃金に近い額では地方経済にも負の影響が出ていることが指摘されています。
また、どの職種でも採用が難しくなっている今、賃金が低い役所は人の確保すら難しくなっています。
では、賃金を上げて採用するかというと、なかなか簡単には上げることができないため、採用が難しいままとなります。
結果として、人員が不足している職場となり、今いている人達にも過度な負担がかかって能率が落ち、住民サービスが低下するという悪循環に陥ります。
もっと厳しい職場はいっぱいある、という声もあるでしょうが、前述のとおり地方の賃金の基準になっている面もあるので、社会全体の賃金水準を上げるためにも、非常勤職員の給与から一考の余地があるのでは無いかと思いました。